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第3章:コッシローとの邂逅
2:客人
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「ほうほう……。『蒼星伝』と『ルーの尾羽』を推してくれるとはありがたい話でッチュウ。あれはボクの著作のなかでも1、2番を競うほどの自信作なのでッチュウ!」
突然、ロージーとクロードのお尻付近から、聞こえ慣れぬ壮年の男性の声でそう言われ、2人はびっくりして跳ね上がりそうになる。
「誰だ!? 俺たちの尻付近でしがれた声でしゃべっていやがるのは!」
クロードが右手にスコップを持ったまま、不審な声がする方に身体を向ける。もし、ロージーに何か危害を加えるつもりの相手ならば、クロードはスコップで対処しなければならなかった。
ロージーもまた、クロードに数秒遅れて、身体の向きを男性の声がする方向に変えたのであった。しかし、彼女らの視線の先にはニンゲンらしき姿を発見することが出来なかった。その代わり、全身の体毛が真っ白な小動物がそこに居たのである。
「う、うさぎ? にしては、小さいわね……。でも、口から覗かせている前歯を見る限りは、げっ歯類に見えるけど……。リスで良いのかしら?」
うさぎにしては小さく、リスにしては可愛らしさが足りない眼の前のげっ歯類に怪訝な表情を顔に浮かべるロージーである。今、巷で話題のハムスターなる生き物なのかしら? とも思うが、どうも違う気がしてならないロージーであった。
「ふむふむ。キミの表情を見る限りでは、ボクが何の動物かわからないといった感じでッチュウね? しょうがないでッチュウね……。何を隠そう、ボクは【ネズミ】なんでッチュウ!」
全身、白い体毛に覆われたネズミが後ろの二本足で器用に立ち上がり、前足を腰? に当てて、えっへん! とばかりにそう言いのける。
「はい、解散、解散っと。ロージー。ネズミ要らずを今度、町に行った時に購入しておくわ。家の食糧庫を荒らされたら、たまったもんじゃないからな」
「ええ、クロ。収穫祭で生花を売るついでに、それを買っておきましょ? なんだ、期待して損しちゃった。噂のハムスターだったら、飼っても良いかなーって思ってたのに」
クロードはネズミの存在自体を否定し、ロージーには落胆に似た表情を顔に浮かべたあと、無関心へと心が移っていくのであった。そんな2人を見て、白い体毛のネズミは慌てふためくこととなる。
「ひ、ひどいでッチュウ! いくら、ボクがネズミだからといって、扱いが雑なのでッチュウ!」
わめくネズミに背を向けて2人は花の育成に戻ろうとする。だが、ネズミはまだ何か言い足りないのか、クロードのズボンの尻部分を前足で引っ張って、こちらを見ろと主張してくるのであった。
「いや、そんなことを言われてもなあ? しゃべる小動物は大概はニンゲンを騙してやろうとしている妖精かもしくは魔物の類ばかりだしなあ……。まともに相手をするだけ時間の無駄っていうか……」
ポメラニア帝国において、ヒトに酷似した形をしている種族はもっぱら言語を有している。それだけではなく、精霊や妖精、知性の高い魔物の類もニンゲンの言葉を理解し、互いの意思を交わし合うことができるのであった。
特に小動物の姿をしている場合は、妖精であることが多い。しかも、困ったことに妖精はイタズラが大好きだ。下手に相手をすれば、森の奥に連れ込まれて、やらしいことをされてしまう場合だってある。
――まあ、あくまでも妖精のイタズラなので、やらしいことと言っても、スカートやズボンを降ろされる。もしくは沐浴中に下着を盗まれるといった軽犯罪程度なのだが……。幼女や少女をつけねらうニンゲンの変質者のほうがよっぽど危険性は高かったりするのが現状であったり……。
それはともかくとして、ロージーとクロードは、このニンゲンの言葉をしゃべる白い体毛のネズミを妖精の類だと思い込んでいた。それゆえに、まともに相手をするだけ損だと思い、こんなつれない対応を行っているのである。
「むむむー! ひどいのでッチュウ! こんなプリティなボクを何か別のモノと勘違いしているでッチュウね!?」
ネズミが必死に抗議をするのだが、ロージーは無視を決め込み、生花用のせん定ハサミでシャキシャキと要らない葉や、付きすぎている花をせん定し、形を整えていくのであった。
「ボクを無視するとは良い度胸なのでッチュウ! こうなれば、黒い湖の大魔導士と呼ばれたボクの魔術を披露するのでッチュウ!」
