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第9章:この手で掴むモノ
第10話:神槍の謎の言葉
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ロック=イートは控室で激励を受けた後、試合管理人にそろそろ試合が始まるがゆえに、試合場へと出向けと言われる。ロック=イートはリリー=フルールたちにコクリと頷き、控室の扉を開けて、試合場に続く通路をゆっくりと歩きだす。
ロック=イートはフッフッ! と短く呼吸を続け、自分の心拍数が上がり過ぎないように調整する。いつもそうだが、この光がまともに当たらぬ試合場までの狭い通路は不安感を大きくさせる。ロック=イートはかけがえのない夢を持っているが、それでもこのジメジメとした通路の雰囲気はそれを無駄だと主張してきているような気がしてならない。
(落ち着け、俺……。何度もこの通路を歩いているだろ……。今更、戻れぬ道だってことは承知してるだろっ!)
ロック=イートは通路の真ん中で一度、足を止める。そこで大きく深呼吸をしだす。急に立ち止まったロック=イートに対して、後ろをついてきていたリリー=フルール、ヨーコ=タマモ、セイ=レ・カンコーは頭にハテナマークをつけてしまう。ロック=イートが今まで、この通路で足を止めたことがなかったからだ。
ロック=イートは深呼吸を三度行った後、パンパンッ! と両手で頬を叩き、よしっ! とまるで自分で自分を励ますかのような声を出す。そうするロック=イートにリリー=フルールたちは、彼が何故に足を止めたのかが分かった気がしたのである。
「ロック。安心してくださいまし? 神槍と呼ばれても、わたくしたちと同じニンゲンなのですわ」
「そうですぜっ! リリーお嬢様のおっしゃる通り、ロックさん同様、ブリトニー=ノーガゥだって、きっと緊張しているに違いませんぜっ!」
「そうじゃそうじゃ。何といっても準決勝だからのう。ここまでロック=イートが勝ち進めたのはそれ相応の実力の持ち主ということじゃ。ブリトニー=ノーガゥだって、戦々恐々としているはずじゃぞっ!」
彼女らの励ましの声を聞き、ロック=イートは苦笑してしまう。言われてみれば、神槍と呼ばれていても、母の胎内から産まれ出たことは変わりない。どのような人生を歩んできたかの違い等はあっても、大元は同じニンゲンなのだ。今、自分が不安感に押しつぶされそうになっているのと同様に、彼もまた言い知れぬ何かに圧迫感を感じている可能性がある。
「ありがとう。リリー様、セイさん、タマモさん。俺は俺が出来る限りのことを出し尽くしてくるよ」
ロック=イートは足に力を入れ直し、通路を再び歩き出す。一歩踏み出す度に、通路に流れ込んでくる観客たちの声が大きくなってくる。そして、ロック=イートが通路から完全に出て、試合場の芝生が広がる場所へ足を踏み入れると同時にわれんばかりの歓声がロック=イートの耳に飛び込んでくる。
「うひゃあ。こりゃあ雷でも落ちたかのような大歓声ですぜ。あっしは何だか感動で涙がこぼれてきそうなんですぜ」
「あほか、セイ。泣くのはロック=イートが神槍:ブリトニー=ノーガゥに勝った時にせぬか。今から涙を溢れさせてたら、本番前に涙が枯れ果ててしまうのじゃ」
ヨーコ=タマモがセイ=レ・カンコーにそう言うが、開会式でロック=イートが散々に観衆たちから罵声を浴びていたというのに、今では快く迎え入れられていることに、彼女もまたジーンと目頭が熱くなってきてしまう。ヨーコ=タマモは涙が眼尻から零れ落ちそうになるのを着物の裾で拭うことで防ぐ。
「ロック。わたくしから何も言うことはありませんわ。ただ、ロックの勝利を信じていますわ」
リリー=フルールがバンテージが巻かれたロック=イートの両手を自分の両手で優しく包み込み、そう言うのであった。ロック=イートはコクリと彼女に頷き、彼女の額に軽く接吻をする
「ああ、わかった。リリー様。俺が『世界最強の生物』へと駆け上がっていくその過程をつぶさに見ていてくれ……」
