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第18章:紅玉眼の蒼き竜
第8話:獣皇が駆ける
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リリベル=ユーリィたちが落下軌道を大きく変えた原因は、『白銀の獣皇』こと、シロちゃんの顔面にぶち当たったからであった。リリベル=ユーリィたちが運の良かったことと言えば、白銀の獣皇は白くて長い毛で全身が覆われており、もふもふだったからであろう。当たった先が、マリア=アコナイトの絶壁洗濯板だったら、どちらも大怪我をしていたに違いない。
「なんか失礼なことを言われた気がするニャン……。あたいはクルスよりかは胸があると思っているニャン!」
「俺っちはマリアちゃんのぺったん胸に蜂蜜とバターを塗りたくって、ベロンベロン舐め回したいって思うくらいに、マリアちゃんの胸のサイズが大好物ッス。だから、マリアちゃんは胸を張って良いッス。無い胸ッスけどっ!!」
「チュッチュッチュ。誰が上手いこと言えといったッチュウ。あ~あ~。リリベルがどこかにすっ飛んでさらに落ちていくッチュウ。まあ、レオンがどうにかするだろうッチュウ」
コッシロー=ネヅは紅い天使がさらにきりもみ状態になりながら、明後日の方向へすっ飛んでいくのを見ていた。そんな彼女たちに向かって、黒い獣が何もない空中を蹴り飛ばしながら、近づいていくのを視認できる。リリベル=ユーリィたちのことはレオナルト=ヴィッダーに任せておけば良いと思ったコッシロー=ネヅは、『白銀の獣皇』こと、シロちゃんに上昇するように言う。
「ふ~~~ん、アレが素戔嗚の呪力に飲み込まれたレオンっちッスか。コッシローっち。あんたも大概ッスね。まだアレに一矢報いる気持ちは変わらないんッスか?」
「当然でッチュウ。男前の僕をこんな畜生の身に変えたアレを許しておけるわけがないでッチュウ。そんな話よりも、まずは眼の前の脅威を排除するでッチュウ。無駄話なんかしている余裕はこれっぽっちも無いでッチュウよっ!!」
話をはぐらかされたと思ったシロちゃんであったが、うっし! と気合を入れ直し、眼の前に広がる蒼き山の頂上へと向かって、何もない空中を駆けあがっていく。彼はミシガン王国の守護獣だ。そのミシガン王国の首都であるジカーゴを半壊させた存在を許せるわけがない。
シロちゃんは真っ黒な双眸にギラギラとした紅い炎を宿らせる。そうすることで、黒金剛石の双眸は紅玉のように輝き始め、同時に前歯の犬歯が太く鋭いモノに変わっていく。
「紅玉眼の蒼き竜の野郎、喉笛を噛み千切ってやるッス!」
「フンッ。やっと来たカ……。さあ、我にお前の神力を寄こセッ! 老いぼれに成り下がりながらも、竜皇の座を明け渡そうとしない雷帝を屠ってヤル!!」
白銀の獣皇が紅玉のように紅く輝く双眸で、下から紅玉眼の蒼き竜を睨みつけると、彼奴は赤より紅い双月で睨み返す。彼らの視線が交差すると同時に、目力が火花を起こし、空中に亀裂が走る。しかし、その亀裂の中へと白銀の獣皇は迷いなく突っ込む。
空気が目力で割れることにより、真っ黒な空間が出来上がるが、その中に入っても、白銀の獣皇は駆けに駆けた。そして、白銀の獣皇も空気の壁を突き破り、ボンッ! ボンッ! ボンッ! と轟音を奏でる。その空気を突き破る音が鼓膜に突き刺さり、エクレア=シューとマリア=アコナイトは顔を歪ませることとなる。
「へへっ……。お嬢様方、少々荒い運転になるッスけど、決して、振り落とされないようにしておくッス!!」
白銀の獣皇の周りには彼自身が神力を用いて創り出した結界が張られていた。これが無ければ、エクレア=シューとマリア=アコナイトの鼓膜は空気の壁を貫いた時点で破れていただろう。キーーーン! と耳鳴りがなるだけで済んだだけ、マシだったと言えよう。