ネズミがそう言うなり、後ろ足で立ち上がり、さらには爪楊枝サイズでありながら、先端に黒い宝石がついた枝をどこから取り出し、己の身の内から魔力を立ち上らせるのであった。これに面食らったのはロージーとクロードである。いきなり、背中の方から異様と思えるほどの桁を有する魔力が存在感を示したからである。
「驚いても遅いでッチュウよ! 大気に漂う風の精霊よ! 一陣のイタズラな風となりて、かのモノのスカートをめくりあげるのでッチュウ! 風の柱発動なのでッチュウ!!」
ネズミがそう叫ぶと同時に、爪楊枝サイズの枝の先についた黒い宝石から、螺旋を描く突風が湧き起きったのだ。ロージーたちがネズミが振り回す枝は爪楊枝か何かだろうか? と思っていたものは、紛れもなく魔法の杖であったのだ。
妖精も魔力が高いモノは魔術を使いこなすことは可能だ。しかし、怒り狂うネズミの身からは、妖精とはとても思えないほどの魔力の量だったのである。クロードはネズミの姿に完全に騙されていたために、対処が遅れてしまう。
荒れ狂う凶風はロージーを護ろうとしていたクロードの身を回り込むようにすり抜けて、ロージーに襲い掛かる。荒れ狂う凶風に対して、ロージーは自分の顔を切り刻まれないようにと両腕を顔の前に持ってきてガードするのであった。
「くっくっく! 引っかかったでッチュウね! ボクは女性の顔を傷つけるような紳士の道に外れるようなことはしないでッチュウ! 本当の狙いはキミのスカートをめくりあげることでッチュウ!」
なんということであろう。凶風はネズミの意思を反映し、軌道を大きく変えて地面へと降り立ち、さらにはロージーの足元を起点にして、小さい竜巻となるのであった。ロージーが履いている中くらいの丈のスカートは、足元から吹き荒れる風の螺旋により、重力に逆らい、上方向へとまくり上げられることになる。
「うーーーん。紅いパンツでッチュウ。ここは蒼と白のストライプ柄を期待していたのでっちゅう……。キミ、意外と大人びているんでッチュウね?」
「あんた、ぶっ殺すわよっ! 今すぐ、この風を止ませなさいっ! クロっ! わたしのショーツを見たら、承知しないわよっ!」
ロージーは風でまくり上がるスカートの前方を両手で必死に抑えながら、履いているショーツと同じように頬を紅潮させる。そして、地面の上でやれやれと嘆息しているネズミを涙目になりながらも射殺すかのような視線を送るのであった。
突然、ロージーとクロードのお尻付近から、聞こえ慣れぬ壮年の男性の声でそう言われ、2人はびっくりして跳ね上がりそうになる。
「誰だ!? 俺たちの尻付近でしがれた声でしゃべっていやがるのは!」
クロードが右手にスコップを持ったまま、不審な声がする方に身体を向ける。もし、ロージーに何か危害を加えるつもりの相手ならば、クロードはスコップで対処しなければならなかった。
ロージーもまた、クロードに数秒遅れて、身体の向きを男性の声がする方向に変えたのであった。しかし、彼女らの視線の先にはニンゲンらしき姿を発見することが出来なかった。その代わり、全身の体毛が真っ白な小動物がそこに居たのである。
「う、うさぎ? にしては、小さいわね……。でも、口から覗かせている前歯を見る限りは、げっ歯類に見えるけど……。リスで良いのかしら?」
うさぎにしては小さく、リスにしては可愛らしさが足りない眼の前のげっ歯類に怪訝な表情を顔に浮かべるロージーである。今、巷で話題のハムスターなる生き物なのかしら? とも思うが、どうも違う気がしてならないロージーであった。
「ふむふむ。キミの表情を見る限りでは、ボクが何の動物かわからないといった感じでッチュウね? しょうがないでッチュウね……。何を隠そう、ボクは【ネズミ】なんでッチュウ!」
全身、白い体毛に覆われたネズミが後ろの二本足で器用に立ち上がり、前足を腰? に当てて、えっへん! とばかりにそう言いのける。
「はい、解散、解散っと。ロージー。ネズミ要らずを今度、町に行った時に購入しておくわ。家の食糧庫を荒らされたら、たまったもんじゃないからな」
「ええ、クロ。収穫祭で生花を売るついでに、それを買っておきましょ? なんだ、期待して損しちゃった。噂のハムスターだったら、飼っても良いかなーって思ってたのに」
クロードはネズミの存在自体を否定し、ロージーには落胆に似た表情を顔に浮かべたあと、無関心へと心が移っていくのであった。そんな2人を見て、白い体毛のネズミは慌てふためくこととなる。