ロック=イートは彼女たちに背中を見せる形で、試合場の石畳の上へと躍り出る。ロック=イートは先に石畳の上に毅然と立つ神槍:ブリトニー=ノーガゥを真っ直ぐに見る。彼は全身を白金色を下地に翠玉のプレートで装飾された全身鎧を着込み、背中には翠玉色の外套を羽織っている。そして左脇に孔雀の尾羽が取り付けられた兜を抱え込み、その姿でうやうやしくロック=イートに礼をする。
「やあ。お久しぶりと言っていいのかな? 『人類最強計画の申し子』くん。ここまで勝ち進むのはある程度は予想していましたよ?」
ロック=イートは神槍:ブリトニー=ノーガゥの発言により、頭にハテナマークを浮かべてしまう。そもそもとして、彼に『お久しぶり』と言われるいわれがわからないのだ。そして続けて言われた『人類最強計画の申し子』という言葉にもピンとくるものが無い。彼が何を言わんとしているのか、ロック=イートにはまったくもってわからない。
そんな首を傾げるロック=イートに対して、神槍:ブリトニー=ノーガゥはやれやれとばかりに頭を左右に振ってみせる。その所作はまるでロック=イートが何も知らぬ愚か者だと言わんとしていたのだ。神槍:ブリトニー=ノーガゥに対して、待ったをかけた人物が居た。それはこの試合の審判を行う剣聖:プッチィ=ブッディであった。彼は試合が行なわれる石畳の外でブリトニー=ノーガゥに要らぬことを言うなッス! と注意しはじめたのだ。
「『人類最強計画』の話をこんな場所ですること自体がご法度なんッス! いくらアンゴルモア四天王と言えども、アンゴルモアっちから御叱りを受けるッスよっ!」
「あれ? そうでしたっけ? いやはや、齢48ともなると記憶が曖昧になってしまっていますね。というわけでついでにロックくんに忠告しておくと、実はロックくんの生まれ故郷が魔物の襲撃にあったのは、主アンゴルモア大王が関わっています」
ロック=イートは神槍:ブリトニー=ノーガゥの言葉により、眼を白黒とさせてしまう。何故に自分の生まれ故郷であるウッドランドにまで魔物の群れが侵攻してきたのかは、誰にもわからないことであった。しかし、眼の前のきらびやかな全身鎧を着こむ男は、偶然、それが起きたのではないと主張してくるのだ。
「キミは……というよりかは、キミの一族はとある実験に力を貸していたのですよ。そして、その実験の成果がロック=イートくん。キミだということです。今、この場にキミがいるのは主アンゴルモア大王のお導きあってこそなのですよ」
ロック=イートはフッフッ! と短く呼吸を続け、自分の心拍数が上がり過ぎないように調整する。いつもそうだが、この光がまともに当たらぬ試合場までの狭い通路は不安感を大きくさせる。ロック=イートはかけがえのない夢を持っているが、それでもこのジメジメとした通路の雰囲気はそれを無駄だと主張してきているような気がしてならない。
(落ち着け、俺……。何度もこの通路を歩いているだろ……。今更、戻れぬ道だってことは承知してるだろっ!)
ロック=イートは通路の真ん中で一度、足を止める。そこで大きく深呼吸をしだす。急に立ち止まったロック=イートに対して、後ろをついてきていたリリー=フルール、ヨーコ=タマモ、セイ=レ・カンコーは頭にハテナマークをつけてしまう。ロック=イートが今まで、この通路で足を止めたことがなかったからだ。
ロック=イートは深呼吸を三度行った後、パンパンッ! と両手で頬を叩き、よしっ! とまるで自分で自分を励ますかのような声を出す。そうするロック=イートにリリー=フルールたちは、彼が何故に足を止めたのかが分かった気がしたのである。
「ロック。安心してくださいまし? 神槍と呼ばれても、わたくしたちと同じニンゲンなのですわ」
「そうですぜっ! リリーお嬢様のおっしゃる通り、ロックさん同様、ブリトニー=ノーガゥだって、きっと緊張しているに違いませんぜっ!」
「そうじゃそうじゃ。何といっても準決勝だからのう。ここまでロック=イートが勝ち進めたのはそれ相応の実力の持ち主ということじゃ。ブリトニー=ノーガゥだって、戦々恐々としているはずじゃぞっ!」
彼女らの励ましの声を聞き、ロック=イートは苦笑してしまう。言われてみれば、神槍と呼ばれていても、母の胎内から産まれ出たことは変わりない。どのような人生を歩んできたかの違い等はあっても、大元は同じニンゲンなのだ。今、自分が不安感に押しつぶされそうになっているのと同様に、彼もまた言い知れぬ何かに圧迫感を感じている可能性がある。
