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4章 オリジナルリング
66話 色彩の指輪
しおりを挟む「「我ら!泣く子も黙るファイアーシスターズ!」」
あまりの事に反応が出来なかったウルとキョウカに無視されたと思ったのかファイアーシスターズの双子、エンカとネンカがもう一度名乗りを挙げた。
「エンカ!?ネンカ!?あんたらがなんでここに!?」
「ふっ。マキ姉に連れられて王都に来たらマスターとキョウカを見つけたのさ」
「そんで暇だから着いてきたら、マスターがキョウカを泣かせたから説教に来た」
エンカとネンカは反応された事に嬉しそうな表情を見せながらポーズを解き、ウルに視線を向ける。
「ファイアーシスターズ。お噂は聞いてるよ。大活躍なんだってね」
「「いやーそれほどでもー」」
「照れるな!あんなにカッコいい登場だったのに!」
ウルに褒められて頭を掻きながら照れる二人を見てキョウカが怒る。それにハッとなった二人は威厳のある顔(?)を取り戻す。
「会話は聞こえなかったが、キョウカに謝りな」
「女の子泣かすなんて最低だぞ」
「そういうのはいい!私は足が動きさえすればっ」
キョウカの言葉に二人がショックを受けた顔をする。本当に状況も分からずに飛び込んできた様だ。
「足が動かねえ?それは多分マスターの指輪の効果だな」
「マスターの指輪は凄くてな。一番上のランクなんだぜ。えっと名前は」
「おっと、それは私に語らせて欲しいな」
ネンカの言葉を遮りウルが楽しそうに左手に着けていた手袋を外して指輪を見せる。
「私の指輪は色彩の指輪。この指輪が示す色によって様々な効果があるという大変特殊な指輪さ」
ウルの左手薬指に付けられている色彩の指輪は紫色に輝いている。
「今の色は紫。効果は毒だよ。今日会った時に毒を注入しておいたんだ」
「あの時か!」
そういえばキョウカはウルに出会った時に背後から抱きつかれた。その時既にキョウカの体に毒を入れていたのだ。
「よく分かんねーけど、キョウカはここから出たいんだな」
「でもマスターはここから出したくねえんだな」
「その通りだね。じゃあ、君たちはどうする?」
ウルの問いかけに対する答えは当然一つ。
「友達が困ってるなら」
「助けてやるのが友達だ!」
「「ファイアー!!」」
エンカとネンカが全く同じ仕草で左手にと右手をウルにかざして指輪から炎を放つ。ウルはその炎に驚きながら業火に包まれた。
「あ、やりすぎちまったな」
「やべぇ、マスター死んじまうかも」
「いや、そんな心配要らないよ」
慌てる二人にキョウカが冷静に言葉を伝える。その言葉に二人が業火の中を見ると、その中に人影が一つ。
「いやぁ、これが火炎の指輪と燃焼の指輪。全く同じ能力にして火力まで全く同じとか、手抜きなんじゃないのー?」
ウルは業火の中で楽しそうに笑いながら二人に向けて歩み寄る。
「「ファイアー!!」」
その姿に恐れを感じたのか二人が同じタイミングでもう一度業火を放つ。
「いい火力ではあるんだけどね」
ウルは業火の目を前にして軽く笑い、指輪に触れる。
「色彩の指輪、青。水流」
色彩の指輪の色が紫から青に変化するとウルの周りに渦巻きが現れ、業火を消化していく。
「まじかよ」
「相性最悪じゃねえか」
「流せ」
ウルを包み込んでいた水流が向きを変えて二人とキョウカに流れていく。この水達を止める手段は二人にはない。
「「私達はカナヅチなんだぞー!?」」
涙目で手を繋いだ二人に水流が流れてくる。
「ボイス!」
二人に迫る水流をボイスが音の波動で掻き分ける。水はエンカとネンカを避ける様に左右に見事に分かれていった。
「へぇ。やるじゃん」
「私だって何もしてなかった訳じゃないってんだ!」
