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第4章:ヴァルハラへの道
第9話:雲の草原
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レオナルト=ヴィッダーはクルス=サンティーモに導かれるままに岩と砂、そして石で出来た回廊を突破する。岩や石で出来た道が終わると、開けた場所に出る。そこは地面が雲で出来上がっている場所であり、前方にはちょっとした町ほどの規模がある石製の建物が並ぶ集落が見えることとなる。
「やっと見えてきたのですゥ。あそこがぼくが育ったヴァルハラなのですゥ」
「ヴァルハラ? 桃源郷とはまた別なのか?」
レオナルト=ヴィッダーの疑問も当然であった。ヴァルハラは戦で勇敢に戦った戦士たちが戦乙女たちの手で死後に招かれる場所だという言い伝えがあり、桃源郷とは別の存在だと今まで思っていたからだ。しかしながら、クルス=サンティーモはどっちもどっちじゃないんですゥ? と言うので、言われてみれば、どちらも楽園と呼ばれているシロモノなので、レオナルト=ヴィッダーは納得する。
「なるほどなあ……。クルスが言うところの下界の考えと天界での分類をまとめれば、桃源郷はそのままヴァルハラになるわけだな……」
「難しいことはわかりませんけど、戦いに疲れた男たちが憩いの場を求めた時に、現れるのが桃源郷であり同時にヴァルハラなのですゥ。レオン様もあの時、癒しを求めたんですよね?」
クルス=サンティーモが言う『あの時』とは、レオナルト=ヴィッダーが2年間の兵役に就いていて、そして桃源郷に誘われた時のことを指している。レオナルト=ヴィッダーは『あの時』、確かに素戔嗚から呪力を引き出し続けていたことで、もう勘弁してほしいと思っていたことは確かであった。だが、だからといって、淫婦の天使たちにもみくちゃにされたいと思っていたかと言えば、はっきりとは断言できない。
「うーん。まあ、どうなんだろうな? どこかでゆっくりとベッドの上で寝たいとは思っていたかもしれないけど……」
「あれれ? あんまり乗り気じゃなかったんですゥ? おかしいですね? その程度の願いで桃源郷が姿を現すことはほとんど無いはずなんですけどォ……」
クルス=サンティーモは疑問符を顔に浮かべながら、首を傾げてみせる。しかし、考えたところで答えが出るはずもなく、答えが出ないことに対して、これ以上、考える時間も無駄だということで、クルス=サンティーモは雲で出来た草原に足を踏み入れる。レオナルト=ヴィッダーは彼の後を追うかのように雲の上に足を乗せる。その柔らかさと言えば、ふかふかの絨毯よりも柔らかく、足が雲を突き抜けてしまうのではないのか? という恐怖心に襲われることとなる。
「あんまり邪悪なことは考えないほうが良いのですゥ。雲の上を歩けるのは天使や純心さを忘れないヒトでないと無理だと言われているのですゥ」
「お、俺が邪悪!? そんなことは無いだろう!?」
「本当にそうですゥ?」
クルス=サンティーモは雲の上で軽快にステップしてみせる。自分はこんなに純心だという証明を見せつけてくるのだ。レオナルト=ヴィッダーは膝近くまで足が雲の中にうずもれており、クッ……と悔しさをにじませた声を漏らす他なかった。それがさぞ面白いのか、クルス=サンティーモはその場でくるりと回りつつ、ヒラヒラのスカートを自然とめくらせてみる。スカートの奥からチラチラ見える女性用ショーツを見せつけられて、レオナルト=ヴィッダーの足はどんどん雲の中へ埋もれていく。
「だから、言ったじゃないですかァ。邪悪な心を捨てないとダメだってェ」
「てめえ、クルス! なら、可愛らしいお尻をチラチラ見せてくるんじゃねえよっ!」
レオナルト=ヴィッダーのおちんこさんの硬度が高まるのに比例するかのように、彼の足は雲の中に沈んでいく。今や太ももの半分近くにまで雲が達しているために、歩行が困難になってしまうレオナルト=ヴィッダーであった。そんな彼に助け舟を出すべく、右手を差し伸べたのがクルス=サンティーモであった。しかし、レオナルト=ヴィッダーはやられっぱなしなのは癪だと思い、クルス=サンティーモの右手を取ると見せかけて、自分の右手を一気に前へと突きだし、クルス=サンティーモが履いているスカートの中へと突っ込むのであった。
「だ、ダメですゥ! こんなところでぼくのおちんこさんを鷲掴みにしないでほしいのですゥ!!」
レオナルト=ヴィッダーがクルス=サンティーモのおちんこさんを捕らえたと同時に、クルス=サンティーモの両足はずぶずぶと雲の中へと埋もれていく。レオナルト=ヴィッダーはしてやったりという顔になりつつ、クルス=サンティーモのモノを手放す。
