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第8章:地上の楽園
第4話:アイリスの好きなモノ
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リリベル=ユーリィは戦闘が終わった後、エクレア=シューに近づき、どこか痛むところがないかと確認する。エクレア=シューは少しだけ荒い呼吸はしているが、身体自体には異常は見当たらなかった。リリベル=ユーリィはただの魔術酔いだと診断する。
あれだけの魔力を一度に放出したのだエクレア=シューは。しかも戦闘行為自体に慣れていない感じである。だからこそ、リリベル=ユーリィは魔術酔いしただけだと考えた。リリベル=ユーリィはよしよしとエクレア=シューの肩を両手で支え、もし歩くのがしんどいのであれば、豚ニンゲンのようなデーブ=オクボーンに背負ってもらえばいいわよと忠言する。
「いやです~~~。あたしが引っ付きたいのはレオ様なのです~~~。豚ニンゲンに身体を預けたら、豚ニンゲンに孕まされてしまうのです~~~」
「ちょっと待ってくれ、エクレアお嬢ちゃん。おいらは女相手に立たないってんだろっ! おいらは男の娘を孕ませる気は満々だが、女は無理。御免被るぜ!」
エクレア=シューは自分で文句をつけながらも、拒絶されることに憤慨している。そして、やれやれとばかりに男の娘への愛を説くデーブ=オクボーンに対して、ますます怒りの色を強める彼女であった。そんなふたりのやりとりを見て、がっくりと肩を落とすのがリリベル=ユーリィである。誰か自分以外にツッコミ役をやってほしいのだが、クルス=サンティーモがそんな役割など出来るはずもなく、レオときたら役目を振られたくないのか、自分と視線を合わせてこようともしない。
リリベル=ユーリィが視線を逸らし続けるレオに対して、ほっぺたをちょっとづつ膨らませていく。そんなリリベル=ユーリィに対して、レオナルト=ヴィッダーはボリボリと左手で頭を掻き、ようやくエクレア=シューとデーブ=オクボーンの仲を取り持つ動きを見せる。
(最初からそうしなさいよ。まったくレオはこういう時は巻き込まれないようにするのか、一歩退いちゃう悪い癖があるっ!)
リリベル=ユーリィは2年前から奥手ともみられるレオの態度にやきもきすることがあった。あの祭りの日にも、レオをデートに誘ったのは自分からであった。さすがに愛し合う宿に引き込んだのはレオであったが、それでもデート中の誘導はアイリスが主に担当した。だからこそ、もっと主導権を持って動いてほしいと思わざるをえないリリベル=ユーリィであった。
リリベル=ユーリィはムッとした顔つきのまま、右手で握りこぶしを作り、レオナルト=ヴィッダーが着こんでいる革製の部分鎧の上から、彼の脇腹をドスンと小突く。不意打ちを喰らったレオナルト=ヴィッダーは少しだけバランスを崩し、右腕にハメている前腕固定型杖に体重を預ける恰好となる。
何故にリリベル=ユーリィにそんな強めのツッコみをもらわなければならないのかと、レオナルト=ヴィッダーは不思議がることとなる。だが、顔を向けた先のリリベル=ユーリィはふんっ! 鼻息荒くしつつ、ぷいっと顔を横に背ける。レオナルト=ヴィッダーはまたしても左手でボリボリと頭を掻くしかなかった。
ひと悶着あったものの、レオナルト=ヴィッダー一行は歩みを進め、森の奥深くへ進んでいく。青銅製の戦士たちに足止めされた場所からさらに1時間進むと、開けた場所にたどり着く。そこには大き目の池があり、色とりどりの鳥たちが羽根を休めていた。レオナルト=ヴィッダーたちはその鳥たちを見つつ、ここらで一旦休憩する。
「レオン様が夜中に見たという朱鷺はあの水鳥たちの中にいるのです~~~?」
エクレア=シューが水筒の中の水をコップに注ぎ、それを皆に渡しながら、レオナルト=ヴィッダーにそう尋ねる。レオナルト=ヴィッダーは目を細めながら、水鳥たちを睨んでみるが、昨夜見たような見事な緋色が走る鳥を見つけることは出来なかった。エクレア=シューはがっかりといった感じで肩を落とす。
「朱鷺って、伝承では田んぼや畑で餌を取るって聞いたことがありますから~~~、こういった池にも現れるとおもうんですけど~~~」
「そうなのか? 俺は朱鷺についてはあまりわからない。水鳥の一種だとしか」
