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第6章:予選大会
第1話:予選開始
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――大王歴1200年10月1日 アンゴリア大王国 商業都市:シュマルカルデンにて――
この日、ロック=イートが住まう商業都市:シュマルカルデンの一区画において、アンゴルモア大王降誕1200周年を祝うために開かれる上覧武闘会の予選が執り行われることとなった。もちろん、この上覧武闘会はフランク副王国、イタリアーノ副王国、ポールランド副王国からも参加者を募っており、各地の予選会場で戦士たちがその腕を競い合っている。
約10日間に及ぶ予選大会で最終的には31人の戦士が選ばれることとなる。そしてシード選手であるアンゴルモア四天王のひとり:神槍:ブリトニー=ノーガゥは予選を戦わずに決勝トーナメントへと駒を進めれるという手筈が整っていた。誰しもが神槍:ブリトニー=ノーガゥの実力は知っており、それについては異論は起こらなかった。それよりも、決勝トーナメントで、もし彼を打ち倒せれば、自分がアンゴルモア四天王のひとりとして数えられるのではという出世欲に燃えることとなる。
しかしながら、ひとり、神槍:ブリトニー=ノーガゥの無傷での決勝トーナメント行きに憤慨していた男がいた。彼は自分自身が出場するわけでもないのに、異様にブリトニー=ノーガゥに敵愾心を抱いていたのである。そのため、予選の時点で試合に賭け金が積み上げられていたのだが、その男は自分が用意した駒に多額の賭け金を積み上げることとなる。
「ロックくんっ! あなたに今月の売り上げの全てを賭けているのですから、しっかりしてくださいねっ!!」
手狭な予選会場には申し訳ない程度に設置された観客席があった。そこは出場する戦士たちの身内たちが集まる程度の広さしかないというのに、コープ=フルールは屋敷の使用人たちを引き連れて、太鼓やトランペットなどを用いて、ロック=イートを全面的に応援するという異彩を放っていたのであった。応援される側のロック=イートはたまったものではなかった。自分が出場しているのはあくまでも予選であり、そこまでの応援を送られるほどに苦戦しているわけでもない。
ロック=イートは予選の1,2,3回戦をほぼほぼ無傷に勝ち進む。ロック=イート自身は拍子抜けも良いところであった。全国から強者が集まると言われていただけに、予選に参加するまでの約2カ月間余り、セイ=レ・カンコーと毎日、汗水流して訓練に励んでいた。しかし、この程度の相手しかいないのかと、ロック=イートはついため息を漏らしてしまう。
商業都市:シュマルカルデンで執り行われている予選の最初は4グループに分かれての総当たりのリーグ戦であった。ロック=イートは予選の予選であるそのリーグ戦を1位で突破し、続く予選トーナメントへ出場する運びとなる。ロック=イートはリーグ戦ではまさに秒殺と言っていいほどの戦果を収めていた。開始のゴングがなるや否や、ロック=イートは相手の戦士に一気に詰め寄り、ワンツースリーと左右の拳による連打を浴びせたのであった。戦闘態勢が完全に整わぬ相手には、これが一番利く。
そして、予選リーグ戦の会場は裏武闘会の試合会場よりも狭く、直径7メートルほどの広さであった。試合が開始した時点で、相手の手に持つ武器の刃の先が届きそうな位置から開始されるのだ。しかも風呂桶のような構造の予選会場に逃げ場などあるわけもなく、試合開始早々にロック=イートに距離を詰められた相手戦士はなすすべなく、ロック=イートのロケット・3連打を喰らって、砂地の地面に横たわることとなる。
ここまで近い距離から試合を開始されると、長剣の類を持つ戦士にとっては逆に迷いが産まれてしまう。突くべきか払うべきか、それとも後退して距離を取るべきかの3択を迫られる。その逡巡している心の隙を突く恰好でロック=イートは試合開始早々に相手との距離をほぼゼロにまでもっていき、相手に何もさせずに圧倒してきたのであった。
しかし、そんなロック=イートであるが、さすがに予選最後を飾る4人で行なわれるトーナメント戦では、それは使えないだろうと予測する。誰しもがその必勝の戦法を用いていることが見るだけでわかるからだ。残った者たちはほとんど傷らしい傷を負っていない。
(ここからが予選本番ってわけか……。リーグ戦はあくまでも参加者を振るいにかけるためのもので、それ相応の実力者ならあの会場の仕掛けなんて、すぐに察知するって寸法か)
ロック=イートは自分を含めて4人の戦士たちのいで立ちを見比べることとする。予選が始まってから早5日が経過しており、この場に残った4人たちは誰一人、満身創痍といった者はいなかった。身に着けている鎧は新品同様であり、苦戦したようにはまったく見えなかったのである。ロック=イートは彼らを見て、つい、へへっ……と口の端が綻んでしまう。裏武闘会がロック=イートのタイガー・ホール以外の地でのデビュー戦であったが、国が主催する公式戦デビューはこの予選大会からであった。ここまでの闘いは拍子抜けする相手ばかりであったが、ここから先は否応が無く、自分の身体は傷を負っていくことになる。
ロック=イートはマゾヒストではないが、戦士の身体は傷を背負ってこそだと思っている。だからこそ、自分の身に強者との戦いの歴史を刻み込みたいとも思っていた。かくして、本戦行きのための予選トーナメントが開始される。ロック=イートの一試合目の相手は奇しくも徒手空拳であった。ロック=イートとの違いと言えば、徒手空拳でありながら、両腕を包み込むように黒鉄製の手甲を装備している。というよりかは、この点において、ロック=イートのほうが異常であった。拳闘士の類はセスタスと呼ばれる金属製の手甲を身に着けているのが普通なのである。そして、動きやすいように革製の部分鎧で急所部分を護っているのだ。
しかしながら、ロック=イートと言えば、身体は丈夫な布製のカラテ着のみ。そして両手は通称:バンテージと呼ばれる両手の指と甲を自分の打拳で痛めてしまわぬようにとの配慮の下に布で巻かれているだけなのだ。対戦相手はロック=イートの身軽すぎる軽装に驚きを隠せないでいた。自分の黒鉄製の手甲でロック=イートを殴ってしまっては、彼を殺してしまうのではないかとういう恐れを抱いてしまう。しかしながら、眼の前の相手は自分と同じくほぼ無傷で予選リーグを突破しているのだ。ならばそれ相応の実力者だと思い直し、ロック=イートの対戦相手は気を引き締め直すこととする。
この日、ロック=イートが住まう商業都市:シュマルカルデンの一区画において、アンゴルモア大王降誕1200周年を祝うために開かれる上覧武闘会の予選が執り行われることとなった。もちろん、この上覧武闘会はフランク副王国、イタリアーノ副王国、ポールランド副王国からも参加者を募っており、各地の予選会場で戦士たちがその腕を競い合っている。
約10日間に及ぶ予選大会で最終的には31人の戦士が選ばれることとなる。そしてシード選手であるアンゴルモア四天王のひとり:神槍:ブリトニー=ノーガゥは予選を戦わずに決勝トーナメントへと駒を進めれるという手筈が整っていた。誰しもが神槍:ブリトニー=ノーガゥの実力は知っており、それについては異論は起こらなかった。それよりも、決勝トーナメントで、もし彼を打ち倒せれば、自分がアンゴルモア四天王のひとりとして数えられるのではという出世欲に燃えることとなる。
しかしながら、ひとり、神槍:ブリトニー=ノーガゥの無傷での決勝トーナメント行きに憤慨していた男がいた。彼は自分自身が出場するわけでもないのに、異様にブリトニー=ノーガゥに敵愾心を抱いていたのである。そのため、予選の時点で試合に賭け金が積み上げられていたのだが、その男は自分が用意した駒に多額の賭け金を積み上げることとなる。
「ロックくんっ! あなたに今月の売り上げの全てを賭けているのですから、しっかりしてくださいねっ!!」
