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17話 隠し子 その4
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「……グレン様。それにユリア・サンマイトまで」
「おいおい。なんでそんな歓迎してない口調なんだよ?」
「それに、私のこと呼び捨てとか……生意気なんじゃないの?」
明らかに歓迎されていないムード。シャルロッテはそんな雰囲気を放っていた。
「愛しの兄貴なんだぜ?」
「ご冗談を」
「愛しの」という響きが不快感をそそっている。アレンに言われるのであればともかく、次男の起こした事情はシャルロッテにも伝わっているからだ。
近くに立っている、リオナも同じような表情になっていた。グレンは驚くほどに歓迎されていない。ユリアも同じだが……。
「私のこと呼び捨てとか、不敬罪に処するわよ? この平民風情が!」
「これでもわたくし、半分ではありますが国王陛下の血を継いでいますので」
皮肉いっぱいのシャルロッテのセリフだ。彼女は身分の差を考える人物ではないが、ユリアに対してはとても攻撃的になっている。やはり、色々と許せない気持ちがあるのだろうか。
「この……くそ平民が……!」
「ユリア様も落ち着いてください。あなたはそれでも有力貴族である、サンマイト家の令嬢なんですよ? そんなに短気でどうするのですか」
「……はっ!?」
リオナからも出て来る挑発めいた言葉。ユリアの顔つきは鬼のそれに変わっており、貴族令嬢トップクラスの美貌は存在していなかった。
「リオナも言うようになったな。喜ばしいことではあるが……とにかく、これ以上の争いはアレン・ハンフリーの名の下、許すわけにはいかない。落ち着くんだ」
収拾がつかなくなることを考慮してか、アレンはまとめ上げるように喧嘩の仲裁へと入った。流石のユリアたちも彼には逆らえないのか、一旦話は終結する。
---------------------------
「グレン、父上たちとの話し合いはどうなったんだ?」
時間的には秘密会議は終了しているはず。その後、何事もなかったかのように現れたグレンの姿に不安感を覚えたアレンであった。
「父上との話は終了したぜ。父上も平民の隠し子が居るから、強く俺を叱責できなかった」
「……そうか」
ヨハン・ハンフリーは手腕はある程度発揮してきた人物ではあるが、経験不足なところもあった。それに加えて親バカなところもある。アレンはグレンに言い負かされてしまったのだろうと判断した。
「それで、隠し子の件だけどな」
「ああ」
グレンは二枚目ではあるが、鋭く狡猾な瞳をシャルロッテに向けた。寒気が走ったのか、彼女は身震いをしている。
「父上としても、その事実を公表する気があるようだ。兄上に伏せていたのを謝っていたぜ」
「父上……律義、というのかこれは……?」
父親の采配は長男であり、次期国王筆頭格のアレンに余計な心労を与えない配慮があった。アレンもそれは感じていたが、あまり納得は出来ていないようだ。親子なのだから、包み隠さずに話してほしかった。目の前の妹の存在を、今日まで知れなかったのも悲しいものだ。
「アレン様……」
「ああ、大丈夫だリオナ。心配をかけて済まない」
彼の気持ちを汲み取ったのか、リオナがそっと寄り添った。その姿を見て、グレンは少しだけ眉を引きつらせている。とても醜い嫉妬の炎でも燃やしているのだろうか。
「それでな、兄上」
「なんだ? まだ、なにかあるのか?」
「父上は住民感情などを与して、国王の座を離れるおつもりだ。つまりは……王位継承の時期に入るってことだな」
「……!」
後に正式発表はあるのだろうが、グレンが先に伝えた感じだ。だからこそ、シャルロッテの部屋にやって来たといったところであろうか……。
王位継承権争い……国家を揺るがす、大イベントが始まろうとしている。
「おいおい。なんでそんな歓迎してない口調なんだよ?」
「それに、私のこと呼び捨てとか……生意気なんじゃないの?」
明らかに歓迎されていないムード。シャルロッテはそんな雰囲気を放っていた。
「愛しの兄貴なんだぜ?」
「ご冗談を」
「愛しの」という響きが不快感をそそっている。アレンに言われるのであればともかく、次男の起こした事情はシャルロッテにも伝わっているからだ。
近くに立っている、リオナも同じような表情になっていた。グレンは驚くほどに歓迎されていない。ユリアも同じだが……。
「私のこと呼び捨てとか、不敬罪に処するわよ? この平民風情が!」
「これでもわたくし、半分ではありますが国王陛下の血を継いでいますので」
皮肉いっぱいのシャルロッテのセリフだ。彼女は身分の差を考える人物ではないが、ユリアに対してはとても攻撃的になっている。やはり、色々と許せない気持ちがあるのだろうか。
「この……くそ平民が……!」
「ユリア様も落ち着いてください。あなたはそれでも有力貴族である、サンマイト家の令嬢なんですよ? そんなに短気でどうするのですか」
「……はっ!?」
リオナからも出て来る挑発めいた言葉。ユリアの顔つきは鬼のそれに変わっており、貴族令嬢トップクラスの美貌は存在していなかった。
「リオナも言うようになったな。喜ばしいことではあるが……とにかく、これ以上の争いはアレン・ハンフリーの名の下、許すわけにはいかない。落ち着くんだ」
収拾がつかなくなることを考慮してか、アレンはまとめ上げるように喧嘩の仲裁へと入った。流石のユリアたちも彼には逆らえないのか、一旦話は終結する。
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「グレン、父上たちとの話し合いはどうなったんだ?」
時間的には秘密会議は終了しているはず。その後、何事もなかったかのように現れたグレンの姿に不安感を覚えたアレンであった。
「父上との話は終了したぜ。父上も平民の隠し子が居るから、強く俺を叱責できなかった」
「……そうか」
ヨハン・ハンフリーは手腕はある程度発揮してきた人物ではあるが、経験不足なところもあった。それに加えて親バカなところもある。アレンはグレンに言い負かされてしまったのだろうと判断した。
「それで、隠し子の件だけどな」
「ああ」
グレンは二枚目ではあるが、鋭く狡猾な瞳をシャルロッテに向けた。寒気が走ったのか、彼女は身震いをしている。
「父上としても、その事実を公表する気があるようだ。兄上に伏せていたのを謝っていたぜ」
「父上……律義、というのかこれは……?」
父親の采配は長男であり、次期国王筆頭格のアレンに余計な心労を与えない配慮があった。アレンもそれは感じていたが、あまり納得は出来ていないようだ。親子なのだから、包み隠さずに話してほしかった。目の前の妹の存在を、今日まで知れなかったのも悲しいものだ。
「アレン様……」
「ああ、大丈夫だリオナ。心配をかけて済まない」
彼の気持ちを汲み取ったのか、リオナがそっと寄り添った。その姿を見て、グレンは少しだけ眉を引きつらせている。とても醜い嫉妬の炎でも燃やしているのだろうか。
「それでな、兄上」
「なんだ? まだ、なにかあるのか?」
「父上は住民感情などを与して、国王の座を離れるおつもりだ。つまりは……王位継承の時期に入るってことだな」
「……!」
後に正式発表はあるのだろうが、グレンが先に伝えた感じだ。だからこそ、シャルロッテの部屋にやって来たといったところであろうか……。
王位継承権争い……国家を揺るがす、大イベントが始まろうとしている。
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