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第5章:首輪と鎖
第9話:過去から現在
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コープ=フルールは1時間で戻ってくると言っていたが、ついにその日はロック=イートとリリー=フルールが居る部屋には戻ってこなかった。リリー=フルールはロック=イートが過去に付き合っていた女性が居ないのかどうかを根掘り葉掘り聞きだし、ロック=イートは何も考えずに姉弟子であるサラ=ローランと結婚しそうになっていたことを彼女に話してしまう。
そして、ロック=イートはリリー=フルールに思いっ切り平手打ちを喰らい、枕を取り上げられ、それでバシバシと殴られる。そしてロック=イートは勢い余って、ベッドから転げ落ちてしまうが、リリー=フルールはふんっ! ざまあないですわ! と告げて、その部屋から出ていってしまうのであった。ロック=イートは俺が何か悪いことをしたっけ? と不思議がるところが救いようのない事実として残るのみであった。しかしながら、リリー=フルールは数時間後には機嫌を直し、ロック=イートのために部屋へ食事を運びこんできて、二人仲良く夕飯を楽しむこととなる。喧嘩するほど仲が良いとも言える二人の間柄に少しづつでもなろうとリリー=フルールは思い直したのである。
そもそも、こういうのは聞く方も悪いのだ。ニンゲン、生きていれば、何かしらの人生ドラマに巻き込まれるモノだ。ロック=イートは現在23歳であり、そういうことが1回くらいあってもおかしくないのである。リリー=フルールは怒りによって真っ赤に染まった矛を収めるためにも、一度、屋敷にあるヒノキ風呂に身体をゆっくりと沈めて、気を落ち着かせる。そして、ロック=イートのほどの男前なら、言い寄る女性も居るわよねということで、自分を納得させるのであった。
その後、夕食を楽しみつつ、ロック=イートの姉弟子のことにはなるべく触れないように注意しながら、リリー=フルールはロック=イートがフルール家の使用人になるまでの道のりについて、徹底して聞く側に回ることとなる。
彼女はロック=イートが10歳になった頃に、生まれ故郷:ウッドランドに魔物が出現したことを告げられる。そして、魔物に襲われた両親が大怪我を負い、ロック=イートの世話を出来なくなり、仕方なく拳聖:キョーコ=モトカードにロック=イートを委ねたことを知ることとなるリリー=フルールであった。
「そう……なの。ロックのお父様とお母さまは、今はどうしていらっしゃるの?」
「うーーーん。実のところ、よくわからないんだ。タイガー・ホールに居た頃はまだ伝書鳩とかを使って、手紙のやり取りをしていたんだけど、タイガー・ホールから監獄:東の果てに移送されてからは、それっきりなんだ……」
「それはいけませんわっ! ロックが元気にやっていることをご両親に一刻も早く、伝えるべきなのですわっ! わたくしがお父様と相談して、ロックのご両親と連絡が取れるように手配しておきますわね?」
リリー=フルールがわたくしに任せておいてとばかりに無い胸を張る。ロック=イートはありがたい反面、今は奴隷とあまり変わりない使用人の地位に堕ちていることを両親には知られたくない気持ちも半分あった。だが、それでも自分は生きていることを伝えておくことは必要だろうということで、そこはリリー=フルールに頼ることにするロック=イートであった。
そして、次にタイガー・ホールではどういうことをしていたかの話に移る。ロック=イートは兄弟子:コタロー=サルガミと姉弟子:サラ=ローラン、そして拳聖:キョーコ=モトカードに朝から晩までこってりとしごかれていたことを告げる。リリー=フルールはサラ=ローランの名前が出るたびに、眉根をひそめていたが、ロック=イートはもう戻らぬ情景を偲ぶかのように感情を込めて話すモノだから、段々とその名前が出てもあまり気にならなくなり、それよりもロック=イートが不憫に思えてしょうがないリリー=フルールであった。
