5 / 81
第1章:オベール家の娘
4:最初の印象
しおりを挟む
そんなクロード=サインの心配もよそに、ローズマリーは湖に向かってキャッキャと歓声をあげながら小走りで向かって行く。
水の国:アクエリーズは平地となだらかな丘陵が大きく広がり、そこをよど川が縦断している。そして、その支流がまるで大地に根を張る大木かのように広がりを見せる土地であった。そのため、耕地としてポメラリア帝国随一に適した土地であり、この水の国:アクエリーズにあった古来からの林や森は切り開かれていったという歴史がある。
しかし、やはりそれでもいくらかの林や森は残された形となっている。その数少ない森の湖畔の社に、今日はローズマリーとクロードが『婚約』を交わすためにやってきたのであった。
ローズマリーは靴と靴下を脱ぎ、薄紅色を基調としたワンピースの裾をめくって湖の水際で、足を水につけては喜んでいた。
「やっぱり夏真っ盛りなだけあって、湖に住む魚たちが活発に動いているわねっ。きゃっ! 足を小魚たちがつついてきて、くすぐったいっ!」
彼女のやや肉付きの足りぬ白い足に、湖にすむ小魚たちがつんつんとついばむ。小魚たちにくるぶし辺りをついばまれるたびに、ローズマリーはくすぐったくなり、つい足元がふらついてしまう。
クロードは態勢を崩しかけているローズマリーを救おうと、ふくらはぎの中ほどまである革靴も脱がずに、ローズマリーへと駆け寄っていく。あわや、水際で尻餅をつきそうになっているローズマリーをすんでのところでクロードは彼女を半ば抱きかかえる形で支えとなる。
「ク、クロ。ありがとう……」
ローズマリーはお姫様抱っこに近い形でクロードに自分の身を支えられてしまったため、クロードの顔が自分の顔に最接近していたのであった。
(これはついに口吸いタイムなのかしら……。それから、わたし、クロに押し倒されて……)
だが、クロードはそんなローズマリーの気持ちも気づかないのか、彼女を抱きかかえたまま、水際から離れて、彼女を草の上にゆっくりと座らせる。
(あ、あれ……? 普通、若い男女がこんなシチュエーションになったら、口吸いをするモノじゃないの!? クロって、もしかして、わたしに興味がない!?)
そんなローズマリーの乙女心をまったく理解してないのか、クロードは彼女の身体から手を離し、少しばかり距離を取る。
「す、すまん。ロージー。ちょっと、ロージーを支える時に身体のどこかをひねったのか、痛みを感じてさ?」
クロードがそう言うと、自分の手で腕や背中、さらには腰をさすり出す。
「し、失礼ねっ! まるでわたしがとっても重いみたいに聞こえちゃうじゃないのよっ! もっと女性に対して、気を使えるようにしてほしいわっ!」
ローズマリーは非難の色を込めて、クロードに抗議する。クロードは、しまったなあと苦笑にも似た表情になりながらも、未だに身体に痛みを感じるのか、入念に自分の身体の節々をさすっているのであった。
「おっかしいなあ? どこか筋肉の筋を痛めたってわけじゃなさそうなんだけど、ピリッピリッていう感覚がなかなか抜けないなあ?」
クロードは、苦笑の表情から、次には自分の身体に起こった現象がよくわかないぞ? という不可思議な表情に移りかわっていく。そのクロードの表情をつぶさに観察していた、いや、クロードの唇を意識していたといったほうが適切なローズマリーまでもが、どうしたんだろう? とクロードにつられて不可思議な表情に変わっていく。
「クロ……。もしかして、日ごろの鍛錬が行き過ぎて、身体のあちこちにガタが来ているんじゃないの?」
「うっせえ。俺はまだ25歳になったばかりだっての。そりゃ、ロージーよりも10歳も年上だが、街で杖をついて歩いているようなご老人と一緒にするんじゃないっ!」
クロードの冗談がツボに入ったのか、ローズマリーが口元を両手で軽く押さえながら、くふふっ! と噴き出してしまうのであった。
「ニンゲン族って、すぐに老化しちゃうもんねー。あたし、ママがエルフだったことに感謝しないといけないかもー? 10年後には杖をつかないと歩けなくなっちゃうことになりそうだしー?」
ローズマリーの父親であるカルドリア=オベールはニンゲン族であり、その妻のオルタンシアは生粋のエルフ族であった。そんな2人から産まれたローズマリー=オベールはハーフエルフなのである。
