【R18】ウブな小鳥と奔放な兎とツンな猫は猛獣と猛禽類と仲良くお勉強をします

枯枝るぅ

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退屈な男

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「五分経ったので、今から始めます。タイマーが鳴ったらどれだけ盛り上がってても必ず手を止めて下さい。その後三分間のインターバルを挟んで、次のペアに交代です。では、始めて下さい」


「……ユウ、ここ座って」


未だ縮こまっているヒナくんをよそに、レイさんの合図で一組目の実技講習が始まった。

一組目は、ユウくんとマサくんペア。

ベッドに腰掛けていたリンくん達三人がパイプ椅子に移動したのと入れ替わりでベッドに腰掛けたマサくんが、ユウくんの手を引き自分の足の間に座らせた。

マサくんに背を向ける形でその足の間に座ったユウくんを、マサくんが逞しい腕で後ろから抱き締めると、何故かそうされたユウくん本人ではなく、ヒナくんの肩がまたしてもびくりと跳ね上がった。


「マサ、筋肉すごいねぇ」

「……そう……?でも、筋トレは頑張ってる」


いたって普通な感じで会話を交わしつつ、マサくんのゴツい掌はユウくんの髪を撫でたりラグランスリーブのロンTの上から身体を撫で回しているし、ユウくんは自分の身体に回されたマサくんの腕を触ってその筋肉の質感を楽しんでいるようだ。


「いいなぁ。ボク食べるの大好きで最近ちょっと太っちゃったからボクも筋トレしようかなぁ」

「……ユウはそのままでいいと思う」


……そそられる。


ユウくんの耳元で、低く囁くマサくん。

もしこれが慣れていないヒナくんだったら、そんなふうにされたらきっと顔から火が出るんじゃないかっていうぐらい真っ赤になっていただろう。

だけど相手はAV男優だ。

もう慣れてしまっているのかユウくんは少しも動じることなく、


「そっかぁ。じゃあもしマサのパートナーになれたらご飯我慢しなくていいねぇ」


と、無邪気に笑ってそう言った。

すると、ユウくんのその台詞を聞いたマサくんの目が驚いたように見開かれた後、切なそうに伏せられた。

どうしたんだろう?と気にする間も無いぐらい一瞬の表情の変化だったから、気が付いていない人も多いだろうしもしかしたら俺の見間違いかしれないけど。

でも、確かに俺にはそう見えた。

それから暫く、お互いの胸元や二の腕、首筋を撫でていたユウくんとマサくん。

最後に手を繋がせて欲しいと言うマサくんの申し出で、お互いに両手の指を絡め合い、キュッと握った瞬間、「あれ?」とユウくんが首を傾げた。


「どした?」

「なんか……前にもこんなことあった?」

「……え?オレと?」

「うん、そう、マサと」

「……いや、無いだろ。先週ここで初めて会ったのに」

「そう……かぁ、そうだよね、気の所為か」


今度はユウくんが、この状況から何かを感じたらしい。どうやら、以前にも似たような状況を経験したことがある様子だ。

だけどマサくんの言うとおり、俺達は先週ここで知り合ったばかりで会うのは二度目。

二人が昔からの知り合いだと言うのなら兎も角、今までそんな素振りは微塵も無かったし、きっとデジャヴ?と言うやつなのだろう。


「でもなぁ、う~ん……」


と、ユウくんはまだ納得いっていないようだったが、そこで丁度終了を知らせるアラームが鳴り、二人はベッドから立ち上がった。


「……ボディタッチだけって難しいな。しかもこいつ場馴れし過ぎてて全く動じない」

「え~そう?ボク結構ドキドキしてたよ?」


自分の思うように出来なかったのか、落ち着いた口調ながらも悔しそうに眉を顰めるマサくんとは対照的にユウくんは、


「急に耳元で囁くから危うくエッチな声出そうになっちゃった」


なんて言って笑っている。

見た目だけで言えば三人のネコの中で一番大人しそうなのに、やはりAV男優というだけあってなんだか少し発言が際どい。

ただ、そんな際どいことを言いながらもまださっき感じた既視感の正体が気になっているのか、彼は時折首を傾げながら、何も無い空中を見つめていた。

そうこうしているうちにあっという間に次のペアの出番がやってきた。

次のペアは、リンくん、ケイくんペアだ。

スっとパイプ椅子から立ち上がり、そのままベッドに向かって歩き出そうとするリンくんの腕をガシッと掴んだケイくん。

突然腕を掴まれて不機嫌そうに眉を顰めるリンくんを意に介することなく、彼は小柄だけど意外とガッシリした体格のリンくんの身体をひょいと抱き上げた。


「ちょ、ちょっと!」


これには流石に動揺したのか、初回からずっとボソボソ喋っていたリンくんがここに来て初めて大きな声を出した。

一方で、リンくんを動揺させることが出来たのが嬉しかったようでニヤリと口角を上げたケイくんは、リンくんの身体をそっとベッドに下ろすと、彼の頭をポンポンと優しく撫でた。

ベッドの端に腰掛けてモジモジしているリンくんが、なんだかちょっと可愛らしく見える。

この人こんな感情丸出しな表情出来るのか……と思っていたら、ケイくんも同じことを思ったのかリンくんの隣に腰を下ろすと、


「リンちゃんってそんな顔もできるんだ。一生仏頂面なのかと思った」


そう言った。

その言葉を聞いて、プイッと顔を背けてしまったリンくん。

だけどその耳は赤く染まっているから、彼はもしかしたらツンデレなのかもしれない。


「……別に、普段と大して変わんないし」

「そうかなぁ?ていうかなんでずっとぶすっとしとんの?」

「……そういうケイくんはずっと手が早そうな顔してる」

「ちょお待って?なんそれ、ヒド!」


うーわ傷ついたわーなんて、大袈裟に嘆きながらリンくんを抱き締め、そのままベッドにゴロンと横になったケイくん。

リンくんに腕枕をしている状態で肘をついて上半身だけ起こし、更に空いた方の手でリンくんのほっぺたをすりすりと撫でている。


「……こういうのとか、なんか、手慣れてる感じするし」

「んーまあ否定はせん」

「……色んな人から愛されてきたんだろ」

「……さぁ~どうかな?」


ケイくんもリンくんも顔が物凄く整っているから、美形カップルといった感じでかなり絵になっている。

だけど、なんだろう。

手慣れていると言った割にケイくんは、リンくんに触れるのをちょっと躊躇っているというか、さっきから首から上や手にしか触れていないし、その手つきも心なしかぎこちない。


「ケイくん、さぁ。俺から言うのも嫌なんだけど……その……もっと身体、触んなくていいの?」


リンくんも、ケイくんはもっとガツガツ来ると思っていたのか、怪訝そうな顔をして訊ねた。


「え?あ、あぁーまぁ、最初だしねぇ。あんまがっついてひかれんのも嫌だし。それにリンちゃんのほっぺ、めっちゃすべすべで気持ちいいからずっと触ってられるわー。嫌?」

「ふーん……?まぁ、ケイくんがいいなら、別に……」


結局その後も、リンくんがペタペタと確かめるようにケイくんの身体に触れ、『筋肉凄いっすね』という見てわかる通りの月並みな感想を述べ、ケイくんがリンくんのほっぺたや髪を撫でたり手を握ったりするだけという、あまりに拙い触れ合いだけで彼らの持ち時間は終了した。
 
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