【R18】ウブな小鳥と奔放な兎とツンな猫は猛獣と猛禽類と仲良くお勉強をします

枯枝るぅ

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退屈な男

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なんとも言えない奇妙な空気感のままベッドから抜け出し、パイプ椅子へと戻っていくリンくん、ケイくんと入れ替わりでベッドに向かったのはヒナくんと、その相手役であるシュンくんだ。

前のネコ二人に比べて、明らかに挙動不審……もとい、ソワソワして、右手と右足、左手と左足を同時に出しながら歩くヒナくんに、シュンくんも思わず苦笑いしてしまっている。

最初はシュンくんにジャンケンで負けて悔しいと思っていたけど、俺も未経験ではないにしろ経験値が高い訳でもないから、こんなにガチガチに緊張しているヒナくん相手に上手くリードしてあげることが出来なかったかも……と考えると、ある意味これで良かったのかもしれない。

ベッドに並んで腰かけた二人。

ヒナくんは、きっちり閉じた膝の上で両手をギュッと握り締めている。

そんなヒナくんの肩をシュンくんが抱き寄せた途端、さっきの比では無いほどにびっくぅ!とヒナくんの肩が跳ね上がり、「わぁ~!」と叫んだヒナくんは物凄い勢いで布団の中に潜り込んでしまった。

そのあまりの勢いに、シュンくんまでつられてびっくぅ!とベッドから飛び退き「なに!?」と叫んでいる。

笑っちゃだめだと思いつつまるでコントのようなそのやり取りに、俺は思わず口元に手を宛てて俯き、プルプルと身体を震わせた。(ちらりと周りを見たらみんな同じ状態だった)


「おーいヒナちゃーん。俺の番終わっちゃうんだけど……そろそろ出てきてくれる気ない?」

「むり。絶対むり。おれ恥ずか死んじゃう」

「今からんなこと言っててお前、もっとエロいことする時どうすんのよ」

「ちょっ……あほ!シュンくんのあほ!今そういうこと言わないで!」

「おーおー、なんとでも言ってくれ。自慢じゃないけどなぁ、俺はわりとあほだ。あ、勉強はできるけどな?」

「……何開き直ってるの」

「事実だし。……まー、いいわ、出たくないなら。俺はこれで我慢するし」


一向に布団の中から出てくる気配を見せないヒナくん。

シュンくんはしばらくそんなヒナくんの身体を、布団の上から子供を寝かしつける時のようにトン、トン、とリズミカルに叩いていたが、突然勢いよくベッドに飛び乗ったかと思うと、今度は布団ごとガバッと抱き締めた。


