干し草系OL、霊魂共存されましたけど復讐のチャンスですか?──幽霊と始めるリベンジライフ開幕!

鼻血の親分

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28話 ざまぁ監督OL、謝罪動画は業務の一環です!今日も冷静に詰めてます!

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「綾坂先輩……」

デスクに戻ると、新卒女子がオドオドしながら声をかけてきた。かつて絵梨花グループの一員だった彼女。無理もないけど、気まずそうな顔だ。いや、私だって気まずい。でも、彼女はまだ取り返しがつく。だからこそ、ここは大人になろう。

「色々あったけど……一からやり直しましょう。よろしくお願いします」

そう言って手を差し出すと、彼女は目に涙を浮かべながら頭を下げた。

「申し訳ありませんでした。私……」
「悪いのは池園さんと山本さん。あなたの立場じゃ、どうにもできなかったんでしょ?」
「はい……これからは、ちゃんとやります。どうか、ご指導よろしくお願いします!」

よし、言ったな?

「うんうん。私、仕事量めっちゃ多いから覚悟してね~」

お局の倍はアウトプット出してる自信あるから。新人研修の名を借りて、しっかり鍛え直してあげましょうか。

彼女の席が、私の隣に移ることになった。そのために、同期男子と後輩男子が重いデスクを運んできてくれる。

「ねぇ、綾坂さんも在宅勤務したいでしょ?シフト管理、俺がやることになったから、希望があれば遠慮なく言ってね」
「ありがとう。でも、しばらくは彼女の指導に集中したいから、大丈夫よ」
「そっか。それは仕方ないね。あ、あとさ、業務報告の資料作成、俺が担当することになったんだけど……最初は慣れないから、手伝ってもらえると助かる」
「もちろん。お任せあれです」

そんなの、お安い御用だ。
ていうか……なんか、じわじわ私の仕事が他の人に分散されてる気がして、正直、うれしい。

「綾坂さん、課長が……」

おっと。ついに呼ばれたか。

この場に、絵梨花とお局はいない。さっきから会議ブースに呼ばれていたから、タイミング的に私は結論を告げられる側ってわけね。

職場で管理しているビデオカメラを片手に、課長のところへ向かう。

「失礼します」

課長に手招きされ、隣の席に腰を下ろす。
向かい側には、困惑した表情の絵梨花と、すっかりしょんぼりしているお局の姿があった。

「綾坂さん。二人から話を聞き、事実関係を確認した。君の花を傷つけたり、PCを破壊するよう指示した件については、本人たちも認めている。ほかにもまだ余罪はありそうだが……まずは、人として謝らせたい」

ほう。
課長命令で謝罪させるのね。なんか、それって本質的にズレてる気もするけど──まぁいいわ。今はとやかく言うまい。

「承知しました。では、お約束通り動画を撮影します。証拠として、私のほうで部門機密として厳重に管理いたします。……はい、スタート」

課長が無言の視線でお局を促す。
彼女は目を逸らしながら、小声でぽつぽつと話しはじめた。

「あ、あの……このたびは綾坂さんの大切なお花に悪戯をしてしまい……本当に、申し訳ございませんでした。すべては池園さんの指示です。でも、実行したのは私なので……責任は、あります。……ご、ごめんなさい」

深々と頭を下げたお局に、かつての威圧感は微塵もない。むしろ、痛々しいほど萎縮していて、ちょっと気の毒になるほどだった。

「はい、了解です。他部門へ異動していただければ、こちらからの訴えは起こしません。それでは──次」

次に目を向けると、絵梨花はまだ納得のいかない顔をしていた。

「次っ」

私の声にようやく口を開くも、第一声からこれである。

「……ねぇ、謝るけどさぁ。御父様には内緒にしといてよ」

ピッ、と録画を停止。

「条件を満たさない場合は、池園さん単独で人事と労働組合に正式に申し立てを行います。諮問委員会での懲戒処分は免れませんけど?」
「だーかーらー、御父様にチクると話がややこしくなるでしょ?子会社に行ったって、元は役員なんだから。課長にも迷惑かかるよ?」

──うるさい女だ。

言葉にはしないけど、表情にはきっと出ていたと思う。

「課長、やはり先に専務へ連絡いたしますね」

そう言って私は立ち上がった。

「あっ、ちょ、ちょっと待って!わ、分かったから……ほら池園さん、まずは謝って!」

その直後、絵梨花の舌打ちがはっきりと聞こえた。

「あー、分かりましたってば。はい、始めますよ~」

反省の色ゼロ。そんな絵梨花の態度に、こっちの苛立ちもMAXに達する。私は無言でカメラの録画ボタンを押した。

「えー、このたびは色々と意地悪して申し訳ありませんでした~。えっと、職場に馴染もうとしない根暗なあなたにイライラして、つい集団でいじめちゃったのを認めま~す」

どう?って顔でこちらを見てくる彼女。その目には、未だに敵意が渦巻いていた。

……うん、全然納得できない。でも、これが彼女の限界なのかもしれない。私はカメラのスイッチを切り、深くひとつ、息を吐いた。

「課長、彼女らの異動はいつ頃になりますか?」
「フリーエージェント制度に基づいて、できるだけ早く手配する」
「よろしくお願いします。あと、私としては一緒の空間にいること自体がストレスなので、お二人には在宅勤務を基本にシフト調整するよう、リーダーに提案済みです。ご承知おきください」
「……いいのか?君も在宅希望だったろう?」

「新卒指導がありますので、私は出社を優先します。それに、このお二人に関しては──いてもいなくても業務に支障はありませんから」

「なっ……!」

絵梨花が、ついに悔しそうな表情を見せた。

──ああ、その顔よ。その顔が撮りたかったのよぉ。


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