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そしてふたりは………
お嬢様と栗栖の「お忍びデート」※
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『さぁ‼お嬢様!出かけましょう!』
と、部屋をノックして入ってくるなりそう私に言う栗栖。
『でも…今日は確か…カグラの当番の日では…?』
疑問を栗栖にぶつけるも、栗栖は、
『あぁ、その辺は大丈夫ですよ!ちゃんと了承を得てきましたから!』
その栗栖の得意満面な顔。
続けて栗栖は私に、とある袋を渡してくる。
???な顔をする私に、
『さぁ、それに着替えて下さい。今日は「お嬢様」としてではなく、「普通な女の子」としてオレとデートです!』
そう言う栗栖は、何処か照れ臭そうである。
『オレも隣の部屋で着替えて来ますから…』
と栗栖は、自分の着替えを持ち…隣の部屋に消えた。
1人になった私は、袋を開いてみる。
薄手のピンク色のセーターと、白地に赤のチェックのミニスカート、それにぺたんこめなピンクな靴と、白い靴下が入っていた。(+白いつば付きの帽子)
“な…なんて短いスカート⁉こんなん履いたら…私!お嫁にいけなくなる‼”
…と、お嬢様が思ったかは謎だが、割と直ぐに着替えていた。「普通な服」を身に纏ってみたかったのであろう。
お嬢様がそれらを全て装備したすぐあとに、ドアをノックした栗栖が現れた。
濃紺のジーンズに、黄色のパーカー、それに赤いキャップ。
私の着替えた姿を見て、栗栖はため息を1つ吐き、一言。
『良く似合ってますよ、お嬢様。さぁ、行きましょう!』
しきりに辺りをキョロキョロ見回しながら出かけようとする栗栖。…隠れるようにして。
私は不思議に思い、栗栖に訊ねる。
『何故、こんな隠れるようにして出かけなければならないのですか?…カグラに了承は得てるのでしょう?』
すると、栗栖はこう答えた。
『…さすがに、お嬢様をこんな格好させて出かけさせる訳にはいかないでしょう?だから見つかる訳には…』
この「普通な女の子の格好」は、栗栖独断の判断だと私は漸く気づいた。
無事、屋敷を脱出した私たちを待ち構えていたのは…車では無く、、、自転車⁉茂みに隠すように、置かれてある。
栗栖は笑顔で私に言う。
『後ろの荷台にお乗り下さい、お嬢様!』
見ればそこには、座布団のようなものがくくりつけられている。私は良く分からないけれど、その自転車の荷台に跨るようにして座った。
『では、出発しますよ!』
栗栖は自転車を勢い良く漕ぎだした。ものすごいスピードで風を切り、走るクリス号。
私はしっかりと栗栖の背中にしがみついて、振り落とされないよう必死であった。
『帽子飛ばされないように、気を付けてくださいね!』
途中、栗栖がなんか叫んでたけど…聞こえない。
※しつこいようですが!自転車の2人乗りは禁止されております‼
何時も出かける街に着き、私たちは自転車を降りる。チュウリンジョウ(?)というところに自転車を停めないとならないらしい。
そんな私を…栗栖がさり気に手を引き…導いたのは、何か分かんないけど!とてもうるさいところ‼
栗栖も大きな声で私に向かって叫ぶ。
『ここは!若者の集う場所‼“ゲームセンター”というところです‼』
そこは、私にとって…謎な物ばかりであった。
栗栖は、私の手を引いたまま、とある妙な箱の中に入った。そして、私に言う。
『お嬢様、これから…写真撮影ですよ?この機械に言われた通りに動いて下さいね』
こんな箱の中で…写真撮影??
『とりあえず…オレの真似をして下さい。お嬢様』
箱の中の…カメラの様な物に向かって視線を送り、
栗栖はなんか…ポーズを決めてる。慌てて私も真似をする。ピースをしたり…敬礼してみたり…抱き合ったり…(恥!)
