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STS第八期開講
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しおりを挟むそんなこんなで始まった、生徒達の自己紹介。
このスクールではフルネームは名乗ってはいけない決まりなのでニックネームもしくは下の名前のみと、タチかネコか、このスクールに通おうと決めた理由などを言える範囲で簡単にまとめ、全員にしっかり顔が見えるように、端の人から順番に前に出て自己紹介をしていくことになった。
実はここにやって来る前まで雛汰は、小太りで不潔っぽいオジサンとかいたら嫌だなぁ……なんて思っていた。
けれど不思議なことに、雛汰が頭に思い浮かべて嫌悪感を抱いたような人物像に合致する人は一人もおらず、むしろここにいる人達でアイドルグループでも結成できるのでは?というぐらい皆、顔面偏差値が高過ぎて、それはそれで逆に雛汰の緊張感を増幅させた。
まず最初に前に出たのは、『シュン』と名乗る生徒だった。
彼は会社員だそうで、スーツを身に纏い、きっちり整えられた黒髪とニカッと横に大きく口角を上げた笑顔が印象的だ。
それにものすごく明るくハキハキと喋っていて、誰とでもすぐ仲良くなりそうなタイプだな……と雛汰は思った。
そして彼はタチで、元々バイでどちらかというと女性の方が好きだったけど、訳あって女性不信に陥ってしまった時に友人がここを紹介してくれた、男性と付き合ったことは無いけど興味はあったから、ここで経験値を積みたくて、という理由でここに来たらしい。
最後に大きな声で「よろしくお願いします!」と言って頭を下げたシュンに、誰からともなく拍手が起きた。
次に前に出たのは、『コタ』と名乗る生徒だった。
無造作にセットされたブラウンヘアと、人懐っこい笑顔がまるでゴールデンレトリバーのようで、雛汰よりずっと背が高くてガタイもいいのに、雛汰はコタのことをなんだか可愛いな、と思いながら見ていた。
大学生だと言う彼もタチで、同性とも異性とも身体の関係を持った経験はあるが色恋沙汰には興味が無く、代わり映えのしない毎日に飽き飽きしていて、何か刺激が欲しいと思っていた時にこのSTSを見つけたらしい。
彼も最後に「お願いします」と言ってぺこりと頭を下げ、拍手を受けながら席に戻って行った。
三番目に前に出たのは、『ケイ』と名乗る生徒だった。
やや方言混じりに話す彼は講師のリュウの次ぐらいに背が高く、服の上からでも分かるほど筋肉質な身体をしているが顔はモデル並に小さくて、ゆるめのパーマがかかったアッシュブラウンの髪も似合っていて、男性からも女性からもモテそうだな……と雛汰は思った。
職業はパーソナルトレーナーで、タチで、ここへ来たのはなんとなく楽しそうだったから、と話すケイの口調はなんだかチャラチャラしていて、雛汰が今まで関わったことの無いタイプだった為、雛汰は彼と仲良くなれるか少し不安になった。
四番目は、『ユウ』と名乗る生徒だった。
雛汰よりは背が高いもののこれまで出てきた生徒の中で一番小柄な彼はネコで、太っている訳では無いが頬や腰周りがムチっとしていて抱き心地が良さそうだ。
透き通るように白い肌と真ん丸でくりっとした目、ノーセットの黒髪と眼鏡が純粋そうなイメージを与えてくるし、無邪気な喋り方からまるで子供のようなあどけなさを感じるがなんと彼はAV男優で、セックスが好きすぎるあまりこの世に存在するセックスにまつわるもの全てに挑みたいと思っており、セックスについて実際に他の生徒と触れ合いながら学べると聞いてなんて楽しそうなところなんだ……!と即応募したらしい。
五番目に出てきたのは、『マサ』と名乗る生徒だった。
彼はまだ所属したばかりの新人AV男優で、メーカーから育成目的でこのSTSに送り込まれたそうだ。
ネイビーブルーに染め上げられたベリーショートの髪に三白眼、スっと通った高い鼻筋にキリッと結ばれた唇がクールな印象で、百八十センチ以上ありそうな高身長ということもあって威圧感が凄く、しかもタチだと言うからこの人とペアを組むことになったら少し怖いかも……と雛汰は若干怯えていたが、話し始めると口数は少ないもののとても穏やかな口調で、よろしく、と言いながら微笑んだ彼の目元がとても優しげで、雛汰はこっそり安堵のため息を吐いた。
六番目に出てきたのは、『リョウ』と名乗る生徒だった。
彼はマサと同じぐらいの身長だがマサよりも更に体格が良く、長い前髪をかきあげて横に流した黒髪に切れ長の目がやはりどこか近寄り難い雰囲気を醸し出していたが、彼も話し始めると関西弁の陽気なキャラで、ジョークを交えながら自己紹介をし、笑いを誘った。
彼はウリセンにスカウトされてボーイとして働くことにしたが、STSを卒業していると通常よりバック率が高くなると紹介されてここに来たらしい。
こんなにイケメンなのにここでテクニックまで磨いたら、さぞ人気者になるだろうな……と雛汰は思った。
七番目は、『リン』と名乗る生徒が前に出た。
彼もシュンと同じくスーツを身に纏った会社員で、ユウよりも更に身長が低いが意外と肩幅があり、ガッシリとした体つきをしていた。
猫のような目をした彼はポジションもネコで、サラサラしたクセのない黒髪に重めの前髪がミステリアスな雰囲気を醸し出しているうえに、ニコリとも笑わずずっと仏頂面をしていて口数も少なく、このスクールに入った理由もなんとなくだと言い、最低限の自己紹介だけして席に戻っていってしまった為、雰囲気だけでなく中身も謎に包まれたまま彼の自己紹介は終わった。
八番目は、『ルイ』と名乗る生徒だった。
スラリと細身で高身長な彼は彫刻のように整った顔立ちをしていて、何度もブリーチをしてその色になったであろう白に近い金色の髪は傷みなどまったく感じさせないほどサラサラで、キラキラと輝いていて、子供の頃に見た絵本に出てきた王子様みたいだ……と雛汰は思わず見とれてしまった。
そして彼は、リンより更に謎に包まれた男だった。
職業は秘密、STSに来た理由も秘密だと言い、唯一、タチであるということしか彼に関する情報を得ることはできなかった。
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