35 / 81
2章 冒険の仲間
35話 ゴールデンローズ
しおりを挟む「うーん。いねえなポチ」
困っていたマーティの依頼、ポチ探しを引き受けてから一時間程度の時間が経過したが、まだポチは見つかっていない。
「うぅ。ポチぃィィ」
「大丈夫!絶対見つけるから!」
ライヤは当の依頼人であるマーティと共にポチを探していたがマーティが涙目になっているのを見るとすぐ様声をかける。
「あ!そうだ!ポチは光るものが大好きなんです!何か光るものが見えれば!自分からきてくれるかもしれねぇだよ!」
「光るもの、か。うーん。おもちゃの宝石とかならあるけど」
「いんや、ポチは目がいいから。おもちゃじゃ多分ダメです。やっぱ、本物の指輪とかでねえと」
「指輪、かぁ」
マーティの言葉にライヤは少し躊躇う。指輪を二つ所持しているライヤだが自分の財産である指輪を投げるというのはどうにも気が乗らない。更に一つはオリジナルリングでもう一つが祖父、父の形見だというのだからその感情は他の冒険者よりも高いだろう。
「あ、やっぱダメですよね。指輪は大切で、ぜってー無くせねぇですもんねぇ」
「いや!大丈夫だ!無くすとは限らないし!・・・無くす可能性のある方法なのか?」
寂しそうなマーティの顔に大丈夫とは言ったもののその方法がやはり気になる。
「指輪を空に向かって投げるんです。そうすればポチが光を見つけて飛んでくるかも知れねえ」
「なるほど。飛んで?走ってじゃなくて?」
「あ、えっと。今のは例えで」
「あー。悪い」
ライヤの謝罪にマーティは笑顔で手を振る。しかし、どこかが引っかかる。マーティはポチとしか言っていない。そのポチが犬なのか、猫なのかなどは言及していない。
「それじゃあ、おねげえ出来ますか?」
「おう。分かった」
少し渋りながらライヤは収納の指輪を指から外す。この指輪には特別な性能があるので最悪でも無くすことは無い。
「よし。行くぞ!」
「待てライヤ!」
「え?」
ライヤが指輪を天高く投げると背後から声が聞こえた。フィンの声だ。
「よし、今だよカゼジロウ君!」
収納の指輪がライヤの手が届かない程高く飛んだのを確認するとマーティはニヤリと笑い声を挙げた。
「ナハハハハハ!!待ってたぜぇ!この時をなぁ!!」
マーティの声に応じて甲高い声と物凄い速さで地面を蹴る足音が聞こえる。
「取ったぁ!ハハハハハハ!」
「なっ!あの野郎!何しやが、る?」
怒りを露わにするライヤが言葉を失う。その理由は簡単。先程指輪を奪った男が凄い格好をしていたからだ。
「ありがとうカゼジロウ君。作戦通りだよ」
マーティにカゼジロウと呼ばれた男は騎士団の一員が被るような甲冑の頭を被り、上半身はタンクトップ。下半身はふんどし一丁だった。更によく見れば履いている靴が片方ずつ違っていた。
「その変な格好、変な名前。ボク知ってるよ!この男、盗賊団ゴールデンローズの幹部の一人だよ!」
「盗賊団!?」
「ゴールデンローズ!?」
シルの言葉にライヤとフィンが少し大袈裟に反応する。シルに名指しされたカゼジロウは笑った。
「ハハハハハハ!面白い!ならば名乗ろう!オイラの名はカゼジロウ!盗賊団ゴールデンローズの幹部にして、速すぎる男!」
「オラはマーティ。同じくゴールデンローズの幹部だよ」
「まじかよ。マーティ、俺を騙してたのか」
「騙してないよ。ポチがいなくなったのは事実。まあ、オラが呼べば直ぐ来るんだけどね」
マーティが指輪をライヤに見せて笑う。その笑いはライヤが少しだが見てきた笑顔と全く違った。
「よし!じゃあおさらばするぜ!また会おうカモ達!」
「騙されたのはショックだが、チェックメイトだ」
「はっ?」
逃げようとするカゼジロウとマーティにライヤは一言呟く。
「取り出し。捕縛布!」
ライヤの言葉に応じる様に収納の指輪が光を放ち、魔道具の捕縛布が自在に動き二人の盗賊団を縛り上げる。
「なっ!」
「馬鹿な!指輪は持ち主の指を離れたら機能しない筈!それがどぉして!」
「悪いな。俺の収納の指輪はじいさんと親父の改良版なんだ。普通は出来ない遠隔操作を何故か可能にした特注品さ」
ライヤが自慢げに収納の指輪の事を話すとカゼジロウの手を離れて地面に落ちた収納の指輪を拾い上げる。
