original ring

藤丸セブン

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2章 冒険の仲間

40話 指輪を懸けて

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「指輪を懸けての勝負。勝てれば欲望の指輪を手に入れられるけど、負けるとこっちの指輪が取られる」
「どうするよキョウカ」
 迷宮最奥の大広間。偶然遭遇した欲望の指輪の持ち主ローズから提案されたこの勝負にキョウカは頭を悩ませた。
「その提案を受ける前に、勝負の内容ってのは決まってんのかい?」
「勿論決まっているわ。それはお互いの代表者を一名ずつ出した殺し合いよ」
 フィンの質問にローズはサラリと答える。特に悩む様子がなかった所を見ると本当に勝負内容が決まっていた様に感じる。それどころかこの勝負をやるのは初めてではない様だ。
「一騎討ちか。それなら俺たちが負けることなんてそうそう無いと思うぜキョウカちゃん」
「フィン。そんなことキョウカだって分かってるよ。でも向こうから提案してきた勝負だ。必ず裏がある」
 シルの言う通りだ。見たところ盗賊団ゴールデンローズのメンバーはローズも合わせて三人しかいない。ここで勝負だと言うのなら人数差もある事から一騎討ちという理由も納得は出来る。だが、やはり向こうから提案してきた勝負だと言う点が不安を掻き立ててくる。
「負けたら、ここまでみんなに協力してきてもらって取り戻した指輪がまた奪われる」
 キョウカの心は完全に不安に取り憑かれていた。
「大丈夫だぜ、キョウカ」
 その不安は直ぐに取り除かれた。キョウカの肩に手を乗せたライヤの言葉で、最も容易く。
「俺たちは負けない。例え仕掛けがあった所で、そんなもんに負ける俺たちじゃねえよ。心配すんな。何があっても俺達はお前と指輪を守る」
「ふん。ライヤの癖に生意気な」
「なんだよそのどっかのガキ大将みたいなセリフ」
 割とカッコよく決めたつもりがキョウカからの反応が想像よりかなり違ってライヤは困惑する。しかしキョウカは嬉しそうに笑っていた。
「いいよ。その勝負、受けて立つ!!」
「そうこなくっちゃね」
 ローズが不敵に笑ってキョウカに向かい合う。
「ルールは簡単。どちらかが死ぬ、もしくは降参を宣言するまでの一騎討ちの殺し合い。指輪の使用は勿論あり。どう?簡単でしょう」
「そうだね、分かりやすすぎる程だ」
 一騎討ちとは言えど彼女達がルールを守るとは限らない。戦いの間は周囲を警戒しなければならなさそうだ。それより今は。
「誰を出すか、だよね」
 ナズナは変化の指輪を見事に使いこなし戦うが、一騎討ちには向かない。マキにナイフ捌きを教えてもらってはいたものの、やはり一騎討ちにはナズナじゃない方がいいだろう。
「となるとフィンかライヤ」
「こちらはカゼジロウを出すわ。お願いね」
「任せろよ姫さん!オイラが最強だって事を思い知らせてやるぜ!」
 相手は瞬足の指輪の使い手であるカゼジロウ。ならばこちらは。
「キョウカ。俺に行かせてくれねえか?あいつとは色々あって決着つけれてないんだよ」
「ああ。ちょうど私もあんたを指名しようとしてた所だよ」
 ライヤとカゼジロウの間に何があったのかキョウカは知らないが、パワー型のフィンよりはライヤの方がカゼジロウに優位に立ち回れる。
「ようニイチャン。あの時ぶりだな。前会った時以来だ!」
「いやお前、それは当たり前だろ。逆にその時以外なんて有り得ねえよ」
「知るかそんなもん!それよりも!オイラとお前。どっちが速いのかの答えは出たか?」
「ああ勿論。その結果を今から見せてやるよ!!」
 ライヤの大声により一騎討ちが始まった。
「瞬足の指輪ぁ!!」
「雷鳴の指輪!!」
 お互いに指輪を発動させる。カゼジロウは指輪の力を自分に纏い瞬足の足で走り出す。ライヤは稲妻を纏いカゼジロウに向けて放電した。威力は最大。出し惜しみなど一切無しだ。
「はっ!当たらねえぜ!やはりさっきの答えはオイラの勝ちだ!ナハハハハハ!」
「ああ。その通りだ。俺とお前。速いのは悔しいけどお前だよ」
「え!?マジで認めるのか?じゃあお前に勝ち目ねえじゃんよ」
「何言ってやがる。勝ち目があるから名乗り出たんだろうが!!」
 ライヤは指輪がところ構わず高威力の放電を続ける。
