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本編

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 行き着いた場所は初めて降り立つ場所であった。

 今までは人族が足を踏み入れてないような僻地や山奥しか行ったことがない。

 でも今日はすっごく立派な社だ。

 輝惺様から聞いていたとおり、数えきれないほどのβの神様が来ている。

 その神様全員を、優に収容してしまえるほどの広い社。神楽を舞うのも勿論ここだ。

「こんな大勢の前に立つだけでも緊張するわね」

 蘭恋の言葉に八乙女が同時に頷いた。

「なぁに、そんな暗い顔してんだ!! 楽しまないと損だぞ!」

 雷神・朔怜様が朱邑の背中をどんと叩き気合を入れた。

「そう……ですね! 朔怜様、ありがとうございます!! お蔭で緊張が解けました!」

 朱邑は掌を返したように元気になった。

 朔怜様が絡むと万事解決なのは長所と言って良いだろう。

「神楽が終わった後は、好きに過ごしていて良いからね」

 水神・天袮様が言った。でも煬源様は蘭恋が心配なようだ。

「私は境内にいます」

 というと、安心してくれていた。

 神楽は祀りごとを開始する儀式として行われる。

 いきなりで体がかたまらないよう、なるべく運動をして慣らしておいた。

 結果、神楽は無事揃って舞うことが出来た。

 割れんばかりの拍手をもらい、達成感が溢れ出る。何より、僕達の舞を楽しんでくれたのが嬉しい。


 その後は地上界の神様と会合があるので、狼神様とは別れての行動となる。

 さらに八乙女も境内に残る派と、辺りを散策する派に別れ、僕と蘭恋、月詠と凪は残った。

「くれぐれも気を付けてね」

 凪が声を掛ける。

「おぉ! 大丈夫だ!!」

 須凰が答える。

 地上界に慣れていると言えば凪が一番だ。

「あの三人も慣れてるからきっと大丈夫よ」

 蘭恋が言うと、凪もそれ以上は何も言わなかった。

 須凰はこの時、忘れられない出会いをする。

 これが後に大事になるとは誰も思っていなかった。須凰自身でさえ……。

 全ての祭典が終わると、また神界を目指して飛び立つ。

 終始順調に終えることができて、みんな満足感に浸っている。

 元気な朔怜様と依咲那様は今日という日には宴しかない! と言って神殿へ帰っていった。

 僕は光の神殿へ帰ってきて、ようやく緊張が解けた。

 輝惺様からたくさん褒めて貰えたのが何よりの宝物だ。

「また行きたいか?」と、聞かれたので輝惺様と一緒なら行きたいですと返す。

 輝惺様はニッコリと微笑んだ。





⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎★

「ダンスパーティーで騎士様と。」スピンオフ・ジェイクのストーリーがスタートしました!こちらも宜しくお願いします♡♡

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