「いくら、ニンゲン族でも25歳で杖なんかつかないわっ! 一応、エルフ族に次ぐだけの半長命族だぞ、ニンゲン族は。多分、俺は60歳になっても、杖をつく生活を送る予定にはならないからな?」
「それならいいんだけどねー? わたしが50歳になった時に、クロが杖をついてたら、やだなー? クロ。歳を取っても、ちゃんと身体を鍛えておいてねー?」
ロージーが50歳になった時は、自分は60歳か……。ってか、35年も先のことをなんで今から心配する必要があるんだとクロードは不思議でしょうがない。その不思議に思う心がクロードの顔にそのまま出てしまったのか、ローズマリーは唇を尖らせてしまうことになる。
「クロはわかってないなー。今のは、わたしが50歳になっても、クロと一緒に生活しているって意味なんだよ? まったく……。なんで、こんな朴念仁をわたしは好きになったんだろう。今からでも『婚約破棄』出来ないのかなあ?」
ローズマリーの言いに、クロードはうぐっと喉を詰まらせてしまう。これは誰の眼から見ても、明らかに落ち度はクロード側にある。クロードの欠点として、相手の心情を言葉のみから察することが苦手なところがあった。
あからさまな嫌みなら、鈍いクロードにも察することは出来るのだが、自分に対しての好意については察しが悪い。
その欠点が災いし、ローズマリーが自分のことを好いていることに気づいたのは約1年前だったのである。
「本当、クロのほうから、わたしに『好きだ、愛している。きみを離したくないっ!』って、言ってくれると思っていたのになあ?」
「い、いやな? ロージーと俺の間柄って、オベール家の当主の娘と、その従者兼護衛役じゃないか? だからと言ったら変だけど、ロージーが俺に対する気持ちは信頼ゆえだと思っていたわけで……」
「言われてみれば、そうね。クロに対してのわたしの感情は最初の頃は、眼つきの悪くて、態度も悪くて、わたしを本当に守ってくれるのか? って疑念ばかりだったわね」
なんか、最初の印象は散々に評価が低かったんだなと、クロードは今更ながらにローズマリーに教えられてしまう。確かに、風の国:オソロシアから、水の国:アクエリーズにやってきたばかりの時の自分は、あまりヒトに対して印象が良くなるような態度を取っていなかったなあと、クロードは思い返してしまう。
水の国:アクエリーズは平地となだらかな丘陵が大きく広がり、そこをよど川が縦断している。そして、その支流がまるで大地に根を張る大木かのように広がりを見せる土地であった。そのため、耕地としてポメラリア帝国随一に適した土地であり、この水の国:アクエリーズにあった古来からの林や森は切り開かれていったという歴史がある。
しかし、やはりそれでもいくらかの林や森は残された形となっている。その数少ない森の湖畔の社に、今日はローズマリーとクロードが『婚約』を交わすためにやってきたのであった。
ローズマリーは靴と靴下を脱ぎ、薄紅色を基調としたワンピースの裾をめくって湖の水際で、足を水につけては喜んでいた。
「やっぱり夏真っ盛りなだけあって、湖に住む魚たちが活発に動いているわねっ。きゃっ! 足を小魚たちがつついてきて、くすぐったいっ!」
彼女のやや肉付きの足りぬ白い足に、湖にすむ小魚たちがつんつんとついばむ。小魚たちにくるぶし辺りをついばまれるたびに、ローズマリーはくすぐったくなり、つい足元がふらついてしまう。
クロードは態勢を崩しかけているローズマリーを救おうと、ふくらはぎの中ほどまである革靴も脱がずに、ローズマリーへと駆け寄っていく。あわや、水際で尻餅をつきそうになっているローズマリーをすんでのところでクロードは彼女を半ば抱きかかえる形で支えとなる。
「ク、クロ。ありがとう……」
ローズマリーはお姫様抱っこに近い形でクロードに自分の身を支えられてしまったため、クロードの顔が自分の顔に最接近していたのであった。
(これはついに口吸いタイムなのかしら……。それから、わたし、クロに押し倒されて……)
だが、クロードはそんなローズマリーの気持ちも気づかないのか、彼女を抱きかかえたまま、水際から離れて、彼女を草の上にゆっくりと座らせる。
(あ、あれ……? 普通、若い男女がこんなシチュエーションになったら、口吸いをするモノじゃないの!? クロって、もしかして、わたしに興味がない!?)
