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2章 冒険の仲間
36話 VSゴールデンローズ
しおりを挟む「ガァァァァ!!」
「ヤロウが!」
ポチが両翼を広げてそれをフィンに振り下ろす。フィンは斧と棍棒を両手に持ちその攻撃を防ぐ。力は同等だが上から振り下ろす方と下から受け止める方では確実に下の方が不利だ。
「フィン!小さい斧が飛んでくるよ!」
「何っ!」
ポチは翼の斧を振り下ろしながらも器用に羽を抜き斧を飛ばす。しかしフィンに防ぐ術はなく斧が体に突き刺さる。
「フィン!」
「心配、すんな。オオオオオオラァよ!!」
「ガァー!?」
斧が体に刺さりながらも力を振り絞りポチを空へと弾き飛ばす。ポチは空で翼を広げて飛ぶ。
「無駄だよ。ただの人間がポチに勝つことなんて出来ない」
「そんなの、やってみないと分からないよ!」
マーティの呟きにシルが対抗する様に声を荒げる。それに応じるかの様にフィンが力を込めてポチに斬りかかった。
「おらぁぁ!!」
「がぁぁ!!」
フィンが跳躍して斧を振り下ろす。フィンの跳躍はその大きく硬い体からは想像できない程高く空を飛びポチの上空へと飛び上がった。
「がっぁぁ!!」
フィンの攻撃をポチが両翼で防ぐがその斬撃は強くポチが防ぎ切れずに地面に叩きつけられた。
「ほらみろ!フィンはあの程度のやつになんて負けないんだ!」
「ふん!ポチがあの程度で倒れるとでも!?」
「おいおい。戦ってる俺らよりあいつらの方が盛り上がってんじゃねえか」
フィンがチラリとシルとマーティを見ると熱くなりながらお互いの相棒を熱弁していた。あれ程までに信頼されると少しだけむず痒い。
「フィンさん危ねぇ!!」
「おっと!」
「避けんなよこのデカブツめ!」
ライヤの声にフィンが後ろへ飛び退くとその場所をカゼジロウが槍を持ち突進してきていた。
「悪りぃフィンさん!そっちにあいつが」
「謝るなよ。二対二ならフェアだ」
「ハッ!フェアだと?オイラとポチのチームワークは最強だ。テメェらのチームワークに負けるわけねぇ」
「言ってくれるじゃねえか。じゃあ試してみようぜ!」
フィンとライヤが同時に走り出すとポチは翼を広げてカゼジロウは槍を強く握りしめて地面を蹴る。
「うらぁ!」
「いっけえ!」
「せりゃぁぁ!」
「ガァァァァ!」
フィンが斧を、ライヤが雷を、カゼジロウは槍を振り、ポチは斧である翼を分散させて小斧を飛ばす。フィンの斧とカゼジロウの槍がぶつかり合う。そのフィンにポチが飛ばした小斧が飛んでくる。フィンは今両手に斧を持っているのでその斧を防ぐ事は出来ないが、小斧はフィンに当たる前にライヤの雷によって破壊される。
「おらよっ!」
「ぐぇぇ!チクショウ!オイラじゃこのデカブツには力じゃ勝てねえ!」
「はっ!それくらい見た目で分かれってんだ!」
フィンが斧を振り切るがカゼジロウには当たらない。力ではフィンの方が圧倒的に上だが逆にスピードではカゼジロウが圧倒的に有利だ。
「ハハハハハハ!!力なんかよりこの世は速さだぜ!瞬足の指輪!もっとオイラに速さをくれ!!」
「確かに早い。だがな」
カゼジロウがフィンに槍を構えて突く。しかしその槍はギリギリでフィンに避けられる。
「なっ」
「歯ァ食いしばりな!」
フィンの攻撃を警戒してカゼジロウはフィンの斧へ注意を向ける。しかしフィンは斧を空へと放り捨てた。
「はぁ!?」
その以外すぎる行動にカゼジロウは驚きの声を上げたが直ぐにハッとなる。武器を捨てたのには必ず理由があるからだ。
「ぶぐはぁぁ!」
そんな事を考えている間にフィンの拳がカゼジロウの腹に直撃する。その威力にカゼジロウは吹き飛ぶ。筈だった。
「おっと、逃さねえぞ」
「なっ!腕をっ!」
フィンはカゼジロウの右腕を掴みもう一度拳を振り下ろす。
「このっ!鎧ガード!!」
しかしもう一度受けると不味いと思ったのかカゼジロウは頭に被っていた兜を脱ぎフィンの拳を防いだ。