最後に!栗栖はカメラに向かって…私の唇に、栗栖のそれを重ねて来た。
『⁉』
唐突過ぎて、また目を閉じるのも忘れていた私。
タイミング良く、シャッターがおりた。
『後は落書きして…プリントアウトを待つだけですよ』
栗栖は手慣れた様子でこれまで撮った写真に落書きを始める。私は、何をしたら良いのかサッパリであったので、見ているだけだった。
とにかく慌ただしくて、少しだけ疲れた私。
落書きが終わり、写真が出来上がり、取り出し口から、コトンと音を立てて落ちて来た。それを嬉しそうに取り上げる栗栖。
満足気にそれを眺めながら、続いて栗栖は言う。
『さて…ゲーセンの中に…何か気に入ったぬいぐるみとかあったら…オレ、取りますよ?』
なんか良く分かんないけど…透明な箱にギッシリとぬいぐるみが詰まってる。
『可愛い♡』
色々あって、私は悩んだ。悩みながらも…選んだ1つのクマの大きなぬいぐるみ。
栗栖は苦笑いしながら…
『これは…取れないかもな…』
そう言いつつ、そのぬいぐるみを取ろうとする栗栖の目は真剣そのものだ。
ぬいぐるみを掴むやつが、(※クレーン)ぬいぐるみから滑って獲得失敗する度に…栗栖は悔しそうな顔をする。
栗栖が幾ら投じたのか…既に分からない頃。
クマの耳が、上手いこと引っかかってくれて…私たちは希望の品を手に入れた!
『栗栖!!ありがとう♡』
そう私が言って、ぬいぐるみを抱きしめる。
「お嬢様が喜んでくれるなら…オレも嬉しいです」
栗栖が何か呟いてたが…騒音に掻き消された。
そのあとまた、例のハンバーガーの店で昼食を摂り、屋敷にこっそりと戻る…も、(私が一般人の衣服を纏ってた姿が)カグラに見つかってしまい、こっぴどく叱られる私たちであった。
でも私はとても充実した1日を過ごした。
今日…生まれて初めて思った。ありきたりな台詞だけれども…私…、此処の「お嬢様」として生きることが出来て、、、「栗栖」に出逢えて…本当に良かった‼
と、部屋をノックして入ってくるなりそう私に言う栗栖。
『でも…今日は確か…カグラの当番の日では…?』
疑問を栗栖にぶつけるも、栗栖は、
『あぁ、その辺は大丈夫ですよ!ちゃんと了承を得てきましたから!』
その栗栖の得意満面な顔。
続けて栗栖は私に、とある袋を渡してくる。
???な顔をする私に、
『さぁ、それに着替えて下さい。今日は「お嬢様」としてではなく、「普通な女の子」としてオレとデートです!』
そう言う栗栖は、何処か照れ臭そうである。
『オレも隣の部屋で着替えて来ますから…』
と栗栖は、自分の着替えを持ち…隣の部屋に消えた。
1人になった私は、袋を開いてみる。
薄手のピンク色のセーターと、白地に赤のチェックのミニスカート、それにぺたんこめなピンクな靴と、白い靴下が入っていた。(+白いつば付きの帽子)
“な…なんて短いスカート⁉こんなん履いたら…私!お嫁にいけなくなる‼”
…と、お嬢様が思ったかは謎だが、割と直ぐに着替えていた。「普通な服」を身に纏ってみたかったのであろう。
お嬢様がそれらを全て装備したすぐあとに、ドアをノックした栗栖が現れた。
濃紺のジーンズに、黄色のパーカー、それに赤いキャップ。
私の着替えた姿を見て、栗栖はため息を1つ吐き、一言。
『良く似合ってますよ、お嬢様。さぁ、行きましょう!』
しきりに辺りをキョロキョロ見回しながら出かけようとする栗栖。…隠れるようにして。
私は不思議に思い、栗栖に訊ねる。
『何故、こんな隠れるようにして出かけなければならないのですか?…カグラに了承は得てるのでしょう?』
すると、栗栖はこう答えた。
『…さすがに、お嬢様をこんな格好させて出かけさせる訳にはいかないでしょう?だから見つかる訳には…』
この「普通な女の子の格好」は、栗栖独断の判断だと私は漸く気づいた。
