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第四話 消えた挿絵
【二十七】おかしな猫と鼠
しおりを挟むなにか感じる。
殺気か。違う。好意的な気を感じる。
いったい、どんな奴らだろう。ところで、ネズノはどこへいった。まあいいや、眠いし寝て待とう。
「寝るな、阿呆田彦」
突然の罵声と気配に猫田彦は身体をスッと移動する。
ネズノの尻尾ムチ攻撃が来ることなんて予測済みだ。
「ふっ、甘いな。それに、おいらは猫田彦だ。阿呆田彦じゃない。ネズノ、おいらのジャンピングローリングクローをくらいやがれ」
反撃に出ようと飛び上がった瞬間、ひょいとネズノに避けられてしまった。ニヤリとするネズノ。
くそっ、躱されたか。
しまった、背後を取られた。
ペシペシペシッ。
「いて、いて、いてぇ~。なにしやがる」
「どうだ、ネズノスペシャル尻尾ムチ攻撃はすごいだろう」
ああ、もう結局こうなるのか。猫田彦はガシガシガシッと首筋を掻き苛立ちをどうにか抑えた。
「そうだ、誰かがこっちに来るぞ。ちょっと変わった気を纏った者も混じっているようだが敵ではなさそうだ」
猫田彦は思い出して言い放つ。
「そんなことわかっている。さっき、ミコが来たからな」
「そうか、で、ミコって誰だ」
「情けない奴だ。もうボケちまったのか。猫田彦改め、ボケ田彦か」
「ボケだと。今は咲く時期じゃないぞ」
ネズノは嘆息を漏らして首を左右に振った。
「なんだよ、そこはツッコミ入れてくれよ」
ボケの花はちょっとマイナーだっただろうか。それとも、いまいちのボケだったか。ああ、自分で言っていてわけわからなくなってきた。
ボケ、ボケ、ボケと頭の中にボケの文字がグルグルと回っている。
「ボケ、ボケうるさい」
ペシペシペシッ。
「いて、いて、いてぇ~。尻尾ムチはいらない。やめろ」
どうやら、心の声が口から出ていたようだ。
「まったく本当にアホには付き合いきれないな。んっ、阿呆田彦、どうやら来たようだぞ」
「そうか、どんな奴らだ」
「おい、そこはスルーするのかよ。阿呆田彦ってずっと呼ぶぞ」
阿呆田彦だろうがなんだろうが、この馬鹿なやり取りできることが楽しいってものだ。ネズノとはずっと一緒にいたい。そう思っている。
チラッとネズノを見遣り、すぐに来訪者のほうへと目を向けた。
なんだ、あれは。人形が猫に乗っているぞ。動いているのか。おかしな奴らがやってきた。なんだか心が躍る。
***
「おっ、あそこじゃないか。猫と鼠がいるぞ」
「本当だ。けど、遼哉、なんだか喧嘩しているみたい」
小海の言う通りだ。確かに、猫が猫パンチ繰り出しているかと思うと鼠は尻尾を振り回している。いったい何をしているのだろうか。本当に喧嘩なのだろうか。
「グレン、あそこへ急げ」
「ニャ」
樹実渡と火乃花を乗せたグレンは走っていく。
それにしても、あの猫と鼠も神様なのだろうか。なんだかさっきあったネムとはだいぶ違う。威厳を感じられない。威圧感もない。
奥に祠があるからきっと神様なのだろう。それとも神様の眷属とかなのか。
とにかく話をしてみよう。
「なんだか頼りなさそうだけど、大丈夫かな」
小海の言う通りだ。大丈夫だろうか。
ここはミコを信じるしかない。わざわざ教えに戻るくらいだから、きっと力ある者なのだろう。
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