「俺を陥れようとしたら、クルス=サンティーモ。お前も一緒に天界から引きずり落としてやるからなっ!!」
「うゥ。ちょっとからかっただけなのに、レオン様は意地悪なのですゥ。そんなことしなくても、一緒に地獄に落ちる覚悟は出来ているのに……」
クルス=サンティーモが少し涙目になりながら、そうレオナルト=ヴィッダーに訴えかけてくる。レオナルト=ヴィッダーはさすがにやりすぎたと思い、反省の色をその顔に浮かべる。涙を瞳の奥にひっこめたクルス=サンティーモは気を取り直し、再び、レオナルト=ヴィッダーに右手を差し伸べる。今度はレオナルト=ヴィッダーも素直にクルス=サンティーモの右手を取り、雲の中から救い出してもらうこととなる。
不思議なことに、クルス=サンティーモと手を繋いでいると、レオナルト=ヴィッダーの足が雲に埋もれるのは、せいぜいくるぶしあたりまで止まってしまう。ヒトの純心さや邪悪な心は他人に感染しやすいというが、ここまで単純なことで、自分は眼に見えて、純心さを取り戻すモノなのか? と不思議な気持ちでいっぱいになってしまうレオナルト=ヴィッダーであった。
しかしながら、雲に足を捕らわれることも無くなり、レオナルト=ヴィッダーはまたもや前へ向かって、確実に歩を進めることが出来るようになる。そして、クルス=サンティーモの導きに従い続け、10分ほど雲の上を歩き、ついに石畳で出来たヴァルハラに足を踏み入れることに成功する。足裏が確かな感触を持つ石畳を踏みしめれたことで、レオナルト=ヴィッダーはようやく安堵することが出来た。
「ここまでで1時間程度しか経ってないんだろうけど、足元が不安なことが多かったせいか、その3倍も時間をかけたような気がするなあ……」
「ぼくの腹時計では、59分47秒で到達でしたね。走り抜ければ、3分の1の時間で通れるんですけど、レオン様は回廊を通るのは初めてだったので、ゆっくりめに進ませてもらったのですゥ」
レオナルト=ヴィッダーは本当かよとつい思ってしまう。岩と砂、そして石で出来た回廊はまるで迷路のように感じられた。クルス=サンティーモがあそこを走り抜ける姿をどうしても想像できないでいた。どちらかと言えば、クルス=サンティーモがあの迷路を走り抜けようとしたら、逆に迷路に迷い込む姿しか考えられない。それでもだ。レオナルト=ヴィッダーはクルス=サンティーモが自分に合わせて、ゆっくり進んでくれたことが正解な気がしてしまう……。
「やっと見えてきたのですゥ。あそこがぼくが育ったヴァルハラなのですゥ」
「ヴァルハラ? 桃源郷とはまた別なのか?」
レオナルト=ヴィッダーの疑問も当然であった。ヴァルハラは戦で勇敢に戦った戦士たちが戦乙女たちの手で死後に招かれる場所だという言い伝えがあり、桃源郷とは別の存在だと今まで思っていたからだ。しかしながら、クルス=サンティーモはどっちもどっちじゃないんですゥ? と言うので、言われてみれば、どちらも楽園と呼ばれているシロモノなので、レオナルト=ヴィッダーは納得する。
「なるほどなあ……。クルスが言うところの下界の考えと天界での分類をまとめれば、桃源郷はそのままヴァルハラになるわけだな……」
「難しいことはわかりませんけど、戦いに疲れた男たちが憩いの場を求めた時に、現れるのが桃源郷であり同時にヴァルハラなのですゥ。レオン様もあの時、癒しを求めたんですよね?」
クルス=サンティーモが言う『あの時』とは、レオナルト=ヴィッダーが2年間の兵役に就いていて、そして桃源郷に誘われた時のことを指している。レオナルト=ヴィッダーは『あの時』、確かに素戔嗚から呪力を引き出し続けていたことで、もう勘弁してほしいと思っていたことは確かであった。だが、だからといって、淫婦の天使たちにもみくちゃにされたいと思っていたかと言えば、はっきりとは断言できない。
「うーん。まあ、どうなんだろうな? どこかでゆっくりとベッドの上で寝たいとは思っていたかもしれないけど……」
「あれれ? あんまり乗り気じゃなかったんですゥ? おかしいですね? その程度の願いで桃源郷が姿を現すことはほとんど無いはずなんですけどォ……」
クルス=サンティーモは疑問符を顔に浮かべながら、首を傾げてみせる。しかし、考えたところで答えが出るはずもなく、答えが出ないことに対して、これ以上、考える時間も無駄だということで、クルス=サンティーモは雲で出来た草原に足を踏み入れる。レオナルト=ヴィッダーは彼の後を追うかのように雲の上に足を乗せる。その柔らかさと言えば、ふかふかの絨毯よりも柔らかく、足が雲を突き抜けてしまうのではないのか? という恐怖心に襲われることとなる。