「だからぁ!当たらねえと意味ねえだろうが!」
 カゼジロウはその放電を避け、攻撃体制に入る。
「今だ」
 カゼジロウが攻撃体制に入る時。その時は動いていた足を一瞬止める。それならば
「なんだ!?電気が動いて、グギャァァァァ!!」
「電気の速度ではお前に追い付けねえ。だから、大量の電気でお前を追い込む。そうすれば速度なんて関係なくお前に勝てるんだよ」
 カゼジロウが丸焼けになって地面に倒れ込む。
「いっちょ上がりってな」
 ライヤがそう言ってカゼジロウに近づくと。
「甘いぜ!!」
「読めてんだよ!!」
 倒れていたカゼジロウが直ぐ様立ち上がり槍を持ってライヤに突進する。しかしこの程度でやられる程甘くない事は知っている。故にライヤは収納の指輪から盾を出して槍を受け止めた。
「作戦通りだ。収納!!」
「え?うぇぇぇぇぇ!あっぶねぇ」
 盾に槍が突き刺さった瞬間。ライヤは取り出した盾を収納の指輪に収納し始めた。それは盾に刺さっていた槍も、その槍を持っていたカゼジロウも収納しようと力を働かせる。カゼジロウは咄嗟に槍から手を離す。結果、カゼジロウは収納されなかったがカゼジロウの愛用の槍は見事に収納の指輪に入って行った。
「これで、お前の武器は無くなったな」
「な、なんて野郎だ。ならば!!殴る!!」
 槍が無くなってもカゼジロウは直ぐ落ち着きを取り戻してライヤに殴りかかった。
「ぐっ!お返しだっ!」
「兜ガード!!」
「痛って!収納!!」
「あっ!てめえオイラの鎧を!!返しやがれ!!」
 カゼジロウが殴りかかってからライヤもカゼジロウを殴る。初めのうちは指輪による戦いをしていたと言うのに、いつの間にか戦いは殴り合いに発展していた。
「こらライヤ!!あんた指輪使えば確実に勝てるでしょうが!!」
「いや、ライヤのやつ最初の放電と残り一発程度の雷で一気に決めるつもりだったみたいだよ」
「え?というと?」
 シルの言葉にキョウカが詳しく聞こうとする。雷鳴の指輪は消耗が激しいので長時間戦うなら出力を考えなければならないが。
「うん。だから今のライヤが雷を放てるのは弱い雷を何回か放つか最大出力を一回出すかって感じ」
「つまり、今は殴るしかないって事!?」
 シルとキョウカが話している間にも殴り合いは続く。ライヤの右ストレートがカゼジロウの頬を殴りつけるとカゼジロウの左腕がライヤの顔面を正面から捉える。
「がはっ!」
「ぐふっ!」
 お互いによろめき合うが両者膝を付かずに耐える。
 (全力の放電。放つなら今か?)
 ライヤが指輪発動させようとするが。
「っ!危ねぇ!」
「防いだか。だがまだオイラの猛攻は終わらねえぜ!!」
 指輪を発動するタイミングはなく、カゼジロウが素早く殴りかかってくる。それを腕を交差させてなんとか防ぐが攻撃に転じる事が出来ない。
 (くそっこのままじゃジリ貧だ。どうにかしねぇとっ!)
 瞬足の指輪はどうやら腕にも使える様だ。瞬足などという名前なのに腕まで早く動かせるとは思っていなかった。
「だが、そう簡単にはやられねえ!取り出し!反射板!!」
「はっ!?ぶぇぇ!」
 ライヤが取り出したのは魔道具反射板だ。この魔道具の効果はその名の通り、触れた攻撃をそのまま跳ね返す。カゼジロウの腕が急に曲がり自分の腕で自分の顔を思い切り殴った。
「今だ!!稲妻ァァァァ!!!」
「グァァァァァァ!!」
 隙が生まれたカゼジロウにライヤは全身全霊の稲妻を叩きつける。これ以上はない程の全力をぶつけた。これで立ち上がってくるのならライヤにもう策はない。
「おいおい。策はないってんだよ」
 それでも。カゼジロウは立ち上がった。
「は、ははは。すげぇ一撃だったぜ。でもな、オイラにも秘策ってもんがあったんだよ」
 カゼジロウはそう言ってタンクトップに隠されていたネックレスを取り出す。
「あのネックレスは一撃石と言ってね。どんな強力な攻撃でも一撃防ぐことが出来る。まあ、どんな小さな攻撃でも一撃しか防げないんだけどね」
「ま、まじかよ」
 ローズの説明を受けてライヤは驚愕。ライヤはもう雷鳴の指輪を使うほどの力が残っていない。しかし殴り合っても勝てるとは思えない。
「だからって、諦める訳には。いかねぇんだ!」
 
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