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第15章:愛を知らぬ男

第9話:力尽きるレオナルト

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 リリベル=ユーリィの言う通り、クルス=サンティーモとマリア=アコナイトは幌付き荷馬車の近くで、デーブ=オクボーンと共に泣いていた。彼女らがいる地点から100ミャートルほど離れた場所にレオナルト=ヴィッダーたちが見えた。しかし、泣き崩れているために、レオナルト=ヴィッダーのところに行くことが出来ないクルス=サンティーモたちであった。

「良かったのですゥ。本当に良かったのですゥ。レオン様が生きているのですゥ」

「うえええん。あちきはまた大事なヒトを失くしてしまうのかと思ってしまったのですニャン。レオン様が生きていてくれて、本当に嬉しいのですニャン。うえええん」

「本当にレオンのバカには金輪際、無理をするんじゃねえって、叱り飛ばさなきゃならねえなっ! あいつはこんなに大事に思ってくれる仲間がいるってのに、それを無碍にしまくりだぜっ!!」」

 クルス=サンティーモ、マリア=アコナイト、デーブ=オクボーンが肩を寄せ合い、わんわんと泣いていた。自分たちが助かるよりも、レオナルト=ヴィッダーに生きてほしいと願うのは、誰しもが同じであった。レオナルト=ヴィッダーの徒党パーティにおいて、レオナルト=ヴィッダーが筋金の役割を果たしており、彼がいなければ、この徒党パーティは崩壊してしまうであろう。

 しかし、実際はそうではない。。この徒党パーティは誰一人とて欠けてもいけないのである。レオナルト=ヴィッダーは皆を愛しているし、皆もレオナルト=ヴィッダーを愛している。人類皆穴兄妹のその言葉通りを実践しているレオナルト=ヴィッダーの徒党パーティなのである。

「チュッチュッチュッ。よくぞ、この危機を脱したものでッチュウ。今度ばかりはレオンのアホもあっち側に持っていかれると思っていたでッチュウけど、存外粘りやがるのでッチュウ。ほれ、泣いてばかりいないで、レオンを迎えに行くでッチュウ」

 蝙蝠羽付きの白いネズミが幌付き馬車の幌の上から、泣きじゃくっている蒼髪オカッパの男の娘の頭の上に乗り、ペシペシと前足で叩く。クルス=サンティーモは両目をゴシゴシと腕先で拭うと、はいっ! と元気に返事をし、皆でレオナルト=ヴィッダーの下へと駆け足で向かっていく。

「クルス、マリア、デーブ。心配をかけてすまなかった……。神は俺に試練を与えはしたが、俺はまだ現世で踏みとどまれている」

「そりゃよかったな、レオン! さあ、荷馬車の荷台で寝っ転がってもらうぜっ! 肩を貸そうか? それともお姫様抱っこが良いか?」

「ハハ……。おんぶに抱っこでお願いしたいぜ。お姫様抱っこだと、そのまま、俺の尻を掘るつもりだろ?」

「ばっかやろう! おいらはてめえの尻穴を狙っていた時期はあるが、今はこれっぽちもねえぞぅ!」

 冗談に冗談で返してくるレオナルト=ヴィッダーに心底、安堵するデーブ=オクボーンであった。デーブ=オクボーンは彼の要望通り、レオナルト=ヴィッダーに対して、尻を向け、乗ってくれと催促する。地面でへたりこんでいるレオナルト=ヴィッダーをクルス=サンティーモ、マリア=アコナイトが彼の身体を支えながら、デーブ=オクボーンの背中へと乗せる。

「デーブの背中は広いな……。まるで親父のような背中……だ」

 レオナルト=ヴィッダーは一旦、体重をデーブ=オクボーンの背中に預けたが、身体から急速に力が抜けていく。デーブ=オクボーンの肩に回していた両腕が痺れるような感触に襲われて、レオナルト=ヴィッダーは横倒れにデーブ=オクボーンの背中からずり落ちてしまう。

 皆に動揺が走る。乾いた地面に斜めから倒れ込んだレオナルト=ヴィッダーの呼吸をすぐさま確認するリリベル=ユーリィとエクレア=シューであった。

「大丈夫。極度の疲労で気絶するように眠ってしまっただけみたい。デーブ。やっぱりお姫様抱っこでレオを荷台に運んでちょうだい」

「まったく、レオン様はあたしたちに心配かけてばかりなのです~~~。一瞬、本当に天の国へ召されたのかと思っちゃったのです~~~」

 リリベル=ユーリィとエクレア=シューはレオナルト=ヴィッダーが弱弱しいがしっかりと呼吸をしていることを確認する。それからデーブ=オクボーンにそっと荷台に運んでもらうように注文をつける。さらにはクルス=サンティーモにいつものように緋喰い鳥の羽根をベッドのシーツ代わりにするようにと促す。

 深い眠りに落ちたレオナルト=ヴィッダーは皆の介護を受けて、幌付き馬車の荷台に運ばれ、藁のベッドの上で昏睡する。レオナルト=ヴィッダーが次に眼を覚ましたのは、ジルバ=フリューゲルと激しい戦いを繰り広げた4日後の昼であった。

「おはよう、レオ。よく眠れた?」

「ううん……。アイリス……。じゃなかった、リリベル。俺はどれほど眠っていたんだ?」

「三日三晩、眠っていたわ。レオが眠っている間にジカーゴにまで運ばせてもらったわよ」

 レオナルト=ヴィッダーは産まれたままの姿であるリリベル=ユーリィに現状報告を受ける。レオナルト=ヴィッダー一行はあの後、のろのろと幌付き荷馬車を北へと進めて、半日後にはミシガン王国の首都であるジカーゴの中心部までやってきた。そして、そこで徒党パーティ一行がまるごと寝泊まりできるほどの宿屋に入る。

 レオナルト=ヴィッダーは血を失いすぎたために、低体温症の症状を発しており、4人娘が交代でレオナルト=ヴィッダーの身体を温めておくようにとコッシロー=ネヅが指示を出す。最初はマリア=アコナイトが。次にクルス=サンティーモが。続けてエクレア=シューが。そして、リリベル=ユーリィがレオナルト=ヴィッダーの身体を抱き枕のように抱いている最中に彼が目覚めたのである。

「リリベル。ありがたいのはありがたいけど……。俺のおちんこさんが立っちまう……」

「うぅ……。レオが目覚めたのを見たと同時に、わたしのあそこが大洪水になっちゃったの……。わたしが悪いわけじゃない。レオが悪い……」

 リリベル=ユーリィがレオナルト=ヴィッダーの身体に両腕、両足を絡めて、レオの身体に熱を与えていた。しかしながら、レオナルト=ヴィッダーは目覚めると同時に、脳へと飛び込んできたリリベル=ユーリィの柔らかさが原因で、レオナルトの身体の奥底から熱がよみがえる。

 身体がぽかぽかとしてきたのと同時に、太ももに粘り気の強いリリベル=ユーリィの愛液がねっとりと擦り付けられてしまう。そんなことをされて、おちんこさんが起き上がらない男が果たして存在するのだろうか? いや、男は皆、おちんこさんがスタンディングオベーションして当然である。

リリベル=ユーリィは下腹にレオナルト=ヴィッダーの硬いながらもしなやかなおちんこさんを感じ、もっと自分の身体にこすりつけるように身体をもぞもぞとさせる。

「レオ……。して? レオのが欲しい……」
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