「くっ。まさかこんな事になるとはね。でもオラ達もこれで終わりじゃないよ!」
マーティが息を大きく吸い込み大声を挙げた。
「ポチーーーー!!!!」
「ガァぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
マーティの声を聞きつけ何者かが大きな雄叫びを挙げた。
「なっ!なんだぁ!」
「この声、ポチの声か!?でもこんな声犬なんかじゃ出せないぞ!!」
その声の持ち主が大きな衝撃と共に姿を現した。その者は。
「あ、あいつは!」
「アックスレイブン!?めちゃくちゃデカくて翼が斧になってるんだ!!」
そこに姿を現したのは強力な魔獣、アックスレイブンだった。体長五メートルはあるカラス型の魔獣で翼や爪などが斧になっている。更にその斧の切れ味は抜群だ。
「よく来てくれたねポチ。流石オラの相棒だよ」
「おい!感動の再会は後にしようぜ!今は」
「うん。彼らを殺して、指輪を頂こう!!」
マーティの声に応じてアックスレイブン、ポチが巨大な翼を広げてライヤとフィンを威嚇する。
「いや、この布切り裂いて逃げようぜって言おうと思ったんだけど。お前って意外と好戦的だよな」
「え?カゼジロウ君には言われたくないなぁ。でも、別に皆殺しにすれば変わらないよね」
「・・・お前って。結構残酷だよな」
ポチが勢いよくフィンとライヤに突進してくる。
「うおお!」
二人はポチの突進を回避するとすぐ様反撃に転じた。
「悪いなポチ!痺れてて貰うぜ!」
ライヤが雷鳴の指輪から放電を放ちポチに命中する。しかし。
「羽でガードしやがった!」
「アックスレイブンの羽は斧で出来てる!それでどうやって飛ぶのかとかは謎で包まれてるけど電気系統の技は通じないよ!」
「鋼と電気は相性悪いもんな!じゃあ頼んだぜ!フィンさん!」
「任せなァァァァ!!」
「ガァァァァ!!」
羽でライヤの電気を守っていおり背中がガラ空きになっているポチにフィンが思い切り斧を振り下ろす。
「効いてるか!?」
「ダメージは入ってるけど大ダメージじゃないね!もう!二人ともアックスレイブンと相性悪いよ!」
「文句言うならお前が戦えってーの!」
諦めずにフィンは斧を振りポチに切り込んでいくがライヤの電気を防ぐ事を捨てフィンのガードへ入る。
「チクショウ!俺の攻撃はガードしなくても無傷ってか!なら」
ライヤは雷鳴の指輪による攻撃を止め先程取り戻した収納の指輪を
「させっかよ!」
「あっぶね!」
起動しようとしたところをカゼジロウに襲われる。捕縛布はポチに気を向けている間に切られた様だ。間一髪で傷を負うことは避けたが少しだけライヤの髪の毛が宙を舞う。
「走れ!稲妻!!」
「ハハハハハハ!!当たらねえ!当たらねえぞ!!」
ライヤの稲妻をカゼジロウは物凄い速度で走りながら回避していく。
「ライヤ!そいつの指輪は瞬足の指輪っていう指輪でその効果はめちゃくちゃ早く走るって能力だよ!」
「了解だ!瞬足が雷に勝てると思うなよ!!」
「その言葉。そのまま返すぜ。雷如きが瞬足に勝てるかな!!」
ライヤとカゼジロウ。フィンとポチ。完全に戦闘が二つに分かれた。ただでさえ強力なアックスレイブンに勝つにはライヤとフィンの連携が必要不可欠だったのだが。
「不味いな。ボクの悪い予感が当たっちゃう。お願い、早く」
「危ねぇぞシル!」
シルが両手を合わせて祈るようにしているとそこに小型の斧が降ってくる。フィンが自分の斧を振り回してそれを止めるが斧の雨が止む気配はない。
「くそ!こんな小さな斧どったか出てきやがった!」
「アックスレイブンの羽は斧で出来てるけど正確に言えば小さな斧の塊で出来てるんだ!この斧はその小さな斧だよ!」
「厄介なやつだな。だが、ここ斧には限りがあるって事だな。それなら持久戦だ!負けるつもりはねえな!」
フィンが小型の斧を全て防ぎ切り攻撃体制に入りポチに斬りかかる。
「ガァァァァ!!」
「はっ!?小型の斧が羽に戻ってやがる!戻るの早すぎんだろ!」
不意を突かれたフィンはそのまま地面に叩きつけられた。
「むむ。なかなかやるなぁ」
シルは二人を見ながら唇を噛んだ。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる