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騙された男
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しおりを挟む「あれ、シュンくん今日早くね?」
「おー、ケイお疲れ。今日は外回り終わって会社戻らないでそのまま来た」
「そかそか。シュンくん会社員だもんね。どんな仕事しとるん?」
「なんの面白みもないフツーの営業マン。IT系の法人営業してる」
「へぇー。なんかかっこいいなぁ。あ、だからコミュ力高いんか」
「だからコミュ力高いというか、コミュ力高いからこそやれてるというか……」
「あぁ、そっちね」
俺の後ろの席に腰を降ろしたモデルのように小顔で背の高いこいつは、最近俺が通い始めたスクールで知り合った友人だ。
「ていうかお前もコミュ力高いじゃん。パーソナルトレーナーだっけ?」
「うん、そう。元々筋トレ好きだからまさに天職」
そう言ってニッと笑い、わざわざ着ていたデニムのジャケットを脱いでタンクトップ姿になったケイが、鍛え上げられた上腕二頭筋を見せ付けるようにポージングしてくる。
俺は筋肉のことはよく分からないけどドヤ顔で見せつけてくるのが面白くて、笑いながら、
「服脱ぐな!筋肉しまえ!」
なんて騒いでたらなんだか学生時代に戻ったような気分になった。
「おつかれさま~」
「なになに?なんか楽しそうなことしてるっすね、俺も混ぜてくださいよ」
「おー、お疲れ。お前ら一緒だったのか」
「うん、駅でたまたまコタと会ってさぁ。で、なんの話ししてたの~?」
「ああ、お互いの仕事の話。ケイはパーソナルトレーナーだったよなってところから、急に服脱いで筋肉見せつけてきやがったんだよ、こいつ。しかもドヤ顔で」
俺の隣の席に座り、声を掛けてきたのはユウだった。
駅から一緒に来たというコタは筋トレが趣味らしく、部屋に入ってきた途端真っ先にケイのところに駆け寄り、着ていたパーカーを脱ぎ捨てタンクトップ一枚になってケイと共に筋肉談義に花を咲かせている。
……服装は涼しげになったのに、暑苦しいのは何故だろう。
「コタもなかなかいい身体しとるな。俺のジム来なよ、もっと綺麗に筋肉つくよ」
「マジっすか、それはお願いしたいかも」
ケイの提案に、目をキラキラと輝かせて前のめりになっているコタがちょっと可愛い。……まぁ、話の内容は全然可愛くないけど。
すると今度はマサとヒナとルイとリョウが連れ立って教室に入ってきて、筋トレ話に交ざっていった。
「ケイくんオレも行きたいっす……」
「いいよ、来な来な。マサもいい感じに仕上がりそうだもんなぁ。特別に安くしてあげる」
「お、おれも筋トレしてみようかなぁ……」
「お願いだからヒナはそのままでいて?」
「その顔にムキムキは似合わんなぁ。ヘタクソなコラージュ画像みたいになるんとちゃう?」
「……リョウくん意地悪い……」
「ごめんて、冗談のつもりやってん」
この四人も、このスクールで知り合った友人だ。
他にも、話には入ってこないけどリンという生徒が部屋の中にいて、俺も含め合計九人が二週間前からこのスクールに通っている。
まだ会うのは今回で三回目だっていうのにとてもそんな感じがしなくて、こいつらといるのは結構居心地が良かったりする。
中でも特に、男だけど妹みたいな奴だと思ってるヒナと、初回にめちゃくちゃ顔が好みだと思ったリンは俺的に気になる存在だ。
前回の講習で相手役だったヒナと今回ペアになることは無いと分かっているから、今回はリンとペアになれたら……と淡い期待を抱きつつチラッとリンとヒナ交互に視線を向けると、二人とも時折ルイの方を盗み見しては、リンはなんだか渋い顔をしているし、ヒナはほっぺたを赤く染めている。
──ははーん。さてはこいつら、この前のルイのアレ、引きずってんな?
ルイのアレとはなんのことか、説明すると長くなるから簡単に言うと、まだ初回なのに俺達の前でルイにエロい触り方をされて散々な目に遭わされたリンはそのことをいまだに根に持っていて、ヒナはそんな二人の絡みを思い出して恥ずかしくなってるんだろう……多分だけど。
じゃあなんでそんなことになったかって言うと、俺達が知り合ったこのスクールは、生徒同士でエロいことを実践しながら学ぶところだからだ。
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