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できない男
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しおりを挟む「……これが、俺がキスやセックスが出来なくなった理由」
最後まで笑わんで聞いてくれてありがと、と言って両手を合わせて軽く頭を下げてから皆の方を見ると、それぞれがなんとも言えん表情をしとって、でもそれは決して遊び人な俺を軽蔑したり侮辱したりするようなもんじゃなく、皆俺に同情してくれとるんだということはすぐに分かった。
墓まで持っていくつもりだった俺の秘密を、話してもいいかな、いやむしろ聞いてもらって楽になりたい、そう思って、いつもの部屋にいつもより早めに集まってもらった最近知り合ったばかりの友人達は、笑わず、馬鹿にせず最後まで聞く、という約束通り誰一人笑ったりすることなく、むしろ俺が思っとった以上に真剣な面持ちで最後まで俺の話を聞いてくれた。
どうしてまだ会って四回目の奴らに墓まで持っていきたいほどの秘密を話す気になったのかは、自分でもよう分からん。
ただ、昔からの友人に話すよりかは逆に新しく出来た友人に話す方が、俺のことをまだよう知らん分気まずくないかな……という考えはあった。
「笑わねぇって約束しただろ。ていうか笑えるような内容じゃないし……」
「いや、ほんまにそれ。俺やったらそんなこと言われた日にゃ再起不能なるわ」
シュンくんとリョウの言葉に、他の皆も頷いてくれる。
「まぁ、自業自得みたいなとこはあるんだけど……さすがにあの言葉はこたえたわ……」
「それにしても、やっぱりケイくんって遊び人だったんすね」
「……まぁなんか、相当な数ヤってそうな感じは出てた」
「そのうち刺されるかもよ?」
コタ、マサ、ルイくんの言葉がなんとも痛い。
「……返す言葉もございません」
「ちょっと~、三人とも、今日はケイくんの話を聞いて慰めるために集まったんだから、あんまり抉るようなこと言っちゃダメだよ~」
三人の言うことは間違っとらんのに、俺が傷付くと思ったのか俺を庇うように三人を窘めたのはユウちゃんだった。
俺がしてきた最低な行いを知ってもなお俺の心配をしてくれるだなんて、この子は実は天使かなんかなんだろうか?
しかも、自分のことを俺に利用されとったというのに。
「なぁユウちゃん、怒らんの?」
「え、怒る?なんで?」
「……いや、なんでって。俺、ユウちゃんのこと利用しとったんだって」
「う~ん……別にボク、利用されたと思ってないしなぁ……それにボクも実はキスの相手役にケイくんの名前書いたけど、その理由の方がもっとひどいかも」
さっきからずっと気になっとった。
ユウちゃんは俺に利用されとったと知って、なんで怒らんのだろう、と。
思い切って聞いてみたら、思ってもみなかった答えが返ってきた。
「ケイくん、ちんちんおっきそうだったからって理由で名前書いたんだよ、最低でしょ、ボク。しかもよく考えたらキスの段階じゃまだちんちんのおっきさ関係無いのにね~」
そのあまりにも明け透けすぎる内容に、俺を含めその場におった全員が一瞬呆気に取られた。
けど別に最低というほどのことでは無いし、むしろそう思ってもらえることは男として悪いことじゃないから、やっぱり俺の理由の方が酷いんじゃ?と改めて思うけど、ヘラヘラと笑うユウちゃんは俺に利用されとったことを本当にまったく気にしていなさそうで、なんだか気が抜けてしまった。
はぁ~、と溜息を吐いて項垂れる俺を見て、俺が怒ったと勘違いしたのか、
「そんな深刻な理由があったなんて知らなかったから……ごめんね?怒った?」
と上目遣いで見上げてくるユウちゃんに、大丈夫、怒っとらんよとニッコリ笑って伝えると、ユウちゃんも安心したように笑って、
「ケイくんが立ち直るきっかけになれるのはボクも嬉しいし、喜んで協力するからね!あ、でもまた元通りセックス出来るようになっても、その辺の子適当に抱くのはあんまりオススメしないかなぁ。病気貰う可能性あるし。気を付けた方がいいよ~。ボクで良ければいつでも相手するよ♡」
そう言ってくれた。
……ああ、やっぱりこの子は天使なんだ。ちょっと……いやだいぶエッチだけど。そうに違いない。
俺は確信した。
それと同時に、なんとしてもここで自信を取り戻して、またキスもセックスも普通に出来るようになって、お礼にこのエッチな天使を思いっきり気持ち良くしてあげたい。
そう思った。
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