【R18】俺は悪くねえ! ~愛しのお姫様が女騎士に変化しているのを知らずに後ろの穴を穿ってしまいました~

ももちく

文字の大きさ
74 / 261
第8章:地上の楽園

第3話:騎士道と戦士道

しおりを挟む
(散々に相手を挑発していたのも納得ね。エクレアは徹底的な防御からのカウンター攻撃に特化しているわけね)

 リリベル=ユーリィはやるわねという素直な感想を抱く。海色の魔術障壁マジック・バリアからハリネズミのように飛び出した太い棘により、串刺しになった青銅製の戦士B~Fが粉々に砕け散る。残された青銅製の戦士リーダーがグヌヌ……と唸っている。どう攻めて良いのかわかっていないという感じだ。同じ感想はリリベル=ユーリィも抱いている。こちらから攻撃すれば、反撃が確実に待っている。それがわかっている以上、手が出せなくなるのも当たり前の話だ。

「ふう……。魔術障壁マジック・バリアを張り続けるのはとっても疲れるのです~~~」

 攻めてこない相手に対して、エクレア=シューは海色の魔術障壁マジック・バリアを解いてしまう。なにやってんのよ! とついリリベル=ユーリィは怒鳴ってしまう。しかしながら、エクレア=シューはふうふうと荒い肩での呼吸を繰り返す。リリベル=ユーリィはエクレア=シューの弱点を自然と理解してしまう。相手の攻撃を防ぎ、さらにはカウンター攻撃を繰り出すあの魔術障壁マジック・バリアは魔力の消費がリリベル=ユーリィが思っている以上に激しいことを。そのため、短時間しか魔術障壁マジック・バリアを展開できないのだと。

「エクレア。交代する? 残りはリーダー格だけだし」

「出来ればお願いしたいのです~~~。実践で使うにはまだまだ練習と経験が足りなかったのです~~~」

 エクレア=シューがリリベル=ユーリィのほうに顔を向けながら、そう言う。しかし、それがいけなかった。青銅製の戦士リーダーもその機を逃すほど、バカではない。好機と見るや否や、エクレア=シューとの距離を詰め、その手に持つ青銅製の幅広直剣ブロードソードを両手で振り下ろす。

 リリベル=ユーリィは少しだけ青ざめるが、ぼよよ~~~んという音とともに青銅製の戦士リーダーがが振り下ろした幅広直剣ブロードソードは弾き返されることとなる。青銅製の戦士リーダーはグヌゥとまたもや唸ってしまう。エクレア=シューは完全に魔術障壁マジック・バリアを解いていたわけではなかった。厚みはほとんどないが、一撃を防げる程度には魔術障壁マジック・バリアを展開し続けていたのだ。

 しかしながら、魔術障壁マジック・バリアで衝撃を全て受け止められたわけでもなく、エクレア=シューもまた、重い一撃で吹き飛ばされ、リリベル=ユーリィに抱きかかえられることとなる。リリベル=ユーリィはゆっくり休んでいてとエクレア=シューに言う。エクレア=シューは額から鈍い汗を流しつつ、素直にコクリとリリベル=ユーリィに頷き返す。

「騎士風に振る舞っておきながら、視線を外すや否や、攻撃してくるなんて、なかなかに誇りを感じないわねっ!」

「フンッ! 戦いの場で悠長におしゃべりしているほうが悪イ。殺されなかっただけでもマシだと思エ!」

 リリベル=ユーリィは眼の前でふんぞり返る青銅製の戦士とは通じ合えないと思った。自分は騎士であり、相手は戦士だ。戦いの美学はそれぞれに違う。向こうは勝てば良いという雰囲気を青銅製の身体全体から匂わせている。リリベル=ユーリィは警戒心をおおいに膨らませながら、石畳の上に足を踏み入れる。それと同時に青銅製の戦士リーダーはニヤリと口の端を歪ませる。

「カカッタナッ! ワレの領域テリトリーに、無警戒に足を踏み入レタッ!」

 リリベル=ユーリィが石畳の闘技場の中央へと歩を進み続け、青銅製の戦士リーダーとの距離を縮める。するとだ、青銅製の戦士リーダーは碧玉サファイア色の魔力をその身体から噴き出す。すると、粉々になった青銅製の戦士A~Fの破片が舞い上がり、四方八方からリリベル=ユーリィに向かって飛んでいく。

 しかしながら、リリベル=ユーリィはふんっと面白くもなんともないと言った感じで鼻を鳴らす。リリベル=ユーリィは腰の左側に佩いた薔薇乙女の細剣ローズヴァージン・レイピアを抜き出すや否や、彼女の足元からつむじ風が天に向かって舞い上がる。そのつむじ風が自分に向かってくる青銅製の破片のことごとくを巻き上げる。そして、それだけで終わらずに、リリベル=ユーリィは破片群を青銅製の戦士リーダーに向かって、全てを投げ飛ばす。

 青銅製の戦士リーダーは破片群によって、その身をボロボロにされてしまう。グオオオ! と苦悶の声をあげて、その身を破片群で切り刻まれる。しかしながら、それでもファイティングポーズは解かずに、青銅製の幅広直剣ブロードソードをリリベル=ユーリィの頭頂部に向かって振り下ろす。リリベル=ユーリィはまたしてもふんっと面白くもなんともないといった感じで鼻を鳴らし、身体を少し横にスライドさせて、その重い一撃をかわしてしまう。

 そして、リリベル=ユーリィは青銅製の戦士リーダーのフトコロ深くに飛び込み、薔薇乙女の細剣ローズヴァージン・レイピアを縦横無尽に10回振り回し、青銅製の戦士リーダーを30分割以上にしてしまう。そして、宙を舞う青銅製の戦士リーダーの首級くびに向かって、まっすぐ薔薇乙女の細剣ローズヴァージン・レイピアの切っ先をぶっこみ、串刺しにしてしまう。

「騎士道を知らぬあなたがわたしに勝つなんて1000年早いわ。土に返って反省することね」

「ワレがここまで完膚無きにまで叩きのめされるトハ。フンッ。先に進むがヨイ。ワレがお前たちを認めヨ!?」

 穴が開いた首級くびだけとなったというのに減らず口を叩く青銅製の戦士リーダーであったが、決め台詞を吐くと同時にリリベル=ユーリィに足蹴にされてしまう。そして、そのままゴロンゴロンと石畳の闘技場の上を転がり回る。さらにはリリベル=ユーリィが薔薇乙女の細剣ローズヴァージン・レイピアを振り回し、青銅製の戦士リーダーの首級くびを4分割にしてしまう。

 さすがにここまでされると、青銅製の戦士リーダーもしゃべることが出来なくなり、リリベル=ユーリィはふぅ~~~と満足気に息を吐くこととなる。

「さて……と。門番というには物足りないけど、ちゃちゃっと倒しましたわ。先に進みましょ?」

「あ、ああ……。しかし、もう少し手加減して、情報を引き出してもよかった気がするけどな」

「騎士の誇りも持ち合わせていないような相手の情報なぞ、信用に値しません。こちらを混乱させるだけさせて、迷い道へと誘うだけだと思うの」

 リリベル=ユーリィは自分の主張を貫く。エクレア=シューが不意打ちで一撃を入れられた。それにより、リリベル=ユーリィは怒っていたのだ。それゆえにしゃべらす価値もないとばかりにリリベル=ユーリィは青銅製の戦士リーダーを散々に切り刻んだのであった……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...