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第20章:東への帰路
第3話:女王からの報奨
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「結局、晩餐会に招待されたり、舞踏会に出席したりとかなかったです~~~。今が大変な時期なのはわかるんですけど、レオン様の扱いがぞんざいだった気がするのです~~~」
「チュッチュッチュ。シロちゃんがこてんぱんに貴族たちを叱りすぎたせいでッチュウね。なにはともあれ、ジカーゴの復興は上手く進んでいるみたいだし、これはこれで良かったんだと思うのでッチュウ」
カッツエ=マルベール女王との謁見が終わった後、温泉宿に戻ってきたレオナルト=ヴィッダー一行であったが、それからというもの王城からは音沙汰無しとなっていた。もちろん、カッツエ=マルベール女王が言うところの報奨も無い。それに対して、エクレア=シューは待つだけ損だったと結論づけることとなる。彼女の青碧玉に染まる頭の上にちょこんと乗っている蝙蝠羽付きの白いネズミはさもありなんと言った感じで、いつも通り、チュッチュッチュとのたまうのであった。
「さて、これ以上、待ったところで、女王様から何かもらえることを期待しても無駄だと思うでッチュウ。フィルフェン第一王子からはウィーゼ王国内で、きな臭い話が持ち上がっているので、一度、本国に戻って来てほしいという連絡も来ているでッチュウ」
「きな臭いって、フィルフェン第一王子自身がきな臭いんだけど? あの方はその辺り、わかって言ってるのかしら?」
リリベル=ユーリィの鋭いツッコミに、シロちゃん以外は、ははは……と力無く笑う他なかった。かの人物が腹黒いことは、彼と少しでも話をした者なら、誰もが感じることである。そのフィルフェン第一王子がきな臭さを醸し出す火種となっているのだろうと邪推するのは当然でもあった。
「どうしたら良いんでしょうかァ? 女王様に何も告げずに、ミシガン王国を後にするのも、後ろ髪引かれますしィ。もしかしたら、すっごい報奨を準備していて、それでこちらへの連絡が途絶えているだけかも知れませんよォ?」
「シロちゃん、何か聞かされていないのかニャン? このままじゃ、動きづらくて、なんとも出来ないですニャン」
「しょうがないッスねえ。ちょっくら、俺っちだけで王城に行ってくるッス。いくらなんでも待たせ過ぎっス。レオンっちたちは元々、この国の国民じゃないんだから、足止めしているのもおかしな話ッスからね」
クルス=サンティーモとエクレア=シューの要望を受けて、白銀の獣皇こと、シロちゃんがカッツエ=マルベール女王と謁見を果たすために登城する。しかしながら、意外なことに、シロちゃんは行って戻ってくるまで1時間もかからずにレオナルト=ヴィッダーたちが寝泊まりしている温泉宿へと戻ってくることになる。
「お待たせしたッス。いやあ、カッツエ=マルベール女王は賢いっスね。さすがは俺っちがアヒンアヒン言わせたことがある女ッス。喜べッス。俺っち自身が報奨みたいッス」
シロちゃんのこの一言に、一同は、はあああ!? と素っ頓狂な声をあげざるをえなかった。カッツエ=マルベール女王が言うには、なんでも白銀の獣皇をしばらく好きに扱ってくれて良いとのことであった。
「確かに、ミシガン王国の守護獣とも呼べるシロちゃんを連れまわせる権利はすごいと思うけど……。何かの役に立つとは思えない……」
「そんなにはっきりと言ってやるな、リリベル。俺もシロが戦闘以外で役に立つことは想像できないが、癒し役くらいにはなるんじゃない……のか?」
「飢えて困ったときの非常食にはなりそうです~~~。シロちゃんが私たちの分まで食料を食べちゃったら、シロちゃんを鍋で煮込んでしまえば良いのです~~~」
「エクレアさん……。さすがにそれはドン引きしますゥ。猫や犬を食べる習慣がある国も世の中にはあると言われていますが、そこまでぼくたちは切羽詰まっていないのですゥ」
「チュッチュッチュ。ちなみに猫や犬を食べるというかの国は、食べる物がなくて仕方なく食べるわけでは無いでッチュウ。テーブルに並べる食材の一部に過ぎないという考えなのでッチュウ」
「それはそれで怖気が走るニャン。その国の住民は亜人族が多く住むバルト帝国では、忌避されそうですニャン」
レオナルト=ヴィッダーたちはシロちゃんを囲みながら、非常時以外にはただの大飯喰らいでしかないシロちゃんをどう扱おうかと悩むことになる。多少、話が脱線しながらも、無下に断るのもカドが立つと思い、結局、徒党メンバーの一人として、白銀の獣皇を受け入れることとなる。
