original ring

藤丸セブン

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4章 オリジナルリング

79話 炎雷轟く

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「ウルー!!!」
 ルシフェルの黒炎に焼かれたウルの名を呼ぶ。彼女は決して良い人ではなかった。魔族に協力してキョウカの家族を殺した。だが、死ぬことは、無かった。
「はーい」
「は!!?!?!?」
 涙を流す寸前だったキョウカの涙が一瞬で枯れる。理由は簡単。何故か少し焦げただけのウルがルシフェルの背後に立っていたからだ。
「何!?」
「いやーピンチになったら覚醒してくれると思ってたよ。でも一応言っとく。助かったよ、ライヤ君」
「ったく。心配かけさせないでくれません!?今の俺が突っ走ってなくてもあんた躱せただろ!?」
 ウルの隣にライヤが立っている事にキョウカは更に驚き自分の手元を見る。先程までここでキョウカに治療を受けていたライヤはいつの間にかいなくなっている。
「何が起こったわけ!?」
「私が燃やされる前にライヤ君が電気の速さで助けてくれたの。そんでキョウカちゃんを驚かせる為色彩の指輪、黄土色。で作ったわら人形置いといた!」
「私やっぱあんた嫌い!!」
 自らの死を他人を騙して楽しむために偽装するとは。やはりこの女は死んでもよかった。いや、死ぬは言い過ぎだろうか。
「ってかライヤ!あんたその怪我で動くな!死ぬよ!!」
「でも、俺が動かねえとここにいる全員死ぬ」
 ライヤの言葉にキョウカは反論できない。確かにこの場でウルとルシフェルの戦いに参加し、尚且つルシフェルに打ち勝てる人間がいるとするならば、それはライヤただ一人だろう。
「・・・無茶はダメだからね」
「分かってる。無茶はしないさ」
 ライヤが笑顔をキョウカに見せる。嘘だ。どうせまた無茶する癖に。
「さて、茶番は終わったか?」
「終わったよ。付き合ってくれてありがとねー!」
 どうやらルシフェルは燃えたウルが偽物なのは分かっていた様だ。
「あんた根っからの悪人じゃねえんだよな」
「悪人に根もクソもない。悪は悪。そうだろう雷鳴の勇者よ」
 やはり、どうにもこの男はライヤと相性が悪い。調子が狂う。
「さて、これが正真正銘最後の戦いだ。準備はいいね、ライヤ君?」
「ああ、勿論」
 ウルの言葉に短く頷き、ライヤとウルは一斉に動き出した。
「インフェルノ!!」
「駆けろ!!」
 ルシフェルの炎とライヤの稲妻がぶつかり合い、相殺される。強くなったルシフェルの炎にライヤの稲妻はついて行けている。
「これが想いの力か。全く恐ろしいね」
 オリジナルリングは使用者の想いの力によって出力をあげる。故に強くなったルシフェルにも付いていける。
「茶色、岩石!」
「無駄!」
 ウルが出す岩石にルシフェルも岩石で対応する。が、ウルの岩石はライヤと違い打ち負けてこちらに飛んでくる。
「おっと!ごめんライヤ君!私全然太刀打ち出来ないや!」
「んじゃサポートお願いします!」
 舌を出して謝るウルを軽くあしらってライヤは全身に雷を纏ってルシフェルに肉薄する。
「我と貴様の威力は互角。ならば、技の数で勝負と行こう!」
 ライヤが走っている道が盛り上がり岩の柱が出来上がりライヤに襲い掛かる。ライヤはその岩の柱を回避、または破壊してルシフェルの元へ辿り着くがルシフェルが翼を広げ空を飛びまたしても距離を取る。
「落ちろ!」
「ぬぅぅ!?」
 が、ライヤの電撃はライヤから離れていても当てる方法がある。落雷だ。ルシフェルが空を飛ぶタイミングこそ絶好の機会だとライヤが雨雲を呼びルシフェルに見事に当てた。
