original ring

藤丸セブン

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2章 冒険の仲間

39話 人工迷宮

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「おお!ここが人工迷宮の内部か!!」
 迷宮の中は岩で出来た壁と床で薄暗い雰囲気を醸し出していた。だというのに何故か視界はしっかりしており前の様子もよく見える。
「よっしゃライヤ!どっちが先に最奥に辿り着けるか競争だ!!」
「お!いいなそれ!」
「こら。この人工迷宮は遊びの場じゃないんだよ?甘く見てると死ぬ可能性だってあるんだから」
 キョウカがはしゃぐ二人の頭にチョップを下ろして説教をする。ちなみにフィンにチョップしたキョウカの手はめちゃくちゃ痛かった。
「そうだな、わりぃ。よし!じゃあ気を取り直して全員で行こうぜ!いざ人工迷宮!!」
 一同は足並みを揃えて人工迷宮を進み始めた。
「さっそく関門だな」
 迷宮を進み始めて数分。最初の関門が一同の道を防いだ。それは。
「これ、魔道具のアックストラップを大きくしたバージョンじゃんか」
 そこに仕掛けてあったのは大きさ、形、タイミングがずれた斧が道を行き交うというありふれた罠だった。
「ライヤ、あんた攻略法知らないの?」
「いやこいつに攻略法もクソもないだろ。しかし凄いな。この魔道具めちゃくちゃ高かったのに、見たところ五個、いや七個は買って繋げてあるぞ」
 そのトラップは一個で斧が七個程度。それが七個合わさっているとなると斧の数は四十九個。斧と斧の間の距離は確か八メートルなので距離として計算すると三百九十二メートル。走り抜けるなど到底無理だ。
「え?詰んだ?」
「いいえお姉様。私に任せて下さい!!」
 困っているキョウカとライヤの前にナズナが胸を張って言う。
「行きます!変化!!」
 ナズナの指輪が光りが音を立てて煙に包まれる。煙が消えるとそこには斧ではなく小さな小石がゆらゆら揺れていた。
「なるほど。斧が揺れてるから怖いのであって斧じゃなく小石になっちまえば一切怖くねえな」
 ライヤが揺れている小石に触れるが勿論痛くも痒くもない。
「でもこれだけの量を変化させるの辛くないナズナちゃん?」
「辛いです。なので早く渡っちゃって下さい」
 キョウカの質問に涙目で答えるナズナ。ライヤはナズナを抱っこすると「急げー!」と声を挙げながら罠を走り抜けた。
「さて、次の罠だな」
 それから一時間程歩いただろうか。その一時間は何も無かったが遂に次なる罠が見えた。
「天井に無数の針。見たところ地面についてるセンサーで人が通ると落ちてくる様になってるみたいだね」
「いやシルが罠に気が付かなかったら危なかったぜ」
 その罠はアックストラップの様に絶対に気づく罠ではなく高い天井を見ないと気付かない罠だ。まあシルの様に地面にセンサーが付いてるという理由で罠に気づける人はあまりいないだろう。
「うーん。どうやらこの罠を超えた先にスイッチがあるらしいね。そのスイッチを押すとセンサーが解除できるみたい」
「へぇ。よく知ってんなあ」
「ボクは知識の妖精だよ!?これくらい知っていて当然さ!」
 ライヤに褒められたシルは少し照れながら鼻の下を摩る。典型的な照れ方だ。
「つまり一人が危険を犯せばみんなは安全って事だな。じゃあここは俺に任せて貰おうか」
「ひゅー男らしい!でも大丈夫ライヤ?死なないでね?」
「おいおいシル。俺の指輪を忘れたのか!?」
 ライヤはクラウチングスタートの姿勢をとり、走り出した。その速度は目で捉えるのがやっとな程速い。
「お兄様の雷鳴の指輪で稲妻を纏って走ればセンサーが反応して針を下ろすより速く走れますもんね。流石お兄様です!」
「ふっ。もっと褒めてくれてもいいぜー!」
 罠を走り抜けたライヤの声が随分と遠くから聞こえる。どうやらこの罠は予想以上に長なかった様だ。
「こいつがスイッチだな。ポチッとな」
 ライヤがスイッチを押すと小さな音を立てながらセンサーが消えて、落ちてきた針が天井に戻って行った。
「もう、大丈夫なんだよね?」
「うん!」
「そっか。でも怖いから走ろう」
「大丈夫ですよお姉様!何があっても私がお姉様を守りますから!!」
「ナズナちゃん!!ヤバい惚れそう」
 その後も一同は順調に進んでいった。
「うおっ!なんだこいつはよぉぉ!!」
 突然目の前から転がってきた大岩をフィンが砕いたり。
「あ!他の冒険者!お宝は渡さぁぁぁ!!鼓膜がぁぁぁ!」
「ボイス、もういいよ。さ!先に進もう」
