干し草系OL、霊魂共存されましたけど復讐のチャンスですか?──幽霊と始めるリベンジライフ開幕!

鼻血の親分

文字の大きさ
37 / 37

37話 元干し草OL、恋愛偏差値ゼロでも霊に背中を押されました──恋の始まりはオカルトすぎですが。

しおりを挟む
「あ~~、しんどっ!」

長時間にわたる警察の事情聴取を終えて、私はぐったり。まさかここまで拘束されるとは……いや、そりゃそうか。門前部長を告発した経緯とか、証拠の入手ルートとか、なぜ彼があっさり罪を認めたのかとか──警察からすれば、ナゾだらけよね。

本当は「被害者の霊魂が私に宿って犯人を追い詰めました」って言いたいけど、もちろん口が裂けてもそんなことは言えない。東薔薇主任のデータを手に入れたおかげで話の筋は通ったけど、門前部長が「ララ様の魂が……」なんて供述しないか、心配で胃がキリキリする。

同時進行で、会社でも人事労政グループによる尋問が進められていたらしく、対象者には東薔薇主任や──翔様まで含まれていたようだ。

……その翔様に、私はちゃんと告白しようと決めていた。ララ様から背中を押された今こそ、勇気を出す時。

というわけで、私は労働組合会館のエントランスで翔様を待っていた。

「花さん?」

仕事終わりの翔様は、疲れのカケラも見せず、相変わらず清涼感100%の微笑みを浮かべていた。爽やか成分が人類の平均を遥かに超えている。

それに比べて私は……疲れと緊張で顔がひきつっていたに違いない。でも!いま大事なのは顔面じゃない、心意気だ!

落ち着け、綾坂花。今この瞬間が、人生最大の分岐点よ──!

「翔さん、お疲れさまです」
「花さんこそ、連日の尋問でお疲れでしょう。今日は場所が労働組合会館で申し訳ないけど、新しくオープンしたレストランに招待したかったんだ」
「ええ、楽しみにしてました!」

──翔様と一緒なら、焼きそばパンでもごちそうです。うふふ。
……なんて、脳内で乙女モードが勝手に暴走しそうになるのを、ぎゅっと制御。

かつての地味な社食スペースは見違えるほどオシャレに生まれ変わっていた。え、ここ労館?観葉植物まで配置されてるし、間接照明が仕事してるんですけど。

これなら会議後のランチミーティングにぴったり。いや、むしろ仕事せずに来たい。明日あたり、女子たちを誘ってリピ決定だな……って、今日はその前に、大事なミッションがあるのよ私!

食事をしながら、お互いに警察や人事からどんなことを聞かれたのかをぽつぽつ共有。……ええと、なんか業務報告会になってない?ロマンチックとは真逆方向ですけど。

これはもう、人目の多い場所での告白は無理だと、早々に判断を下す私。でも、ここで退いたら──ララ様に背中どころか腰も蹴られる。というわけで、意を決して切り出した。

「あの、翔さん。ちょっと……大事なお話があるんです。少しだけ、お時間いただけませんか?」
「うん。じゃあ、帰り道の公園で話そうか?」
「はいっ!」

(やった!ミッション、進行中!)

レストランを出たあと、さっきまでの会話力はどこへやら。緊張と恥ずかしさで、口数は激減。足取りだけは妙に早くなる。

……まずい。完全に挙動不審だ。
何を言うか、どうやって伝えるか、頭の中は真っ白。いや、むしろ真っピンク。

公園まであと数メートル。いや、もうほぼ到着してる!
よし、行け!綾坂花!干し草時代に別れを告げるのよ!
今日こそ、翔様に──告白するのよッ!

「え、えーと……実は、お話があって──」
「もしかして、姉の霊魂のことですか?」
「えっ!?な、なんでそれを……」

──ララ様のこと、翔様が知ってる!?
まさか社内チャットでもれてたとか?いやそれはない!