白銀の獣皇は真っ暗な空間を駆け抜け、通常の空気がある空間へと躍り出る。しかしながら、紅玉眼の蒼き竜もそれを待っているほど暇ではない。黒い空間から飛び出てきた白銀の獣皇に向けて、右の竜の拳を繰り出す。こちらも空気の壁を容易に突き破っており、とんでもないスピードで振り下ろされてくる。
しかしながら、白銀の獣皇はそのパンチが鈍いとも言いたげに、紅玉眼の蒼き竜の右の前足の手首部分に乗り、そこから螺旋を描くように紅玉眼の蒼き竜の右の前足を駆け昇っていく。
「ククッ! 血がたぎってくるワッ! さあ、我にその牙を突き立てロッ!!」
紅玉眼の蒼き竜は歓喜していた。今、自分に犬歯を剥き出しにして襲い掛かってくる白銀の獣皇と戦うために、遠路はるばる、ミシガン王国へとやってきたのだ。強者は強者を知る。だからこそ、冷えた蒼き血が沸騰してしまう。
それは白銀の獣皇も同じであった。ここ数十年、まともに真正面から喧嘩をしあったことは無い。紅玉眼の蒼き竜がこの地にやってきてくれたことは、白銀の獣皇にとっても不謹慎ながら喜ばしいことであった。
白銀の獣皇は4本足の爪を紅玉眼の蒼き竜の皮膚に突き立てながら、彼奴の身体を上へ上へと駆け登っていく。白銀の獣皇が抉った個所からは蒼き血が噴き出していた。しかし、その蒼き血が白銀の獣皇の白い体毛を蒼く汚すことは決してなかった。それほどまでに白銀の獣皇は速かった。前足で紅玉眼の蒼き竜の皮膚を掻きむしり、そこから蒼き血が噴き出ても、それに染まる前に後ろ足がその地点を追い抜いていたからだ。
紅玉眼の蒼き竜はますます歓喜していく。自分の身に傷を付けながら、自分の首級へと近づいてくる猛威に喜びしか感じていなかった。
「ケッ! その余裕たっぷりの顔を苦痛で歪ませてやるッス!」
ついに白銀の獣皇は紅玉眼の蒼き竜の首元まで駆け上がる。そこで大きく口を広げ、まるで骨付き肉の塊にかぶりつくように、犬歯を突き立てる。紅玉眼の蒼き竜の硬くて蒼い鱗を突き破り、太くて鋭い犬歯がメリメリと肉の奥へとめり込んでいく。
しかしながら、そうしておきながら、驚きの表情を浮かべるのは白銀の獣皇のほうであった……。
「ふご、ふごご……。ふごご!?」
白銀の獣皇は紅玉眼の蒼き竜の喉笛に犬歯をめり込ませ、ズブズブとその肉の内側を突き破っていった。しかし、まるで骨のように硬い何かに犬歯の先がぶつかり、それ以上は犬歯を奥へと突きこむことはできなかった……。
「なんか失礼なことを言われた気がするニャン……。あたいはクルスよりかは胸があると思っているニャン!」
「俺っちはマリアちゃんのぺったん胸に蜂蜜とバターを塗りたくって、ベロンベロン舐め回したいって思うくらいに、マリアちゃんの胸のサイズが大好物ッス。だから、マリアちゃんは胸を張って良いッス。無い胸ッスけどっ!!」
「チュッチュッチュ。誰が上手いこと言えといったッチュウ。あ~あ~。リリベルがどこかにすっ飛んでさらに落ちていくッチュウ。まあ、レオンがどうにかするだろうッチュウ」
コッシロー=ネヅは紅い天使がさらにきりもみ状態になりながら、明後日の方向へすっ飛んでいくのを見ていた。そんな彼女たちに向かって、黒い獣が何もない空中を蹴り飛ばしながら、近づいていくのを視認できる。リリベル=ユーリィたちのことはレオナルト=ヴィッダーに任せておけば良いと思ったコッシロー=ネヅは、『白銀の獣皇』こと、シロちゃんに上昇するように言う。
「ふ~~~ん、アレが素戔嗚の呪力に飲み込まれたレオンっちッスか。コッシローっち。あんたも大概ッスね。まだアレに一矢報いる気持ちは変わらないんッスか?」
「当然でッチュウ。男前の僕をこんな畜生の身に変えたアレを許しておけるわけがないでッチュウ。そんな話よりも、まずは眼の前の脅威を排除するでッチュウ。無駄話なんかしている余裕はこれっぽっちも無いでッチュウよっ!!」
話をはぐらかされたと思ったシロちゃんであったが、うっし! と気合を入れ直し、眼の前に広がる蒼き山の頂上へと向かって、何もない空中を駆けあがっていく。彼はミシガン王国の守護獣だ。そのミシガン王国の首都であるジカーゴを半壊させた存在を許せるわけがない。
