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2章 冒険の仲間
26話 再会
しおりを挟む「そっち行ったぞ!」
ライヤがワイヤーでジャイアントコケコース、巨大な鶏を捕まえるがそのまま力に押し負けて引きずられる。
「バスターベアー、変化!」
ジャイアントコケコースが走る前には変化の指輪によりバスターベアーに変身したナズナが待ち構えている。しかしジャイアントコケコースは自分より強い魔獣を目の前にして即座に踵を返した。
「あれ?待てー!」
「ちょっ!ナズナナズナ!俺もいるからぁ!!」
逃げるジャイアントコケコースにナズナが凶悪な爪を振り下ろすが当たらない。逆にライヤには当たりそうになる。
「あ、すみません。ってお兄様がいない!」
その後律儀にお辞儀をして謝るが当然逃げるジャイアントコケコースに掴まっているライヤはもういない。
「睡眠歌」
「コケー!!コケー!コケッ!コケコッコー」
物陰に隠れていたキョウカがボイスの力で睡眠歌を奏でる。その音色に目を閉じかけたジャイアントコケコースだったが大声で起きる。
「げっ!効かないし!」
「鶏だからコケコッコー!って鳴けば起きるんじゃね!?」
「そんな馬鹿な!!」
しかしどうやら全く効かなかった訳ではないらしく起きはしたものの走り出す気配はない。
「これなら、やれます!!」
ライヤがワイヤーを外しジャイアントコケコースから離れるとバスターベアーの姿をしたナズナがジャイアントコケコースに突進する。
「コケー!!!」
ジャイアントコケコースは甲高い悲鳴をあげて木に激突。そのまま動かなくなった。
「倒したみたいだな」
「はぁ。疲れました」
「お疲れ様。それじゃあ依頼人に届けに行こう」
そのジャイアントコケコースはなかなかの上物だったらしく依頼人は大喜びして大盤振る舞いの料理を作り(ライヤも手伝った事も好評だった)報酬に色をつけてくれた。その帰り道。
「ふー。美味かったなージャイアントコケコース!頑張った甲斐があったぜ!」
「でも凄い大きかったのでお腹いっぱいです。お姉様がいなかったら食べきれませんでしたよね」
「依頼人さんはライヤが食べたと思ってたの笑ったなー」
依頼人はお爺さんだったのだが孫の事を思い出すらしく特にライヤを気に入っていた。なのでどんどんライヤに料理が出されたのだが。
「その点はちょっと依頼人さんに申し訳ねえな」
ライヤの胃袋は平均男子と大差ないので当然ジャイアントコケコースにその他の料理は食べきれない。なのでキョウカが全部食べた。
「お兄様もなんだか依頼人さんと親しげでしたよね」
「ばあちゃん思い出したんだよ。ばあちゃん元気かなー」
「いい人だったねライヤのお婆さん」
「お姉様会ったことあるんですか?いいなー私も会いたいです!」
そんな他愛の無い会話をしながらジャイアントコケコースが出た森を通過して行く。その時。
「キキッー!!!」
「きゃぁぁぁ!」
木の影から真っ赤な影がナズナに向かって来た。が、その影は即座に罠にハマり捕らえられていた。
「な、なんだ?」
「わりぃな嬢ちゃん!私達の狩りに巻き込んじまった!」
「だが心配すんな!責任はマキ姉が取る。そう」
「「私達!泣く子も黙るファイヤーシスターズ!!」」
聞き慣れたセリフを言いながら二人の少女がカッコいい?ポーズをビシッと決める。
「アホ!しっかり謝れ」
その二人の頭を両手でチョップした少女がライヤ達を見る。
「おお!ライヤとキョウカじゃねえか!」
「師匠方!お久しぶりです!!」
「え?なんで三人がここに」
「?どなたですか?」
◇
「そんな訳で俺達の師匠、冒険者チームファイヤーシスターズの皆さんだ」
「なるほど、そんな事が。あ、私もご挨拶しないと!」
ファイヤーシスターズとの出会いなどをナズナに話し終えた後ナズナは礼儀正しくお辞儀をした。
