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2章 冒険の仲間
25話 金欠
しおりを挟む「んー。やっぱり簡単には見つからないか」
「こちらも情報無しです。やはりレアさんの情報など存在していないのではないですか?」
マキセの街を離れた三人は今、アメルウォルスと言う名前の街の大きな図書館にいた。そこでレアについての事を調べていたのだ。
「それよりレアって人がオリジナルリングを持っててそれをソルに渡したとはなー。レアはどこでオリジナルリングを手に入れたんだ?」
「それを確かめる為にこうして調べてるんでしょうが。まあなにも分かってない訳だけど」
「暗部に所属していたとは知りませんでしたし。やはりレアさんの情報は全て消されているのでは?」
ナズナの言葉にキョウカは暫く頭を悩ませたがため息を吐いて項垂れた。
「確かにそうだ。仕方ない、諦めよう」
「思ったより簡単に諦めるんだな」
「もしレアの情報を掴めたとしてもそれがオリジナルリングの場所に繋がる可能性は限りなく低いからね。気になったし知るに越したことはないから調べたけど」
キョウカは少し残念そうに持っていた資料や新聞を元の場所へ移動させた。それを見てナズナとライヤも資料を仕舞い始めた。
「よし、じゃあ用も済んだし出発するか」
「え?」
図書館を出てキョウカがそう言うとライヤが驚きの声を挙げた。
「ん?何か問題ある?」
「あ、お姉様!今のお兄様は指輪が使えません。だから使える様になるまで指輪捜索は危険だとお兄様は言いたいのでは?」
雷鳴の指輪はナズナが危険な目にあったことに怒ったライヤにより暴走している。今はキョウカの封印により収まっているが近い内にもう一度使うと封印が解けて暴走する可能性が高い。なので封印が安定するまで指輪を使うことを禁止されているのだ。
「それもだけど、そもそもこの街に来たのはここに留まるつもりだからじゃなかったのか?」
「いや、マキセの街から近いしここの図書館はこの国一番の大きさだし」
「まあ世界三代都市の一つがこのアメルウォルスですからね」
ライヤは納得しながら現在の状況をしっかりと伝える決意を固めた。
「よし!出来れば隠しておこうと思ったが辞めだ!というか伝えないとか言う選択肢は無かったわ!」
「どうした急に」
急に声を張り上げたライヤにキョウカが若干引いている。それを横目で見て声のボリュームを落としたライヤは財布を開けた。
「これが俺たちの旅の資金だ」
キョウカとナズナがライヤの財布を覗き込むと、そこには三万イースが入っていた。
「え?これだけ?」
「三万っていうと三人宿に泊まると六千イース程度で食事代やその他諸々を加えると」
「かなり足りない」
通行の邪魔にならない様に道路の淵によって三人は頭を抱えた。
「どうすんのこれ!凄い金欠じゃんか!?」
「仕方ないだろ!?キョウカの食事代!ナズナの本代!俺の魔道具代でめちゃくちゃ金が飛んだんだよ!!」
「す、すみません。でも私の本は変化の指輪に必要な物ばかりで」
ナズナは最近本の楽しさにハマって本ばかり読んでいる。今までは貰った本やソルの図書館からこっそり拝借していた本を読んでいたが流石に読み終わってしまったので新しい本を購入したのだ。
「ナズナのおねだりなんて珍しいから買ったら思ったより金取られた」
「魔獣の図鑑とか高いからね」
「す、すみません」
申し訳なさそうに謝るナズナを二人で撫でる。二人ともナズナには甘いのでこの件は許された。
「それはまあいいとしてキョウカさん。食べる量を少しだけ抑えてくれません?」
「はあ?第一私がこうなったのはライヤのせいなんだからね。責任はしっかり取ってもらう」
「はあ!?俺のせい!?なんで!?」
キョウカは初めて会った頃店で一番安い商品を頼んできた。それをライヤがサービスと称してお腹いっぱいになるまで料理を提供して、それ以降もキョウカが満足する量を作り続けた。
「え?これって俺のせい?」
「うん。というかライヤの魔道具の方が要らないでしょ」
「いや魔道具は重要過ぎるくらい重要だろ!?ナズナを救出する時も魔道具がなかったらできなかったんだぜ!?それにレアは魔道具!新作魔道具とかが出たら買うのが常識だろ!?」
「魔道具バカ」
