26 / 197
第3章:王都:キヤマクラ
第3話:武術大会
しおりを挟む
「とかいって、その神聖なる闘技場に唾を吐いてるくせに。あんたなんか秒殺してあげるわ」
「田舎侍がしゃしゃり出てくる場所じゃねえんだよっ! 大人しく、うちらの傭兵団の名を売るための肥やしになれってんだっ!」
美少女であるエーリカに対して、口汚く罵るのは傭兵団:東風のカマイタチ所属のリューショー何某という男であった。なぜ、何某かと言えば、エーリカが宣言に近しい形でリューショーなる男を1分もかけずに圧倒してしまったからだ。秒殺とまではいかなかったが、エーリカはこの結果に満足し、さらにはリューショーなる男のフルネームを記憶の彼方へと追いやってしまったからだ。
観衆たちはいよいよもってして、エーリカを褒めたたえ、賛辞を惜しみなく与えるのであった。エーリカはこの後も順調に勝ち進む。さらにこの武術大会では賭けが行われており、エーリカに賭けた観衆たちはおおいにエーリカの勝利を祝うというまさに持ちつ持たれつの関係へと発展していく。
「お疲れ様です。エーリカ殿。ここまで活躍すれば、王であるイソロク=ホバート様の耳にも、エーリカ殿の名前は届いていることでしょう。そろそろ、この辺りでおいとましますか?」
「いいえ。どうせなら、この武術大会でてっぺんを取ってみたくなっちゃった。クロウリーは反対?」
エーリカの問いかけにフルフルと頭を左右に振ってみせるクロウリーであった。どうせ止めたところで優勝するまで出場する気は変わらないのだろうと思ってしまうクロウリーである。その証拠にエーリカはニカッ! と気持ち良い笑顔をクロウリーに見せつけた。
この円形闘技場で行なわれる武術大会は多岐に渡っていた。1vs1での純粋な戦いだけでなく、変則的な3vs3。捕縛していた魔物vs魔物狩人。さらには戦車vs歩兵10人といった、まさにフェスティバルと呼んでも良い催しモノとなっていた。いくつかある部門の中で、エーリカは1vs1でさらには武器使用可の武術大会で勝ち進んでいた。
武術大会の日程が進み、ついに準決勝から決勝まで一気に行う日がやってくることになる。総当たり戦を勝ち進み、さらにはトーナメント戦も勝ち進んだエーリカの自信は否応なく高まることになる。この2年間、いや、10年間と言っても良い長い年月がエーリカの個人的武勇を高めていた。その成果が目に見える形となったことで、エーリカの鼻はどんどん伸びていくのは当たり前と言えば当たり前であった。
「ホバート王国って、もしかして弱兵ばっかりだったり?」
「おいおい。痛い目を見るフラグを自ら立ててんじゃねえよ。しっかし、そうは言っても、これじゃあ、エーリカが調子こくのもうなずけるな。いくら余所の傭兵団から首魁が出張ってきてないからと言っても、ホバート王国の未来を憂うレベルでエーリカが快勝しすぎだわ」
総当たり戦のグループ分けで、エーリカが上手く難敵が居ないグループに入れただけだろうと、タケルは思い込んでいた。しかしながら、エーリカがその総当たり戦で無類の強さを見せた。さらにはトーナメント戦に移っても、決着までの時間が多少伸びただけにすぎない。エーリカは相手から大きなダメージをほとんどもらわずに、準決勝まで駒を進めたのだ。
エーリカの剣の腕前は彼女の師匠であるアイス=キノレが太鼓判を押すレベルにまで達していた。しかしながら、アイス=キノレの見立てでは、エーリカの剣の才能は【達人】と呼べるレベルには決して達することは無いだろうとのことであった。真の強者を前にした時、エーリカがどんな風に負けるのか? そして、どんな風に自分を奮い立たせるのか? という興味に移り変わる段階になっていた。
アイス=キノレは準決勝のこの時点でわかっていた。決して、現段階のエーリカが逆立ちしても勝てない相手が決勝戦で現れることを。そして、それに気づいていたのはアイス=キノレだけではない。総当たり戦を終えたところで、十分だとのたまっていたエーリカの軍師:クロウリーもエーリカの快進撃はトーナメント戦のどこかであろうと。
それほどまでの強者が、この武術大会にこっそり参戦していたのである。しかもその強者は終始、左手に持つ大きな徳利から酒をあおっていたのだ。ヒック、ウィィ、ヒック! と泥酔しながらも、総当たり戦とトーナメント戦を勝ち進んでいる異様な存在が確かにそこに居たのだ。
そんなアイス=キノレとクロウリー=ムーンライトの思惑は一旦置いておこう。エーリカの準決勝の相手は、軽装備のなよっとした美少年であった。エーリカはなんでこんな青びょうたんが準決勝まで勝ち進んできたのかわからなかった。しかし、なよっとした風貌からは考えられないスピードで、直刀による突きをお見舞いされるエーリカであった。
