original ring

藤丸セブン

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2章 冒険の仲間

35話 ゴールデンローズ

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「うーん。いねえなポチ」
 困っていたマーティの依頼、ポチ探しを引き受けてから一時間程度の時間が経過したが、まだポチは見つかっていない。
「うぅ。ポチぃィィ」
「大丈夫!絶対見つけるから!」
 ライヤは当の依頼人であるマーティと共にポチを探していたがマーティが涙目になっているのを見るとすぐ様声をかける。
「あ!そうだ!ポチは光るものが大好きなんです!何か光るものが見えれば!自分からきてくれるかもしれねぇだよ!」
「光るもの、か。うーん。おもちゃの宝石とかならあるけど」
「いんや、ポチは目がいいから。おもちゃじゃ多分ダメです。やっぱ、本物の指輪とかでねえと」
「指輪、かぁ」
 マーティの言葉にライヤは少し躊躇う。指輪を二つ所持しているライヤだが自分の財産である指輪を投げるというのはどうにも気が乗らない。更に一つはオリジナルリングでもう一つが祖父、父の形見だというのだからその感情は他の冒険者よりも高いだろう。
「あ、やっぱダメですよね。指輪は大切で、ぜってー無くせねぇですもんねぇ」
「いや!大丈夫だ!無くすとは限らないし!・・・無くす可能性のある方法なのか?」
 寂しそうなマーティの顔に大丈夫とは言ったもののその方法がやはり気になる。
「指輪を空に向かって投げるんです。そうすればポチが光を見つけて飛んでくるかも知れねえ」
「なるほど。飛んで?走ってじゃなくて?」
「あ、えっと。今のは例えで」
「あー。悪い」
 ライヤの謝罪にマーティは笑顔で手を振る。しかし、どこかが引っかかる。マーティはポチとしか言っていない。そのポチが犬なのか、猫なのかなどは言及していない。
「それじゃあ、おねげえ出来ますか?」
「おう。分かった」
 少し渋りながらライヤは収納の指輪を指から外す。この指輪には特別な性能があるので最悪でも無くすことは無い。
「よし。行くぞ!」
「待てライヤ!」
「え?」
 ライヤが指輪を天高く投げると背後から声が聞こえた。フィンの声だ。
「よし、今だよカゼジロウ君!」
 収納の指輪がライヤの手が届かない程高く飛んだのを確認するとマーティはニヤリと笑い声を挙げた。
「ナハハハハハ!!待ってたぜぇ!この時をなぁ!!」
 マーティの声に応じて甲高い声と物凄い速さで地面を蹴る足音が聞こえる。
「取ったぁ!ハハハハハハ!」
「なっ!あの野郎!何しやが、る?」
 怒りを露わにするライヤが言葉を失う。その理由は簡単。先程指輪を奪った男が凄い格好をしていたからだ。
「ありがとうカゼジロウ君。作戦通りだよ」
 マーティにカゼジロウと呼ばれた男は騎士団の一員が被るような甲冑の頭を被り、上半身はタンクトップ。下半身はふんどし一丁だった。更によく見れば履いている靴が片方ずつ違っていた。
「その変な格好、変な名前。ボク知ってるよ!この男、盗賊団ゴールデンローズの幹部の一人だよ!」
「盗賊団!?」
「ゴールデンローズ!?」
 シルの言葉にライヤとフィンが少し大袈裟に反応する。シルに名指しされたカゼジロウは笑った。
「ハハハハハハ!面白い!ならば名乗ろう!オイラの名はカゼジロウ!盗賊団ゴールデンローズの幹部にして、速すぎる男!」
「オラはマーティ。同じくゴールデンローズの幹部だよ」
「まじかよ。マーティ、俺を騙してたのか」
「騙してないよ。ポチがいなくなったのは事実。まあ、オラが呼べば直ぐ来るんだけどね」
 マーティが指輪をライヤに見せて笑う。その笑いはライヤが少しだが見てきた笑顔と全く違った。
「よし!じゃあおさらばするぜ!また会おうカモ達!」
「騙されたのはショックだが、チェックメイトだ」
「はっ?」
 逃げようとするカゼジロウとマーティにライヤは一言呟く。
「取り出し。捕縛布!」
 ライヤの言葉に応じる様に収納の指輪が光を放ち、魔道具の捕縛布が自在に動き二人の盗賊団を縛り上げる。
「なっ!」
「馬鹿な!指輪は持ち主の指を離れたら機能しない筈!それがどぉして!」
「悪いな。俺の収納の指輪はじいさんと親父の改良版なんだ。普通は出来ない遠隔操作を何故か可能にした特注品さ」