「初めまして、お兄様とお姉様と冒険者をやらせて貰っています。ナズナ・ラークンです。以後お見知り置き下さい」
「おう。まさか新しい仲間が出来てるとは思わなかったぜ」
「ほんとだよなー!」
「二人旅だと思ってたぜー!」
エンカの言う通り出会った頃は二人旅立ったのだが。まあよしとしよう。
「師匠達は、ブラットモンキーの討伐依頼ですか?こいつブラットモンキーですよね」
「おう。まあそろそろ疲れてきたし日も暮れるから引き上げるけどな」
罠の中で暴れている真っ赤な猿を見る。その見た目からその魔獣がブラットモンキーなのは一目瞭然だった。
「こいつってどうやって倒すんですか?血が出たら仲間が湧いて」
「「焼くんだよ」」
「あ、なるほど」
ブラットモンキーは仲間の血でも反応して食べる為に群れがやってくる。なので退治する方法が分からなかったが今理解した。血も出ないほど焼き尽くしてしまえばいいのだ。
「さてじゃあ、おい!あいつ!」
マキが驚きの声を上げるのでブラットモンキーを見るとブラットモンキーは舌を噛み切っていた。
「キッキッキ」
血を流しながら楽しげに笑うブラットモンキー。キョウカはその様子を見てとある人物の最後を連想した。
「うっ!」
「お姉様!?大丈夫ですか!?」
「う、うん。でもちょっと休憩させて」
「そんな事言ってる場合じゃねえ!さっさと燃やし尽くせ!」
エンカとネンカがブラットモンキーを燃やすがもう遅い。
「キキッ」
「キキキキキ」
「キッ!キキー!!」
「くそ、辺り一面包囲された」
ブラットモンキーの群れが同族の僅かな血の匂いをきっかりと掴み大量に集まっていた。
「キキキキー!!」
「きゃぁ!変身!」
襲いかかって来たブラットモンキーを倒すべく小型のバスターベアーに変化したナズナがブラットモンキーを切り裂く。すると大量の血が辺り一面に吹き出す。
「あっ!す、すみません!」
「言ってる場合じゃねえ!この状況なら仕方ねえよ」
「マキ師匠!帰り道の退路にいるブラットモンキーだけ倒して逃げよう!」
「だな、いい判断だ」
ブラットモンキーは血を流している者から喰らう習性がある。それが同族であったとしても。故に逃げるライヤ達より先に死んだ仲間を食べる事を優先する。その隙に
「キキキキ」
「キッ!キキ」
「そう上手くは行かねえか」
ざっと数えて四十体程のブラットモンキーがこの場にはいる。更に奥から聞こえて来る音的にこれで全員ではない。一匹の遺体を食べるくらい即座に片付いてしまう。
「こっからは総力戦だ。全力で殺すぞ」
「おうよマキ姉」
「やってやんぜマキ姉」
マキの指示に従いネンカとエンカが動き出す。的確に、しかも冷静にブラットモンキーを殺していく。
「血を出させるのは私に任せな」
二つの炎を潜り抜けてマキのナイフが華麗にブラットモンキーを斬りつける。それは決して致命傷ではないが問題はない。
「キッ!?キキー!!」
かすり傷でも、ほんの少しの出血でも、ブラットモンキーは見逃さない。的確に仲間割れをしている。
「す、凄え」
「ぼさっとしてんな!退路は私達が作るから追手だけなんとか減らせ!」
「りょ、了解!」
三人の見事な連携に見惚れていたライヤとナズナがマキの声により動き出す。
「取り出し!アックストラップ!」
「変化!ウインドバード!」
斧が自在に動く魔道具と強風を起こす魔獣の組み合わせ。動く斧を避けたブラットモンキーだが吹き荒れる強風に負けて斧に触れる。その瞬間ブラットモンキー達は一斉にその場へ駆け出し、更に斧の餌食になった。
「へえ。やるじゃねえか」
「あ、マキさん!退路が!」
少し体調が悪そうなキョウカの声通り退路が見えて来た。
「うっし撤退すんぞ!」
最後に派手に多くのブラットモンキーを切りつけた後一同は森を抜ける為に走った。
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