「っつ! さすがは準決勝まで勝ちのぼってきただけはあるわっ! アイス師匠がニヤニヤしてた理由がわかった!」
「ぼくはキレイなお姉さんを痛めつける趣味は持ち合わせていません。降参してくださいますか?」
「うっざ! これだから美少年って嫌いなのよねっ! 女は顔さえ良ければコロッと転がせると思っているのがあんたの糸目の奥からありありと感じるわっ!」
エーリカは何故かイケメンとか美少年といった類の男が嫌いであった。彼らが醸し出す雰囲気がそうさせているとしか言いようが無いのだ。ブサメンはブサメンで申し開きが出来ないほど、劣等感からの女性への侮蔑心を持っている。だが、それが可愛いと思えるほどに、イケメンや美少年からは『優越感からの女性への侮蔑』を感じたのだ。
「タケルお兄ちゃんが1万倍マシだと思えるくらいに、あんたからは怖気を感じるわっ!」
「おや? ぼくのこの顔よりも1万倍もキレイな顔をした男性ですか?」
「ちがうわよっ! 性格の話よっ! ああ、いらつくっ!」
エーリカはこのなよっとした美少年に終始、翻弄されまくる。アイス師匠は剣の道には越えられぬ壁がはっきりと存在していると言われた。それがこの相手なのだろうと思い込んでいるエーリカであった。それゆえにエーリカは感情を爆発させてでも、このなよっとした美少年を叩き伏せてやろうと思うのであった。
しかしながら、エーリカが振るう木刀は、なよっとした美少年にかすりもしなかった。さらには当てつけるようにこの美少年はエーリカが身に纏う防具に直刀の切っ先を当て続けてみせる。まるでいつでも防具の隙間から致命傷を入れれるとでも言いたげな剣術を見せつけてくる美少年であった。
「もう怒った! 手加減はここまでよっ!」
エーリカはそう雄叫びをあげると、木刀の腹を左の腰へとあてがう。構えとしては居合斬りのそれである。エーリカはじりじりとすり足でなよっとした美少年との間合いを詰めていく。美少年はやれやれ……と頭を左右に軽く振る。その後、べろりと直刀の腹を紅い舌で舐め上げる。
(気の強いボーイッシュなお姉さんは大好物ですぅ……。是非とも、ベッドの上に押し倒してやりたいのですぅ……。泣いて詫びても、ぼくのおちんこさんをその膣に突きこんでやるのですぅ……)
「田舎侍がしゃしゃり出てくる場所じゃねえんだよっ! 大人しく、うちらの傭兵団の名を売るための肥やしになれってんだっ!」
美少女であるエーリカに対して、口汚く罵るのは傭兵団:東風のカマイタチ所属のリューショー何某という男であった。なぜ、何某かと言えば、エーリカが宣言に近しい形でリューショーなる男を1分もかけずに圧倒してしまったからだ。秒殺とまではいかなかったが、エーリカはこの結果に満足し、さらにはリューショーなる男のフルネームを記憶の彼方へと追いやってしまったからだ。
観衆たちはいよいよもってして、エーリカを褒めたたえ、賛辞を惜しみなく与えるのであった。エーリカはこの後も順調に勝ち進む。さらにこの武術大会では賭けが行われており、エーリカに賭けた観衆たちはおおいにエーリカの勝利を祝うというまさに持ちつ持たれつの関係へと発展していく。
「お疲れ様です。エーリカ殿。ここまで活躍すれば、王であるイソロク=ホバート様の耳にも、エーリカ殿の名前は届いていることでしょう。そろそろ、この辺りでおいとましますか?」
「いいえ。どうせなら、この武術大会でてっぺんを取ってみたくなっちゃった。クロウリーは反対?」
エーリカの問いかけにフルフルと頭を左右に振ってみせるクロウリーであった。どうせ止めたところで優勝するまで出場する気は変わらないのだろうと思ってしまうクロウリーである。その証拠にエーリカはニカッ! と気持ち良い笑顔をクロウリーに見せつけた。
この円形闘技場で行なわれる武術大会は多岐に渡っていた。1vs1での純粋な戦いだけでなく、変則的な3vs3。捕縛していた魔物vs魔物狩人。さらには戦車vs歩兵10人といった、まさにフェスティバルと呼んでも良い催しモノとなっていた。いくつかある部門の中で、エーリカは1vs1でさらには武器使用可の武術大会で勝ち進んでいた。
武術大会の日程が進み、ついに準決勝から決勝まで一気に行う日がやってくることになる。総当たり戦を勝ち進み、さらにはトーナメント戦も勝ち進んだエーリカの自信は否応なく高まることになる。この2年間、いや、10年間と言っても良い長い年月がエーリカの個人的武勇を高めていた。その成果が目に見える形となったことで、エーリカの鼻はどんどん伸びていくのは当たり前と言えば当たり前であった。
「ホバート王国って、もしかして弱兵ばっかりだったり?」
