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第7章:脱出
4:始祖神
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始祖神:S.N.O.Jはやや不機嫌であった。長い眠りについていたところを家のドアをガンガンと叩かれ、さらに蹴破られて、家の中へと押し入られ、さらには自分を外へと引っ張り出した。その張本人が眼の前に居るのだ。それで不機嫌にならぬヒトが居ないように神もまた同じであった。
「何やら思うところがあるようですが、ワタクシはあなたの忠実なる信徒なのデスワ。そう、眉間にしわを寄せなくても良いと思うのデスワ」
メアリー帝はそう言いながら、片膝をつき、頭を下げる。帝とあろう者が誰かにかしづくことは無い。だが、メアリー帝は自分の信じる神に頭を下げたのである。この行為により、少しは気が晴れたS.N.O.Jは彼女の頭の上に右腕のひとつを伸ばし、そっとその頭を鷲掴みにする。
(このまま、スイカのように頭をかち割っても良いが、それでは面白くもなんともない也。さて、この者の考えを読ませてもらう也)
始祖神:S.N.O.Jの右手が光り輝く。そのまばゆい光はメアリー帝の頭をすっぽりと包み込む。S.N.O.Jは彼女の言葉が本当なのかどうかを直接、彼女の頭の中を探ることにより調べるのであった。
数分後、S.N.O.Jは彼女の頭から自分の右手をどけて、また胸の前で腕組をするのであった。
「げに面白きニンゲン也。なるほど、なるほど。そなたはこの世の絶対なる皇になりたい也か。そして、我にその世界の唯一神となってほしいと?」
「はい、おっしゃる通りなのデスワ。ワタクシ、欲深きニンゲンゆえに、この世の全てを手に入れたいと思っているのデスワ。ですが、ヤオヨロズ=ゴッドたちはワタクシを認めてくれるはずが無いのデスワ」
「然り。あやつらは我が生み出した存在だというのに、『約束』という枷を創り出した也。その『約束』は我をすら縛った也。げに憎き奴ら也!」
始祖神:S.N.O.Jは遥か昔の出来事を今まさに自分にされたか如くに怒り狂う。彼の怒りの色に染まる紅い魔力をその身から発するのであった。その魔力は振動の第2波となり、宮廷を揺るがすのであった。
始祖神:S.N.O.Jが放った怒りの魔力の波は玉座の間を貫通し、部屋の壁を何枚も伝播していく。その波動はやがて気を失ったロージーたちにも届くことになる。その魔力の余波を受けて、ロージーたちは無理やり覚醒させられることになる。
「いたたっ。今度は何なのよ……。誰かがイラついているのが、わたしにも感じるわよ……」
ロージーが痛む頭に右手を当てて、頭を左右に振る。それでも頭痛が頭から去ることは無い。それどころか、ますますズキズキと鈍い痛みが押し寄せてくるのである。
そんな状態のロージーではあるが、1匹だけ、元気にベッドの上を跳ね回るネズミが居た。コッシロー=ネヅである。彼はもうこの場で手をこまねいている場合ではないでッチュウ! と叫び、ベッドの上から飛び降りて、兵舎の外に繋がる扉へ向かって走り出すのであった。
「コッシローの奴、いったいどうしたんだ? 血相を変えて、どこかに向かって行くみたいだけど?」
クロードが兵舎の出入り口に設置された扉に体当たりを繰り返すコッシローを心配しながら見守っていた。クロードもまた襲いかかる頭痛に悩まされている真っ最中であった。
「よくはわからないけれど、あの大胆不敵で厚顔無恥なコッシローがあそこまで落ち着きが無いのはおかしいわよ? きっと、コッシローはこの襲いかかる頭痛の原因を知っているんじゃないかしら?」
ロージーはクロードにそう言う。クロードは神妙な顔つきになり、ロージーにひとつ頷いたあと、ロージーと共にコッシローの後を追いかける。2人が扉の前でコッシローと合流し、コッシローの言うがままに兵舎から飛び出していく。
そんな2人と1匹を放っておけないとばかりに、ミサ=ミケーン、ヌレバ=スオーも後を追うのであった。
「やれやれ……。後先考えて行動しろといつも口酸っぱく言うのはコッシローくん本人なのですがね?」
「そうは言っても、この宮廷の奥から流れてくる異常な魔力から察するに、この宮廷内でとんでもないことは起きているのは事実だと思うよォ? コッシローさまたちを放っておいて良いのかィ?」
兵舎に残されたハジュンとセイ=ゲンドーは互いの顔を見合わせて、一度、はあやれやれと嘆息する。
「こういう時って、世話焼きの性分だと損をするんだよねェ?」
「はははっ。まったくもって、セイくんの言う通りですよ。どうせ、西塔に行くには、この部屋から出なくては話になりませんでしたし。あそこへ向かう前にコッシローくんの用事でもついでに済ませておきますか」
ハジュンとセイ=ゲンドーもまた、コッシローたちが向かった先へと遅ればせながらついていくことを決心するのであった。すでにかなりの距離をコッシローたちとあけられてはいたが、彼らが行く先は流れてくる魔力の大元であることは間違いない。
(この魔力の流れから考えるに、これは間違いなく玉座の間から流れ出てきていますね。やれやれ……。あそこに居たら捕まるのは必然だからと兵舎の方へと逃げてきたのですが。逃れえぬ運命でも待ち受けているんでしょうかね?)
ハジュンは走りながら嫌みのひとつでもこぼしたい気分であった。1度、逃げ出した場所にもう1度戻るのは火付け人の習性だとよく言われているが、考えようによっては、自分は今回の宮廷騒乱の一助となっているのは確かだ。
この事実にハジュンは苦笑せざるをえないのであった。自分の運命を大きく左右する何かが、この先で待っているからこそ戻らねばならない。そんな気がしてたまらないハジュンなのである。
一足先に玉座の間にたどり着いたコッシローとロージー、そしてクロードは、玉座の間の様相に驚くことになる。
玉座の間から逃げ出そうとしていたであろう貴族たちの多くがあわてふためく姿のままで重ねあうように彼らは物言わぬ石像へと生まれ変わっていた。
「な、何!? これってどういうことなの!?」
ロージーはその玉座の間で驚きの声をあげる。ニンゲンが石像になる魔術を扱えると言えば、伝説上の魔物であるゴーゴンやメデューサくらいである。
「まさか、メデューサの魔力なの!?」
「はははっ。それは違う也。我がぴーちくぱーちく五月蠅い小虫たちを黙らせるために石像に変えただけ也」
慌てふためくロージーに向かって、突然、声がかけられる。今まで玉座の間には、玉座に座る生身の女性とその他は石像しかいなかったのだ。ロージーが頭を前後左右に振って、声の主を探し出そうとする。
するとだ。玉座に座る女性の右隣りにいきなり光り輝く存在が現出するのであった。
「我はS.N.O.J。始まりの神。この世の全てを創りし神。ヤオヨロズ=ゴッドたちをも生み出した存在也。我に何か用也か?」
「何やら思うところがあるようですが、ワタクシはあなたの忠実なる信徒なのデスワ。そう、眉間にしわを寄せなくても良いと思うのデスワ」
メアリー帝はそう言いながら、片膝をつき、頭を下げる。帝とあろう者が誰かにかしづくことは無い。だが、メアリー帝は自分の信じる神に頭を下げたのである。この行為により、少しは気が晴れたS.N.O.Jは彼女の頭の上に右腕のひとつを伸ばし、そっとその頭を鷲掴みにする。
(このまま、スイカのように頭をかち割っても良いが、それでは面白くもなんともない也。さて、この者の考えを読ませてもらう也)
始祖神:S.N.O.Jの右手が光り輝く。そのまばゆい光はメアリー帝の頭をすっぽりと包み込む。S.N.O.Jは彼女の言葉が本当なのかどうかを直接、彼女の頭の中を探ることにより調べるのであった。
数分後、S.N.O.Jは彼女の頭から自分の右手をどけて、また胸の前で腕組をするのであった。
「げに面白きニンゲン也。なるほど、なるほど。そなたはこの世の絶対なる皇になりたい也か。そして、我にその世界の唯一神となってほしいと?」
「はい、おっしゃる通りなのデスワ。ワタクシ、欲深きニンゲンゆえに、この世の全てを手に入れたいと思っているのデスワ。ですが、ヤオヨロズ=ゴッドたちはワタクシを認めてくれるはずが無いのデスワ」
「然り。あやつらは我が生み出した存在だというのに、『約束』という枷を創り出した也。その『約束』は我をすら縛った也。げに憎き奴ら也!」
始祖神:S.N.O.Jは遥か昔の出来事を今まさに自分にされたか如くに怒り狂う。彼の怒りの色に染まる紅い魔力をその身から発するのであった。その魔力は振動の第2波となり、宮廷を揺るがすのであった。
始祖神:S.N.O.Jが放った怒りの魔力の波は玉座の間を貫通し、部屋の壁を何枚も伝播していく。その波動はやがて気を失ったロージーたちにも届くことになる。その魔力の余波を受けて、ロージーたちは無理やり覚醒させられることになる。
「いたたっ。今度は何なのよ……。誰かがイラついているのが、わたしにも感じるわよ……」
ロージーが痛む頭に右手を当てて、頭を左右に振る。それでも頭痛が頭から去ることは無い。それどころか、ますますズキズキと鈍い痛みが押し寄せてくるのである。
そんな状態のロージーではあるが、1匹だけ、元気にベッドの上を跳ね回るネズミが居た。コッシロー=ネヅである。彼はもうこの場で手をこまねいている場合ではないでッチュウ! と叫び、ベッドの上から飛び降りて、兵舎の外に繋がる扉へ向かって走り出すのであった。
「コッシローの奴、いったいどうしたんだ? 血相を変えて、どこかに向かって行くみたいだけど?」
クロードが兵舎の出入り口に設置された扉に体当たりを繰り返すコッシローを心配しながら見守っていた。クロードもまた襲いかかる頭痛に悩まされている真っ最中であった。
「よくはわからないけれど、あの大胆不敵で厚顔無恥なコッシローがあそこまで落ち着きが無いのはおかしいわよ? きっと、コッシローはこの襲いかかる頭痛の原因を知っているんじゃないかしら?」
ロージーはクロードにそう言う。クロードは神妙な顔つきになり、ロージーにひとつ頷いたあと、ロージーと共にコッシローの後を追いかける。2人が扉の前でコッシローと合流し、コッシローの言うがままに兵舎から飛び出していく。
そんな2人と1匹を放っておけないとばかりに、ミサ=ミケーン、ヌレバ=スオーも後を追うのであった。
「やれやれ……。後先考えて行動しろといつも口酸っぱく言うのはコッシローくん本人なのですがね?」
「そうは言っても、この宮廷の奥から流れてくる異常な魔力から察するに、この宮廷内でとんでもないことは起きているのは事実だと思うよォ? コッシローさまたちを放っておいて良いのかィ?」
兵舎に残されたハジュンとセイ=ゲンドーは互いの顔を見合わせて、一度、はあやれやれと嘆息する。
「こういう時って、世話焼きの性分だと損をするんだよねェ?」
「はははっ。まったくもって、セイくんの言う通りですよ。どうせ、西塔に行くには、この部屋から出なくては話になりませんでしたし。あそこへ向かう前にコッシローくんの用事でもついでに済ませておきますか」
ハジュンとセイ=ゲンドーもまた、コッシローたちが向かった先へと遅ればせながらついていくことを決心するのであった。すでにかなりの距離をコッシローたちとあけられてはいたが、彼らが行く先は流れてくる魔力の大元であることは間違いない。
(この魔力の流れから考えるに、これは間違いなく玉座の間から流れ出てきていますね。やれやれ……。あそこに居たら捕まるのは必然だからと兵舎の方へと逃げてきたのですが。逃れえぬ運命でも待ち受けているんでしょうかね?)
ハジュンは走りながら嫌みのひとつでもこぼしたい気分であった。1度、逃げ出した場所にもう1度戻るのは火付け人の習性だとよく言われているが、考えようによっては、自分は今回の宮廷騒乱の一助となっているのは確かだ。
この事実にハジュンは苦笑せざるをえないのであった。自分の運命を大きく左右する何かが、この先で待っているからこそ戻らねばならない。そんな気がしてたまらないハジュンなのである。
一足先に玉座の間にたどり着いたコッシローとロージー、そしてクロードは、玉座の間の様相に驚くことになる。
玉座の間から逃げ出そうとしていたであろう貴族たちの多くがあわてふためく姿のままで重ねあうように彼らは物言わぬ石像へと生まれ変わっていた。
「な、何!? これってどういうことなの!?」
ロージーはその玉座の間で驚きの声をあげる。ニンゲンが石像になる魔術を扱えると言えば、伝説上の魔物であるゴーゴンやメデューサくらいである。
「まさか、メデューサの魔力なの!?」
「はははっ。それは違う也。我がぴーちくぱーちく五月蠅い小虫たちを黙らせるために石像に変えただけ也」
慌てふためくロージーに向かって、突然、声がかけられる。今まで玉座の間には、玉座に座る生身の女性とその他は石像しかいなかったのだ。ロージーが頭を前後左右に振って、声の主を探し出そうとする。
するとだ。玉座に座る女性の右隣りにいきなり光り輝く存在が現出するのであった。
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