酸っぱいだらけのアブナイ戯れ

みのる

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ー案件その八(2)ー慌ただしい日常業務とその後の楽しみ

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全員ほろ酔いとなったところで、近くにあるカラオケ屋さんが二次会会場。それにしても、うちの支店の皆様は歌う事が大好きらしい(笑)
普段は原付出勤の私は、何故かその日は自転車で来ていた。なのでみんなに合わせて自転車を押しながら。

道路を渡って、少し移動するだけで到着したカラオケ屋さん。中に入ると、高級クラブを連想するような華やかな内装。(そもそも私は高級クラブを見たことも無いのだが)
広いパーティールームを貸し切り、みんな席に落ち着き、歌う曲を各自探す。何を歌うかで私はまた悩む。……あ、コレにしようかな?私はリモコンを手にして、その番号を入力した。

一番に歌うは内務課長!いきなり自らの十八番オハコらしき歌を披露する。みんな聴いてたのかどうかは知らないが、拍手喝采。
次に歌うは、私のひとつ年上な先輩女子行員。今流行りの曲で場を盛り上げる。ノリノリな岡田はマラカスを振って踊る。(笑)
そして私の番になった。私が入れたのは…一昔前の、有名な歌謡曲…それを歌おうと張り切ってマイクを手にした…ら、なんと⁉内務課長が入力した歌だと勘違いして、再度マイクで歌い出す内務課長‼それには私、ただただ苦笑い。見事歌い終わった内務課長に拍手を送る事しか出来なかった。

そこに注文していたドリンクが届く。私はグレープフルーツジュース。岡田は…ま…またお酒!?カクテルっぽかった。で、松木さんは…普通に烏龍茶を注文していた。

そこに松木さんの歌が入った。松木さんはまた、当時流行っていた超有名な歌をチョイスしていた。そこでまた、場の空気を盛り上げる為に岡田はタンバリンでリズムを取る。
そういや、支店長の歌うところって…見たことないな?それだけ貴重だと言うことかな?
岡田はまた、一昔前の別な流行り曲を歌っていた。


二時間ちょうど歌ったところで…カラオケもお開きとなった。私はフラフラしながら自転車に跨り、家に向かおうとした。辺りに誰も居なくなったところを見計らい、なんと岡田が追いかけて来た。

『加地くん。…途中まで一緒に帰らないか?』

その問いかけに私が答える隙もくれずに、岡田は私を自転車の運転席から…後ろの荷台に押しやった。
そして、勢いよく自転車を走らせ始めたのだ。

『飛ばすぜ!加地くん‼』

※自転車のふたり乗りは、法律で禁じられております。

岡田は宣言通りに、それはそれは疾風の如く飛ばした。それでも岡田にしがみつくのは何だか気が引けて…自転車の荷台を必死で握っていた。周りの風景が風と共に後ろに流れて行く。
私は自転車のふたり乗りの後ろ側に乗るのは初めてで、とにかく新鮮で…密かに楽しかった。

最近ふと思う事…何故岡田は私にちょっかいを出すのだろうか?同じ新入行員だからだろうか?見た目地味としか言いようの無い私。そして激しくネガティブ思考。対して岡田は一般的に見ても、それなりにイケメンだと思う。しかもお祭り好きな明るい性格。どう見ても釣り合わない…!とか何とか考えている内に、とあるまぁまぁ家の近くの交差点に着いた。

『じゃあ、加地くん。…また月曜日にな?』

自転車を降りて歩いて行く岡田に、慌てて声をかける。

『岡田さんは…これからどう帰るのですか?』

岡田は後ろを向いたまま、

『…途中でタクシー拾うさ?じゃあな』

どんどん私から離れて行く岡田に精一杯の声で、

『…送ってくれて、ありがとうございました‼』

と叫んだ。岡田は薄闇の中で、軽く右手を上げた。

それは十一月も終わりに近い、週末の出来事。
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