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第1章:罪には罰を
第5話:開戦
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――北ラメリア大陸歴1492年11月20日 ウィーゼ王国とバルト帝国との国境線近くにおいて――
散々にウィーゼ王国に煮え湯を飲まされてきたバルト帝国がついに動く。それ以上、帝の名に泥を塗るつもりであれば、容赦しないと宣戦布告をウィーゼ王国に対して行ったのだ。両国の緊張は一気に高まり、両国の国境線付近において、お互いに軍を展開する。
バルト帝国は10万の兵を。対して、ウィーゼ王国は3万の兵でそれに対峙することとなる。バルト帝国軍は主に重装歩兵が目立つ。その様相に相応しい強固な長方形の盾を左手に持ち、右手に長さ90センチュミャートルの金属製の槍を持つ。その長方形の盾にはバルト帝国の国紋が描かれている。
一方、ウィーゼ王国軍は機動力を活かすために軽装歩兵が目立つ。バルト帝国の歩兵ですら金属製の全身鎧に身を包んでいるというのに、ウィーゼ王国の歩兵は革製の部分鎧であった。防具の質だけで言えば、圧倒的にバルト帝国軍のほうが上である。しかし、そんな重装備だからこそ、バルト帝国軍の足は鈍い。それを嘲笑うかのように、ウィーゼ王国軍を率いる層軍団長:ゼンダー=ラウディスは素早く軍を動かし、国境付近の平坦な草原地帯を自由自在に動いてみせる。
ウィーゼ王国軍はまともにバルト帝国軍と真正面からぶつかり合わないように十分に注意していた。草原地帯にまばらに存在する林や森に身を潜め、行進していくバルト帝国軍の横腹を突くような形で、散々に弓矢や手槍を放ってみせる。
開戦当初はどの国でもウィーゼ王国の圧倒的勝利で終わると予想していた。しかし、さすがは100年前に前王室を武力で追い出したクレープス家である。そのクレープス家が当主となっている今のウィーゼ王国は3倍以上の兵を擁するバルト帝国相手でも一歩も退かずに戦えていたのであった。
ウィーゼ王国軍の総軍団長:ゼンダー=ラウディスは名将と呼ばれるにふさわしい働きを見せる。少ない軍をさらに小分けにするのは愚策としか見られないモノだ。しかし、ゼンダー=ラウディスが発案した戦法は新しい戦の原型をバルト帝国に見せつけた。寡兵でも大軍と互角に渡り合えることを示してみせたのだ。
「第五部隊はここから北東の林へ。第六部隊はその第五部隊を支援する形で後方に展開させろ。何? 斥候部隊の第十七部隊が敵の位置を捉えた? ふむ……。そちらの方面にはまだ戦力を割けぬ。消極的偵察に徹しろと伝達しておくのだ」
ウィーゼ王国軍の本部は国境地帯にある小さな村を接収し、そこを本拠地として要塞化させていた。しかしながら、要塞化と言っても、村の周囲をぐるりと3重に逆茂木で取り囲み、さらにその外側に空堀を設けることしかやっていない。敵の奇襲を防ぐ程度の防塁しか設けていなかった。そうだからと言って、そもそもとして、バルト帝国軍は行軍中に散々に横やりを入れられて、まともに進軍出来ない状況であった。そのため、簡素な防衛能力を有する程度で良いだろうという判断を総軍団長:ゼンダー=ラウディスは下したのである。
彼の予想通り、バルト帝国の兵士が本拠地にまで辿りつくことはなかった。それほどまでにゼンダー=ラウディスが考えついて、実行に移したこの新しい戦法が機能している証左でもあった。そして、敵地奥深くに先行していた第十七部隊は林の中で身を潜めながら、じっくりとバルト帝国軍の動きを観察しつづけた。
現在、第十七部隊はウィーゼ王国とバルト帝国の国境線を超えて、西北西に100キュロミャートル進んだ地点に潜んでいた。第十七部隊は偵察部隊でありながら、敵軍への強襲も行えるようにと、1000の兵が与えられていた。その部隊長であるモーリス=アンガーはウィーダ国軍における叩き上げの軍人であった。それゆえに階級はそれほど高くなく、率いる兵数も少ない身分でしかなかったが、彼は総軍団長:ゼンダー=ラウディスから与えられた任務を忠実に実行する人物であった。
この第十七部隊に属する兵士で馬に乗れる者はひとりとていなかった。しかしながら、比較的にひ弱と言われるエルフは誰一人おらず、屈強なドワーフや、その彼らに負けず劣らず鍛え上げられた肉体を持つニンゲン族の男たちで構成されていた。この十七部隊に属する兵士たちは誰もが泥や枯れ葉で顔や部分鎧から剥き出しの肌を汚くペイントしていた。そのため、遠目からは、そこの林に1000人もの敵兵が潜んでいるなど、バルト帝国軍は気づきもしなかった。
