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2章 冒険の仲間
11話 ナズナ・ラークン
しおりを挟む「大変!申し訳ございませんでした!!」
ジュウカの村の宿屋の一室。ライヤは二人の女性に土下座をしていた。
「本当に信じられない。こんな小さな女の子をこんな風に連れてくるなんて。絶対あんたと口聞かないから」
「あの、私はお金さえ貰えれば」
「大体ナズナちゃんもナズナちゃんだよ!お金が貰えるからって知らない男にホイホイついて行っちゃダメ!!男は狼なんだよ!ナズナちゃんなんか一瞬で食べられちゃうよ!!?」
「ひっ!食べられる!?食べ、食べないで下さい」
キョウカは変化の指輪を使用していた事なにかを忘れているかの如くナズナの頬を掴んで強くお説教する。その言葉を聞くとナズナは涙目になりながらライヤを見た。
「あの、本当にごめんなさいなので、そろそろ本題に入りませんか?」
「本題!?これ以上何しよっての!?」
「キョウカさん忘れてませんか!?その子オリジナルリング使って悪さしてたんだよ!?」
「あ」
ようやく思い出したのかライヤから守る様に抱きついていたキョウカはやっとナズナから腕を離す。ナズナは離された瞬間キョウカから離れて怯えて震え出す。
「そうだった。いくら女の子でも悪い事をしたら怒らないと。それに理由も聞かないとね」
と言うとキョウカのお腹が大きな音を立てる。
「とりあえず、買い出ししてきたし飯にしようか」
◇
「へいお待ち!アラタ食堂特製チャーハンだ!」
「これこれ!待ってました!」
「チャーハン。いい匂い」
少しの時間が経った後机の上には三人分のチャーハンが乗る。そのチャーハンをナズナは興味深く見ていた。
「食べないの?美味しいよ」
既にチャーハンを食べているキョウカは美味しそうな顔をしながらナズナに言う。
「いただきますは言おうぜ。食べるのはそっからだよ」
「いたらきまふ」
「うん、既にいただいてんな」
キョウカが口にチャーハンを入れたまま手を合わせる。ライヤが苦笑いを浮かべるなかナズナもキョウカの真似をして手を合わせる。
「いたらきまふ?」
「いただきますな」
「いただきます」
ナズナは恐る恐るチャーハンを口に入れると目を輝かせる。
「美味しい。美味しいです!」
「そっか。まだいっぱいあるからたくさん食いな」
「おかわり」
「・・・今くらいは遠慮しようぜ?」
「事案男が何言ってんの?」
「おかわり装わせていただきます」
その様子を見てナズナは少しだけ笑った。
◇
「それじゃあ本題に入ろうか。ナズナちゃんがどうしてこんな事をするのかを、ね」
「はい。では私について来てくれませんか?」
ナズナは二人を連れてジュウカの村を抜けて小さな家に案内した。そこはジュウカの村のどの家よりもボロボロで見る影もない程だ。
「ただいま。おじいちゃん」
ナズナの家のベットには白髪の老人が寝ていた。
「おおナズナや。帰ったのかい」
「うん。今日はご飯食べれた?」
「うむ。薬もしっかり飲ん、ゴホッゴホッ!」
ライヤとキョウカはナズナのおじいさんに見つからない様に暫く隠れていた。そしておじいさんご眠った後。
「すみません。お見苦しい所をお見せして」
「いや。それより盗みをする理由って」
「はい。おじいちゃんの治療費を稼ぐ為です」
ナズナのおじいさんは病に犯されておりその病を治す為お金を盗んでいた様だ。
「でも薬ってそんなに高いものなの?」
「いえ、人間にはそれほど高価なものではありません。しかし」
ナズナが食事中ですら外さなかったフードを外す。そこにはタヌキの耳が頭にあるのが分かった。
「なっ!ナズナってもしかして!?」
「ええ。私は獣人。数年前に一族を皆殺しにされた獣人の生き残りです」
考えてみれば納得がつく。ボイスの攻撃を受けた時にナズナが抑えていたのは頭ではなく頭にある耳だったのだ。
「タヌキの獣人。どうりで変化の指輪に適性があった訳だ。タヌキって事は簡単なものになら姿を変える事が出来るもんね」
