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藤丸セブン

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1章 旅立ち

6話 冒険者登録

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「着いたぜ、ここが私達の街、クウラの街だ」
 馬車が止まったと思うとマキはそう言って馬車を降りる。
 そこはそれ程大きな街では無かったもののそれよりも小さな世界しか知らなかったライヤにとっては大きく見えた。
「よっしゃ。じゃあ冒険者ギルドに行くか」
「おうよ!」
「手伝ってやろう」
「遂に行くんだな!冒険者ギルドー!」
「・・・」
 テンションが下がらないライヤとテンションの上がらないキョウカを連れてファイヤーシスターズはクウラの街の入り口から徒歩五分の冒険者ギルドへ向かった。
「おおおおお!!」
 ライヤの目がキラキラと光る。その視線の先には何度も夢見た冒険者ギルドがあった。木造の作りの大きな建物。その建物はいわば憧れの城の様を思わせる程だ。
「何突っ立ってんだ。行くぜ?」
「うっす!師匠!」
「はぁ。なんで私まで」
 ライヤとは対照的に冒険者になるつもりはなかったキョウカは憂鬱そうに冒険者ギルドに入っていく。今更冒険者にならないなんて言ったら更にめんどくさそうだろうしという理由でキョウカは我慢しているのだ。
「あら、おかえりなさい。クエストどうだった?」
 ギルドの中は想像よりも広い。中では酒や料理を飲み食いしている中年の男性達がテーブルで食事を楽しみ、クエストが貼られている掲示板の前には数人の冒険者が話し合いをしている。
「おおおお!!ここが冒険者ギルドォォ!」
「落ち着けよ。ただいまウル。クエストは失敗さ」
「え?あのマキがクエスト失敗!?」
 ウルと呼ばれた穏やかそうな女性の声がギルドに響き、あたりは騒然とした。紹介が遅れてしまった。ウルはギルドの従業員。主に仕事の斡旋やギルドで出される食事を用意したりしている銀髪の似合う女性だ。
「あのファイヤーシスターズがクエスト失敗だと!?」
「嘘だろ?」
「エンカたん、ネンカたーん!怪我はないのー!?」
 今まで食事を楽しんでいた人や会議をしていた人まで話題を中断してファイヤーシスターズの話になる。
「問題ねーよ。どうやら先客にやられちまったみたいだ。だから私達なんもしてねえ」
「まあ依頼人は満足してたしいいだろ!」
「依頼料は貰えないけどな!」
 どうやらかなり信用されているチームの様だ。それを聞いた他の冒険者も少しの時間の後に自分達の話へと戻っていった。
「師匠達が失敗したクエストってどんなクエストだったんですか?」
「気になるのか?指輪の密売人を警察へ突き出す事だ」
 指輪の密売人?それって。
「もしかしてですけどそれって衝撃の指輪を使うワイジとかいう男っすか?」
「おお。よく知ってんな」
「地元だもんな!」
「迷惑してたのか?良かったな!」
 迷惑などほとんどしていない。というか数日前まで知らなかった。何にせよライヤ達はどうやらファイヤーシスターズのクエストを横取りしてしまった様だ。
「あの、それ倒したの」
「しかし私達のクエストを横取りするとはいい度胸だな。そいつら見つけたらギッタンギッタンにしねえとな」
 言えない。この話は墓場まで持っていくとしよう。
「まあそれは置いといて、本命はこっちだ」
 マキは少し古いジェスチャーをウルにするとライヤの肩を叩き(ジャンプして)一歩前へ出させる。
「ライヤ・アラタです!冒険者志望です!」
「ほれほれキョウカもー」
「行ってこーい!」
「あっ、ちょっと。・・・キョウカです」
 いかにもテンションが高い男とテンションの低い女を目の前にしたウルは少しだけキョトンとしてすぐ様笑顔になる。
「ようこそ冒険者ギルドへ!それじゃ早速冒険者登録して冒険者になっちゃおーう!」
「はーい!」
「・・・はい」