「まあ、大飯喰らいはシロだけでなく、デーブ=オクボーンという豚ニンゲンがうちにもいるんだ。困った時は互いに相食む存在になってくれりゃ良いだろ」
「レオがシロちゃんの同行を良しとするのならば、わたしから言うことは何もないわ。シロちゃん、改めて、これからよろしくね? 身体中をくまなくペロペロする相手はエクレアのみにしてね?」
「合点承知の介ッス! まあ、俺っちの食費は気にすることは無いッス。カッツエ=マルベール女王が、俺っちの首にレオンっちたちとの同行費を入れた巾着袋を結わえてくれているッス」
「それを早く言えでッチュウ。要らない話でおおいに脱線しまくったんでッチュウ。おい、クルス。シロちゃんは見た通り、クルスより抜けているでッチュウ。シロちゃんの首に結わえている巾着袋はクルスの魔法の荷物入れに突っ込んでおくでッチュウ」
クルス=サンティーモは、そんなに自分は見ているだけで不安を抱きそうなオーラを出していますゥ? と不満気な表情を顔にありありと映し出す。しかしながら、コッシロー=ネヅはまともにクルス=サンティーモの相手をせずに、首級だけで、さっさと魔法の荷物入れにしまえと、クルス=サンティーモに指示を出す。
クルス=サンティーモは不承不承ながらも、シロちゃんの首に結わえている巾着袋を取り外そうとする。その時であった。クルス=サンティーモは巾着袋を持つ左手に思わぬ重量がのしかかることになり、木製の床の上へと巾着袋を落としてしまうことになる。
クルス=サンティーモが巾着袋を落とすや否や、巾着袋の口が開き、ジャランジャランという銭特有の音が温泉宿の一室に響き渡ることとなる。そして、巾着袋の中身の一部が床に散乱すると同時に、レオナルト=ヴィッダーたちはヒクヒクと頬を引きつらせる他無かった。
「おっと、言い忘れていたッス。俺っちの食費として、金貨100枚と細かい銀貨、銅貨を巾着袋に入れておいたと女王からは言われていたッス。クルスっち、怪我はしなかったッスか?」
「心配してくれるのはありがたいですけどォ!? 心配されている身でツッコミを入れますよォ!? よくもこんな大金、首からぶら下げている巾着袋に入ってるのに陽気な顔で居られますねェ!?」
「なんたって、俺っちは白銀の獣皇ッス。これくらいの重量で首がおかしくなることはまったくもって無いッス」
「あうあうあう~~~。コッシローちゃんがシロちゃんがクルスちゃんより抜けているって言ってた意味がわかったのです~~~。猫に小判とはまさにこのことなんです~~~」
「チュッチュッチュ。シロちゃんがこてんぱんに貴族たちを叱りすぎたせいでッチュウね。なにはともあれ、ジカーゴの復興は上手く進んでいるみたいだし、これはこれで良かったんだと思うのでッチュウ」
カッツエ=マルベール女王との謁見が終わった後、温泉宿に戻ってきたレオナルト=ヴィッダー一行であったが、それからというもの王城からは音沙汰無しとなっていた。もちろん、カッツエ=マルベール女王が言うところの報奨も無い。それに対して、エクレア=シューは待つだけ損だったと結論づけることとなる。彼女の青碧玉に染まる頭の上にちょこんと乗っている蝙蝠羽付きの白いネズミはさもありなんと言った感じで、いつも通り、チュッチュッチュとのたまうのであった。
「さて、これ以上、待ったところで、女王様から何かもらえることを期待しても無駄だと思うでッチュウ。フィルフェン第一王子からはウィーゼ王国内で、きな臭い話が持ち上がっているので、一度、本国に戻って来てほしいという連絡も来ているでッチュウ」
「きな臭いって、フィルフェン第一王子自身がきな臭いんだけど? あの方はその辺り、わかって言ってるのかしら?」
リリベル=ユーリィの鋭いツッコミに、シロちゃん以外は、ははは……と力無く笑う他なかった。かの人物が腹黒いことは、彼と少しでも話をした者なら、誰もが感じることである。そのフィルフェン第一王子がきな臭さを醸し出す火種となっているのだろうと邪推するのは当然でもあった。
「どうしたら良いんでしょうかァ? 女王様に何も告げずに、ミシガン王国を後にするのも、後ろ髪引かれますしィ。もしかしたら、すっごい報奨を準備していて、それでこちらへの連絡が途絶えているだけかも知れませんよォ?」
「シロちゃん、何か聞かされていないのかニャン? このままじゃ、動きづらくて、なんとも出来ないですニャン」
「しょうがないッスねえ。ちょっくら、俺っちだけで王城に行ってくるッス。いくらなんでも待たせ過ぎっス。レオンっちたちは元々、この国の国民じゃないんだから、足止めしているのもおかしな話ッスからね」
