ある日、AV男優になった元大学生

華愁

文字の大きさ
17 / 30

第十六話 “あの頃”俺がされたこと 『タイトルは「“あの頃”俺がされたこと。」

しおりを挟む
冒頭

――高校二年生の六月のある日の放課後、
俺、浅水黎都は旧校舎の演劇部の部室で
久地先輩と久地先輩の仲間数人に
“まわされた”。

その日を境に半月に一度、
部室に呼び出されては“まわされた”。

中略
――一つ上の学年だった久地先輩と
久地先輩の仲間たちは三月に卒業していき
浅水黎都の平穏は戻っていたが、
すっかり人間不信になっていた。

中略②

――大学入学後も浅水黎都の人間不信は続いており、加えて母親の借金は増えるばかり。

大学二年夏休みを機に浅水黎都は大学を中退しバイトを掛け持ちしていたが
一年半前、水道光熱費と家賃以外の
全財産を母親に持っていかれ
途方にくれながら夜の街を
さ迷っていたところでに
阿久津陣から声をかけられた――

『脚本風にすればこんな感じ』

それを読んだ恋人の阿久津陣と弁護士の高梨恵は言葉を失った。

十七歳の男の子が複数人に
“まわされる”なんて恐怖以外のなにものでもない。

『黎都……

こんな想像を絶することを……』

阿久津は優しく黎都を抱き締めた。

「辛いことを話してくれてありがと」

長年、弁護士をしてきた高梨恵は
“性被害”の案件も引き受けてきたが
黎都の話はかなりショックを受けた。

『いえ、脚本風にしてしまえば
言葉で語るよりかは
落ち着いて“話せる”ので。
 
それに、今は陣さんに
愛しもらえて幸せですから』
  
阿久津は黎都の頭を撫でながら、静かに言った。

『俺がずっと守る。もう二度と、
一人で苦しまなくていいんだよ。』

黎都は震える声で答えた。

『ありがとう……

陣さん。もう逃げない。話して良かった』

‥‥‥

【スタジオ・控え室】


『新しい脚本のタイトルは
「“あの頃”俺がされたこと。」』

ノンフィクションです』

冒頭

――高校二年生の六月のある日の放課後、
俺、浅水黎都は旧校舎の演劇部の部室で久地先輩と久地先輩の仲間数人に
“まわされた”。

その日を境に半月に一度、
部室に呼び出されては“まわされた”。

中略
――一つ上の学年だった久地先輩と
久地先輩の仲間たちは三月に卒業していき
浅水黎都の平穏は戻っていたが、
すっかり人間不信になっていた。

中略②

――大学入学後も浅水黎都の
人間不信は続いており、
加えて母親の借金は増えるばかり。

大学二年の 夏休みを機に浅水黎都は
大学を中退しバイトを掛け持ちしていたが
一年半前、水道光熱費と家賃以外の
全財産を母親に持っていかれ
途方にくれながら夜の街を
さ迷っていたところでに
阿久津陣から声をかけられた――


『これが俺が高校時代に受けた性暴力です。

ノンフィクションです』

音響担当の新庄は呟いた。

「ノンフィクションって…

嘘だろう……俺なら壊れる……

黎都、よく耐えたな……」

二人の子供がいる助監督の杉原は……

「自分の子供だったらて思ったらぞっとする……

加害者を赦せないだろうな」

『私も杉原助監督の気持ち、わかるわ。

今は私の手を離れてそれぞれの
家庭を持ってるとはいえ
もし、息子たちが高校時代にそんな目に
遭っていたら加害者の家に抗議に行ってたかも!!』

メイク担当の仁科は五人の
子供を育てあげた強者で
黎都のことも実の息子のように
可愛がってくれていた。

【控え室・沈黙の中】

同世代俳優・水嶋湊(21)は、
手に持ったペットボトルをぎゅっと
握りしめたまま、声を震わせた。

「……これ、高校二年のときって……

俺と同じ歳だよな。

そんな時に……そんなこと……。

黎都くん、なんで……一人で……」

湊の目尻には、悔しさと悲しさが
混ざった涙が滲んでいた。

女性共演者・桐谷紗世(25)は、
撮影中もよく黎都にお菓子を
差し入れしていたお姉さん的存在。

「信じられない……って言葉で
片付けたくないけど、本当に信じられない。

だって黎都くん、あんな優しい笑顔するのに……」

紗世は言葉を詰まらせ、
少し間を置いてから続けた。

「……言ってくれてありがとう。

私たち、もう一人にしないから」

カメラ助手・栗林(30)は、
三人兄弟の長男で、末の弟が黎都と同い年。

「……僕の弟が黎都と同い年だけど……

もし被害者が弟だったら、
間違いなく加害者をぶん殴ってる。 

それくらい……許せない」

拳を握る音が、静まり返った部屋に小さく響いた。

別の同世代俳優・佐伯隼(22)は、
普段は冗談ばかりのムードメーカーだが、
今は表情が固い。

「……正直、怒りで頭が真っ白だ。

同い年の友達がそんな目に
あってたって知ったら……加害者、許せない」

女性共演者・西園真弓(28)は、
自身も学生時代に痴漢被害に
遭った過去があり、静かに頷いた。

「性被害って、傷の深さを周りは
簡単に測れないけど……

生きてるだけで、すごいことなんだよ。

黎都くん、ここに立ってることがもう奇跡」

――その場の空気は、
誰も軽い冗談や励ましで
済ませられないほど重くそれでも全員の
視線は、“過去ではなく
今の黎都”をしっかりと見ていた。

【控え室・栗林の言葉の後】

栗林(拳を握ったまま、声を少し震わせて)

「僕の弟が黎都と同い年だけど……

もし被害者が弟だったら、
間違いなく加害者をぶん殴ってる。

それくらい……許せない」

阿久津陣(静かに一歩前に出て、
栗林の肩に手を置く)

『その気持ち、痛いほどわかるよ。

俺も同じだ。

でも今は、黎都がここにいること、
その勇気を一番に見てほしい。

怒りはその後で、ちゃんと向き合えばいい』

栗林(少し息を吐いて、肩の力が抜ける)

「……そうだな。ありがとう、陣さん」

阿久津陣(微笑みながら)

『みんなで黎都を守ろう。

これからは一人じゃないから。』

――控え室の緊張は少しほぐれ、
黎都に寄せる思いが一層
強まった空気が広がった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...