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第五話 思い出を抱いて
【三十一】前と違う過去
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いた。樹実渡、発見。
あそこが遼哉の家か。空からだと一目瞭然だ。
のんびり眺めている場合じゃないか。樹実渡を止めなくては。
グレンの背に揺られてにやけていやがる。食い物のことでも考えているんだろう。
よし、行こう。美味いものの話をすればついて来るはずだ。
ぷくぷくは風を切り急降下しはじめて、すぐに急停止した。
殺気だ。まさか。
樹実渡とグレンがブロック塀へと飛ばされた。
な、なに。金之丞か。速い、速過ぎる。
なぜ、ここにいる。まずい。厄介なことになりそうだ。背後に取り憑く悪魔の姿が色濃く映る。
まるで、こっちの行動がわかっているみたいだ。そんなはずはない。ぷくぷくは頭を振り、否定する。
金之丞を通して悪魔に目を向けて、小さく息を吐く。
あいつとまた戦わねばならないのか。ハルたちを救うには、避けられないことだ。
仕方がないことだが、正直やっていられない。
そんなことよりも樹実渡とグレンを助けなくては。ここであいつらと戦うことは得策じゃないがやるしかない。
ぷくぷくは樹実渡のもとへ向かおうとして、目の前から飛んでくる何かを身体を捻り避けた。ヒュッと鋭利なものが頬を掠めていった。くそっ、避け切れなかった。
金之丞が投げた短刀だと理解するのに数秒かかった。連続で投げてきやがった。
金之丞の嫌みな笑みが腹立たしい。
しまった。倒れている樹実渡に向かって炎を投げつやがった。違う。投げつけたのは悪魔のほうか。
樹実渡の身体を炎が包み込んでいく。
なんてことだ。樹実渡が書物へと変わっていく。
一瞬の出来事だった。飛び火した炎がグレンの身体を焼こうとしていたが、グレンはなんとかブロック塀の向こう側へ姿を隠して難を逃れた。
過去が変わっているのか。前回のことで時空が歪んでしまったのだろうか。
そんなことよりもあいつらを。なに、いない。
金之丞と土筆はどこへいった。
「くそっ、俺様など敵じゃないとでも思っているのか。馬鹿にするな」
消え去った悪魔に向かって叫ぶ。
くそったれ。
怒りが爆発しそうだ。あいつらどうしてくれよう。
あっ、樹実渡の書物が灰になってしまう。ダメだ。早く消さないと。
ぷくぷくはすぐさま燃える書物に身体をぶつけてどうにか火を消す。辛うじて灰と化すことだけは阻止できた。
ダメだ、これでは。樹実渡はもう元の姿には戻れないかもしれない。燃え過ぎてしまった。
またしても失敗だ。過去を変えられずに戻ることになってしまうのか。
もしかしたら、今頃ハルと火乃花も。いや、二人だけでも救わなくては。その前にグレンは大丈夫なのか。ブロック塀の向こう側では焼け爛れた肌をしたグレンが弱々しい声をあげていた。
「すぐに動物病院に連れて行ってやるからな」
ぷくぷくはグレンの首筋を掴み、空を飛んだはずだった。
重い。なんて重いんだ。大丈夫。地面すれすれでどうにか飛べている。
ぷくぷくは溜め息を漏らして、眉間に皺を寄せた。
なぜ、うまくいかないのだろう。簡単に過去を変えることが出来ると思っていたのに。
書物と化してしまった樹実渡に「すまない」とだけ呟いき、ふらつきながらグレンを運んだ。
せめて、ハルと火乃花だけでも助かってくれ。
猫田彦、流瀧。大丈夫だろう。
ふん、なんでこんなにも自分は頑張っているのだろう。悪魔なのに。
こんなんだから、悪魔界を追い出されたんだっけか。笑っちまう。
あそこが遼哉の家か。空からだと一目瞭然だ。
のんびり眺めている場合じゃないか。樹実渡を止めなくては。
グレンの背に揺られてにやけていやがる。食い物のことでも考えているんだろう。
よし、行こう。美味いものの話をすればついて来るはずだ。
ぷくぷくは風を切り急降下しはじめて、すぐに急停止した。
殺気だ。まさか。
樹実渡とグレンがブロック塀へと飛ばされた。
な、なに。金之丞か。速い、速過ぎる。
なぜ、ここにいる。まずい。厄介なことになりそうだ。背後に取り憑く悪魔の姿が色濃く映る。
まるで、こっちの行動がわかっているみたいだ。そんなはずはない。ぷくぷくは頭を振り、否定する。
金之丞を通して悪魔に目を向けて、小さく息を吐く。
あいつとまた戦わねばならないのか。ハルたちを救うには、避けられないことだ。
仕方がないことだが、正直やっていられない。
そんなことよりも樹実渡とグレンを助けなくては。ここであいつらと戦うことは得策じゃないがやるしかない。
ぷくぷくは樹実渡のもとへ向かおうとして、目の前から飛んでくる何かを身体を捻り避けた。ヒュッと鋭利なものが頬を掠めていった。くそっ、避け切れなかった。
金之丞が投げた短刀だと理解するのに数秒かかった。連続で投げてきやがった。
金之丞の嫌みな笑みが腹立たしい。
しまった。倒れている樹実渡に向かって炎を投げつやがった。違う。投げつけたのは悪魔のほうか。
樹実渡の身体を炎が包み込んでいく。
なんてことだ。樹実渡が書物へと変わっていく。
一瞬の出来事だった。飛び火した炎がグレンの身体を焼こうとしていたが、グレンはなんとかブロック塀の向こう側へ姿を隠して難を逃れた。
過去が変わっているのか。前回のことで時空が歪んでしまったのだろうか。
そんなことよりもあいつらを。なに、いない。
金之丞と土筆はどこへいった。
「くそっ、俺様など敵じゃないとでも思っているのか。馬鹿にするな」
消え去った悪魔に向かって叫ぶ。
くそったれ。
怒りが爆発しそうだ。あいつらどうしてくれよう。
あっ、樹実渡の書物が灰になってしまう。ダメだ。早く消さないと。
ぷくぷくはすぐさま燃える書物に身体をぶつけてどうにか火を消す。辛うじて灰と化すことだけは阻止できた。
ダメだ、これでは。樹実渡はもう元の姿には戻れないかもしれない。燃え過ぎてしまった。
またしても失敗だ。過去を変えられずに戻ることになってしまうのか。
もしかしたら、今頃ハルと火乃花も。いや、二人だけでも救わなくては。その前にグレンは大丈夫なのか。ブロック塀の向こう側では焼け爛れた肌をしたグレンが弱々しい声をあげていた。
「すぐに動物病院に連れて行ってやるからな」
ぷくぷくはグレンの首筋を掴み、空を飛んだはずだった。
重い。なんて重いんだ。大丈夫。地面すれすれでどうにか飛べている。
ぷくぷくは溜め息を漏らして、眉間に皺を寄せた。
なぜ、うまくいかないのだろう。簡単に過去を変えることが出来ると思っていたのに。
書物と化してしまった樹実渡に「すまない」とだけ呟いき、ふらつきながらグレンを運んだ。
せめて、ハルと火乃花だけでも助かってくれ。
猫田彦、流瀧。大丈夫だろう。
ふん、なんでこんなにも自分は頑張っているのだろう。悪魔なのに。
こんなんだから、悪魔界を追い出されたんだっけか。笑っちまう。
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