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【〜No28〜】

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リリアーナは、エルーザとパトリシアに対して、激しく怒りを覚えていた。

(きっと何度か、同じような事をして、マリアールを陥れてたんだわ!! なんて最低な奴らなんだろう!
可愛そうなマリアール。たった一人で、味方もいなくて、辛かっただろうな…。今日が休みで、本当に良かった。ここへ来てたら、嫌な事を思い出しただろうし…)

そう考えていると、ロバート達や先生方が、騒ぎを知らせた生徒と共に、この場にやって来た。
そして、近くにいたD組の生徒から、話を聞くと呆れた顔をして、エルーザとパトリシアの側に行った。

「デロリアン嬢とハイビス嬢、何時までもそんな所に座っていないで、お立ち下さい。
怪我など、されていないでしょう?」

D組先生がそう言うと、エルーザとパトリシアは目を見開き驚いた。

「なっ?!なんて事を、おっしゃるの?!」

「そうですわ!私達を疑うんですの?!D組の担任の先生だから、自分のクラスの生徒を庇うのですか?!呆れますわ!!」

そうエルーザが言うと、D組の担任の先生は(はぁ…)と溜め息をついて、呆れて言った。

「はぁ…、D組の担任だからこそ、パヴェル嬢とジュエル嬢が、貴方達二人に、何もしていないと、わかるんですがね!
他の生徒達も、皆知ってますよ?
勿論A組の担任の先生もそうですし、A組の生徒で、それを知らない方はいますか?」

D組の担任の先生がそう言って、A組の生徒達を見渡すと、皆首を振った。
まだ、何を言ってるか解らないと言う顔をしている二人に、リリアーナは怒りの視線を向け告げた。

「お二人はそうやって、課外授業の度に、マリアール様を陥れていたのですか?誰も見ていない所で、二対一で被害者づらをしたら、きっとA組の皆様達は、マリアール様が、暴力を振るったと信じたんでしょうね!!
だからマリアール様は、課外授業が嫌いだと仰ったんだわ。何もしてないのに、悪人にされて誹謗中傷されるんだから…。
なんて卑劣な事をする方達なのかしら!」

「なっ、何を勝手な事を言ってるの?!だって本当の事でしょう?今だって、私達を攻撃して来たじゃない!どうせマリアール様の、入れ知恵でしょう」

「マリアール様は、そんな事言いません!まだ私とカトリーヌが、あなた達に、炎の攻撃魔法を放ったと仰るのですか?」

「だって、本当の事ですもの!」

そう言って、勝ち誇った顔をしたパトリシアを見て、リリアーナは呆れて言った。

「呆れてしまいます。この学園に入学してまだ数ヶ月の私でも知っている事を、お二人は知らないのですか?
A組の生徒は、炎系と水魔法ともう一つの属性が使える生徒のクラスで、B組の生徒は、炎系と水魔法が使える生徒のクラスですよね。
そしてC組の生徒は炎系と土魔法が使える生徒のクラスで、D組は水魔法と氷と土魔法が使えるクラスの筈です。先生、そうですよね?」

リリアーナが、そう担任の先生に尋ねると、先生は、その通りだと頷いて、エルーザとパトリシアを見て言った。

「ですから、パヴェル嬢とジュエル嬢がお二人に、炎の攻撃魔法を放つ事など出来ないのですよ。仮に、本当に貴方達二人に、攻撃魔法を放った者がいたとしたら、それはパヴェル嬢とジュエル嬢以外の、A組の生徒でしょう?それなのに貴方達二人は、パヴェル嬢とジュエル嬢がやった事だと言い張る。
そうなれば、嘘だと誰でも解るでしょう?
全く愚かすぎますね…」

そう言われ、やっと二人は自分達のミスに気が付いた。より暴力的に見せる為に、マリアールを陥れる時は、炎系の魔法を使っていたからだ。
だが今回はD組の補佐として、ここへ来ていたのを、すっかり忘れていた。
いつものA組とB組だけの、課外授業であれば、炎系の魔法を放って襲われたと言えば、皆信じてくれていたからだ。
せめて、水魔法か氷魔法で攻撃されたと言えば、多少は信じて貰えただろうが、もうそれは無理だった。

「あっ…あの…」

とエルーザは顔を青ざめて震えだしたが、パトリシアは懲りずに、更に己の首を締める事を言い出した。

「それは…あの…二人は、マリアール様に頼んだのですわ!だから、先にマリアール様は逃げて…」

とハイビスが言いだしたのを聞いて、リリアーナは怒りで叫んでいた。

「まだ、マリアール様を悪者にしようとするのですか!!マリアール様は、この数日学園を休んでいるではありませんか!今日だって、そうです。それなのに、わざわざここへ来て、お二人に攻撃魔法を放つ為だけに来て、帰ったと仰るのですか?
D組の課外授業に、A組の方達が参加する事が決まったのは、今日でしょう?私達は昼休みが終わった後に、教室に戻って初めてその事を知りました。
そして直ぐにゲートに向いましたから、マリアール様に、その事を知らせる時間などありませんでしたよ!」

そう叫ぶと、カトリーヌがリリアーナを抱きしめた。

「リリアーナ…泣かないで。貴女の悔しい気持ちは、私にもよくわかるわ!友達を陥れてられて、悪く言われるのは辛いもの…。
それが無実なら尚更よ…」

「だって、カトリーヌ…。こんなのは、酷すぎるわ。マリアールはここにいないのに、また悪く言われて、悪意の噂を流されるなんて…。許せないわよ!
そして誰も庇ってくれないのよ?」

そう言って、涙を流すリリアーナを抱きしめながら、カトリーヌは担任の先生に声をかけた。

「先生、リリアーナが落ち着くまで、ホテルのロビーで、休ませてもいいですか?
このまま魔法の授業を続けるのは、危険ですから…」

「そうですね…。心が不安定だと、魔法を操るのにも悪影響が出ますし、魔力暴走が起きる可能性もありますから…。ジュエル嬢、暫く一緒にいてあげて下さい。
後のことは私達で処理しますから」

「ありがとう御座います。リリアーナ、行きましょう?」

リリアーナは、止まらない涙を手で拭いながら、ぽつりと言った。

「カトリーヌ、ごめんなさい…」

「何言ってるの?友達でしょう?」

リリアーナは、カトリーヌの優しさに、また涙が溢れた。そしてカトリーヌは、リリアーナの腕に自分の腕を組み、ホテルへと歩き出した。
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