エクレア=シューは驚いたといった表情でレオナルト=ヴィッダーの言葉を聞くこととなる。自分で朱鷺を探し求めておきながら、それについての詳しい情報を仕入れていないのか? と問い詰めたくなってしまう。しかしながら、顔は言葉以上に物を言うという言葉通りに、エクレア=シューが考えていることがレオナルト=ヴィッダーに伝わってしまうこととなる。
レオナルト=ヴィッダーはゴホンと一度、咳払いをし
「俺はアイリスのことなら、どんなことでも知りたいと思うし、調べたいと思う。だから他に興味を持つことが難しい性格なんだ」
「ふ~~~ん。じゃあ、レオ。アイリス様の好きなものが何か知っているの?」
リリベル=ユーリィはレオに意地悪な質問をしてみる。もちろん、リリベル=ユーリィはアイリス=クレープス自身であり、アイリス=クレープスが好きなものが何であるかは当然知っている。レオがちゃんと自分が言った言葉を覚えているかどうかを確認するためにも、リリベル=ユーリィはレオに聞いてみたのだ。
「アイリスは俺と一緒に見た景色、食べた物、聞いた音楽全てが好きだと言っていた。だから、俺は今更に思うんだ。アイリスは俺のことがとっても好きなんだって」
レオナルト=ヴィッダーは惚気話であることを承知でリリベル=ユーリィに砕けた顔で言ってみせる。リリベル=ユーリィは固まってしまうしかなかった。鈍感なレオならばもっと限定的な物を言ってくるであろうと予想していたのに、リリベル=ユーリィが一番言ってほしいことをそのままに言ってくれたからだ。
「これは一本取られたのです~~~。なかなかにアイリス様とレオン様の中に割って入るのは難しいことはわかったのです~~~」
「ぼ、ぼくは最初からレオン様の第二夫人を狙っていますので、ど、動揺なんかしていないのですゥ!!」
「ウェーハハッ! レオン、おめえ、よっぽどアイリス様が好きなんだな? 相思相愛すぎるだろうよっ!!」
皆がレオナルト=ヴィッダーとアイリス=クレープスの仲の良さ、深さにうっとりしつつも嫉妬せざるをえなかった。その中でもリリベル=ユーリィは一番に動揺してしまい、何も言えずじまいとなってしまう。そんな彼女に対して、レオナルト=ヴィッダーは彼女の紫金剛石の髪の毛の頂点部分をポンポンと叩き
「昨夜のことを忘れろなんて都合の良いことは言う気はない。けど、俺にはアイリスがいつでも一番ってことだけは忘れないでおいてくれ……」
リリベル=ユーリィはレオの言葉に喜んでいいのか、悲しんでいいのか、泣いていいのか、わからずじまいであった。リリベル=ユーリィはアイリス=クレープス本人である。だが、例え、意識を素戔嗚に乗っ取られたと言えども、昨晩、リリベル=ユーリィが豚のような声をあげつつ尻穴で感じてイッテしまう雌豚にしたのはレオナルト=ヴィッダーであることは変わらない事実だった……。
(レオはずるい……。わたしのことをそんなに思っているくせに、わたしをお尻の穴で絶頂しちゃ変態にしたのは許せないっ)
あれだけの魔力を一度に放出したのだエクレア=シューは。しかも戦闘行為自体に慣れていない感じである。だからこそ、リリベル=ユーリィは魔術酔いしただけだと考えた。リリベル=ユーリィはよしよしとエクレア=シューの肩を両手で支え、もし歩くのがしんどいのであれば、豚ニンゲンのようなデーブ=オクボーンに背負ってもらえばいいわよと忠言する。
「いやです~~~。あたしが引っ付きたいのはレオ様なのです~~~。豚ニンゲンに身体を預けたら、豚ニンゲンに孕まされてしまうのです~~~」
「ちょっと待ってくれ、エクレアお嬢ちゃん。おいらは女相手に立たないってんだろっ! おいらは男の娘を孕ませる気は満々だが、女は無理。御免被るぜ!」
エクレア=シューは自分で文句をつけながらも、拒絶されることに憤慨している。そして、やれやれとばかりに男の娘への愛を説くデーブ=オクボーンに対して、ますます怒りの色を強める彼女であった。そんなふたりのやりとりを見て、がっくりと肩を落とすのがリリベル=ユーリィである。誰か自分以外にツッコミ役をやってほしいのだが、クルス=サンティーモがそんな役割など出来るはずもなく、レオときたら役目を振られたくないのか、自分と視線を合わせてこようともしない。
リリベル=ユーリィが視線を逸らし続けるレオに対して、ほっぺたをちょっとづつ膨らませていく。そんなリリベル=ユーリィに対して、レオナルト=ヴィッダーはボリボリと左手で頭を掻き、ようやくエクレア=シューとデーブ=オクボーンの仲を取り持つ動きを見せる。
(最初からそうしなさいよ。まったくレオはこういう時は巻き込まれないようにするのか、一歩退いちゃう悪い癖があるっ!)
