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第18章:紅玉眼の蒼き竜
第7話:逆鱗
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リリベル=ユーリィは突き刺した薔薇乙女の細剣を肉の中で捻じり、傷穴を無理やりに広げる。そして、抜きざまにさらに斜め十字に切り開き、紅玉眼の蒼き竜の額の古傷を開く。
リリベル=ユーリィは性的な興奮を含むハアハア……と熱い吐息を吐き、オープン型フルフェイス兜に覆い隠されている顔はとろけきっていた。これで愛しのレオにお仕置き棒で尻穴を折檻してもらえると思ったからだ。そう思えば思うほど、前の穴からは潮が噴き出し、リリベル=ユーリィたちを護る『潮の結界』は強固になっていく。
「キサマら! 許さぬゾオオオ!」
紅玉眼の蒼き竜は額に纏わりつく小バエを振り払おうと頭を上下左右に振るが、それでもリリベル=ユーリィたちは、額に張り付いたままである。もっと強烈な一撃を与えようと、リリベル=ユーリィとクルス=サンティーモは奮戦し続けた。2度、3度と、紅玉眼の蒼き竜が前足で纏わりつく小バエを払おうとするが、その超重量の塊をかいくぐり、リリベル=ユーリィたちは絶対に紅玉眼の蒼き竜から距離を開けようとはしなかった。
ついに紅玉眼の蒼き竜の怒りは頂点へと達する。紅玉眼の蒼き竜の額部分の蒼い鱗が逆立ち、瞬く間に白い霜がその鱗群に降りる。紅玉眼の蒼き竜の逆鱗が氷で覆われることで、強度が増す。その凶悪な氷の逆鱗が次々と発射され、『潮の結界』に包み込まれているリリベル=ユーリィたちを穿とうとする。
氷の逆鱗が潮の結界の表面に当たるや否や、真っ赤な火花がバチバチと起こる。リリベル=ユーリィはそれでもとろけた表情を止めないでいた。氷の逆鱗が雨あられのように潮の結界を穿つ。ついに幾千のガラスが一斉に割れる音が奏でられ、リリベル=ユーリィたちを護るモノは何もなくなってしまう。
「リリベルっっっ!!」
レオナルト=ヴィッダーはリリベル=ユーリィの名を呼ぶが、彼女の耳にはレオナルト=ヴィッダーの声は聞こえていなかった。うっとりとした表情で目前に迫ってきている氷の逆鱗を見つめていた。そして、刹那の時が流れる。リリベル=ユーリィは右手で持っている薔薇乙女の細剣を上下左右に振り回し、自分の身に迫りくる氷の逆鱗群を打ち落しにかかる。
氷の逆鱗1枚に対して、100連撃を畳み込む。1枚目を破砕すると、続けて2枚目の氷の逆鱗が飛んでくる。それに続けざまに100連撃を叩きこんだリリベル=ユーリィは、3枚目の氷の逆鱗に足を乗せて、さらに上空へと跳躍する。
紅玉眼の蒼き竜は氷の逆鱗を細切れにされたことで、眼の前がホワイトアウトする。小癪ナ! と思いながら、白い霞の向こう側にかすかに見えた紅い天使に向かって、首級を上に振りあげつつ、氷の逆鱗群を再び発射する。
リリベル=ユーリィはクルス=サンティーモの子宝袋と竿を交互に掴む。リリベル=ユーリィからの指示を受けたクルス=サンティーモは背中のピンク色の天使の羽根を羽ばたかせ、自分たちに氷の逆鱗群が当たらないように回避行動に出る。
しかしながら、回避行動といっても、紅玉眼の蒼き竜から距離を開けるわけではない。一定の距離を保ったまま、いつでも彼奴に攻撃を加えられる位置を保ち続けた。それを嫌ったのが紅玉眼の蒼き竜であった。相手が距離を開けずに機を伺っているのは自明の理であり、紅玉眼の蒼き竜の表情は苦々しいモノとなってしまっている。
ここで、前足で叩き落とそうとすれば、その前足をかいくぐり、またしても古傷を抉ってくることもわかりきっていた。だからこそ、紅玉眼の蒼き竜は右の前足を後ろから前へと大きく振りかぶった。超重量のソレは冷え切った空気を振動させ、摩擦熱を起こさせる。大気が大きく震え、その振動がリリベル=ユーリィたちの身体を打つ。