「な、なに?ちょっとぉ!……苦しい!」

「だって出たくないんだろ?」

「出るから離してっ」

「おっ、そのセリフなんかエロいなぁ!」

「ねぇシュンくんデリカシーって知ってる!?」


シュンくんとヒナくんのテンポのいいやり取りに、聞いていた俺達は思わずまた笑ってしまった。

なんなら、布団から顔を出したヒナくん本人もちょっと笑ってしまっている。


「やっと顔見してくれたな」


でも、シュンくんだけは表情が違っていた。

さっきまであんなにアホっぽいことばかり言っていたくせに、急に男らしくも優しげな顔つきになって、乱れたヒナくんの髪を不器用に整え出すもんだから。

そのギャップにドキッとさせられたのはきっと、ヒナくんだけではないと思う。


「……なんかずるい」

「ん?ずるいって何が?てかなんかお前腰周りめっちゃムチムチじゃね?安産体け……」

「だからデリカシー!」


自分を抱き締めているシュンくんの背中を、ぽかぽかと叩くヒナくん。

二人のやり取りを見ていると、なんだかまるで仲の良い兄妹を見ているみたいだ。

ヒナくんも男だから妹っていうのはちょっと語弊があるかも知れないけど……でもその表現が一番しっくりくる気がする。

会うのは二回目な筈なのにとてもそんなふうには思えない二人のやり取りを見ながらほっこりしていると、あっという間に十五分が経った。


「俺、二人のやり取りめっちゃ好きだわー。なんか妹を溺愛してる兄貴と思春期の妹って感じ」


俺の言葉に、ヒナくん以外の全員が同意してくれた。

当のシュンくんまでもが、俺もずっとヒナは年頃の妹みたいだと思ってた、なんて言っている。

もぞもぞと布団から出てきたヒナくんの手を引いて立たせたシュンくんが、「ありがとうな」と言ってヒナくんの頭をポンポンすると、ヒナくんは照れ臭そうにはにかんだ。

ユウくんとマサくんはなんだかお互いに意味深な反応をしていたし、リンくんとケイくんはまるで付き合いたての中学生カップルのようなぎこちない触れ合い方をし、ヒナくんとシュンくんによる兄妹コントが繰り広げられ……ここまでの三組のやり取りは、あまりにも色事と掛け離れすぎていた。

次はAV男優であるユウくんと、ウリセンで働くことになったというリョウくんの番だ。

職業だけ聞くとなんとなくしっとりとした絡みを見せてくれるんじゃないかという気がするけど、どうなることやら全く予想ができない。


「こっち向いて俺の太ももの上座ってくれへん?」


まずはベッドの上に胡座を書いて座ったリョウくんが、ユウくんを手招きして呼び自分の太ももを跨がせ向かい合わせに座らせた。


「重くない?」

「全然」


それからリョウくんは、自分の腰の辺りに巻きついたユウくんの太ももをさわさわと撫で回し始めた。

それに対してユウくんは「擽ったいなぁ」と言いながらくふくふと小さく笑っていて、まだその絡みにエロさは無いものの、漂う甘い空気になんだか見ているこっちが恥ずかしくなってくる。


「……ユウはAV男優やったよな?エロいこと好きなん?」

「そりゃあ男は大体みんなエロいこと好きでしょ?」

「間違いない。ほんならユウはどこが一番感じるん?」

「え~?ないしょ」


ユウくんの太ももを存分に撫で回したリョウくんの手は、次の狙いを胸元へと定め、服の上から肋骨を指先でなぞるように上へとのぼっていき、両胸の中央に鎮座する乳首に触れてしまわないよう、くるくるとその周辺を刺激し始めた。


「ここの真ん中触ったら、どうなる?」

「そりゃあ、ねぇ……。気持ち良くなっちゃうよねぇ」

「そうなん?じゃあ触ろかな」

「んふっ、今日は、だめだよ。また今度、いっぱい触って?」


それまで完全にされるがままになっていたユウくんが、突然リョウくんに抱きつき、耳元に唇を寄せて囁きながら背骨のあたりを指先でつつ……っと撫で上げた。

その瞬間、リョウくんが「ぅぐっ……」と変な音を立てて息を飲んだのが、こちらにまで伝わってきた。

それはそうだよな……と思う。

ユウくんだって少し地味目ではあるものの、逆にその素朴さによって元々の素材が引き立っていて、充分可愛らしい。

そんな人にあんなことをされたら、かなりの破壊力があっただろう。

一気にピンク色に染まった空気に、ヒナくんが堪えきれず両手で顔を覆ってしまった。

ゲイビを見ている時は意外と大丈夫そうだったのに、目の前で、知り合いが……となると彼には刺激が強過ぎたらしい。

なんともウブで可愛らしいその反応に、思わず抱き締めたくなる衝動に駆られたけど、なんとか抑え込んだ。

流石現役AV男優と、ウリセンで働く男の組み合わせなだけあって、ユウくんリョウくんペアの触れ合いはその後もピンク色の空気を振り撒いたまま終了した。

だけど持ち時間の終了を知らせるアラームが鳴った途端、それまでカップルのようにイチャついていたのが嘘のようにあっさりと離れ、何事も無かったかのようにパイプ椅子へと戻っていく二人を見て、もしかしたらこの二人はお互いあんまり好みのタイプじゃないのかな……?なんてちょっと失礼なことを考えてしまった。
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