リリベル=ユーリィは2年前から奥手ともみられるレオの態度にやきもきすることがあった。あの祭りの日にも、レオをデートに誘ったのは自分からであった。さすがに愛し合う宿に引き込んだのはレオであったが、それでもデート中の誘導はアイリスが主に担当した。だからこそ、もっと主導権を持って動いてほしいと思わざるをえないリリベル=ユーリィであった。
リリベル=ユーリィはムッとした顔つきのまま、右手で握りこぶしを作り、レオナルト=ヴィッダーが着こんでいる革製の部分鎧の上から、彼の脇腹をドスンと小突く。不意打ちを喰らったレオナルト=ヴィッダーは少しだけバランスを崩し、右腕にハメている前腕固定型杖に体重を預ける恰好となる。
何故にリリベル=ユーリィにそんな強めのツッコみをもらわなければならないのかと、レオナルト=ヴィッダーは不思議がることとなる。だが、顔を向けた先のリリベル=ユーリィはふんっ! 鼻息荒くしつつ、ぷいっと顔を横に背ける。レオナルト=ヴィッダーはまたしても左手でボリボリと頭を掻くしかなかった。
ひと悶着あったものの、レオナルト=ヴィッダー一行は歩みを進め、森の奥深くへ進んでいく。青銅製の戦士たちに足止めされた場所からさらに1時間進むと、開けた場所にたどり着く。そこには大き目の池があり、色とりどりの鳥たちが羽根を休めていた。レオナルト=ヴィッダーたちはその鳥たちを見つつ、ここらで一旦休憩する。
「レオン様が夜中に見たという朱鷺はあの水鳥たちの中にいるのです~~~?」
エクレア=シューが水筒の中の水をコップに注ぎ、それを皆に渡しながら、レオナルト=ヴィッダーにそう尋ねる。レオナルト=ヴィッダーは目を細めながら、水鳥たちを睨んでみるが、昨夜見たような見事な緋色が走る鳥を見つけることは出来なかった。エクレア=シューはがっかりといった感じで肩を落とす。
「朱鷺って、伝承では田んぼや畑で餌を取るって聞いたことがありますから~~~、こういった池にも現れるとおもうんですけど~~~」
「そうなのか? 俺は朱鷺についてはあまりわからない。水鳥の一種だとしか」
エクレア=シューは驚いたといった表情でレオナルト=ヴィッダーの言葉を聞くこととなる。自分で朱鷺を探し求めておきながら、それについての詳しい情報を仕入れていないのか? と問い詰めたくなってしまう。しかしながら、顔は言葉以上に物を言うという言葉通りに、エクレア=シューが考えていることがレオナルト=ヴィッダーに伝わってしまうこととなる。
レオナルト=ヴィッダーはゴホンと一度、咳払いをし
「俺はアイリスのことなら、どんなことでも知りたいと思うし、調べたいと思う。だから他に興味を持つことが難しい性格なんだ」
「ふ~~~ん。じゃあ、レオ。アイリス様の好きなものが何か知っているの?」
リリベル=ユーリィはレオに意地悪な質問をしてみる。もちろん、リリベル=ユーリィはアイリス=クレープス自身であり、アイリス=クレープスが好きなものが何であるかは当然知っている。レオがちゃんと自分が言った言葉を覚えているかどうかを確認するためにも、リリベル=ユーリィはレオに聞いてみたのだ。
「アイリスは俺と一緒に見た景色、食べた物、聞いた音楽全てが好きだと言っていた。だから、俺は今更に思うんだ。アイリスは俺のことがとっても好きなんだって」
レオナルト=ヴィッダーは惚気話であることを承知でリリベル=ユーリィに砕けた顔で言ってみせる。リリベル=ユーリィは固まってしまうしかなかった。鈍感なレオならばもっと限定的な物を言ってくるであろうと予想していたのに、リリベル=ユーリィが一番言ってほしいことをそのままに言ってくれたからだ。
「これは一本取られたのです~~~。なかなかにアイリス様とレオン様の中に割って入るのは難しいことはわかったのです~~~」
「ぼ、ぼくは最初からレオン様の第二夫人を狙っていますので、ど、動揺なんかしていないのですゥ!!」
「ウェーハハッ! レオン、おめえ、よっぽどアイリス様が好きなんだな? 相思相愛すぎるだろうよっ!!」
皆がレオナルト=ヴィッダーとアイリス=クレープスの仲の良さ、深さにうっとりしつつも嫉妬せざるをえなかった。その中でもリリベル=ユーリィは一番に動揺してしまい、何も言えずじまいとなってしまう。そんな彼女に対して、レオナルト=ヴィッダーは彼女の紫金剛石の髪の毛の頂点部分をポンポンと叩き
「昨夜のことを忘れろなんて都合の良いことは言う気はない。けど、俺にはアイリスがいつでも一番ってことだけは忘れないでおいてくれ……」
リリベル=ユーリィはレオの言葉に喜んでいいのか、悲しんでいいのか、泣いていいのか、わからずじまいであった。リリベル=ユーリィはアイリス=クレープス本人である。だが、例え、意識を素戔嗚に乗っ取られたと言えども、昨晩、リリベル=ユーリィが豚のような声をあげつつ尻穴で感じてイッテしまう雌豚にしたのはレオナルト=ヴィッダーであることは変わらない事実だった……。
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