移動販売の加地さん。

みのる

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第28話 おめでたいぞ!加地くん。※

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おぉ~い!岡田く~ん‼ナレーター岡田くんよぉ~い!
(作者みのるの呼びかけ)
……………………………本当に全く……あんの野郎……また!無断欠勤しおってからに………(ブツブツ)

銀行の仕事は!とっくに休みに突入しているのだが、「奴」にはこの作品のナレーターを務めるという重要な任務があるのだぞ⁉️ただでさえ今日の加地くんの仕事は夜真っ盛りな時刻であると言うのに……


『いらっしゃいませ~!冷えた身体とこころを温める、「甘酒」は如何ですか?』

夜の初詣客で賑わう山手寺やまのてでらでお客さんに甘酒を売る加地くん。………では無いな?背の高く、エラく姿勢のいい例の眼鏡男子が…どうやら今日も加地くんのヘルプに来てくれているようである。

『どうもすみません、何時も何時もお手伝いいただいて……暗い時間なので本当に助かります』

お客さんに甘酒をよそいながら加地くんは言う。

『良いのですよ、僕もどうせお暇を持て余していますし…何よりこんな時間に女性を外で働かせるのは僕のポリシーに反します故……』

学校給食の当番が被っているような…真っ白い帽子を装備して、更に白い割烹着を纏う眼鏡男子は何でも無い事のように言い、(何処かの誰かには吐けないような台詞をサラッと吐き)待っていたお客さんに甘酒を手渡す。

『お待たせ致しました。2つで200円です!』

『どうもありがとう♪♪』

仲睦まじそうな男女2人は寒さ故にか、互いに寄り添いながらろうそくの淡い光に導かれ行く。


此処山手寺では年末に境内に無数のろうそくの光を灯し、亡くなった人々の御霊を慰める。
多くの人々がその幻想的な灯火に惹かれ、集うのだ。

「綺麗……」

先程の男女の内、女性が光に魅せられ思わず呟く。

「沙羅ほどじゃねぇよ。(ポソリ)」

定番中の定番!の台詞を男性が照れながら女性に投げる。

『やだぁ♡樹ったら………♡♡♡』

2人のやりとりを何気に横目で見ながら、加地くんは密やかにため息をつくのであった。
(※加地くんもいっちょ前に「女性」である‼)


さて、時刻は早朝。

『眠い………眠いだァよ………(眠)』

おめでたい!初日の出饅頭(山のあい中から日の出を表現した和菓子)を売る加地くん………と眼鏡男子。+温かいお飲み物(渋いお茶である!)
(眠さMAXで)田舎弁丸出しな加地くんを懸命に励ましながら祝和菓子+渋いお茶セットを売り捌く眼鏡男子にも疲労の影を感じる。

が、あまりにも加地くんが眠そうな目をしているのに耐えれずに客足の引いた頃を見計らって眼鏡男子は遂に言葉をかけた。

『僕がお客さんの相手をしてるから……少しだけお眠りになっては如何ですか?………加地さん』

ところが、その加地くんを思っての眼鏡男子の声は……本人に届く事は無かったのだった。

何故ならば………

『Z……z………z………z………』

当の本人は既に夢の中♪♪
眼鏡男子は加地くんに自分の羽織って来たジャンパーを被せた。

とそこに!

『すみません!おめでたい和菓子セットを2つ下さい♪』

立っていたのは高校生位の女子………とその弟(?)

『ハイ!少々お待ち下さいませ!』

渋いお茶を紙コップに注ぎ、あまぁいおめでたい和菓子を取り急ぎ2つ用意。

『2つで1000円になります。』←少しだけ新年価格(笑)

如何にも新年らしい(?)雅な和菓子にこころがMAXな高校生女子。………と食べれたら何でも良さげなその弟(汗)

『美味しそう………♡♡♡』

その2人のお客さんを笑顔で送り出し、眼鏡男子は……
(今年は何か良い事が起こるの………かな?)
と考えていたとかいなかったとか。



※イメージ画像でござる!
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