クルス=サンティーモとエクレア=シューの要望を受けて、白銀の獣皇こと、シロちゃんがカッツエ=マルベール女王と謁見を果たすために登城する。しかしながら、意外なことに、シロちゃんは行って戻ってくるまで1時間もかからずにレオナルト=ヴィッダーたちが寝泊まりしている温泉宿へと戻ってくることになる。
「お待たせしたッス。いやあ、カッツエ=マルベール女王は賢いっスね。さすがは俺っちがアヒンアヒン言わせたことがある女ッス。喜べッス。俺っち自身が報奨みたいッス」
シロちゃんのこの一言に、一同は、はあああ!? と素っ頓狂な声をあげざるをえなかった。カッツエ=マルベール女王が言うには、なんでも白銀の獣皇をしばらく好きに扱ってくれて良いとのことであった。
「確かに、ミシガン王国の守護獣とも呼べるシロちゃんを連れまわせる権利はすごいと思うけど……。何かの役に立つとは思えない……」
「そんなにはっきりと言ってやるな、リリベル。俺もシロが戦闘以外で役に立つことは想像できないが、癒し役くらいにはなるんじゃない……のか?」
「飢えて困ったときの非常食にはなりそうです~~~。シロちゃんが私たちの分まで食料を食べちゃったら、シロちゃんを鍋で煮込んでしまえば良いのです~~~」
「エクレアさん……。さすがにそれはドン引きしますゥ。猫や犬を食べる習慣がある国も世の中にはあると言われていますが、そこまでぼくたちは切羽詰まっていないのですゥ」
「チュッチュッチュ。ちなみに猫や犬を食べるというかの国は、食べる物がなくて仕方なく食べるわけでは無いでッチュウ。テーブルに並べる食材の一部に過ぎないという考えなのでッチュウ」
「それはそれで怖気が走るニャン。その国の住民は亜人族が多く住むバルト帝国では、忌避されそうですニャン」
レオナルト=ヴィッダーたちはシロちゃんを囲みながら、非常時以外にはただの大飯喰らいでしかないシロちゃんをどう扱おうかと悩むことになる。多少、話が脱線しながらも、無下に断るのもカドが立つと思い、結局、徒党メンバーの一人として、白銀の獣皇を受け入れることとなる。
「まあ、大飯喰らいはシロだけでなく、デーブ=オクボーンという豚ニンゲンがうちにもいるんだ。困った時は互いに相食む存在になってくれりゃ良いだろ」
「レオがシロちゃんの同行を良しとするのならば、わたしから言うことは何もないわ。シロちゃん、改めて、これからよろしくね? 身体中をくまなくペロペロする相手はエクレアのみにしてね?」
「合点承知の介ッス! まあ、俺っちの食費は気にすることは無いッス。カッツエ=マルベール女王が、俺っちの首にレオンっちたちとの同行費を入れた巾着袋を結わえてくれているッス」
「それを早く言えでッチュウ。要らない話でおおいに脱線しまくったんでッチュウ。おい、クルス。シロちゃんは見た通り、クルスより抜けているでッチュウ。シロちゃんの首に結わえている巾着袋はクルスの魔法の荷物入れに突っ込んでおくでッチュウ」
クルス=サンティーモは、そんなに自分は見ているだけで不安を抱きそうなオーラを出していますゥ? と不満気な表情を顔にありありと映し出す。しかしながら、コッシロー=ネヅはまともにクルス=サンティーモの相手をせずに、首級だけで、さっさと魔法の荷物入れにしまえと、クルス=サンティーモに指示を出す。
クルス=サンティーモは不承不承ながらも、シロちゃんの首に結わえている巾着袋を取り外そうとする。その時であった。クルス=サンティーモは巾着袋を持つ左手に思わぬ重量がのしかかることになり、木製の床の上へと巾着袋を落としてしまうことになる。
クルス=サンティーモが巾着袋を落とすや否や、巾着袋の口が開き、ジャランジャランという銭特有の音が温泉宿の一室に響き渡ることとなる。そして、巾着袋の中身の一部が床に散乱すると同時に、レオナルト=ヴィッダーたちはヒクヒクと頬を引きつらせる他無かった。
「おっと、言い忘れていたッス。俺っちの食費として、金貨100枚と細かい銀貨、銅貨を巾着袋に入れておいたと女王からは言われていたッス。クルスっち、怪我はしなかったッスか?」
「心配してくれるのはありがたいですけどォ!? 心配されている身でツッコミを入れますよォ!? よくもこんな大金、首からぶら下げている巾着袋に入ってるのに陽気な顔で居られますねェ!?」
「なんたって、俺っちは白銀の獣皇ッス。これくらいの重量で首がおかしくなることはまったくもって無いッス」
「あうあうあう~~~。コッシローちゃんがシロちゃんがクルスちゃんより抜けているって言ってた意味がわかったのです~~~。猫に小判とはまさにこのことなんです~~~」
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