手狭な予選会場には申し訳ない程度に設置された観客席があった。そこは出場する戦士たちの身内たちが集まる程度の広さしかないというのに、コープ=フルールは屋敷の使用人たちを引き連れて、太鼓やトランペットなどを用いて、ロック=イートを全面的に応援するという異彩を放っていたのであった。応援される側のロック=イートはたまったものではなかった。自分が出場しているのはあくまでも予選であり、そこまでの応援を送られるほどに苦戦しているわけでもない。
ロック=イートは予選の1,2,3回戦をほぼほぼ無傷に勝ち進む。ロック=イート自身は拍子抜けも良いところであった。全国から強者が集まると言われていただけに、予選に参加するまでの約2カ月間余り、セイ=レ・カンコーと毎日、汗水流して訓練に励んでいた。しかし、この程度の相手しかいないのかと、ロック=イートはついため息を漏らしてしまう。
商業都市:シュマルカルデンで執り行われている予選の最初は4グループに分かれての総当たりのリーグ戦であった。ロック=イートは予選の予選であるそのリーグ戦を1位で突破し、続く予選トーナメントへ出場する運びとなる。ロック=イートはリーグ戦ではまさに秒殺と言っていいほどの戦果を収めていた。開始のゴングがなるや否や、ロック=イートは相手の戦士に一気に詰め寄り、ワンツースリーと左右の拳による連打を浴びせたのであった。戦闘態勢が完全に整わぬ相手には、これが一番利く。
そして、予選リーグ戦の会場は裏武闘会の試合会場よりも狭く、直径7メートルほどの広さであった。試合が開始した時点で、相手の手に持つ武器の刃の先が届きそうな位置から開始されるのだ。しかも風呂桶のような構造の予選会場に逃げ場などあるわけもなく、試合開始早々にロック=イートに距離を詰められた相手戦士はなすすべなく、ロック=イートのロケット・3連打を喰らって、砂地の地面に横たわることとなる。
ここまで近い距離から試合を開始されると、長剣の類を持つ戦士にとっては逆に迷いが産まれてしまう。突くべきか払うべきか、それとも後退して距離を取るべきかの3択を迫られる。その逡巡している心の隙を突く恰好でロック=イートは試合開始早々に相手との距離をほぼゼロにまでもっていき、相手に何もさせずに圧倒してきたのであった。
しかし、そんなロック=イートであるが、さすがに予選最後を飾る4人で行なわれるトーナメント戦では、それは使えないだろうと予測する。誰しもがその必勝の戦法を用いていることが見るだけでわかるからだ。残った者たちはほとんど傷らしい傷を負っていない。
(ここからが予選本番ってわけか……。リーグ戦はあくまでも参加者を振るいにかけるためのもので、それ相応の実力者ならあの会場の仕掛けなんて、すぐに察知するって寸法か)
ロック=イートは自分を含めて4人の戦士たちのいで立ちを見比べることとする。予選が始まってから早5日が経過しており、この場に残った4人たちは誰一人、満身創痍といった者はいなかった。身に着けている鎧は新品同様であり、苦戦したようにはまったく見えなかったのである。ロック=イートは彼らを見て、つい、へへっ……と口の端が綻んでしまう。裏武闘会がロック=イートのタイガー・ホール以外の地でのデビュー戦であったが、国が主催する公式戦デビューはこの予選大会からであった。ここまでの闘いは拍子抜けする相手ばかりであったが、ここから先は否応が無く、自分の身体は傷を負っていくことになる。
ロック=イートはマゾヒストではないが、戦士の身体は傷を背負ってこそだと思っている。だからこそ、自分の身に強者との戦いの歴史を刻み込みたいとも思っていた。かくして、本戦行きのための予選トーナメントが開始される。ロック=イートの一試合目の相手は奇しくも徒手空拳であった。ロック=イートとの違いと言えば、徒手空拳でありながら、両腕を包み込むように黒鉄製の手甲を装備している。というよりかは、この点において、ロック=イートのほうが異常であった。拳闘士の類はセスタスと呼ばれる金属製の手甲を身に着けているのが普通なのである。そして、動きやすいように革製の部分鎧で急所部分を護っているのだ。
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