「お前、そんな顔だったんだな」
「はっ?ぶぐぅえっ!!」
兜を脱いだカゼジロウは青髪で、十六歳程の少年だった。わざわざ兜を被ってまで顔を隠していたので勝手に何かコンプレックスでもあるのかと思っていたが兜で隠す程の顔ではなく逆に凄く整った顔立ちをしていた。顔に少し切り傷があるが、それほど気になるものでもない。まあ、その顔はフィンに思い切り殴られた事で腫れ上がっているが。
「ええい離しやがれっ!!」
「おっと!流石に打ち止めか」
その後も二、三発拳を顔で受け止めたカゼジロウは遂にフィンの腕から脱出することに成功した。
「よ、よぐもやってくれたなぁ。こっから反撃だ」
先程見た整った顔はぐちゃぐちゃになっているがカゼジロウの心はまだ折れていない様だ。もう一度槍を握ってフィンを睨む。ちなみにフィンは既に空へと投げて地面に叩きつけられた斧を回収していた。
「行くぜ」
カゼジロウがそういうと同時に後方から爆発が起きる。何事かとフィンが警戒するがカゼジロウはその爆発にフィン以上に驚いていた。
「ガァァァァ、ァァ」
「流石にあの至近距離からの爆撃は効いたみたいだな」
爆発の正体はライヤだ。ライヤの攻撃は雷のみだと油断していたポチはライヤが急に接近してきたと言うのに警戒を怠った。その結果体に大量の爆弾を投げ連れられたのだ。
「バカな、ポチがやられて、カゼジロウ君もやられそうになってるなんて」
「オイラはまだやられてねぇ!」
「が、カァァァ!」
マーティの言葉にポチとカゼジロウは反論する。しかしどう見ても戦える状況ではない。
「仕方ない。なら、あれをやるよ!!」
「おう!」
「ガァァァ!」
マーティがそう叫ぶとポチとカゼジロウが戦闘体制に入り突進してくる。
「なんだ!?」
「ライヤ!警戒を怠るなよ!」
何をしてくるか分からない相手にライヤとフィンは目を逸らさず警戒する。
「あ、だめだフィン!ライヤ!目を閉じて」
シルの忠告は一歩遅くマーティが投げた閃光球が爆発した。
「なっ!」
「くそ!視界がっ」
「この閃光球は特別性さ!対象二名にだけ効果を発揮する特注品の閃光球!凄く高価な買い物だったんだ。元は取らせてもらうよ!」
マーティが投げた閃光球は従来の物とは違い光が対象となる二名にしか見えないと言うかなり特殊な一品だった。閃光球を使う時は基本使う側はサングラスなどをかけるがこの閃光球はその過程がいらずに閃光球を使えるのがメリットだ。
「やばい!フィン!ライヤ!」
いくら歴戦の冒険者のフィンやオリジナルリングと収納の指輪を駆使して様々な戦闘スタイルを持つライヤでも視界が奪われた状態で攻撃に対応するのは難しい。
「死にな!」
「ガァァァァ!!」
カゼジロウの槍とポチの翼が二人を切り裂く寸前。
「ボイス!!」
「変化の指輪!」
カゼジロウに音の障壁と耳に直接響く爆音が、ポチに大量の大岩が降り注いだ。
「キョウカ!ナズナ!もう二人とも遅いよ!」
「すみません。遅くなってしまいました」
二人を助けたのは少し泥で汚れたキョウカとナズナだ。
「バカな!どうしてここへ!ここにはクロータイガーの群れを呼んでおいた筈」
「この子達のことですか?」
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「なっ!うわぁぁ!!」
その小石の正体は変化の指輪で姿を変えられたクロータイガー。クロータイガーは鋭い爪で敵を倒す強力な魔獣だが接近する前にその爪を失ってしまっては何も出来ない。クロータイガーの群れはマーティの上で気絶していた。
「やろー!!!こうなったら撤退だ!!命大事に!!今度会ったら今度こそお前らの指輪奪ってやるからなぁー!!」
カゼジロウがボイスの爆音に耐えながらマーティをクロータイガーの下敷きから助け出し逃げ出した。
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