キョウカの言葉に共有してボイスはもう一度騒音歌をウルに放つ。
「色彩の指輪、茶色。岩石」
色彩の指輪の色が変わりウルの前に巨大な岩石が現れる。その岩の前ではボイスの騒音歌では少ししか傷つけられない。
「水が消えたぞ!」
「あの指輪は一個の色しか出せねえんだな!」
二人の言葉でキョウカは水が消えている事に気がつく。という事はつまり。
「動く!」
色彩の指輪が紫でなくなった今ならキョウカは自由に動く事が出来る。ならばすぐにライヤの元へ。
「紫」
「あっ!こっのぉ!」
走り出そうとしたらまた足が動かなくなる。厄介な事この上ない。
「いやでも今は毒に固定されてる訳だよな」
「それなら水は出せねえよな!」
「「ファイアー!!」」
しかし厄介なのはウルも同じである。キョウカを捉えておかなければならないがキョウカを止める為にはこの炎を受けなければならない。
「仕方ない。茶色!からの紫!」
岩石で炎を防ぎ、炎が消えるタイミングで紫へ変える。
「マキ姉が言ってたぜ」
「指輪に頼る様な奴の弱点は」
「「接近戦闘だってなぁ!!」」
岩石が消える瞬間を狙って二人がナイフを抜きウルを斬りかかる。その奇襲とも言える二つのナイフを回避してウルは苦笑いをする。
「こりゃ凄い。実に厄介だね」
「へっ!そうだろ」
「相手に嫌われる様な闘い方をしろって」
「「マキ姉に教わったもんでね!!」」
エンカは火炎でウルに放出してネンカはナイフで接近戦闘を続ける。二人のコンビネーションは洗礼されておりそのコンビネーションの猛攻を完璧に回避するのは難しい。
「色彩の指輪、白」
「来るぞエンカ!」
「おうよネンカ!」
「氷結」
白く光った指輪は凍える冷気を放出。エンカとネンカの体を氷が包んだ。更にキョウカも氷に包まれてしまった。
「ファイアーシスターズに氷だと!?」
「あまく見てんな!」
「「ファイアー!!」」
二人を包む氷は火炎によって直ぐに溶けていく。しかし、
「一瞬の隙は生まれるよね」
二つの火炎の塊にウルは突っ込む。
「色彩の指輪、肌色!」
炎の中に入り込んだウルは右手でエンカを、左手でネンカを思い切り殴りつけた。
「格闘」
「がはっ!」
「ぐえっ!」
ウルの拳は見事にエンカとネンカの顔面を捉え、エンカの歯が砕け飛び、ネンカの鼻から大量の出血を促した。
「紫」
エンカとネンカの意識が完全に消えたのを確認するとウルはキョウカを逃さない様にすぐさま色彩の指輪を発動させる。
「エンカ!ネンカ!」
「大丈夫、二人とも死んではいないよ。少し眠って貰うだけ」
ウルは火傷した腕をブンブンと振りながらゆっくりとキョウカに向けて歩き出す。
「さてと、大変だったけど片付いた」
「・・・」
「キョウカちゃんもファイアーシスターズの二人も予想以上だったよ!いやーたのしかったなぁ!」
ウルは黙り込んでいるキョウカに満面の笑みで話しかける。
「最後の足掻きとも言えるこの奇襲作戦もよく出来てる」
「っ!」
ウルの言葉とほぼ同時にエンカとネンカが背後からナイフを振り下ろしていた。その事にウルは気がついていた様だ。
「茶色」
「「ぐへぇぇ!!」」
地面から突き出た岩石がエンカとネンカの顎を砕き、倒れ込んだ二人に突き刺さった。
「キョウカちゃんも、確保っと」
倒れ込んでいるキョウカに重めの岩を乗せて締める。エンカもネンカももキョウカ岩の下敷きになり動くことが出来ない。これ以上援軍が来なければウルの完全勝利だ。
「ねぇ、最後に遺言聞いてくれない?」
「ん?私はキョウカちゃんを殺すつもりないけど、まあいっか!聞いてあげる」
その遺言を聞いて。
「は?」
ウルは言葉を失った。
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