巨人族の1/3の花嫁〜王様を一妃様と二妃様と転生小人族の僕の三妃で幸せにします〜〈完結〉

クリム

文字の大きさ
9 / 105
1章 

9 誰か僕をお世話してください※

しおりを挟む
「妃よ……いや、タークよ。慰めてはもらえないか?これでは学べぬ」

「王様」

「余を名で呼ぶがよい、ガリウスだ。我が師よ」

「いえ、王様は王様です。三妃の僕には不敬にあたります」

「一妃も二妃も余を名で呼ぶ。そなたも……」

「僕は王様って響きが好きなんですよ」

 今日から頑張るんですね。いいでしょう、僕も頑張りますよ。かつて僕が仕えましたディオニッソス王もこうして甘えてくることがありました。王妃様を娶る前の閨事は側近である僕の役目でもありました。紀元前五世紀頃のギリシアローマでは同性での睦愛は当たり前でしたし、大切な王様にそこら辺の側女へ手を出させてはならないのです。

 僕は王様の胡座の中に入って両腕で陰茎を抱きしめて上下しながら唇を亀頭につけます。僕が小さいので素股ならぬ素胸でしょうか。僕の乳首が王様の陰茎で擦れて痛い感じがします。

 先走りと呼ばれるものをちゅう……と吸っていますと、王様の指が僕の肛門に入って来ます。

「あっ……」

「香油を塗った。無体はせぬ」

 指がぐっ……と入り込み僕が腰が逃げそうになるのを、王様の手がそっと留め置き、僕は王様の指を感じながら陰茎を舐めては擦ります。

「やっ……あっ……ああっ……!」

 指が二本に増やされた僕は、王様の陰茎に僕自身の陰茎を擦り付けて感じてしまいました。

「む……うっ!」

 王様の陰茎から精液が溢れ、僕は芋茎のような青く薄甘い粘液をこくりこくりと飲みます。喉に残る感じはしますが、それが嫌ではないから不思議ですね。

 二回目の人生は男女問わずモテました。かなりのイケメンでサディスティックな面もありました。する側でしたし一人寝などしたことがないくらいでしたね。その反動からか、三回目の人生では生涯独身でしたのに。人生って分からないものです。

「不感症ではなかったのか?」

 王様が言いましたが、僕も男です。前立腺へのタッチングは卑怯です……。

「う……」

 指を抜かれて僕はへたへたと座り込みました。自分のお腹についた精液に驚きます。成人して久しいのですが、この身体になり精液を出したのは実は始めてです。少し指に取り舐めてみました。王様のものとは違い青苦い感じがします。小人族と巨人族の違いでしょうか。

「まずい……」

 すると王様は僕の胸周りを大きな舌でざらりと舐めました。

「ひゃ……っ」

 乳首も舐められました。

「どれ。む、ソニンやロキのものとは違い、精がやや薄いな。まるで清水のようだ」

「うう~~っ、わかりません。僕は初めてなのです。さあ、読み書き始めますよ」

 僕は羽織着を来て紙と鉛筆を出しました。鉛筆と紙が王様には少し小さいですね。

「少し待って下さい、錬成!」

 空中魔法陣を描き出しました。二本の鉛筆を一まとめにし、紙も大きくしました。

「……見事だ」

「ありがとうございます。では、王様」

「ガリウスだ」

「では王様、丸を書きましょう」

「~~名前で呼ばぬか!丸?簡単ではないか」

「同じ大きさの丸になります。お手本はこれです」

 僕は僕用の鉛筆で丸を何個か書いた。違わず綺麗な円を描き出し王様に渡しました。

 丸は陣を作る上での基本です。特にこの世界の文字は韓国のハングル文字と古代メソポタミア文明の楔形文字を足して二で割ったような字形をしています。

 文書で板書きや羊用紙に書かれているものは形をなしていれば良いのですが、陣は別です。正確に正しく描き理解しないと発動しません。

「何度も丁寧に、あ、窓際の机で書かれますか。鉛筆は先が丸くなったら小刀で削りましょう」

 窓際の長テーブルで椅子に座り、大きな身体を丸めて熱心に一ページ丸を描いているガリウス様は、なんと熱心で微笑ましく僕はこの夜、大きな花丸をあげました。





 黒狼に変化したロキに跨り、僕は三の宮から六日目にして出ました。宮のすぐ下には後宮に仕える人たちの住まいがありました。小さな集合住宅のようです。

「俺んとこはクラリが側仕え騎士と側付きを兼任しているから、大抵煮炊き場で寝ているが、ソニンのところは大所帯だ。側付きも側仕え騎士も多いから入れ替わりで後宮住まいを使っている」