いくら強烈にしごかれていたとしても、ロック=イートがその日々を過ごすことにより、今の立派な男へと成長するための糧となっていたことは、リリー=フルールにも容易に想像できた。タイガー・ホールは草木が伸び放題で、まともに地面を歩くことが出来ないから、木々の枝を飛んで渡って移動するような猿よろしくなことをしていることに驚きを隠せない彼女である。リリー=フルールは一度、タイガー・ホールがどんな場所なのか実際にその眼で確かめたいとも思ってしまう。そして、ロック=イートにお姫様抱っこされながら、そのタイガー・ホールを自由に移動させてもらいたいという気持ちにもなってしまう。
しかし、その願いが叶わないことも彼女は承知している。タイガー・ホールが謎の集団に襲撃されて、ロック=イートは囚われの身となり、監獄:東の果てに収容されてしまった。ロック=イートはセイ=レ・カンコーからあの地は閉鎖されてしまったと伝え聞いている。彼は自由の身になったら、一度、タイガー・ホールに出向き、あの地を再び戦士たちがお互いを練磨しあう地として復活させるべきなのだろうかとリリー=フルールに問いかける。
「ロックがそうしたいと思うなら、そうすべきだと思いますわ」
「そう……なのかな。でも、俺はまだまだ半人前なんだ。『世界最強の生物』になってからじゃないと、俺はあの地に戻ってはいけない気がしてたまらないんだ」
ロック=イートのこの発言を受けて、リリー=フルールは思い知らされることとなる。ロック=イートは『夢追い人』なのだ。自分を育ててくれたタイガー・ホールへの恩はあれども、それよりもまずは自分の夢を叶えることが先決ではないのか? とリリー=フルールに問うているのだ。リリー=フルールは答えに詰まることとなる。ロック=イートの夢はとてもじゃないが叶うかどうか疑わしいモノだ。
今現在、世界最強の生物は誰かと問われれば、間違いなく『アンゴルモア大王』の名が浮かび上がる。ロック=イートの夢は主アンゴルモア大王を打ち倒した時に叶うことになるのだ。この世界の根幹を約1200年前に造り上げ、さらにこの1200年間、老いることも無く、朽ち果てることも無く、人類のトップに君臨し続けている存在なのだ。その存在に闘いを挑もうとすること自体が間違っている気がして堪らないリリー=フルールである。だが、彼女はロック=イートの右手首辺りに自分の両手を添えて、こう告げる。
「ロックならば、きっと『世界最強の生物』になる夢を叶えられるのですわ。だって、貴方にはわたくしがいるんですものっ。わたくしがお父様の力を使って、貴方が主アンゴルモア大王に謁見できるように手配しますわよっ!」
そして、ロック=イートはリリー=フルールに思いっ切り平手打ちを喰らい、枕を取り上げられ、それでバシバシと殴られる。そしてロック=イートは勢い余って、ベッドから転げ落ちてしまうが、リリー=フルールはふんっ! ざまあないですわ! と告げて、その部屋から出ていってしまうのであった。ロック=イートは俺が何か悪いことをしたっけ? と不思議がるところが救いようのない事実として残るのみであった。しかしながら、リリー=フルールは数時間後には機嫌を直し、ロック=イートのために部屋へ食事を運びこんできて、二人仲良く夕飯を楽しむこととなる。喧嘩するほど仲が良いとも言える二人の間柄に少しづつでもなろうとリリー=フルールは思い直したのである。
そもそも、こういうのは聞く方も悪いのだ。ニンゲン、生きていれば、何かしらの人生ドラマに巻き込まれるモノだ。ロック=イートは現在23歳であり、そういうことが1回くらいあってもおかしくないのである。リリー=フルールは怒りによって真っ赤に染まった矛を収めるためにも、一度、屋敷にあるヒノキ風呂に身体をゆっくりと沈めて、気を落ち着かせる。そして、ロック=イートのほどの男前なら、言い寄る女性も居るわよねということで、自分を納得させるのであった。
その後、夕食を楽しみつつ、ロック=イートの姉弟子のことにはなるべく触れないように注意しながら、リリー=フルールはロック=イートがフルール家の使用人になるまでの道のりについて、徹底して聞く側に回ることとなる。
彼女はロック=イートが10歳になった頃に、生まれ故郷:ウッドランドに魔物が出現したことを告げられる。そして、魔物に襲われた両親が大怪我を負い、ロック=イートの世話を出来なくなり、仕方なく拳聖:キョーコ=モトカードにロック=イートを委ねたことを知ることとなるリリー=フルールであった。