無事、屋敷を脱出した私たちを待ち構えていたのは…車では無く、、、自転車⁉茂みに隠すように、置かれてある。
栗栖は笑顔で私に言う。
『後ろの荷台にお乗り下さい、お嬢様!』
見ればそこには、座布団のようなものがくくりつけられている。私は良く分からないけれど、その自転車の荷台に跨るようにして座った。
『では、出発しますよ!』
栗栖は自転車を勢い良く漕ぎだした。ものすごいスピードで風を切り、走るクリス号。
私はしっかりと栗栖の背中にしがみついて、振り落とされないよう必死であった。
『帽子飛ばされないように、気を付けてくださいね!』
途中、栗栖がなんか叫んでたけど…聞こえない。
※しつこいようですが!自転車の2人乗りは禁止されております‼
何時も出かける街に着き、私たちは自転車を降りる。チュウリンジョウ(?)というところに自転車を停めないとならないらしい。
そんな私を…栗栖がさり気に手を引き…導いたのは、何か分かんないけど!とてもうるさいところ‼
栗栖も大きな声で私に向かって叫ぶ。
『ここは!若者の集う場所‼“ゲームセンター”というところです‼』
そこは、私にとって…謎な物ばかりであった。
栗栖は、私の手を引いたまま、とある妙な箱の中に入った。そして、私に言う。
『お嬢様、これから…写真撮影ですよ?この機械に言われた通りに動いて下さいね』
こんな箱の中で…写真撮影??
『とりあえず…オレの真似をして下さい。お嬢様』
箱の中の…カメラの様な物に向かって視線を送り、
栗栖はなんか…ポーズを決めてる。慌てて私も真似をする。ピースをしたり…敬礼してみたり…抱き合ったり…(恥!)
最後に!栗栖はカメラに向かって…私の唇に、栗栖のそれを重ねて来た。
『⁉』
唐突過ぎて、また目を閉じるのも忘れていた私。
タイミング良く、シャッターがおりた。
『後は落書きして…プリントアウトを待つだけですよ』
栗栖は手慣れた様子でこれまで撮った写真に落書きを始める。私は、何をしたら良いのかサッパリであったので、見ているだけだった。
とにかく慌ただしくて、少しだけ疲れた私。
落書きが終わり、写真が出来上がり、取り出し口から、コトンと音を立てて落ちて来た。それを嬉しそうに取り上げる栗栖。
満足気にそれを眺めながら、続いて栗栖は言う。
『さて…ゲーセンの中に…何か気に入ったぬいぐるみとかあったら…オレ、取りますよ?』
なんか良く分かんないけど…透明な箱にギッシリとぬいぐるみが詰まってる。
『可愛い♡』
色々あって、私は悩んだ。悩みながらも…選んだ1つのクマの大きなぬいぐるみ。
栗栖は苦笑いしながら…
『これは…取れないかもな…』
そう言いつつ、そのぬいぐるみを取ろうとする栗栖の目は真剣そのものだ。
ぬいぐるみを掴むやつが、(※クレーン)ぬいぐるみから滑って獲得失敗する度に…栗栖は悔しそうな顔をする。
栗栖が幾ら投じたのか…既に分からない頃。
クマの耳が、上手いこと引っかかってくれて…私たちは希望の品を手に入れた!
『栗栖!!ありがとう♡』
そう私が言って、ぬいぐるみを抱きしめる。
「お嬢様が喜んでくれるなら…オレも嬉しいです」
栗栖が何か呟いてたが…騒音に掻き消された。
そのあとまた、例のハンバーガーの店で昼食を摂り、屋敷にこっそりと戻る…も、(私が一般人の衣服を纏ってた姿が)カグラに見つかってしまい、こっぴどく叱られる私たちであった。
でも私はとても充実した1日を過ごした。
今日…生まれて初めて思った。ありきたりな台詞だけれども…私…、此処の「お嬢様」として生きることが出来て、、、「栗栖」に出逢えて…本当に良かった‼
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