 ライヤとキョウカをウルに任せてマキは手を振って料理を注文する為カウンターに向かっていった。
「それじゃこれに必要事項を書いてね。終わったら登録完了」
 ウルが渡してきたのは一枚の紙。それもそれ程大きくない。
「え?そんなに簡単なんですか?」
「ああ。冒険者ギルドってのはいわば仕事の斡旋所。それが善人だろうが悪人だろうが獣人だろうが魔族だろうが仕事を提供する。それが冒険者ギルドさ!」
 そう。冒険者ギルドに善悪は関係ない。幾ら凶悪な殺人犯ですら仕事が出来るのだ。
「ふーん」
 聞いておきながら興味を持たないキョウカは話半分に聞いて紙に目を通す。名前。使用する指輪。そして別の紙には誓約書と書かれていた。
「誓約書はもし冒険中に命を落としても保証は全くありませんっていうやつだな」
「それくらいは知ってる」
 そしてさらりとキョウカは内容を書いていく。
(俺も書かねえとな)
 名前 ライヤ・アラタ
 使用指輪 収納の指輪 ランクC
 誓約書 誓いを
「はい。これで登録完了!これが二人の冒険者カードね」
「ありがとうございます!」
「どうも」
 貰ったカードには名前と顔写真。そしてランクが書かれていた。
「顔写真なんていつ撮ったのよ」
「へ?さっきよ。二人ともいい笑顔で写ってるわよ」
 ライヤは歯を見せて笑っているがキョウカは笑ってない。真顔だ。
(ほんとにいつ撮ったのよ)
「ランクっていうのは?」
「それはだな!」
「あんたには聞いてない」
 ライヤが心に傷を負い倒れるのを無視してキョウカはウルへ質問する。
「ランクはその名の通り冒険者のレベルを示すものよ。ランクは上からS.A.B.C.D.E.F.Gよ」
(割と多い)
 キョウカが自分のカードを見ると書かれているランクは勿論G。
「おーい何してんだ。とりあえず飯にしようぜ」
 かなりの量積まれた料理を次々に口に運んでいくファイヤーシスターズがライヤとキョウカに手を振る。その食事は食べてもいいものなのだろうか。
「マキさんのランクってどれだけなんですか?」
「あっ!それは俺も気になるな!」
 キョウカの質問にライヤも便乗する。マキは口に唐揚げを放り込み過ぎてリスの様になっているがそれも気にせずドヤ顔でカードを二人に見せた。
「ランクC!上から四つ目かよ!凄え!」
「マキ姉は凄えぞ」
「クウラのギルドではマキ姉よりうえなのは一人しかいねえんだ」
 またリスの様な頬をしたエンカとネンカが自慢げに笑う。そしえ口に運ばれた料理は二人に向かって飛んでくる。汚い。
「お二人のランクは?」
「お前ら口に運んだまま喋んな!ったく。え?二人のランクはE +だ。次くらいでDになれると思うぜ」
「+って何。まだそういうのあんの?」
 まあそんな感じで食事を終えた。
「うっし。じゃあ早速行こうぜ」
「へ?何処へ?」
「初クエストさ」
 食事が見事に空になった机にマキは一枚の紙を出した。その内容はボアイノシシの討伐。
「ボアイノシシはそんなに強くねえしライヤ達でも倒せる筈だ。トレントと戦った時のお前らの戦いなら行けるさ」
「エンカ達もついてくしな!」
「安心安全だ!」
「よっしゃぁぁ!初クエストぉ!頑張るぜぇ!」
「待って。ねえ待って。ボアイノシシって何!その辺を教えて欲しいんだけど!」
 かくして一同はボアイノシシの討伐へと向かった!
  ◇
 ウルはギルドの奥。従業員専用の部屋へと入る。だがただの従業員用の休憩部屋を素通りして一番奥の部屋へと入る。
「ふう。これはまた大物が来たものね」
 奥の部屋の大きな椅子に腰をかけ一枚の紙を見る。そこにはキョウカとしか書かれていない冒険者登録書。
「キョウカ。キョウカ・アリシス、ね」
 そこには書かれていないキョウカの仮名を言いウルは笑う。その部屋はギルド長の部屋。つまりウルは。
「楽しくなりそうだね。ライヤ・アラタ。キョウカ・アリシス」
 そう言い残してギルド長、ウル・ギルティアルは立ち去った。
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