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第3章:コッシローとの邂逅
9:サニーサイドアップ
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「う~ん。むにゃむにゃ。もう食べれないよー。パパ―、ママー……」
「ったく……。心配させやがって……。ロージーがコッシローのせいで眠りについてから早2時間か……。寝言を言うだけの元気はありそうだし、一安心かな?」
簡素なベッドの上で布団に包まれながら寝言を言い、再びクークーと寝息を立てるロージーを優し気な狐色の瞳で見つめるのはクロードであった。コッシローの謎の魔術で眠りについたロージーを一軒家の寝台に運んだのはクロードであった。
その時のロージーは身体が異常に熱くなっており、コッシローが何かとんでもないことをしたのかとクロードはコッシローを恨んだモノだが、コッシローは相変わらずおどけた表情で飄々としているだけであった。
コッシローからは2~3時間もすれば眼が覚めるはずでッチュウとは聞かされていた。彼の言いが正しいなら、もう1時間以内にはロージーが再び眼を開けるに違いない。ロージーが目覚めたら、何か食わせてやろうと思い、クロードは台所に向かうことにする。
するとだ。台所にあるテーブルの上には、問題を起こしたコッシローがうろちょろと走り回っているのである。クロードは、はあやれやれとため息をつき、テーブルの上を走り回るコッシローを右手の人差し指と親指でひょいっと摘まみ上げる。
「おい、コッシロー。お前、台所で何をしてんだよ……」
「ちゅっちゅっちゅ。お腹が空いたので、何か食べるモノがないかとテーブルの上を探っていたのでッチュウ。美味しそうなパンとリンゴを見つけたは良いけれど、家主に断りなくいただくのも紳士としては失格なので、やきもきしていたという話でッチュウ」
そんなコッシローにクロードは、ふうううと深いため息をつく。そして摘まみ上げていたコッシローを再び、テーブルの上に置く。その後、テーブルの上にある竹製のバスケットの中に積まれていた棒状のパンの先っぽを手でねじ切り、ポイっとコッシローの眼の前に転がすのであった。
コッシローはチューチュー! とまるでネズミのような鳴き声を上げて、眼の前に転がってきたパンにかじりつく。クロードはご満悦のコッシローを放っておいて、今朝取れたばかりの鶏の卵の個数を確認した後、コン=ロの火をつけて、さらにその上にフライパンを乗せる。
十分に熱しられたフライパンの上に薄く菜種油を注いだあと、フライパンのヘリで鶏卵2つをコンコンと打ち付ける。フライパンの上に広がった鶏卵の中身はジューと心地よい音を奏でる。クロードは卵の白身が熱で白く固まったのを確認した後、キレイな水が入ったヤカンから少量、フライパンの上へと注ぐ。
ジュワジュワジュワと油と水が弾き合う音が台所内に響き渡る。クロードはフライパンにフライパン用の金属製の蓋を乗せて、1から60まで数える。60まで数え終わった後、コン=ロの火を止める。そして、金属製の蓋の取っ手を持ち上げると、フライパンの上には黄身が半熟の目玉焼きが出来上がっていたのであった。
クロードは黄身を覆う白い膜が破れないように注意深く、金属製のヘラですくい上げて、白い皿に移す。そのあと、流水でサッとフライパンを洗った後、再びフライパンを熱して、次はベーコンをカリカリに焼き上げるのであった。
クロードは白い皿の上に乗せた目玉焼きにスプーンですくったケチャップでハートマークを描く。【愛情たっぷりカリカリベーコンと目玉焼き】の出来上がりである。
あとは朝に作って残っていた豆腐とわかめの味噌汁が入った鍋をコン=ロの上に乗せて、弱火にかけておく。
味噌汁の独特な匂いが一軒家に充満すると同時に、ロージーは眼を覚ますこととなる。半覚醒していたロージーの鼻腔に味噌汁のなんとも言えない美味しそうな匂いが届くことになったのだ。この匂いは眼覚めの気分を良くしてくれる効果もあると言い伝えられており、ロージーとクロードは火の国:イズモに流刑になってからは、味噌汁を嗜むようになったのである。
「美味しそうな匂いが台所から流れてくる……。もう、お昼なのかな? クロっ! 今、台所に行くから待っててねー!」