リリベル=ユーリィたちは全身が金縛りにあったかのように、その場から動けなくなってしまう。大気自体が振動しているために、クルス=サンティーモがピンク色の天使の羽根で風をとらえきれなくなってしまっていたからだ。竜の拳が冷えた空気を突き破り、音の壁すらも突き破る。ボンッ! ボンッ! ボンッ! と空気の壁を突き破るたびに、紅玉眼の蒼き竜が放った右のストレートは加速していく。
リリベル=ユーリィは潮の結界の中でくるりと身体を上下逆に反転させて、潮の結界の内側を両足で蹴り飛ばす。そうすることで、迫りくる脅威から逃れてみせる。だが、紅玉眼の蒼き竜はニヤリと口の端を歪ませる。竜の拳を避けられることなど、百も承知だったのだ、彼奴は。
紅玉眼の蒼き竜は突き伸ばした右の前足の下側に回り込んだリリベル=ユーリィたちに向かって、その右の前足の表面から氷の逆鱗群を放つ。連続攻撃により、リリベル=ユーリィは潮の結界を強固にする前に、その潮の結界を破砕されてしまう。
衝撃により、リリベル=ユーリィたちはきりもみ状態で地表へと真っ逆さまに堕ちていく。彼女たちがそう望んだように、リリベル=ユーリィたちは地獄へと一直線に向かっていく。
(フンッ……。うるさい小バエの一匹をようやく片付けレタ……。あとは黒い獣を……!?)
地表へと猛スピードで落下していく紅の天使が突然、何かにぶつかったかのように空中で跳ね上がったのだ。いや、跳ね上がったというよりかは、弾き飛ばされてどこか別の場所へとすっ飛んでいく。その軌道があまりにもおかしすぎたため、紅玉眼の蒼き竜は紅い双月を細めることとなる。
紅玉眼の蒼き竜は思った。紅い天使は何にぶつかったのかと? 通常、空中をあれほどの速度で落ちていきながら、いきなり、怪しげな軌道を取ることは出来ない。落ちていく最中に何かしらのアクシデントが起きたと考えるのが筋である。
「いてぇッス! 何なんッスか!? なんか頭にぶち当たったッスよ!?」
「あ~~~。リリベル様たちがシロちゃんの頭にぶち当たって、どこかにすっ飛んで行ったのです~~~。これは謝罪と賠償を請求されちゃうのです~~~」
「謝罪と賠償はこっちが請求したいくらいッス! なんで、上から物が落ちてくるんっス!?」
リリベル=ユーリィは性的な興奮を含むハアハア……と熱い吐息を吐き、オープン型フルフェイス兜に覆い隠されている顔はとろけきっていた。これで愛しのレオにお仕置き棒で尻穴を折檻してもらえると思ったからだ。そう思えば思うほど、前の穴からは潮が噴き出し、リリベル=ユーリィたちを護る『潮の結界』は強固になっていく。
「キサマら! 許さぬゾオオオ!」
紅玉眼の蒼き竜は額に纏わりつく小バエを振り払おうと頭を上下左右に振るが、それでもリリベル=ユーリィたちは、額に張り付いたままである。もっと強烈な一撃を与えようと、リリベル=ユーリィとクルス=サンティーモは奮戦し続けた。2度、3度と、紅玉眼の蒼き竜が前足で纏わりつく小バエを払おうとするが、その超重量の塊をかいくぐり、リリベル=ユーリィたちは絶対に紅玉眼の蒼き竜から距離を開けようとはしなかった。
ついに紅玉眼の蒼き竜の怒りは頂点へと達する。紅玉眼の蒼き竜の額部分の蒼い鱗が逆立ち、瞬く間に白い霜がその鱗群に降りる。紅玉眼の蒼き竜の逆鱗が氷で覆われることで、強度が増す。その凶悪な氷の逆鱗が次々と発射され、『潮の結界』に包み込まれているリリベル=ユーリィたちを穿とうとする。
氷の逆鱗が潮の結界の表面に当たるや否や、真っ赤な火花がバチバチと起こる。リリベル=ユーリィはそれでもとろけた表情を止めないでいた。氷の逆鱗が雨あられのように潮の結界を穿つ。ついに幾千のガラスが一斉に割れる音が奏でられ、リリベル=ユーリィたちを護るモノは何もなくなってしまう。
「リリベルっっっ!!」