「そう……なの。ロックのお父様とお母さまは、今はどうしていらっしゃるの?」
「うーーーん。実のところ、よくわからないんだ。タイガー・ホールに居た頃はまだ伝書鳩とかを使って、手紙のやり取りをしていたんだけど、タイガー・ホールから監獄:東の果てに移送されてからは、それっきりなんだ……」
「それはいけませんわっ! ロックが元気にやっていることをご両親に一刻も早く、伝えるべきなのですわっ! わたくしがお父様と相談して、ロックのご両親と連絡が取れるように手配しておきますわね?」
リリー=フルールがわたくしに任せておいてとばかりに無い胸を張る。ロック=イートはありがたい反面、今は奴隷とあまり変わりない使用人の地位に堕ちていることを両親には知られたくない気持ちも半分あった。だが、それでも自分は生きていることを伝えておくことは必要だろうということで、そこはリリー=フルールに頼ることにするロック=イートであった。
そして、次にタイガー・ホールではどういうことをしていたかの話に移る。ロック=イートは兄弟子:コタロー=サルガミと姉弟子:サラ=ローラン、そして拳聖:キョーコ=モトカードに朝から晩までこってりとしごかれていたことを告げる。リリー=フルールはサラ=ローランの名前が出るたびに、眉根をひそめていたが、ロック=イートはもう戻らぬ情景を偲ぶかのように感情を込めて話すモノだから、段々とその名前が出てもあまり気にならなくなり、それよりもロック=イートが不憫に思えてしょうがないリリー=フルールであった。
いくら強烈にしごかれていたとしても、ロック=イートがその日々を過ごすことにより、今の立派な男へと成長するための糧となっていたことは、リリー=フルールにも容易に想像できた。タイガー・ホールは草木が伸び放題で、まともに地面を歩くことが出来ないから、木々の枝を飛んで渡って移動するような猿よろしくなことをしていることに驚きを隠せない彼女である。リリー=フルールは一度、タイガー・ホールがどんな場所なのか実際にその眼で確かめたいとも思ってしまう。そして、ロック=イートにお姫様抱っこされながら、そのタイガー・ホールを自由に移動させてもらいたいという気持ちにもなってしまう。
しかし、その願いが叶わないことも彼女は承知している。タイガー・ホールが謎の集団に襲撃されて、ロック=イートは囚われの身となり、監獄:東の果てに収容されてしまった。ロック=イートはセイ=レ・カンコーからあの地は閉鎖されてしまったと伝え聞いている。彼は自由の身になったら、一度、タイガー・ホールに出向き、あの地を再び戦士たちがお互いを練磨しあう地として復活させるべきなのだろうかとリリー=フルールに問いかける。
「ロックがそうしたいと思うなら、そうすべきだと思いますわ」
「そう……なのかな。でも、俺はまだまだ半人前なんだ。『世界最強の生物』になってからじゃないと、俺はあの地に戻ってはいけない気がしてたまらないんだ」
ロック=イートのこの発言を受けて、リリー=フルールは思い知らされることとなる。ロック=イートは『夢追い人』なのだ。自分を育ててくれたタイガー・ホールへの恩はあれども、それよりもまずは自分の夢を叶えることが先決ではないのか? とリリー=フルールに問うているのだ。リリー=フルールは答えに詰まることとなる。ロック=イートの夢はとてもじゃないが叶うかどうか疑わしいモノだ。
今現在、世界最強の生物は誰かと問われれば、間違いなく『アンゴルモア大王』の名が浮かび上がる。ロック=イートの夢は主アンゴルモア大王を打ち倒した時に叶うことになるのだ。この世界の根幹を約1200年前に造り上げ、さらにこの1200年間、老いることも無く、朽ち果てることも無く、人類のトップに君臨し続けている存在なのだ。その存在に闘いを挑もうとすること自体が間違っている気がして堪らないリリー=フルールである。だが、彼女はロック=イートの右手首辺りに自分の両手を添えて、こう告げる。
「ロックならば、きっと『世界最強の生物』になる夢を叶えられるのですわ。だって、貴方にはわたくしがいるんですものっ。わたくしがお父様の力を使って、貴方が主アンゴルモア大王に謁見できるように手配しますわよっ!」
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