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仮面の男
9 ※
しおりを挟む……ついに来てしまった。
次は、俺と……ルイくんの番だ。
俺がルイくんとペアになるのはボディタッチの講習の時以来だけど、あの時ルイくんに弱点の鎖骨をソッコーで探り当てられてからずっと彼のことを警戒している。
たかが鎖骨を触られたぐらいで……と思われるかもしれないけど、一番最初の、しかも慣れる為の講習でガッツリ責められたんだから、前戯やら挿入やらの講習になったら今度は何をされるか分かったもんじゃない。
だから俺はルイくんの挙動を注意深く見ながらベッドに上がると、ルイくんは、
「そんなに警戒しないで?大丈夫、気持ち良くするだけだから」
と言ってきたけど、何が大丈夫なのかまったく分からなかった。
ただ、彼はキスの講習や前回の前戯の講習でヒナとペアになった時には、ボディタッチの時とはまるで別人のように優しく接していた。
だからもしかしたらヤバかったのは初回だけで、今回は優しくしてもらえるかも……と淡い期待を抱いたが、そんな俺の淡い期待はそれから一分も経たないうちに見事に打ち砕かれた。
ベッドに上がるとすぐにバスローブを脱がされ、俺もルイくんのバスローブを脱がそうとすると、
「俺はいいから」
と言って押し倒され、キスもせずすぐに鎖骨を舐められた。
反射的に跳ね上がった腰を押さえ付けられ、時折甘噛みしながら何度も何度も舌を這わされて、背筋がゾワゾワするような快感に堪えられなくなった俺はルイくんの肩をグイグイと押して退いてもらおうと思ったのに、彼は退くどころかなんと俺の両手を掴んで一纏めにし、抵抗出来ないようバスローブの紐で縛ってきた。
「……俺にSや言うてきたクセして自分のがドSやんけ」
ボソッと聞こえてきたリョウの言葉に俺は心の中で首がもげそうなほど大きく頷いた。
けどルイくんはそんなリョウに、
「違うよ、リンが邪魔しようとするからちょっと縛っといただけだよ」
とだけ返すと、またすぐに鎖骨への刺激を再開した。
鎖骨を舐めるのと同時に両方の手で乳首もクリクリと転がされ、腰がビクビクと浮き上がるのを止められない。
俺の腰がつりそうになるぐらい散々鎖骨を苛め倒したルイくんは、少し下に身体をずらすと今度はその口で乳首にしゃぶりついてきた。
ヒナにしていたみたいな様子を伺うような優しい触れ方とはまるで違う。
グリグリと舌を押し付けて捏ねながら、じゅ、じゅっと唾液をたっぷり絡ませて吸い上げられ、声を出すことの出来ない俺はくっと喉が締まって苦しくなった。
ようやくルイくんの唇が乳首を解放してくれた頃には俺はもう息も絶え絶えで、それなのにルイくんはそんな俺に構うことなく股の間に手を伸ばそうとしてきて。
俺は思わず、
「待って……!」
とデカめな声を上げてしまった。
あんなに王子様みたいやったルイくんは今はどこにもいない。
めちゃくちゃ気持ち良いし、痛いことは一つもされていないけど、邪魔だからと手を縛り上げられ、一言も声を掛けられることなく無言で進めていくルイくんの攻め方があまりにも一方的過ぎて、不安で、俺は恥ずかしながら泣いてしまった。
「ご、ごめん……!どっか痛かった?」
「ちが……けど……なんか、ルイくん、こわいから……」
「……ごめんね、泣かせるつもりはなかったんだけど……」
俺の涙を見てギョッとしたルイくんが、慌てて俺の手を縛っていた紐を解いてくれて、優しく頭を撫でてくれて、泣いても止めてくれないような人だったらどうしようかと思っていたから少しだけホッとした。
「もうちょっと優しくしてあげた方が良かったね」
「……すいません。俺、こういう時優しくするの苦手で」
リュウさんに声を掛けられてそう答えたルイくんの言葉に、誰からともなく「え……っ?」と驚いたような声が漏れ聞こえてきた。
当然だ、ヒナにはあんなに優しくしていたクセに、どの口が言っているんだっていう話だ。
「あれ……でもヒナくんにはキスの時も前回もすごく優しくしてたよね?」
レイさんですら、怪訝そうに訊ねている。
けどルイくん曰く、
「そうなんですけど、逆にヒナには優しく出来ることに自分でもびっくりしてるんですよ」
だそうだ。
とにかくルイくんは、ヒナ以外に優しくするやり方が分からないとのことで、リュウさんとレイさんに指導を受けながら実技を続けることになった。
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