 ライヤが自慢げに収納の指輪の事を話すとカゼジロウの手を離れて地面に落ちた収納の指輪を拾い上げる。
「くっ。まさかこんな事になるとはね。でもオラ達もこれで終わりじゃないよ!」
 マーティが息を大きく吸い込み大声を挙げた。
「ポチーーーー!!!!」
「ガァぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 マーティの声を聞きつけ何者かが大きな雄叫びを挙げた。
「なっ!なんだぁ!」
「この声、ポチの声か!?でもこんな声犬なんかじゃ出せないぞ!!」
 その声の持ち主が大きな衝撃と共に姿を現した。その者は。
「あ、あいつは!」
「アックスレイブン!?めちゃくちゃデカくて翼が斧になってるんだ!!」
 そこに姿を現したのは強力な魔獣、アックスレイブンだった。体長五メートルはあるカラス型の魔獣で翼や爪などが斧になっている。更にその斧の切れ味は抜群だ。
「よく来てくれたねポチ。流石オラの相棒だよ」
「おい!感動の再会は後にしようぜ!今は」
「うん。彼らを殺して、指輪を頂こう!!」
 マーティの声に応じてアックスレイブン、ポチが巨大な翼を広げてライヤとフィンを威嚇する。
「いや、この布切り裂いて逃げようぜって言おうと思ったんだけど。お前って意外と好戦的だよな」
「え?カゼジロウ君には言われたくないなぁ。でも、別に皆殺しにすれば変わらないよね」
「・・・お前って。結構残酷だよな」
 ポチが勢いよくフィンとライヤに突進してくる。
「うおお!」
 二人はポチの突進を回避するとすぐ様反撃に転じた。
「悪いなポチ!痺れてて貰うぜ!」
 ライヤが雷鳴の指輪から放電を放ちポチに命中する。しかし。
「羽でガードしやがった!」
「アックスレイブンの羽は斧で出来てる!それでどうやって飛ぶのかとかは謎で包まれてるけど電気系統の技は通じないよ!」
「鋼と電気は相性悪いもんな!じゃあ頼んだぜ!フィンさん!」
「任せなァァァァ!!」
「ガァァァァ!!」
 羽でライヤの電気を守っていおり背中がガラ空きになっているポチにフィンが思い切り斧を振り下ろす。
「効いてるか!?」
「ダメージは入ってるけど大ダメージじゃないね!もう!二人ともアックスレイブンと相性悪いよ!」
「文句言うならお前が戦えってーの!」
 諦めずにフィンは斧を振りポチに切り込んでいくがライヤの電気を防ぐ事を捨てフィンのガードへ入る。
「チクショウ!俺の攻撃はガードしなくても無傷ってか!なら」
 ライヤは雷鳴の指輪による攻撃を止め先程取り戻した収納の指輪を
「させっかよ!」
「あっぶね!」
 起動しようとしたところをカゼジロウに襲われる。捕縛布はポチに気を向けている間に切られた様だ。間一髪で傷を負うことは避けたが少しだけライヤの髪の毛が宙を舞う。
「走れ!稲妻!!」
「ハハハハハハ!!当たらねえ!当たらねえぞ!!」
 ライヤの稲妻をカゼジロウは物凄い速度で走りながら回避していく。
「ライヤ!そいつの指輪は瞬足の指輪っていう指輪でその効果はめちゃくちゃ早く走るって能力だよ!」
「了解だ!瞬足が雷に勝てると思うなよ!!」
「その言葉。そのまま返すぜ。雷如きが瞬足に勝てるかな!!」
 ライヤとカゼジロウ。フィンとポチ。完全に戦闘が二つに分かれた。ただでさえ強力なアックスレイブンに勝つにはライヤとフィンの連携が必要不可欠だったのだが。
「不味いな。ボクの悪い予感が当たっちゃう。お願い、早く」
「危ねぇぞシル!」
 シルが両手を合わせて祈るようにしているとそこに小型の斧が降ってくる。フィンが自分の斧を振り回してそれを止めるが斧の雨が止む気配はない。
「くそ!こんな小さな斧どったか出てきやがった!」
「アックスレイブンの羽は斧で出来てるけど正確に言えば小さな斧の塊で出来てるんだ!この斧はその小さな斧だよ!」
「厄介なやつだな。だが、ここ斧には限りがあるって事だな。それなら持久戦だ!負けるつもりはねえな!」
 フィンが小型の斧を全て防ぎ切り攻撃体制に入りポチに斬りかかる。
「ガァァァァ!!」
「はっ!?小型の斧が羽に戻ってやがる!戻るの早すぎんだろ!」
 不意を突かれたフィンはそのまま地面に叩きつけられた。
「むむ。なかなかやるなぁ」
 シルは二人を見ながら唇を噛んだ。
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