「はあ、お金持ちですねえ。何人もですか……」

「王妃は王が死ぬと側仕え騎士や側付きと共に一緒に埋葬されるが、ソニンは神託があったからタイタン次期王のために宮に留め置かれた。そんでガリウスの兄貴や前父王の騎士やら側付きを雇ってるんだ」

 王様の兄と父王……ですか。ソニン様は現王様に傾倒しましたが、亡くなった父・兄上様の側仕え騎士や側付きさんはどうなんだろう。調べる必要がありそうですね。王様は僕の大事な生徒なんですから。

 後宮住まいから街に出る使用人通用門があります。僕はロキと一緒にそこから出ました。門から林を抜けるとなだからな下り坂になって貴族門と呼ばれる木の門を通り、王都に入ります。

 貴族達は田舎に領地があり、王城を築きます。王城門を出入りする人々から通行税を取り、領地の作物を税として王国に納めます。

 王都も同じです。王都で暮らす人は住民税を納め、一部農民は王都の外の農地を耕し物を作り、工業人は家材工具を作り、商人は商品を売ります。自身の力や能力を売り買いの道具にする者もいますが、このサイクルから外れた者は、出ることも入ることも出来ずにいるのです。

「とりあえず人材ギルドか?」

「いえ、王都の門までお願いします」

「へいへーい」

 ロキが王都の門の近くまでいくと高い壁沿いにありあわせで作ったバラック小屋がありました。

「ここ?マジで?」

「はい、到着です」

 疲れたような人々が座り込み、またすることなくぼんやりとしています。仕事がないのですから仕方ありません。

「はい。では」

 僕は精一杯息を吸い込んで、

「誰か、僕をお世話してくれませんかーー!」

と叫びました。

「三食、昼寝付きです、よーー!」

 壁沿いにロキに歩いてもらいながら、何度か声を上げました。興味があったように目線を動かす人もいましたが、身体は動きません。無気力です。これは良くありません。足元の瓦解はこんなところからスタートするのです。

 門から半周してもらい、ゆっくり一周してもらおうとしたとき、

「俺、未成人だけど、小人族の兄ちゃん、あんたを世話すればいいのか?三食昼寝……昼寝はいらないけど、本当か?」

 バラックの中から二メートル弱の少年が出てきます。まだ幼い印象です。ロキやソニン様も二メートル近くありますが、線が細いのです。アレスさんのニ・五メートルくらいが巨人族平均身長なのです。こう見るとガリウス様の三メートルは、巨人族でもかなり大きいのです。

「はい。小人族の僕が巨人族の中で生きるためには手助けが必要です。あなたが僕をお世話してくれますか?」

「ちゃんと飯くれるか?」

「当たり前ですよ。お賃金も出しましょう」

 少年は褐色の肌に、金の瞳金の髪をしています。それを歪めて

「俺は働きたい。でも、母ちゃんが病気で寝てるんだ。置いては行けない」

と言います。当然ですね。ここでお母様の話しか出ていない、稼ぎ手がこの少年だけと言うことで、僕は決めました。僕の二番目の生徒にしましょう。

「お母さんも連れていきましょう。幸いにも僕は薬草を扱えます」

 少年に案内されて木端を寄せ集めたようなバラックの一角に入りました。
しおりを挟む
感想 252

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

もう殺されるのはゴメンなので婚約破棄します!

めがねあざらし
BL
婚約者に見向きもされないまま誘拐され、殺されたΩ・イライアス。 目覚めた彼は、侯爵家と婚約する“あの”直前に戻っていた。 二度と同じ運命はたどりたくない。 家族のために婚約は受け入れるが、なんとか相手に嫌われて破談を狙うことに決める。 だが目の前に現れた侯爵・アルバートは、前世とはまるで別人のように優しく、異様に距離が近くて――。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...