「ありがとう。リリー様、セイさん、タマモさん。俺は俺が出来る限りのことを出し尽くしてくるよ」
ロック=イートは足に力を入れ直し、通路を再び歩き出す。一歩踏み出す度に、通路に流れ込んでくる観客たちの声が大きくなってくる。そして、ロック=イートが通路から完全に出て、試合場の芝生が広がる場所へ足を踏み入れると同時にわれんばかりの歓声がロック=イートの耳に飛び込んでくる。
「うひゃあ。こりゃあ雷でも落ちたかのような大歓声ですぜ。あっしは何だか感動で涙がこぼれてきそうなんですぜ」
「あほか、セイ。泣くのはロック=イートが神槍:ブリトニー=ノーガゥに勝った時にせぬか。今から涙を溢れさせてたら、本番前に涙が枯れ果ててしまうのじゃ」
ヨーコ=タマモがセイ=レ・カンコーにそう言うが、開会式でロック=イートが散々に観衆たちから罵声を浴びていたというのに、今では快く迎え入れられていることに、彼女もまたジーンと目頭が熱くなってきてしまう。ヨーコ=タマモは涙が眼尻から零れ落ちそうになるのを着物の裾で拭うことで防ぐ。
「ロック。わたくしから何も言うことはありませんわ。ただ、ロックの勝利を信じていますわ」
リリー=フルールがバンテージが巻かれたロック=イートの両手を自分の両手で優しく包み込み、そう言うのであった。ロック=イートはコクリと彼女に頷き、彼女の額に軽く接吻をする
「ああ、わかった。リリー様。俺が『世界最強の生物』へと駆け上がっていくその過程をつぶさに見ていてくれ……」
ロック=イートは彼女たちに背中を見せる形で、試合場の石畳の上へと躍り出る。ロック=イートは先に石畳の上に毅然と立つ神槍:ブリトニー=ノーガゥを真っ直ぐに見る。彼は全身を白金色を下地に翠玉のプレートで装飾された全身鎧を着込み、背中には翠玉色の外套を羽織っている。そして左脇に孔雀の尾羽が取り付けられた兜を抱え込み、その姿でうやうやしくロック=イートに礼をする。
「やあ。お久しぶりと言っていいのかな? 『人類最強計画の申し子』くん。ここまで勝ち進むのはある程度は予想していましたよ?」
ロック=イートは神槍:ブリトニー=ノーガゥの発言により、頭にハテナマークを浮かべてしまう。そもそもとして、彼に『お久しぶり』と言われるいわれがわからないのだ。そして続けて言われた『人類最強計画の申し子』という言葉にもピンとくるものが無い。彼が何を言わんとしているのか、ロック=イートにはまったくもってわからない。
そんな首を傾げるロック=イートに対して、神槍:ブリトニー=ノーガゥはやれやれとばかりに頭を左右に振ってみせる。その所作はまるでロック=イートが何も知らぬ愚か者だと言わんとしていたのだ。神槍:ブリトニー=ノーガゥに対して、待ったをかけた人物が居た。それはこの試合の審判を行う剣聖:プッチィ=ブッディであった。彼は試合が行なわれる石畳の外でブリトニー=ノーガゥに要らぬことを言うなッス! と注意しはじめたのだ。
「『人類最強計画』の話をこんな場所ですること自体がご法度なんッス! いくらアンゴルモア四天王と言えども、アンゴルモアっちから御叱りを受けるッスよっ!」
「あれ? そうでしたっけ? いやはや、齢48ともなると記憶が曖昧になってしまっていますね。というわけでついでにロックくんに忠告しておくと、実はロックくんの生まれ故郷が魔物の襲撃にあったのは、主アンゴルモア大王が関わっています」
ロック=イートは神槍:ブリトニー=ノーガゥの言葉により、眼を白黒とさせてしまう。何故に自分の生まれ故郷であるウッドランドにまで魔物の群れが侵攻してきたのかは、誰にもわからないことであった。しかし、眼の前のきらびやかな全身鎧を着こむ男は、偶然、それが起きたのではないと主張してくるのだ。
「キミは……というよりかは、キミの一族はとある実験に力を貸していたのですよ。そして、その実験の成果がロック=イートくん。キミだということです。今、この場にキミがいるのは主アンゴルモア大王のお導きあってこそなのですよ」
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