「ひ、ひどいでッチュウ! いくら、ボクがネズミだからといって、扱いが雑なのでッチュウ!」
わめくネズミに背を向けて2人は花の育成に戻ろうとする。だが、ネズミはまだ何か言い足りないのか、クロードのズボンの尻部分を前足で引っ張って、こちらを見ろと主張してくるのであった。
「いや、そんなことを言われてもなあ? しゃべる小動物は大概はニンゲンを騙してやろうとしている妖精かもしくは魔物の類ばかりだしなあ……。まともに相手をするだけ時間の無駄っていうか……」
ポメラニア帝国において、ヒトに酷似した形をしている種族はもっぱら言語を有している。それだけではなく、精霊や妖精、知性の高い魔物の類もニンゲンの言葉を理解し、互いの意思を交わし合うことができるのであった。
特に小動物の姿をしている場合は、妖精であることが多い。しかも、困ったことに妖精はイタズラが大好きだ。下手に相手をすれば、森の奥に連れ込まれて、やらしいことをされてしまう場合だってある。
――まあ、あくまでも妖精のイタズラなので、やらしいことと言っても、スカートやズボンを降ろされる。もしくは沐浴中に下着を盗まれるといった軽犯罪程度なのだが……。幼女や少女をつけねらうニンゲンの変質者のほうがよっぽど危険性は高かったりするのが現状であったり……。
それはともかくとして、ロージーとクロードは、このニンゲンの言葉をしゃべる白い体毛のネズミを妖精の類だと思い込んでいた。それゆえに、まともに相手をするだけ損だと思い、こんなつれない対応を行っているのである。
「むむむー! ひどいのでッチュウ! こんなプリティなボクを何か別のモノと勘違いしているでッチュウね!?」
ネズミが必死に抗議をするのだが、ロージーは無視を決め込み、生花用のせん定ハサミでシャキシャキと要らない葉や、付きすぎている花をせん定し、形を整えていくのであった。
「ボクを無視するとは良い度胸なのでッチュウ! こうなれば、黒い湖の大魔導士と呼ばれたボクの魔術を披露するのでッチュウ!」
ネズミがそう言うなり、後ろ足で立ち上がり、さらには爪楊枝サイズでありながら、先端に黒い宝石がついた枝をどこから取り出し、己の身の内から魔力を立ち上らせるのであった。これに面食らったのはロージーとクロードである。いきなり、背中の方から異様と思えるほどの桁を有する魔力が存在感を示したからである。
「驚いても遅いでッチュウよ! 大気に漂う風の精霊よ! 一陣のイタズラな風となりて、かのモノのスカートをめくりあげるのでッチュウ! 風の柱発動なのでッチュウ!!」
ネズミがそう叫ぶと同時に、爪楊枝サイズの枝の先についた黒い宝石から、螺旋を描く突風が湧き起きったのだ。ロージーたちがネズミが振り回す枝は爪楊枝か何かだろうか? と思っていたものは、紛れもなく魔法の杖であったのだ。
妖精も魔力が高いモノは魔術を使いこなすことは可能だ。しかし、怒り狂うネズミの身からは、妖精とはとても思えないほどの魔力の量だったのである。クロードはネズミの姿に完全に騙されていたために、対処が遅れてしまう。
荒れ狂う凶風はロージーを護ろうとしていたクロードの身を回り込むようにすり抜けて、ロージーに襲い掛かる。荒れ狂う凶風に対して、ロージーは自分の顔を切り刻まれないようにと両腕を顔の前に持ってきてガードするのであった。
「くっくっく! 引っかかったでッチュウね! ボクは女性の顔を傷つけるような紳士の道に外れるようなことはしないでッチュウ! 本当の狙いはキミのスカートをめくりあげることでッチュウ!」
なんということであろう。凶風はネズミの意思を反映し、軌道を大きく変えて地面へと降り立ち、さらにはロージーの足元を起点にして、小さい竜巻となるのであった。ロージーが履いている中くらいの丈のスカートは、足元から吹き荒れる風の螺旋により、重力に逆らい、上方向へとまくり上げられることになる。
「うーーーん。紅いパンツでッチュウ。ここは蒼と白のストライプ柄を期待していたのでっちゅう……。キミ、意外と大人びているんでッチュウね?」
「あんた、ぶっ殺すわよっ! 今すぐ、この風を止ませなさいっ! クロっ! わたしのショーツを見たら、承知しないわよっ!」
ロージーは風でまくり上がるスカートの前方を両手で必死に抑えながら、履いているショーツと同じように頬を紅潮させる。そして、地面の上でやれやれと嘆息しているネズミを涙目になりながらも射殺すかのような視線を送るのであった。
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