「お兄様は本当に魔道具が好きですね」
急に早口になって声を荒げるライヤにキョウカは呆れてナズナは愛想笑いを浮かべる。
「とはいえ今のお兄様には魔道具が必要だと思います」
「確かに指輪が使えないライヤなんて雑魚だしな」
「ひでぇ!!」
この話し合いはこうして幕を閉じた。そして次にやる事が決定した。それは勿論。
「こんにちわー!」
冒険者ギルドでクエストを受けてお金を稼ぐ事だ。節約が出来ないのなら兎に角お金を稼ぐしかない。ここ最近消費してばかりだったのでここで一気にお金を儲けるのだ。
「わぁ。大きなギルドですね」
「ほんとにデカイ。こんなデカイギルド見たの初めてだよ」
「俺は月刊冒険者で見てるから驚かないぜ」
と言いながら目をキラキラと光らせるライヤ。写真では見ているが当然実物を見るのは初めてなので無理もないが。
「いらっしゃいませ。見ない顔ですが冒険者登録はしてありますか?」
「はい。別のギルドで」
「そうでしたか。それではごゆっくり。クエストならあちらに貼られていますので」
ギルド職員が軽くお辞儀をすると去っていく。職員が指さした場所には大きな立て看板がありそこに様々な紙が貼られている。
「バスターベアーの討伐に魔道具の実験体募集。レアアイテム収穫に旅行の護衛!めちゃくちゃ色んなクエストがあるな!」
「こっちは冒険者教室の先生募集とか言うやつもある。げっ!Aランク以上限定」
「私達のランク凄い低いですもんね」
クエストの中には一定以上のランクが無いと参加すら出来ないというクエストが少なからず存在した。それも当然。実力が無い冒険者が高難易度のクエストを受けて死ぬなんてケースを減らす為の処置だ。
「俺らが受けられるのはこいつか」
急募 ブラットモンキーの討伐 報酬討伐したブラットモンキー一体に尽き五千イース ランク指定無し
「えー。ブラットモンキーってどんな奴?」
「ブラットモンキーはその名の通り血に飢えた猿です。少しでもブラットモンキーの縄張りで血を流そうものなら速攻で走ってきて襲ってきます。そのかわり知性が非常に低く仲間であっても血を流せば躊躇わず襲って食べます」
ナズナが購入したばかりの魔獣の図鑑を見せる。そこには真っ赤な体で真っ赤な目、更に言うと全く正気を感じられない闇が深そうな真っ赤な瞳をした猿が描かれていた。
「怖っ!!ねえライヤ。別のクエストにしない?これはちょっと嫌」
「他って言うとダンシングワンコーの捕獲アンドしつけ。ゴールデンフロッグの捕獲(捕まえるまで帰って来ないで下さい)ジャイアントコケコースの討伐(討伐したらジャイアントコケコースを連れてきて下さい。丸焼きにして一緒に食べましょう)って三つかな」
ライヤの説明と同時にナズナが図鑑を開いて魔獣の姿や説明を見せる。
「ダンシングワンコーって魔獣なの?」
「一応その部類に入ってますが、二足歩行で踊る事以外至って普通のワンコです」
「二足歩行で踊る時点で普通のワンコじゃねえけどな」
キョウカが少し悩むがしつけが出来ないということで断念。ゴールデンフロッグはその名の通り金色の蛙で十年に一度現れると言われる幻の魔獣。ちなみに一年前に発見された。
「絶対却下」
「となると残りは」
ジャイアントコケコース。体長三百センチの大型の鶏。鋭いクチバシと爪で敵を攻撃する魔獣。性格はかなり交戦的。飛べる。
「うーん。こいつしかいないかー」
「よし!じゃあこのクエストを受けるか」
「生息地はこの近くの森みたいですね。あ、この時期はダンシングワンコーの宴の時期みたいで特別な踊りが見られるかも知れませんよ」
「「あんまり興味ない」」
ライヤが掲示板の上の方にある紙を千切ると受付の職員の元まで持って行った。
◇
「くそっ!ここの掲示板高すぎるだろ。私への当て付けかこの野郎」
「よし仕方ない。ファイヤーシスターズ合体!」
「おー!ファイヤーシスターズ合体!」
ライヤ達がギルドを出たタイミングで小さな三人の少女が看板の前に立った。
「やらねーよドアホども!!ちょっと脚立取ってくる」
「えーめんどくさいぜマキ姉ー」
「えーだるいぜマキ姉ー」
脚立を借りてきたマキはそれにのりブラットモンキーの討伐のクエストの紙を千切った。
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