「おのれっ!」
 ルシフェルが黒炎を片手から黒炎を放ち片手で暴風を巻き起こす。
「やっべ!」
 黒炎を電撃を纏った足で地面を蹴って回避。だがルシフェルはライヤの逃げ道を把握しておりライヤが飛んだ場所には既に暴風が出現していた。
「ぐぁぁぁ!!」
「更に追加だ!!」
「それは遠慮したいなっ!」
 暴風に呑まれたライヤに黒炎が迫るがウルが岩を出現させて防ぐ。その隙にライヤは暴風から脱出。目にも止まらぬ速度で走りルシフェルに電撃を纏った蹴りを喰らわせた。
「傀儡の糸」
「やばっ!」
 ウルに傀儡の糸が絡みつくがライヤが即座に糸を焼き切る。初めは細い糸を切るのに苦労していたが、今のライヤならいつも雷を操る様に糸を切る事が出来ている。
「本命は貴様ではないがな」
「っ!キョウカ!!」
 ライヤがルシフェルの言葉に驚きキョウカへ危険を知らせる。
「え?」
 ライヤとルシフェルの戦いを見向きもせずナズナの治療をに専念していたキョウカがライヤの方を向く。その周囲には傀儡の糸が。
「間に合わねえ!」
「オラァァ!!」
 ライヤが雷を放つがキョウカに糸が絡みつく方が早い。と思われたが、何者かにより糸が切り裂かれた。
「フィン!無事だったんだ!」
「いや無事じゃねえな。斧振り下ろすので精一杯。戦闘はもう無理だ」
 フィンの登場にライヤは胸を撫で下ろす。が。
「余所見とは余裕だな」
「しまっ」
 油断。キョウカに気を取られていたライヤの体が黒炎に包まれる。
「ライヤ君!」
「貴様もだ!」
 ライヤを助けに走るウルが暴風に呑まれる。暴風から逃れようと足掻くが、ウルの力では暴風を抜けられない。
「プッ、まっだまだ!」
 皮膚が黒炎に焼かれて痛々しい程に焼かれようと、ライヤは立ち上がる。口元に残る煤を吐き出し、強い意志を持つ瞳を携えて。それがルシフェルには一層不気味に見えてならない。
「消え失せろっ!!!!」
 持てる力全てを込めたルシフェルの黒炎がライヤに迫る。
「ライヤ!!!」
「お兄様!!!」
 キョウカとナズナの心配する声を聞きながら、ライヤは笑った。
「待ってたぜ!」
「何!?」
 あまりの出来事にルシフェルが驚愕する。理由は簡単。黒炎が全てライヤの手の中に吸収されたのだ。
「魔道具、吸収鏡。お前の黒炎、頂いたぜ」
「くっ!しかしその程度で形勢が変わるとでも!?」
 ルシフェルが次は吸収されない様に岩で剣を作りライヤに斬りかかろうとするが、動きが止まった。
「色彩の指輪、紫。毒」
「ウル!貴様っ!!」
「行かせないよ」
 全身に毒が廻るルシフェル。ウルの毒は神経毒で動きを止めるものだが。
「ちっ!傀儡の糸達よ!!!」
 傀儡の指輪による糸はルシフェルの思考の通りに動く。糸を止める事はウルには不可能だ。
「変化!!」
 ライヤに絡みつこうとした糸が目で見えない程小さな小石に変化する。
「お兄様の邪魔は、させません!」
「変化の魔術師!?」
 場は整った。
「さあ、夢の終わりだぜ。魔王様よぉ!!」
 ライヤは右手に雷鳴の指輪の全ての雷を纏め、そこに更にルシフェルの放った黒炎を混ぜ込む。これが今のライヤに出来る最大の攻撃。
「やめろ、我は。我は魔王にならねばならんのだ!!!」
 ライヤに向かって飛び交う傀儡の糸は悉く全て小石へと変わっていく。
「終わりだ」
 ライヤがルシフェルの元へ辿り着き、拳を放つ。
「炎ノ雷!!!!!!!」
 ライヤの稲妻とルシフェルの黒炎が合わさった右腕がルシフェルを捉え、殴り飛ばした。
 
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