オリジナルリングは誰でも使える物ではない。適性がない者がオリジナルリングを使うとそのあまりの力に暴走させてしまうのだ。
「でも、獣人である事と薬が高い事の何が繫がるんだよ?」
「おじいちゃんは獣人。そのせいで人間の薬に一手間加えないといけないらしく、更にそれを獣人である私に売るのにもお金が」
「キュキュウ!キュキュウキュウ!」
ナズナの言葉を遮るかの様にキュアがキョウカの意思に関係なく現界する。
「キュア!?急にどうしたの?」
キュアはそのままおじいさんの部屋に入ると薬を持ってきて吠える。
「まさか、この薬は偽物だっていうの?」
「キュウキュウ」
キョウカの言葉にキュアは深く頷く。
「獣人だって言うだけで薬を高く売るだけでも許せねえのに偽物の薬を渡してたとはな。この薬はどこで買ってるんだ?」
「フォクス製薬っていう数年前にこの村に居座って支配している悪ーい奴らさ」
「ドーベル!?どうしてここに!?」
突然背後から聞こえた胡散臭い声に振り返るとそこにはいなくなったはずのドーベルの姿があった。キョウカが突然現れたドーベルに驚くがライヤは全く驚く様子を見せない。
「知ってたんだよ、こいつは初めから。考えてみれば小柄としか知らない癖に子娘って言ったり違和感はあったんだ」
「その通り。ライヤ達が冒険者と知りもしかしたらこの村に住むフォクス共を懲らしめる為に来たのかと思ってね」
ドーベルはそんな事を言いながら格好つけているが確実に不法侵入だ。ナズナの家に土足で踏み入っているし格好つけようにもどうにも格好付かない男だ。
「でも私達の目的がそのフォクスなんとかじゃないと気付いて協力を辞めたって訳ね。随分と自分勝手な」
キョウカの言い分にも一理ある。しかし、何かが違う様な気がする。もし初めからフォクス製薬を止めて欲しいと考えていたのならフォクスという人物が村を支配しているとライヤ達に話せば良かったのだ。だがドーベルはそうしなかった。
(まあ、言わない方がいいのかもな)
実際ライヤとてドーベルの真の目的に確実にたどり着いた訳じゃない。だが一つ確かな事は分かった。
「悪いのは全部そのフォクス製薬のフォクスとかいう野郎って事だな」
「そう言うこった。フォクスさえいなくなりゃあジュウカ村も幸せ俺も幸せ、そんでついでにそこの嬢ちゃんも幸せって訳だ。まさに一石三鳥だな」
「ドーベルは心底どうでもいいけどフォクス製薬を潰すのは賛成。ナズナちゃんも村の人も助けられるならそうするしかないよね」
意見が一致した様だ。この村での最終目標はフォクス製薬の撃破だ。
「あの、皆さん。フォクスは凄く強いです。とてもじゃありませんが、勝てる相手では」
「言い忘れてたけど俺もオリジナルリングを持ってんだ。適性もある。負けねえさ」
「私も割と強いんだよ。安心して、おじいちゃんは絶対助けてあげるから」
「へっ!大船に乗った気でいやがれ!」
「ドーベル戦えんの?」
「戦える訳ねえだろ。あとさんをつけろさんを!お前ちょっと前まではドーベルさんって読んでやがった癖に」
三人がナズナを安心させる為に各々が声をかけるがそれでもナズナの不安は消えていなさそうだ。
「そんなに心配なら、ナズナも協力してくれよ」
「へ?私が?」
「ナズナはフォクスとやらの力を知ってるんだろ?だったらこっちは対策をして戦える。敵を知る事は冒険者の必要スキルだからな!」
ライヤはナズナに笑顔を見せながらナズナに手を伸ばす。ナズナは戸惑い、悩みながらも覚悟を決めてライヤの手を取った。
「私も手伝います。手伝わせてください!」
「おう!勿論だぜ」
「一緒におじいちゃんを助けようね」
「はい!」
ナズナはチャーハンを食べた時よりも大きく楽しげな笑顔を見せて笑う。フォクス製薬の規模、どの様な攻撃をしてくるのか、何処に本部があるのかなど分からない事が多数ある。それでも何故か成し遂げられる様な気がする。
「さあ、妥当フォクス!妥当フォクス製薬だ!!」
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