シロちゃんは真っ黒な双眸にギラギラとした紅い炎を宿らせる。そうすることで、黒金剛石の双眸は紅玉のように輝き始め、同時に前歯の犬歯が太く鋭いモノに変わっていく。
「紅玉眼の蒼き竜の野郎、喉笛を噛み千切ってやるッス!」
「フンッ。やっと来たカ……。さあ、我にお前の神力を寄こセッ! 老いぼれに成り下がりながらも、竜皇の座を明け渡そうとしない雷帝を屠ってヤル!!」
白銀の獣皇が紅玉のように紅く輝く双眸で、下から紅玉眼の蒼き竜を睨みつけると、彼奴は赤より紅い双月で睨み返す。彼らの視線が交差すると同時に、目力が火花を起こし、空中に亀裂が走る。しかし、その亀裂の中へと白銀の獣皇は迷いなく突っ込む。
空気が目力で割れることにより、真っ黒な空間が出来上がるが、その中に入っても、白銀の獣皇は駆けに駆けた。そして、白銀の獣皇も空気の壁を突き破り、ボンッ! ボンッ! ボンッ! と轟音を奏でる。その空気を突き破る音が鼓膜に突き刺さり、エクレア=シューとマリア=アコナイトは顔を歪ませることとなる。
「へへっ……。お嬢様方、少々荒い運転になるッスけど、決して、振り落とされないようにしておくッス!!」
白銀の獣皇の周りには彼自身が神力を用いて創り出した結界が張られていた。これが無ければ、エクレア=シューとマリア=アコナイトの鼓膜は空気の壁を貫いた時点で破れていただろう。キーーーン! と耳鳴りがなるだけで済んだだけ、マシだったと言えよう。
白銀の獣皇は真っ暗な空間を駆け抜け、通常の空気がある空間へと躍り出る。しかしながら、紅玉眼の蒼き竜もそれを待っているほど暇ではない。黒い空間から飛び出てきた白銀の獣皇に向けて、右の竜の拳を繰り出す。こちらも空気の壁を容易に突き破っており、とんでもないスピードで振り下ろされてくる。
しかしながら、白銀の獣皇はそのパンチが鈍いとも言いたげに、紅玉眼の蒼き竜の右の前足の手首部分に乗り、そこから螺旋を描くように紅玉眼の蒼き竜の右の前足を駆け昇っていく。
「ククッ! 血がたぎってくるワッ! さあ、我にその牙を突き立てロッ!!」
紅玉眼の蒼き竜は歓喜していた。今、自分に犬歯を剥き出しにして襲い掛かってくる白銀の獣皇と戦うために、遠路はるばる、ミシガン王国へとやってきたのだ。強者は強者を知る。だからこそ、冷えた蒼き血が沸騰してしまう。
それは白銀の獣皇も同じであった。ここ数十年、まともに真正面から喧嘩をしあったことは無い。紅玉眼の蒼き竜がこの地にやってきてくれたことは、白銀の獣皇にとっても不謹慎ながら喜ばしいことであった。
白銀の獣皇は4本足の爪を紅玉眼の蒼き竜の皮膚に突き立てながら、彼奴の身体を上へ上へと駆け登っていく。白銀の獣皇が抉った個所からは蒼き血が噴き出していた。しかし、その蒼き血が白銀の獣皇の白い体毛を蒼く汚すことは決してなかった。それほどまでに白銀の獣皇は速かった。前足で紅玉眼の蒼き竜の皮膚を掻きむしり、そこから蒼き血が噴き出ても、それに染まる前に後ろ足がその地点を追い抜いていたからだ。
紅玉眼の蒼き竜はますます歓喜していく。自分の身に傷を付けながら、自分の首級へと近づいてくる猛威に喜びしか感じていなかった。
「ケッ! その余裕たっぷりの顔を苦痛で歪ませてやるッス!」
ついに白銀の獣皇は紅玉眼の蒼き竜の首元まで駆け上がる。そこで大きく口を広げ、まるで骨付き肉の塊にかぶりつくように、犬歯を突き立てる。紅玉眼の蒼き竜の硬くて蒼い鱗を突き破り、太くて鋭い犬歯がメリメリと肉の奥へとめり込んでいく。
しかしながら、そうしておきながら、驚きの表情を浮かべるのは白銀の獣皇のほうであった……。
「ふご、ふごご……。ふごご!?」
白銀の獣皇は紅玉眼の蒼き竜の喉笛に犬歯をめり込ませ、ズブズブとその肉の内側を突き破っていった。しかし、まるで骨のように硬い何かに犬歯の先がぶつかり、それ以上は犬歯を奥へと突きこむことはできなかった……。
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