「やっぱり……あれは本当に起きた出来事だったんですね」
「し、翔さん……どうしてそれを?」
「一昨日の夜、夢に姉が出てきたんです。自分の死の経緯、そして花さんの体を借りて、犯人を追い詰めたことを話してくれて……最初は信じられなかったけど、あまりにもリアルで」
「一昨日って……ララ様の魂が抜けていった日です」

──そうか。そのあと、翔様のところに。
ララ様、最後にちゃんと弟に会いに行ったんだね……

「花さん。姉はあなたに心から感謝していましたよ」
「いえ、私の方こそ……どれだけ助けてもらったか分かりません」
「それと……実は僕からも、もうひとつ大事な話が」
「は、はい。なんでしょう?」
「花さんのことが……大好きです。年下ですが、僕と付き合っていただけませんか?」
「え、ええっ!?そ、そっちから言うなんて……私が言うつもりだったのにー!」

──いやでも待って、告白されてるんだから今は素直に喜ぶべき!?
頭の中でぐるぐるツッコミ合戦してると、翔様が照れ笑いで言った。

「ひと段落ついたら、ちゃんと伝えようと決めてたんです。姉にも、夢の中で『あんたもちゃんと告白しなさいよ』って言われてて」
「わ、私も!ララ様に『さっさと告白しなさい』って言われてました!」
「……ってことは、タイミング被った感じですね」
「えへへ、ですね」

思わず見つめ合って、ふっと笑みがこぼれる。
そして私たちは、自然と手を繋いで駅へ向かって歩き出した。

「私も……翔さんのこと、大好きです」

ララ様がつないでくれたご縁。
今度はこの手を、私がしっかり離さずに握りしめていく。

──ララ様。私に宿ってくれて、本当にありがとうございました。

どうかこれからは、空の上から私たちを見守っていてくださいね。




      ── END??? ──
しおりを挟む
感想 28

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(28件)

黒幸
2021.08.29 黒幸

花さんが部長に憧れを抱いていたから、ララ様は敢えて、口を噤んでいたんですね。
しかし、思っていた以上に部長が外道でしたか(´・ω・`)
これは仕事人に仕事してもらうレベルの悪ですが対決するんですね。

隠しているだけで本性が下劣な部長が花さんに優しかったのも裏があったのかなと勘繰ってしまいますね。
何か、下心があったのかな、今までは恋という色眼鏡で見えてなかっただけで。

2021.08.29 鼻血の親分

部長に自首してほしくて説得を試みるけど、ちょっと無謀でしたかね。危険な雰囲気になりそうです!(๑o̴̶̷̥᷅﹏o̴̶̷̥᷅๑)

解除
スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

2021.08.28 鼻血の親分

SparkNorkx様
お気に入り登録ありがとうございます。残り数話で完結ですけど、最後まで暖かくお見守りください〜(* ᴗ ᴗ)⁾⁾

解除
黒幸
2021.08.23 黒幸

お局さんが異動した場所も意外でしたがそれ以上にララ様を殺した犯人がまさかですね(;´・ω・)
しかし、自白させて自主させると言ってもとても危なそうですよね。
何しろ、事情はどうあれ人を殺した人間ですから、どういう行動に出るのか、分からないですし。
ともあれ、花さんがアクティブになって、よかったです。
自分のことだけでなく、ララ様のことを解決したいと思うようになるなんて、すごい成長しましたね。

2021.08.24 鼻血の親分

殺人の証拠じゃないけど、たった一つだけララ様は手がかりを残していたようです。先ずはそれを巡って一悶着、そして殺人犯に無鉄砲ながら対峙していく花はすごく強くなりました。くろいゆき様からお褒め頂いて嬉しいです〜( ´͈ ᵕ `͈ )

解除

あなたにおすすめの小説

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~

阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」 婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。 けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。 セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。 「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。 ――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

今さら泣きついても遅いので、どうかお静かに。

阿里
恋愛
「平民のくせに」「トロくて邪魔だ」──そう言われ続けてきた王宮の雑用係。地味で目立たない私のことなんて、誰も気にかけなかった。 特に伯爵令嬢のルナは、私の幸せを邪魔することばかり考えていた。 けれど、ある夜、怪我をした青年を助けたことで、私の運命は大きく動き出す。 彼の正体は、なんとこの国の若き国王陛下! 「君は私の光だ」と、陛下は私を誰よりも大切にしてくれる。 私を虐げ、利用した貴族たちは、今、悔し涙を流している。

【完結】私が愛されるのを見ていなさい

芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定) 公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。 絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。 ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。 完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。  立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。