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冒険のレシピ

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「どうした?サイ。」


船長が手に力を入れながら聞いてくる。
いや。だから、それはやめて下さいって。言いますから。


「えっと。これ。」
「…ビンギス帝国の文字じゃねえな。」
「だねえ。こんなの見たことないよ。もしかして、アサイー帝の故郷の文字かな?暗号みたいにして宰相とのやり取りに使ってたみたいだから。」


俺の驚きは知らない文字に対するものだと受け取られたようだ。
俺から巻物を受け取ったオルはしげしげと眺めていたが、首を横に振って無理だとあきらめたらしい。


シチューのレシピってのは黙っておこう。
俺が読めるなんてわかったら、どんな面倒なことがあるかわかんねえし。


「でも、これでこのカバンが本物だって証明になると思うよ。専門のとこに見せる必要はあるけど。」
「成る程な。おし。他にないか探せ。だが、ここにこれだけいても仕方ねえな。半分は外だ。サイは…何か適当に見つけろ。」


船長。俺への指令だけテキトーですね。
まあ、これだけ偶然とはいえ、次々見つけてたら指示することもないかもしんねえけど。


「そうよねえ。サイちゃぁん。お願いねぇ。」
「うんうん。ここはサイと合ってるとこみたいだし、頑張って。」
「んじゃ、俺は外で探しますか。サイ。後金目のもん見つけてくれよ!」


副船長にオル、ヤジスさんが口ぐちに言う。
他の皆の顔も期待してるように見える。


いやいや。マジで全部偶然ですから。
いらんプレッシャー与えんで下さいよ。


「…努力します。」


精一杯の返事をして、部屋を探し始める。
つっても、学習机があるくらいで、壁に埋め込み式の棚は空だしサイドテーブルの上には空の花びんが…。


ん?花びんの下って、水色の石だ。
しかもランドセルの模様つき。これってコースター替わりってことか?


「これって、下が石ですね。こういうのはどうなんですか?」
「これはクズ石って言われるやつだな。花びんの底とぴったり同じ大きさか。よくわかったな。だが、この模様は…。」
「あ~。これ。宰相のマークだね。外せれば、これだけで美術品の価値があるんだけど…。」


あ~。はめ込み式だもんな。
しかも不死身の石にはまってる。無理だな。


「取れねえな。」
「残念だけどね。でも、こういうのが結構あるかもね。丁寧に調べてみようか。ありがとうサイ。」
「そっか。はめ込み式じゃないの探さないといけないんだな。わかった。」


オルに頷いて、続いて探すことにする。
すると、天井を睨んでいる船長の姿が目に入る。


何だ?天井に何が…って、ビンギス帝国の紋章かあ。
しかも色とりどりの石で飾られている。


すげえなあ。こんなん作れるなんて、さすがチート。
ま、言葉で苦労したってのには同情するけどな。
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