そんなローズマリーの乙女心をまったく理解してないのか、クロードは彼女の身体から手を離し、少しばかり距離を取る。
「す、すまん。ロージー。ちょっと、ロージーを支える時に身体のどこかをひねったのか、痛みを感じてさ?」
クロードがそう言うと、自分の手で腕や背中、さらには腰をさすり出す。
「し、失礼ねっ! まるでわたしがとっても重いみたいに聞こえちゃうじゃないのよっ! もっと女性に対して、気を使えるようにしてほしいわっ!」
ローズマリーは非難の色を込めて、クロードに抗議する。クロードは、しまったなあと苦笑にも似た表情になりながらも、未だに身体に痛みを感じるのか、入念に自分の身体の節々をさすっているのであった。
「おっかしいなあ? どこか筋肉の筋を痛めたってわけじゃなさそうなんだけど、ピリッピリッていう感覚がなかなか抜けないなあ?」
クロードは、苦笑の表情から、次には自分の身体に起こった現象がよくわかないぞ? という不可思議な表情に移りかわっていく。そのクロードの表情をつぶさに観察していた、いや、クロードの唇を意識していたといったほうが適切なローズマリーまでもが、どうしたんだろう? とクロードにつられて不可思議な表情に変わっていく。
「クロ……。もしかして、日ごろの鍛錬が行き過ぎて、身体のあちこちにガタが来ているんじゃないの?」
「うっせえ。俺はまだ25歳になったばかりだっての。そりゃ、ロージーよりも10歳も年上だが、街で杖をついて歩いているようなご老人と一緒にするんじゃないっ!」
クロードの冗談がツボに入ったのか、ローズマリーが口元を両手で軽く押さえながら、くふふっ! と噴き出してしまうのであった。
「ニンゲン族って、すぐに老化しちゃうもんねー。あたし、ママがエルフだったことに感謝しないといけないかもー? 10年後には杖をつかないと歩けなくなっちゃうことになりそうだしー?」
ローズマリーの父親であるカルドリア=オベールはニンゲン族であり、その妻のオルタンシアは生粋のエルフ族であった。そんな2人から産まれたローズマリー=オベールはハーフエルフなのである。
「いくら、ニンゲン族でも25歳で杖なんかつかないわっ! 一応、エルフ族に次ぐだけの半長命族だぞ、ニンゲン族は。多分、俺は60歳になっても、杖をつく生活を送る予定にはならないからな?」
「それならいいんだけどねー? わたしが50歳になった時に、クロが杖をついてたら、やだなー? クロ。歳を取っても、ちゃんと身体を鍛えておいてねー?」
ロージーが50歳になった時は、自分は60歳か……。ってか、35年も先のことをなんで今から心配する必要があるんだとクロードは不思議でしょうがない。その不思議に思う心がクロードの顔にそのまま出てしまったのか、ローズマリーは唇を尖らせてしまうことになる。
「クロはわかってないなー。今のは、わたしが50歳になっても、クロと一緒に生活しているって意味なんだよ? まったく……。なんで、こんな朴念仁をわたしは好きになったんだろう。今からでも『婚約破棄』出来ないのかなあ?」
ローズマリーの言いに、クロードはうぐっと喉を詰まらせてしまう。これは誰の眼から見ても、明らかに落ち度はクロード側にある。クロードの欠点として、相手の心情を言葉のみから察することが苦手なところがあった。
あからさまな嫌みなら、鈍いクロードにも察することは出来るのだが、自分に対しての好意については察しが悪い。
その欠点が災いし、ローズマリーが自分のことを好いていることに気づいたのは約1年前だったのである。
「本当、クロのほうから、わたしに『好きだ、愛している。きみを離したくないっ!』って、言ってくれると思っていたのになあ?」
「い、いやな? ロージーと俺の間柄って、オベール家の当主の娘と、その従者兼護衛役じゃないか? だからと言ったら変だけど、ロージーが俺に対する気持ちは信頼ゆえだと思っていたわけで……」
「言われてみれば、そうね。クロに対してのわたしの感情は最初の頃は、眼つきの悪くて、態度も悪くて、わたしを本当に守ってくれるのか? って疑念ばかりだったわね」
なんか、最初の印象は散々に評価が低かったんだなと、クロードは今更ながらにローズマリーに教えられてしまう。確かに、風の国:オソロシアから、水の国:アクエリーズにやってきたばかりの時の自分は、あまりヒトに対して印象が良くなるような態度を取っていなかったなあと、クロードは思い返してしまう。
0
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる