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18話 王位継承権 その1
しおりを挟む「王位継承の話がもう出て来ることになるとはな……」
「まあ、父上も母上もまだまだ若いのにな。思った以上にへっぽこだったんだろ」
「……お前がそれを言うか」
まだアレンとグレンは20代の前半の年齢だ。ラウコーン王国の歴史で鑑みると、やや早いと言えるだろう。アレンとしては、自らの両親の手腕は見て来たつもりだ。今回は親バカを発揮してしまったことで、失敗したと言えるが、それだけで退位ということになれば忙しくなりそうだ。
「父上が退位した場合、俺と兄上での公開選挙だぜ?」
「……そうだな」
ラウコーン王国の次期国王は昔から、第一王子がそのまま繰り上がる場合と、民衆と他の貴族達による選挙で決められる場合とがある。第二王子のグレンの様子からして、アレンに素直に譲る気はないようだ。
「愛しの妹は残念だが、王位継承権からは排除されるだろうからな」
「……そうですね」
隠し子であり、平民とのハーフのシャルロッテ。流石に王位継承権得られないであろうことは、本人のみならず、この場の全員が理解していた。わざわざそれを口に出すグレンの態度に、リオナは不快感を露わにしていたが。
「ま、せいぜい楽しませてくれよ? 兄上。じゃあな」
「それじゃ、失礼させてもらうわね。あはははははっ!」
とてつもなく横柄かつ、大きな態度でグレンはシャルロッテの部屋から出て行った。宣戦布告というやつだろうか。リオナやアレン、シャルロッテは、しばらくその場で立ちつくしていた。部屋から去って行く二人を見送っている。
主にパーティなので滑っているのにテンションの高すぎる人を見るような目つきで……。
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「アレン様、大変な事態になってしましました」
「そうだな……詳しくは、父上にお会いして聞かなければならないだろう」
リオナはアレンの身を案じていた。予期せぬタイミングでの王位継承権を懸けた選挙だ。今後、彼は忙しくなるだろうと踏んでいた。
「アレンお兄様であれば、負けることはないと思いますが」
いつの間にか呼び方の変わったシャルロッテの発言だ。彼女はあまり王位継承権でのアレンの苦戦を想定はしていないようだ。
「そうですね。シャルロッテさんの言う通りだと思ういます」
リオナも同意見ではあった。民衆などの人気を考えた場合、アレンとグレンではかなりの差が開いている。この差を短期間で詰めることはできないだろうということだ。
しかし、アレンの表情は二人に比べ曇っていた。
「そのように私を評価してくれるのは、素直に嬉しいが……。警戒はしておくに越したことはないだろう」
アレンは二人と比べて、グレンと過ごした時間は長い。あの男が余裕をかましている時は、何かしらの対抗策がある時だとわかっていたのだ。彼はそのことを危惧していた。
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