「おいおい。痛い目を見るフラグを自ら立ててんじゃねえよ。しっかし、そうは言っても、これじゃあ、エーリカが調子こくのもうなずけるな。いくら余所の傭兵団から首魁が出張ってきてないからと言っても、ホバート王国の未来を憂うレベルでエーリカが快勝しすぎだわ」
総当たり戦のグループ分けで、エーリカが上手く難敵が居ないグループに入れただけだろうと、タケルは思い込んでいた。しかしながら、エーリカがその総当たり戦で無類の強さを見せた。さらにはトーナメント戦に移っても、決着までの時間が多少伸びただけにすぎない。エーリカは相手から大きなダメージをほとんどもらわずに、準決勝まで駒を進めたのだ。
エーリカの剣の腕前は彼女の師匠であるアイス=キノレが太鼓判を押すレベルにまで達していた。しかしながら、アイス=キノレの見立てでは、エーリカの剣の才能は【達人】と呼べるレベルには決して達することは無いだろうとのことであった。真の強者を前にした時、エーリカがどんな風に負けるのか? そして、どんな風に自分を奮い立たせるのか? という興味に移り変わる段階になっていた。
アイス=キノレは準決勝のこの時点でわかっていた。決して、現段階のエーリカが逆立ちしても勝てない相手が決勝戦で現れることを。そして、それに気づいていたのはアイス=キノレだけではない。総当たり戦を終えたところで、十分だとのたまっていたエーリカの軍師:クロウリーもエーリカの快進撃はトーナメント戦のどこかであろうと。
それほどまでの強者が、この武術大会にこっそり参戦していたのである。しかもその強者は終始、左手に持つ大きな徳利から酒をあおっていたのだ。ヒック、ウィィ、ヒック! と泥酔しながらも、総当たり戦とトーナメント戦を勝ち進んでいる異様な存在が確かにそこに居たのだ。
そんなアイス=キノレとクロウリー=ムーンライトの思惑は一旦置いておこう。エーリカの準決勝の相手は、軽装備のなよっとした美少年であった。エーリカはなんでこんな青びょうたんが準決勝まで勝ち進んできたのかわからなかった。しかし、なよっとした風貌からは考えられないスピードで、直刀による突きをお見舞いされるエーリカであった。
「っつ! さすがは準決勝まで勝ちのぼってきただけはあるわっ! アイス師匠がニヤニヤしてた理由がわかった!」
「ぼくはキレイなお姉さんを痛めつける趣味は持ち合わせていません。降参してくださいますか?」
「うっざ! これだから美少年って嫌いなのよねっ! 女は顔さえ良ければコロッと転がせると思っているのがあんたの糸目の奥からありありと感じるわっ!」
エーリカは何故かイケメンとか美少年といった類の男が嫌いであった。彼らが醸し出す雰囲気がそうさせているとしか言いようが無いのだ。ブサメンはブサメンで申し開きが出来ないほど、劣等感からの女性への侮蔑心を持っている。だが、それが可愛いと思えるほどに、イケメンや美少年からは『優越感からの女性への侮蔑』を感じたのだ。
「タケルお兄ちゃんが1万倍マシだと思えるくらいに、あんたからは怖気を感じるわっ!」
「おや? ぼくのこの顔よりも1万倍もキレイな顔をした男性ですか?」
「ちがうわよっ! 性格の話よっ! ああ、いらつくっ!」
エーリカはこのなよっとした美少年に終始、翻弄されまくる。アイス師匠は剣の道には越えられぬ壁がはっきりと存在していると言われた。それがこの相手なのだろうと思い込んでいるエーリカであった。それゆえにエーリカは感情を爆発させてでも、このなよっとした美少年を叩き伏せてやろうと思うのであった。
しかしながら、エーリカが振るう木刀は、なよっとした美少年にかすりもしなかった。さらには当てつけるようにこの美少年はエーリカが身に纏う防具に直刀の切っ先を当て続けてみせる。まるでいつでも防具の隙間から致命傷を入れれるとでも言いたげな剣術を見せつけてくる美少年であった。
「もう怒った! 手加減はここまでよっ!」
エーリカはそう雄叫びをあげると、木刀の腹を左の腰へとあてがう。構えとしては居合斬りのそれである。エーリカはじりじりとすり足でなよっとした美少年との間合いを詰めていく。美少年はやれやれ……と頭を左右に軽く振る。その後、べろりと直刀の腹を紅い舌で舐め上げる。
(気の強いボーイッシュなお姉さんは大好物ですぅ……。是非とも、ベッドの上に押し倒してやりたいのですぅ……。泣いて詫びても、ぼくのおちんこさんをその膣に突きこんでやるのですぅ……)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
19
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる