独身男の会社員(32歳)が女子高生と家族になるに至る長い経緯

あさかん

文字の大きさ
46 / 110
第3章 独身男の会社員(32歳)が長期出張を受諾するに至る長い経緯

第6話「クリスマス特別餅つきパーティー①全体像」

しおりを挟む

「フォイ!」

「よいちょっ」

 みっちゃん、今若干噛んだな。
 
 餅つき合戦の大事な第1陣は杵を安武が持ち、本日予定があるにも関わらず無理やり連れてこられたみっちゃんが餅をこねるという変則的なバッテリーたっだ。


 クリスマスに餅つきをやるという話だったが、その日は月曜日だったので一日前倒しで開催された。つまり今日はクリスマス・イヴだ。

 参加者は学校サイドで姫ちゃん、みっちゃん、その他生徒多数。俺の会社サイドでは俺と安武そして夏海といった面子。ちなみに直樹も誘ってやったのだが、キッパリと断られた。

 まあ、今日がイヴなのでどうせ彼女か何番目かの恋人あたりとアレコレ忙しいんだろうなと思っていたんだけど『彼女?ああ、別れましたよ。その日はちょっと片付けておきたい仕事もありますんで』とか仰る、ここのところ反抗期なあいつ。

 上司である俺の指示もない仕事とか勝手なことするんじゃねえよ!って言いたかったが、妙に真剣な顔をした奴に言える雰囲気じゃなく……『そうか、頑張れ』としか言葉が出なかった。

 まあそんな感じで、屋上に大勢詰めかけた賑わいのある場であっても、俺だけはちょっと屋上の隅でナイーヴになりつつ遠巻きに餅つきの様子をながめているのさ。


「ねえアナタ。私もやってみたいのですが、ちょっと代わって下さらないかしら?」

「あ、ハイっす」

 お、初めて見る餅つきに興味深々だった姫ちゃんがとうとう安武に声を掛けた。

「ええと、杵の持ち方はこれで良いのでしょうか……?」

「ちょッ姫紀センパイ!お餅つくの初めてですよねッ!?右利きなのに左手が上にあるとか絶対オカシイですからッ!!こねる私の手をついちゃいますよッ絶対!!」

 必死に止めてもらうように懇願するみっちゃん。

「むぅ……野々村先生、生命保険はいってらっしゃる?」

「えっ……それは入ってます……け―――」

 みっちゃんがそう答えかけた瞬間―――

「じゃあ、結果オーライですよ♪」

 未だ臼の中にみっちゃんの手があるにも関わらず、杵を振り上げた時の重みに耐えかねた姫ちゃんがドスンと振り下ろした。

「ヒィィィィィィィィィ!!」

 間一髪のところで手を引き抜いたみっちゃんだったが、顔は既に真っ青だ。

「あぶ、あぶッ……危なかったですって、今!!掛け声も無しにとかありえませんからッ!!そもそも結果オーライって!!私の右手の未来は生命保険なんかじゃ―――――」

「大丈夫ですよ、なんとなくコツは掴みましたので」

 そして何の躊躇もなく振り下ろされた第2撃はあきらかにみっちゃんの手を狙ってたようにしかみえなかった。

「ヒィィィィィィィィィイィィィィィィィ!!!!!!」

 まったくもって楽しそうな光景だな。


 ふと、顔を横に向けるとそちらの方には一生懸命もち米を焚いている恭子の姿が見える。デカいドラム缶をぶった切って作ったような簡易釜戸のなかで、薪を使い火を起こす。そこで焚いた湯が入っている鍋の上に置いた蒸し器でもち米を焚いているのだ。

 なんとも本格的だった。本当に何でもあるな……ここの屋上。

「次の1升5合いっしょうごんごうのお米、もうすぐ炊き上がります!!」

 蒸し器の蓋をあけ、焚かれているもち米に箸を入れ出来具合を確認していた恭子がワイワイガヤガヤと賑わう屋上で他の人へ聞こえるように普段聞きなれない大声をあげている。

 すると、このままじゃ餅をつくスピードが間に合わず埒があかないと悟ったのか、それともただ飽きたのか、はたまたもう満足しただけなのか、姫ちゃんは杵を安武に返却していた。

 みっちゃんは自分の右手の危機にガチギレしながら立ち去ってしまった為、既にもうこの場に居ない。


 選手交代しまして、第2陣は安武×ヒトミちゃん。

「セイッ!」

「よいしょっ」

「ホイッ!」

「こらしょっ」

 早い早い!みるみるうちにつきあがる。ヒトミちゃんの手際のよいこね具合もさることながら、安武なんぞ彼女の女子高生離れしたおっぱいに目線を固定しているにも関わらず寸分違わぬ正確さで杵を振り下ろしていた。

 そして、ヒトミちゃんが臼のなかに入っている少しちぎった餅を口に入れ、「もういいんじゃないかな?」と一発目の完成を示唆する。

「どう?お兄さん、イケるっしょ?」

 ヒトミちゃんはもうひとちぎり餅を摘まんで、その指を安武の口へ持っていった。

「え?あ、はいッ!!―――も、も、も、もう大丈夫だと……思うッス」

 ヒトミちゃんにあーんをされた安武は真っ赤になって同意する。男子校で育った彼はそういうのに慣れていないのだろう。というか、摘まんだ小さな餅を咥えるにはどう足掻いても安武の唇がヒトミちゃん指に触れてしまうじゃねえか。結構な試練だなこれは。

 結果、安武はヒトミちゃんに終始敬語だった。相変わらず視線はおっぱいにくぎ付けだったが。


「よっしゃ、ほな女性陣!!出来た餅を丸めるでー!!」

 夏海は音頭をとると、他の女子高生を集めて出来上がった餅を加工しはじめる。

 正月用に持ち帰る鏡餅をはじめ、餡子を中にいれたり、きな粉をまぶしたり、柏の葉で包んだりと女子連中はまるでお菓子作り感覚のように楽しんでいた。


 まあ、みんな楽しそうでなによりだ。俺は眺めているだけで全くもって何もしてないがな。


 ちなみに恭子警備員の隆文くんとかいう子が若干鬱陶しい。他の男子が不用意に恭子へ近づかないよう必死でディフェンスしているみたいなんだけど、動きが俊敏すぎて視界に入ると目がチカチカするんだわ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...