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第4章 花ホタルの花言葉
(4-15)
しおりを挟む「お兄ちゃん、おかえり。梨花さんに会ってきたよ」
「おお、そうか。で、どうだった」
やっぱり気になっている。どう話そうか。嫌な女だったなんて話したら、どう反応するだろうか。もちろん、そんな人じゃない。とてもいい人だった。焦らしちゃおうか。
「うーん、どうかな」
「なんだよ、早く言えよ」
焦らすのはやっぱり可愛そうだ。
「感じは良さそうな人だと思うよ。小柄で少しぽっちゃりで癒し系かもね。けど、一回会っただけじゃ、はっきりわからないからね。だから、また行くかも」
「また」
「そう、また。あそこなんか居心地がいいんだもの」
「そうか、居心地がいいか。確かにそうかもしれない」
「あっ、そうそう。猫ちゃんも可愛いし、賢いしスーパー猫ちゃんよね。確か、ツバキっていったかな」
「そんなにスゴイ猫なのか」
「だって、迷っている私を道案内してくれたのよ。すごいでしょ」
「なるほど、確かにすごいかも。結衣は方向音痴の大会あったら、優勝できそうなレベルだもんな」
「なによ、それ。私そこまで……」
言い返そうと思ったけどやめた。
「ごめん、いじけるなよ」
「いじけてなんていませんよぉーだ」
「ごめん、ごめん。そうだ、また花屋に行くなら、一緒に行かないか」
「えっ、お兄ちゃんと。無理じゃない。休み合わないでしょ」
「そうか、そうだよな」
残念そうな顔をしちゃって。一人じゃ行きづらいのだろう。
颯兄は奥手だ。ここは一肌脱ぐか。
あの人とならうまくいくかもしれない。そういえば、あのとき何を言いたかったのだろう。花屋のこと何か言っていなかったかって、颯兄と花屋になにかあったのだろうか。颯兄は、特になにも話していなかったはず。
うーん、まあいいか。
「ねぇ、お兄ちゃん。梨花さんと私と三人で、今度食事しようよ。二人っきりじゃハードル高過ぎでしょ。私が誘っておくからさ」
「そ、そうか。それはいいな。頼むよ」
「りょーかーい」
結衣は敬礼する仕種をして、ニコリとした。
「結衣、それ流行っているのか。なんか変だぞ」
「そうかな。なんか気に入っているのよね」
「それドラマかなんかの影響か」
「さぁーね。秘密」
颯兄は苦笑いを浮かべていた。正直、自分でも覚えていない。
なにかの小説だったろうか。そんな気がする。自衛官の恋物語だったか、警察官の恋物語だったか。警備員だったっけ。そんなのないか。けど、いいの。そんなことよりも梨花と颯兄がうまくいってくれたらいい。一歩前進できそうだ。
そうそう、ミニバラも買ってきたし、きちんとお世話しなきゃ。
確か、ミニバラはできるだけ日当たりのいい屋外がいいって話していた。ベランダに置こう。肥料もしっかりやらないと。花なんて久しぶりに買った。
今度行くときは、フラワーアレンジメントを買ってこよう。素敵だったから。支払いは颯兄の財布からってことで問題ないだろう。
楽器をかたどったオシャレで可愛らしいものがあった。買うとしたらホルンの形がいい。
ツバキにも会いたいから絶対行かなきゃ。
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