「やれやれ……。亜人族相手に身を潜めるのは、いくらなんでも骨が折れる……。そろそろ心の安寧が欲しいところだが……」
バルト帝国は亜人族が人口の9割を占める帝国である。彼らは獣のような顔立ちでありながらも、ニンゲン、エルフ、ドワーフと同じく二足歩行を行い、その手で色々な道具を作り出している。姿かたちがかなり異質だと言えども、文明レベルで言えば、バルト帝国のほうが北ラメリア大陸南部にある3つの王国よりも水準は高いのであった。そんな相手にウィーゼ王国は、たった1国でバルト帝国と見た目は拮抗して戦えていること自体が驚きであった。
だが、寡兵をもってして、大軍と戦えば、先に疲弊するのは寡兵側であることは当然であった。総軍団長:ゼンダー=ラウディスは確かに名将であることは変わりないが、この戦が長引けば長引くほど、国力自体が疲弊しきるのはウィーゼ王国であることには間違いなかった。そんな行き先不透明の戦いのさらに最前線で身を潜めなければならない第十七部隊の疲労度は日に日に蓄積していた。
第十七部隊・隊長の祈りが天に通じたのか、彼らが潜む林の前に展開していた2万5000を数える帝国軍がようやく動きを見せることとなる。いっこうに前線が上がらないことに業を煮やしたのか、その2万5000の軍を率いる将が前進命令を出したようであった。それゆえ、観測対象が居なくなかったことにより、ようやく第十七部隊は偵察任務を終えることが出来るのであった。
「はてさて……。帝国軍第3大隊が前線へと動いたか。誰か、本部へと伝達を頼む。酒と肉でも本部で飲み食いしてくるが良いぞ」
第十七部隊・隊長であるモーリス=アンガーが本部に伝達に向かう者に対して、一足先に休憩とご褒美をもらってこいと言い出すのであった。伝達役の者は明らかに表情が綻ぶこととなる。だが、他の兵士に睨まれたことにより、ごほんっ……と小さく咳払いをし、綻んだ顔を元の緊張感漂う表情へと戻すのであった。
誰しもが休息を欲しがっていたのだ。第十七部隊に属する兵士たちは。それほどまでに亜人族に対して、神経を尖らせておかなければならない。その状態を何日も続ければ、いくら屈強なドワーフや、鍛え上げられた身体を持つニンゲンでも疲弊しきっていた。そして、そんな彼らはいつの間にか、辺りに生じた濃い霧に包まれる。突然、視界を奪われたことに、軍の叩き上げであるモーリス=アンガーですら困惑してしまう。そして、そんな彼らが、この世の『桃源郷』に誘われることになるとは、この時点では気づいていなかった……。
散々にウィーゼ王国に煮え湯を飲まされてきたバルト帝国がついに動く。それ以上、帝の名に泥を塗るつもりであれば、容赦しないと宣戦布告をウィーゼ王国に対して行ったのだ。両国の緊張は一気に高まり、両国の国境線付近において、お互いに軍を展開する。
バルト帝国は10万の兵を。対して、ウィーゼ王国は3万の兵でそれに対峙することとなる。バルト帝国軍は主に重装歩兵が目立つ。その様相に相応しい強固な長方形の盾を左手に持ち、右手に長さ90センチュミャートルの金属製の槍を持つ。その長方形の盾にはバルト帝国の国紋が描かれている。
一方、ウィーゼ王国軍は機動力を活かすために軽装歩兵が目立つ。バルト帝国の歩兵ですら金属製の全身鎧に身を包んでいるというのに、ウィーゼ王国の歩兵は革製の部分鎧であった。防具の質だけで言えば、圧倒的にバルト帝国軍のほうが上である。しかし、そんな重装備だからこそ、バルト帝国軍の足は鈍い。それを嘲笑うかのように、ウィーゼ王国軍を率いる層軍団長:ゼンダー=ラウディスは素早く軍を動かし、国境付近の平坦な草原地帯を自由自在に動いてみせる。
ウィーゼ王国軍はまともにバルト帝国軍と真正面からぶつかり合わないように十分に注意していた。草原地帯にまばらに存在する林や森に身を潜め、行進していくバルト帝国軍の横腹を突くような形で、散々に弓矢や手槍を放ってみせる。
開戦当初はどの国でもウィーゼ王国の圧倒的勝利で終わると予想していた。しかし、さすがは100年前に前王室を武力で追い出したクレープス家である。そのクレープス家が当主となっている今のウィーゼ王国は3倍以上の兵を擁するバルト帝国相手でも一歩も退かずに戦えていたのであった。
ウィーゼ王国軍の総軍団長:ゼンダー=ラウディスは名将と呼ばれるにふさわしい働きを見せる。少ない軍をさらに小分けにするのは愚策としか見られないモノだ。しかし、ゼンダー=ラウディスが発案した戦法は新しい戦の原型をバルト帝国に見せつけた。寡兵でも大軍と互角に渡り合えることを示してみせたのだ。
「第五部隊はここから北東の林へ。第六部隊はその第五部隊を支援する形で後方に展開させろ。何? 斥候部隊の第十七部隊が敵の位置を捉えた? ふむ……。そちらの方面にはまだ戦力を割けぬ。消極的偵察に徹しろと伝達しておくのだ」
ウィーゼ王国軍の本部は国境地帯にある小さな村を接収し、そこを本拠地として要塞化させていた。しかしながら、要塞化と言っても、村の周囲をぐるりと3重に逆茂木で取り囲み、さらにその外側に空堀を設けることしかやっていない。敵の奇襲を防ぐ程度の防塁しか設けていなかった。そうだからと言って、そもそもとして、バルト帝国軍は行軍中に散々に横やりを入れられて、まともに進軍出来ない状況であった。そのため、簡素な防衛能力を有する程度で良いだろうという判断を総軍団長:ゼンダー=ラウディスは下したのである。
彼の予想通り、バルト帝国の兵士が本拠地にまで辿りつくことはなかった。それほどまでにゼンダー=ラウディスが考えついて、実行に移したこの新しい戦法が機能している証左でもあった。そして、敵地奥深くに先行していた第十七部隊は林の中で身を潜めながら、じっくりとバルト帝国軍の動きを観察しつづけた。
現在、第十七部隊はウィーゼ王国とバルト帝国の国境線を超えて、西北西に100キュロミャートル進んだ地点に潜んでいた。第十七部隊は偵察部隊でありながら、敵軍への強襲も行えるようにと、1000の兵が与えられていた。その部隊長であるモーリス=アンガーはウィーダ国軍における叩き上げの軍人であった。それゆえに階級はそれほど高くなく、率いる兵数も少ない身分でしかなかったが、彼は総軍団長:ゼンダー=ラウディスから与えられた任務を忠実に実行する人物であった。
この第十七部隊に属する兵士で馬に乗れる者はひとりとていなかった。しかしながら、比較的にひ弱と言われるエルフは誰一人おらず、屈強なドワーフや、その彼らに負けず劣らず鍛え上げられた肉体を持つニンゲン族の男たちで構成されていた。この十七部隊に属する兵士たちは誰もが泥や枯れ葉で顔や部分鎧から剥き出しの肌を汚くペイントしていた。そのため、遠目からは、そこの林に1000人もの敵兵が潜んでいるなど、バルト帝国軍は気づきもしなかった。
「やれやれ……。亜人族相手に身を潜めるのは、いくらなんでも骨が折れる……。そろそろ心の安寧が欲しいところだが……」
バルト帝国は亜人族が人口の9割を占める帝国である。彼らは獣のような顔立ちでありながらも、ニンゲン、エルフ、ドワーフと同じく二足歩行を行い、その手で色々な道具を作り出している。姿かたちがかなり異質だと言えども、文明レベルで言えば、バルト帝国のほうが北ラメリア大陸南部にある3つの王国よりも水準は高いのであった。そんな相手にウィーゼ王国は、たった1国でバルト帝国と見た目は拮抗して戦えていること自体が驚きであった。
だが、寡兵をもってして、大軍と戦えば、先に疲弊するのは寡兵側であることは当然であった。総軍団長:ゼンダー=ラウディスは確かに名将であることは変わりないが、この戦が長引けば長引くほど、国力自体が疲弊しきるのはウィーゼ王国であることには間違いなかった。そんな行き先不透明の戦いのさらに最前線で身を潜めなければならない第十七部隊の疲労度は日に日に蓄積していた。
第十七部隊・隊長の祈りが天に通じたのか、彼らが潜む林の前に展開していた2万5000を数える帝国軍がようやく動きを見せることとなる。いっこうに前線が上がらないことに業を煮やしたのか、その2万5000の軍を率いる将が前進命令を出したようであった。それゆえ、観測対象が居なくなかったことにより、ようやく第十七部隊は偵察任務を終えることが出来るのであった。
「はてさて……。帝国軍第3大隊が前線へと動いたか。誰か、本部へと伝達を頼む。酒と肉でも本部で飲み食いしてくるが良いぞ」
第十七部隊・隊長であるモーリス=アンガーが本部に伝達に向かう者に対して、一足先に休憩とご褒美をもらってこいと言い出すのであった。伝達役の者は明らかに表情が綻ぶこととなる。だが、他の兵士に睨まれたことにより、ごほんっ……と小さく咳払いをし、綻んだ顔を元の緊張感漂う表情へと戻すのであった。
誰しもが休息を欲しがっていたのだ。第十七部隊に属する兵士たちは。それほどまでに亜人族に対して、神経を尖らせておかなければならない。その状態を何日も続ければ、いくら屈強なドワーフや、鍛え上げられた身体を持つニンゲンでも疲弊しきっていた。そして、そんな彼らはいつの間にか、辺りに生じた濃い霧に包まれる。突然、視界を奪われたことに、軍の叩き上げであるモーリス=アンガーですら困惑してしまう。そして、そんな彼らが、この世の『桃源郷』に誘われることになるとは、この時点では気づいていなかった……。
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