original ring

藤丸セブン

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1章 旅立ち

3話 旅立ち

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「ん、、、知ってる天井だ」
 ライヤが目を覚ますとそこには見慣れた天井があった。ライヤの部屋の天井だ。
「あれ、俺は何してたんだっけな」
 少しだけ痛む頭を摩りながらベットから降りようとするとベットの横で眠っている少女がいることに気がついた。
「そうだった。俺はキョウカの指輪を取り返す為に戦って、オリジナルリングを使ったんだ」
 今全てを思い出した。どうして忘れていたのかは分からないが。
「俺をここまで運んできてくれたのか?」
 その後の事がどうなったかは気になるが横でぐっすり眠っているキョウカを起こす気にもならない。起きてくるまでは寝かせてあげようとライヤがキョウカをお姫様だっこして自分のベットに
「ん、はっ!ライヤ!」
「うぇ!?」
 運ぼうと思った瞬間キョウカは目を覚まし飛び起きた。その声に驚き妙な声が出てしまった。
「えっと、なっ!うわぁぁ!」
「えっ!ちょっと待って!キョウカちゃん!?ぐぇ!」
 キョウカは目を覚まして直ぐに周りの状況を確認する。寝ていた自分がお姫様抱っこでベットに運ばれている状況はキョウカには恥ずかしすぎる展開だった。
「あっ!ごめんライヤ!てっきり襲われるのかと」
「俺は寝ている女の子に襲いかかる程の狼じゃないよ!?」
 誤解された所は甘んじて受け入れるとしてライヤが気絶した後の状況を聞こうとした時。
「おや、起きたかい。それじゃあ朝食にしようか」
 そこに祖母が来て一旦落ち着く為にも食事をする事になった。
  ◇
「待てよ、朝食?俺朝に出かけたよな」
「丸一日寝てたんだよあんた。キョウカちゃんが凄く心配してたんだから」
「ちょっ!おばあさん!それは言わないで」
 軽い食事を取りながらその後の事を教えてもらった。ライヤが気絶した後祖母が呼んでいた警察があの場所に到着してワイジと仲間達を連行して行ったと言う。
「それはよかった。あ!一番大切な指輪は!?」
「ここにあるよ。あんたのお陰で守れた。ありがとね」
 雷鳴の指輪を見せながらキョウカがお礼を言う。その微笑みはライヤには少し眩しくて頬を少し赤くして「おう」と言う。
「それじゃあライヤも起きたし、私はそろそろ行こうかな」
「え?どっか行くのか?」
「残りのオリジナルリングを探す旅だよ。この街には他のリングは無いみたいだしね」
 キョウカが立ち上がり食器を片付ける。どうやら皿を洗い終わった後に旅立つつもりらしい。
「お、俺も」
「ん?皿を洗い手伝ってくれんの?」
「お、おう!手伝うぜ」
 ライヤは少し動揺して皿洗いに参加し始める。それを見ていた祖母はため息を吐いた。
 皿洗いが終わった。朝食に使った食器を全て綺麗にして片付けた。この後、キョウカは旅立つのか。
「キョウカちゃんよ。指輪を探すとは言うが、行く当てはあるのか?」
「それはこの指輪が教えてくれるんです」
 キョウカが雷鳴の指輪を指にはめると指輪は黄色の光を放った。その光はここより北を指している。
「これが他の指輪の場所を教えてくれているのか」
「そ。普通に付けるだけならこうはならないんだけどアリシス一族がつけるとこうなるの。だからアリシスは指輪が使えないんだよ」
 なるほど。キョウカが戦闘時に自分は使えないと言っていたのはこう言う意味だったのか。確かに光が出るだけでは全く役に立たない。
「では、お願いがある。キョウカちゃんの旅にライヤを連れて行ってくれないだろうか?」
「「え!?」」
 二人揃って驚きの声を上げる。そしてキョウカが何かを話し始めようとするとライヤが大きな声で話し始めた。
「ちょっと待てよばあちゃん!俺はこの食堂継ぐって前にも話しただろ!?確かにキョウカの一人旅っていうのは心配だし、キョウカについていけば俺が憧れていた冒険者にもなれるかもしれないし、心躍る冒険も出来るかもしれないけど!」
「そこまで言ったなら大人しくお願いしたらどうじゃ。この食堂も客は少ないし、わし一人でもなんとかなるわい」
「でも!」
 ライヤは何か言いたげな顔だが祖母の物言わせない表情に根負けした。
「分かった。俺は俺がしたい事をするよ」
「うむ。それでいいんじゃよ」
 ライヤが決意を決めると祖母は嬉しそうに頷く。そして祖母から視線を外しキョウカの目の前に立つ。
「お願いします!俺を、旅に連れて行って下さい!!」
「え、普通に嫌」
「えええええ!?」
 断られた。この状態で断られる?普通。やばい。案外心に来る。
「だって、あんたは何も関係ないし、これ以上は危険に巻き込めないよ。これからの旅はかなり険しくなると思うし」
「そんな事覚悟の上だ!俺は冒険者になりたかったんだし危険な事くらい」
「冒険者の仕事はあくまでも理性がほとんどない魔族の討伐とか。でも私と来るってんなら話は違う。戦う相手は指輪を手にした人間の可能性だってあるの」
 人間?指輪を盗んでいったのは魔族だったのでは無いのか?
「魔族が全て持って行ったのなら、反応が一箇所に集まってるはずなの」
「じゃが反応が分裂しているから指輪を悪意のある人間に明け渡している可能性もあると」
「あくまでも可能性の話ですけど」
 その後キョウカから聞いた話だが、指輪を奪って行った魔族はたった一人だったという。その一人の魔族が七個の指輪全てを所持しているとは考えづらいという事だろう。
「大丈夫だ。昨日のワイジとの戦いだって問題なく戦えただろ!?それに俺は割と強いし!役に立つぞ!多分」
「ダメったらダメ!これ以上はあんたを巻き込みたくない!」
 お互いに譲らない。このままではジリ貧だ。ここは大きな一撃を放つしかあるまい。
「キョウカ、お前。料理はどうするつもりだ」
「・・・は?」
「自分で言うのもなんだが俺は料理が上手い。キョウカもそれは自分の舌で味わった筈だ」
 キョウカはその時の料理を思い出す。確かにライヤの作った料理は絶品で今まで食べた料理の中でもかなり上位に入るだろう。
「でも、料理は食堂とかで食べるし」
「キョウカそんなにお金ないだろ。だからいいもんは食べられないと思うんだが」
「いや!別に食事はそんなに必要じゃないし」
 嘘、だな。キョウカの食事をする所を見れば分かる。あれは食事をする事が好きで美味しいものを食べた時に幸せを感じる人の表情だ。一度食事を全く楽しまないと言う人に料理を振るった事があったがその時は無表情で全て食べられた。あの表情を知っているからキョウカの嘘はバレバレだ。
「でも!あんたと一緒に行くと宿を別に取らなきゃいけないからお金を多く取られる」
「それはっ!同じ部屋に泊まるとか?」
「はぁぁ!?」
「冗談冗談!本当に冗談!だからボイスは呼ばないでくれ!!」
 割と本気でライヤを吹き飛ばす用意をしたキョウカに全力で冗談だと主張する。ここで弁明しないと全てがパーになる。
「まあとにかくそういう事」
「いや。俺には貯金がある」
「なっ!?」
 最初からこっちを言えば良かった。そう、料理以外に趣味もあまり無いライヤには未成年にしてはかなり多い量の貯金がある。これもいずれ冒険に出る為の準備であった。
「つまり、俺を冒険に連れて行くと戦力が増える!美味しい料理が食べられる!お金に困らないの三段構えだ!!」
「でも、襲われる可能性もある」
「あれは事故だしさっきのは冗談!本当に!」
 何があってもしないかと言われると断言は出来ないが基本は我慢できる筈だ。だってキョウカはとても可愛いし、いい匂いするし、髪はサラサラだし、胸はそんなに膨らんでいないが決して無いわけでもない。とても魅力的な女性なのだから。
「・・・はあ。分かったよ。あんたが良いならそれで」
「本当か!やったー!!」
 そしてすぐさま旅立ちの準備をして、キョウカと共に旅立つ。
「ばあちゃん、行ってきます」
「いってらっしゃい。体を大事にして、怪我は出来るだけしない様に。人助けをするのは良いことだけど、人助けの為に自分を顧みないのはダメだよ」
「分かってるよ!小言が多いです!」
 ライヤの悲鳴に祖母は笑いキョウカに話しかける。
「この子は基本いい子過ぎるから、無茶すると思うけど。どうかよろしくね」
「はい。こいつがお人好しなのはもう充分分かりましたので」
 そして二人は歩き出す。次なる指輪を求めて。胸躍る大冒険を求めて。
「ばあちゃーん!いってきまーす!!」
 最後にライヤの全力の大声で祖母に叫んだ。
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