「あんまり邪悪なことは考えないほうが良いのですゥ。雲の上を歩けるのは天使や純心さを忘れないヒトでないと無理だと言われているのですゥ」
「お、俺が邪悪!? そんなことは無いだろう!?」
「本当にそうですゥ?」
クルス=サンティーモは雲の上で軽快にステップしてみせる。自分はこんなに純心だという証明を見せつけてくるのだ。レオナルト=ヴィッダーは膝近くまで足が雲の中にうずもれており、クッ……と悔しさをにじませた声を漏らす他なかった。それがさぞ面白いのか、クルス=サンティーモはその場でくるりと回りつつ、ヒラヒラのスカートを自然とめくらせてみる。スカートの奥からチラチラ見える女性用ショーツを見せつけられて、レオナルト=ヴィッダーの足はどんどん雲の中へ埋もれていく。
「だから、言ったじゃないですかァ。邪悪な心を捨てないとダメだってェ」
「てめえ、クルス! なら、可愛らしいお尻をチラチラ見せてくるんじゃねえよっ!」
レオナルト=ヴィッダーのおちんこさんの硬度が高まるのに比例するかのように、彼の足は雲の中に沈んでいく。今や太ももの半分近くにまで雲が達しているために、歩行が困難になってしまうレオナルト=ヴィッダーであった。そんな彼に助け舟を出すべく、右手を差し伸べたのがクルス=サンティーモであった。しかし、レオナルト=ヴィッダーはやられっぱなしなのは癪だと思い、クルス=サンティーモの右手を取ると見せかけて、自分の右手を一気に前へと突きだし、クルス=サンティーモが履いているスカートの中へと突っ込むのであった。
「だ、ダメですゥ! こんなところでぼくのおちんこさんを鷲掴みにしないでほしいのですゥ!!」
レオナルト=ヴィッダーがクルス=サンティーモのおちんこさんを捕らえたと同時に、クルス=サンティーモの両足はずぶずぶと雲の中へと埋もれていく。レオナルト=ヴィッダーはしてやったりという顔になりつつ、クルス=サンティーモのモノを手放す。
「俺を陥れようとしたら、クルス=サンティーモ。お前も一緒に天界から引きずり落としてやるからなっ!!」
「うゥ。ちょっとからかっただけなのに、レオン様は意地悪なのですゥ。そんなことしなくても、一緒に地獄に落ちる覚悟は出来ているのに……」
クルス=サンティーモが少し涙目になりながら、そうレオナルト=ヴィッダーに訴えかけてくる。レオナルト=ヴィッダーはさすがにやりすぎたと思い、反省の色をその顔に浮かべる。涙を瞳の奥にひっこめたクルス=サンティーモは気を取り直し、再び、レオナルト=ヴィッダーに右手を差し伸べる。今度はレオナルト=ヴィッダーも素直にクルス=サンティーモの右手を取り、雲の中から救い出してもらうこととなる。
不思議なことに、クルス=サンティーモと手を繋いでいると、レオナルト=ヴィッダーの足が雲に埋もれるのは、せいぜいくるぶしあたりまで止まってしまう。ヒトの純心さや邪悪な心は他人に感染しやすいというが、ここまで単純なことで、自分は眼に見えて、純心さを取り戻すモノなのか? と不思議な気持ちでいっぱいになってしまうレオナルト=ヴィッダーであった。
しかしながら、雲に足を捕らわれることも無くなり、レオナルト=ヴィッダーはまたもや前へ向かって、確実に歩を進めることが出来るようになる。そして、クルス=サンティーモの導きに従い続け、10分ほど雲の上を歩き、ついに石畳で出来たヴァルハラに足を踏み入れることに成功する。足裏が確かな感触を持つ石畳を踏みしめれたことで、レオナルト=ヴィッダーはようやく安堵することが出来た。
「ここまでで1時間程度しか経ってないんだろうけど、足元が不安なことが多かったせいか、その3倍も時間をかけたような気がするなあ……」
「ぼくの腹時計では、59分47秒で到達でしたね。走り抜ければ、3分の1の時間で通れるんですけど、レオン様は回廊を通るのは初めてだったので、ゆっくりめに進ませてもらったのですゥ」
レオナルト=ヴィッダーは本当かよとつい思ってしまう。岩と砂、そして石で出来た回廊はまるで迷路のように感じられた。クルス=サンティーモがあそこを走り抜ける姿をどうしても想像できないでいた。どちらかと言えば、クルス=サンティーモがあの迷路を走り抜けようとしたら、逆に迷路に迷い込む姿しか考えられない。それでもだ。レオナルト=ヴィッダーはクルス=サンティーモが自分に合わせて、ゆっくり進んでくれたことが正解な気がしてしまう……。
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