 偶然遭遇した別の冒険者の耳をキョウカとボイスが破壊したりしながら順調に進んでいった。
  ◇
「おお!あっという間に最後の階層だぜ!」
「え?もう?思ったより簡単な迷宮だったな。もっとスリルのある冒険をイメージしてたのによ」
「そういえば今まで一個も指輪見ませんでしたね」
「あんたらねぇ。こんなスムーズに進んだのは私達だったからで、迷宮自体は危険そのものだったんだけど!?」
 キョウカの言う通りである。実際最初の罠のアックストラップだって下手をすれば死人が出る。恐らくナズナが石に変えてなければキョウカは無事に突破出来ていなかった。次の罠もライヤとシルがいなければかなり危険な物だった。シルが気づかなければみんな死んでいただろうし、ライヤの雷鳴の指輪が無ければ気づいた所で突破はかなり困難だった。
「そっか。なら俺たち凄えじゃんか!」
「当然だろ!オリジナルリングの使い手が三人もいるんだからよ!」
「ふふんです!」
「ボクにも感謝してよねー!」
 まだ迷宮をクリアした訳でもないのに一同は完全に油断しきっている。まあ実際これ以上何かの罠があっても対処出来るような気がするのだが。
「それより、ここは大広間か?何も無さそうだけど」
 一同が辿り着いたのは色々な道がある大広間だった。そう言えば迷宮には幾つか分かれ道があった。シルが自信満々に「こっち!」と言うので分かれ道は全てシルの言う通りにしていたが、他の道でもこの広間には辿り着いたのだろう。
「あー!!!!!てめぇらはー!!!!」
 そんな中聞いた事のある大声が大広間に響いた。
「あ!お前は!えーっと、盗賊団の変態!!」
「誰が盗賊団の変態だ!?オイラはカゼジロウだ!覚えときやがれチビ助!」
 そこにいたのは数日前に遭遇した盗賊団の幹部、カゼジロウだった。
「どうしたのカゼジロウ君?あ!姫!こいつらですよ!オラ達が指輪を奪えなかったのは!」
 後ろからマーティが顔を出すと直ぐ様後ろに走って行った。
「姫?」
「うん。ゴールデンローズには団員達が姫と呼ぶ盗賊団のお頭がいるらしいんだ」
「姫。私達で言うところのお姉様みたいな人ですかね」
「え!?私に姫なんて似合わないって!!」
 そんな事を言っているとその姫とやらが姿を現した。
「へえ。思ったより若そうな人達ばかりなのね。初めまして、この子達がお世話になったようね。私はローズ・パトラ。この世で一番美しい女よ」
 マーティの後ろから現れたのは燃える様な長い赤い髪をポニーテールに纏めた長身の女性だった。驚くべきは驚く程胸がデカく、露出が凄く高い服を着ていた。
「ちょっと男子」
「へ!?いや!見てないぞ!?」
「動じるなライヤ。キョウカちゃん。男は胸に魅力を感じる生き物だ。故にデカイおっぱいで更に露出の高い服を着た美女が出てきたら見てしまう」
「最っ低」
 キョウカは自分の体を守る様に抱きしめて一言。しかし確かにめちゃくちゃデカイ。キョウカは自分の小さな胸を見て、世の中とは不平等だと感じた。
「って、あーー!!!その指輪は!!」
「あら、この指輪を知っているって事は。あなた達が彼女が言っていた敵かしら?」
「彼女?」
 ライヤはローズの言った彼女という言葉に引っかかるが今は。
「キョウカ。もしかしてこの人が付けてる指輪って」
「うん。あれは第四のオリジナルリング。欲望の指輪だ」
「欲望、ですか?」
 欲望の指輪。それはその名の通り、対象の欲望を爆発させる指輪だ。その対象となる欲望は人間の三大欲求、食欲。性欲。そして睡眠欲だ。
「盗賊団の人!その指輪はお姉様の大切な物なんです!どうか返して頂けませんか!?」
「あら可愛い。そんな素直にお願いされるなんて思わなかったわ。でも、私もこれをはいどうぞと渡す事は出来ない。でも、それだと困るわよね」
 ローズはナズナに向けて笑顔を向ける。
「それなら、指輪を懸けて勝負をしない?私はこの欲望の指輪を。貴方達は、そのオリジナルリングのどれかを懸けて」
「オリジナルリングを懸けた、勝負?」
 今までオリジナルリングを巡って争ってきたが、これほどまで正々堂々とした勝負は初めてだ。
「ええ。その勝負の勝者にオリジナルリングが渡させる。あ、なんならそこの女の子を渡してもいいのよ?お姉さんが立派な盗賊に育て上げてあ・げ・る」
「申し訳ありませんが、私のお姉様はこの世にただ一人です」
「いや、そういう話じゃないと思うけど」
 真剣な表情をしたナズナにライヤは思わず突っ込んだ。
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