ロージーは元気よく声をあげて、ベッドから飛び出し、スリッパを履いて、パタパタと音を立てて、台所に小走りで向かって行くのであった。気分が良いロージーが台所に飛び込むと、そこには愛しのクロードと、パンをむさぼり喰らっているネズミが1匹、ロージーの視界に入る。
「あっ……。思い出した……。なんで、わたしがベッドの上で寝ているのかと思ったら、全部、このクソネズミのせいだったわねっ!」
ロージーはテーブルに近づき、ひょいっとコッシローがかじっていたパンを取り上げる。コッシローは食事を邪魔されて、涙目になってしまうのであった。
「や、やめてほしいのでッチュウ……。久方ぶりの米粉入りのパンなんでッチュウ……。それを取り上げられたら、ボク、悲しい気分になっちゃうのでッチュウ……」
悲しそうな声で訴えかけてくるロージーは何か良心の呵責を覚えてしまう。うっ……、とロージーは声を詰まらせたあと、手に持っていたパンをテーブルの上にコトンと置く。その瞬間、コッシローはパッと明るい顔になり、再び、パンをガリガリとかじり始めるのであった。
「ったく、なんだか、わたしが小動物をいじめたみたいじゃないの……」
「ははっ。コッシローは、大神殿からここまでやってくるのに1週間くらいかかったんだってさ。その間、まともに食事を取れなかったみたいだぜ?」
「えっ? こいつ、風の魔術をあれほど使えるんだから、自分で生み出した風に乗ってくれば良いだけじゃないの?」
「俺が馬にまたがって、出来るだけ急いでその馬を走り続けさせても1日半くらいかかるんだぞ? その大きな街から直線距離で50~60キロメートルもの距離を、移動のために風の魔術を維持できるほどの魔力を有している奴なんて、この世にいるわけないじゃないか」
クロードの言いにそれもそうねと納得するロージーであった。一流の風使いの魔術師でも大空に浮いていられるのはせいぜい10分かそこらであることをロージーはとある文献で読んだことがある。そこそこに風の魔術を使いこなすクロードの場合は、自分の身体を大空に浮かべさせるのは、1分弱であった。
このパンをむさぼり喰らっている自称:黒い湖の大魔導士と言えども、制限無しに大空を自由に飛べないんだろうなあとロージーは思うのであった。
「大魔導士って自称してても、案外、たいしたことないのね……。大魔導士って名乗るくらいなんだから、台風くらいの凶風を生み出せるモノだと思っていたのに。少し残念かも?」
「ったく……。心配させやがって……。ロージーがコッシローのせいで眠りについてから早2時間か……。寝言を言うだけの元気はありそうだし、一安心かな?」
簡素なベッドの上で布団に包まれながら寝言を言い、再びクークーと寝息を立てるロージーを優し気な狐色の瞳で見つめるのはクロードであった。コッシローの謎の魔術で眠りについたロージーを一軒家の寝台に運んだのはクロードであった。
その時のロージーは身体が異常に熱くなっており、コッシローが何かとんでもないことをしたのかとクロードはコッシローを恨んだモノだが、コッシローは相変わらずおどけた表情で飄々としているだけであった。
コッシローからは2~3時間もすれば眼が覚めるはずでッチュウとは聞かされていた。彼の言いが正しいなら、もう1時間以内にはロージーが再び眼を開けるに違いない。ロージーが目覚めたら、何か食わせてやろうと思い、クロードは台所に向かうことにする。
するとだ。台所にあるテーブルの上には、問題を起こしたコッシローがうろちょろと走り回っているのである。クロードは、はあやれやれとため息をつき、テーブルの上を走り回るコッシローを右手の人差し指と親指でひょいっと摘まみ上げる。
「おい、コッシロー。お前、台所で何をしてんだよ……」
「ちゅっちゅっちゅ。お腹が空いたので、何か食べるモノがないかとテーブルの上を探っていたのでッチュウ。美味しそうなパンとリンゴを見つけたは良いけれど、家主に断りなくいただくのも紳士としては失格なので、やきもきしていたという話でッチュウ」
そんなコッシローにクロードは、ふうううと深いため息をつく。そして摘まみ上げていたコッシローを再び、テーブルの上に置く。その後、テーブルの上にある竹製のバスケットの中に積まれていた棒状のパンの先っぽを手でねじ切り、ポイっとコッシローの眼の前に転がすのであった。
コッシローはチューチュー! とまるでネズミのような鳴き声を上げて、眼の前に転がってきたパンにかじりつく。クロードはご満悦のコッシローを放っておいて、今朝取れたばかりの鶏の卵の個数を確認した後、コン=ロの火をつけて、さらにその上にフライパンを乗せる。
十分に熱しられたフライパンの上に薄く菜種油を注いだあと、フライパンのヘリで鶏卵2つをコンコンと打ち付ける。フライパンの上に広がった鶏卵の中身はジューと心地よい音を奏でる。クロードは卵の白身が熱で白く固まったのを確認した後、キレイな水が入ったヤカンから少量、フライパンの上へと注ぐ。
ジュワジュワジュワと油と水が弾き合う音が台所内に響き渡る。クロードはフライパンにフライパン用の金属製の蓋を乗せて、1から60まで数える。60まで数え終わった後、コン=ロの火を止める。そして、金属製の蓋の取っ手を持ち上げると、フライパンの上には黄身が半熟の目玉焼きが出来上がっていたのであった。
クロードは黄身を覆う白い膜が破れないように注意深く、金属製のヘラですくい上げて、白い皿に移す。そのあと、流水でサッとフライパンを洗った後、再びフライパンを熱して、次はベーコンをカリカリに焼き上げるのであった。
クロードは白い皿の上に乗せた目玉焼きにスプーンですくったケチャップでハートマークを描く。【愛情たっぷりカリカリベーコンと目玉焼き】の出来上がりである。
あとは朝に作って残っていた豆腐とわかめの味噌汁が入った鍋をコン=ロの上に乗せて、弱火にかけておく。
味噌汁の独特な匂いが一軒家に充満すると同時に、ロージーは眼を覚ますこととなる。半覚醒していたロージーの鼻腔に味噌汁のなんとも言えない美味しそうな匂いが届くことになったのだ。この匂いは眼覚めの気分を良くしてくれる効果もあると言い伝えられており、ロージーとクロードは火の国:イズモに流刑になってからは、味噌汁を嗜むようになったのである。
「美味しそうな匂いが台所から流れてくる……。もう、お昼なのかな? クロっ! 今、台所に行くから待っててねー!」
ロージーは元気よく声をあげて、ベッドから飛び出し、スリッパを履いて、パタパタと音を立てて、台所に小走りで向かって行くのであった。気分が良いロージーが台所に飛び込むと、そこには愛しのクロードと、パンをむさぼり喰らっているネズミが1匹、ロージーの視界に入る。
「あっ……。思い出した……。なんで、わたしがベッドの上で寝ているのかと思ったら、全部、このクソネズミのせいだったわねっ!」
ロージーはテーブルに近づき、ひょいっとコッシローがかじっていたパンを取り上げる。コッシローは食事を邪魔されて、涙目になってしまうのであった。
「や、やめてほしいのでッチュウ……。久方ぶりの米粉入りのパンなんでッチュウ……。それを取り上げられたら、ボク、悲しい気分になっちゃうのでッチュウ……」
悲しそうな声で訴えかけてくるロージーは何か良心の呵責を覚えてしまう。うっ……、とロージーは声を詰まらせたあと、手に持っていたパンをテーブルの上にコトンと置く。その瞬間、コッシローはパッと明るい顔になり、再び、パンをガリガリとかじり始めるのであった。
「ったく、なんだか、わたしが小動物をいじめたみたいじゃないの……」
「ははっ。コッシローは、大神殿からここまでやってくるのに1週間くらいかかったんだってさ。その間、まともに食事を取れなかったみたいだぜ?」
「えっ? こいつ、風の魔術をあれほど使えるんだから、自分で生み出した風に乗ってくれば良いだけじゃないの?」
「俺が馬にまたがって、出来るだけ急いでその馬を走り続けさせても1日半くらいかかるんだぞ? その大きな街から直線距離で50~60キロメートルもの距離を、移動のために風の魔術を維持できるほどの魔力を有している奴なんて、この世にいるわけないじゃないか」
クロードの言いにそれもそうねと納得するロージーであった。一流の風使いの魔術師でも大空に浮いていられるのはせいぜい10分かそこらであることをロージーはとある文献で読んだことがある。そこそこに風の魔術を使いこなすクロードの場合は、自分の身体を大空に浮かべさせるのは、1分弱であった。
このパンをむさぼり喰らっている自称:黒い湖の大魔導士と言えども、制限無しに大空を自由に飛べないんだろうなあとロージーは思うのであった。
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