レオナルト=ヴィッダーはリリベル=ユーリィの名を呼ぶが、彼女の耳にはレオナルト=ヴィッダーの声は聞こえていなかった。うっとりとした表情で目前に迫ってきている氷の逆鱗を見つめていた。そして、刹那の時が流れる。リリベル=ユーリィは右手で持っている薔薇乙女の細剣を上下左右に振り回し、自分の身に迫りくる氷の逆鱗群を打ち落しにかかる。
氷の逆鱗1枚に対して、100連撃を畳み込む。1枚目を破砕すると、続けて2枚目の氷の逆鱗が飛んでくる。それに続けざまに100連撃を叩きこんだリリベル=ユーリィは、3枚目の氷の逆鱗に足を乗せて、さらに上空へと跳躍する。
紅玉眼の蒼き竜は氷の逆鱗を細切れにされたことで、眼の前がホワイトアウトする。小癪ナ! と思いながら、白い霞の向こう側にかすかに見えた紅い天使に向かって、首級を上に振りあげつつ、氷の逆鱗群を再び発射する。
リリベル=ユーリィはクルス=サンティーモの子宝袋と竿を交互に掴む。リリベル=ユーリィからの指示を受けたクルス=サンティーモは背中のピンク色の天使の羽根を羽ばたかせ、自分たちに氷の逆鱗群が当たらないように回避行動に出る。
しかしながら、回避行動といっても、紅玉眼の蒼き竜から距離を開けるわけではない。一定の距離を保ったまま、いつでも彼奴に攻撃を加えられる位置を保ち続けた。それを嫌ったのが紅玉眼の蒼き竜であった。相手が距離を開けずに機を伺っているのは自明の理であり、紅玉眼の蒼き竜の表情は苦々しいモノとなってしまっている。
ここで、前足で叩き落とそうとすれば、その前足をかいくぐり、またしても古傷を抉ってくることもわかりきっていた。だからこそ、紅玉眼の蒼き竜は右の前足を後ろから前へと大きく振りかぶった。超重量のソレは冷え切った空気を振動させ、摩擦熱を起こさせる。大気が大きく震え、その振動がリリベル=ユーリィたちの身体を打つ。
リリベル=ユーリィたちは全身が金縛りにあったかのように、その場から動けなくなってしまう。大気自体が振動しているために、クルス=サンティーモがピンク色の天使の羽根で風をとらえきれなくなってしまっていたからだ。竜の拳が冷えた空気を突き破り、音の壁すらも突き破る。ボンッ! ボンッ! ボンッ! と空気の壁を突き破るたびに、紅玉眼の蒼き竜が放った右のストレートは加速していく。
リリベル=ユーリィは潮の結界の中でくるりと身体を上下逆に反転させて、潮の結界の内側を両足で蹴り飛ばす。そうすることで、迫りくる脅威から逃れてみせる。だが、紅玉眼の蒼き竜はニヤリと口の端を歪ませる。竜の拳を避けられることなど、百も承知だったのだ、彼奴は。
紅玉眼の蒼き竜は突き伸ばした右の前足の下側に回り込んだリリベル=ユーリィたちに向かって、その右の前足の表面から氷の逆鱗群を放つ。連続攻撃により、リリベル=ユーリィは潮の結界を強固にする前に、その潮の結界を破砕されてしまう。
衝撃により、リリベル=ユーリィたちはきりもみ状態で地表へと真っ逆さまに堕ちていく。彼女たちがそう望んだように、リリベル=ユーリィたちは地獄へと一直線に向かっていく。
(フンッ……。うるさい小バエの一匹をようやく片付けレタ……。あとは黒い獣を……!?)
地表へと猛スピードで落下していく紅の天使が突然、何かにぶつかったかのように空中で跳ね上がったのだ。いや、跳ね上がったというよりかは、弾き飛ばされてどこか別の場所へとすっ飛んでいく。その軌道があまりにもおかしすぎたため、紅玉眼の蒼き竜は紅い双月を細めることとなる。
紅玉眼の蒼き竜は思った。紅い天使は何にぶつかったのかと? 通常、空中をあれほどの速度で落ちていきながら、いきなり、怪しげな軌道を取ることは出来ない。落ちていく最中に何かしらのアクシデントが起きたと考えるのが筋である。
「いてぇッス! 何なんッスか!? なんか頭にぶち当たったッスよ!?」
「あ~~~。リリベル様たちがシロちゃんの頭にぶち当たって、どこかにすっ飛んで行ったのです~~~。これは謝罪と賠償を請求されちゃうのです~~~」
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