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妊娠五ヶ月を迎えた頃、セラフィーナのお腹は確かな膨らみを見せ始めていた。体調は良好で、前世の知識のおかげで理想的な妊婦生活を送っていた。
朝、鏡の前で自分の姿を見つめる。少し丸みを帯びた顔、穏やかな表情、そしてお腹の膨らみ。母親になる実感が、日々強くなっていた。
「おはようございます」
エドウィンが後ろから抱きしめてきた。お腹を優しく撫でる。
「赤ちゃんは元気ですか?」
「ええ、よく動くわ」
実際、最近は胎動を感じるようになっていた。小さな命が確かにそこにいる。
「今日は王宮医師の定期検診ですね」
「ええ、一緒に来てくれる?」
「もちろんです」
王宮医師の診察室で、セラフィーナは横になった。医師が丁寧にお腹を触診する。
「順調です、奥様。胎児の成長も理想的です」
「良かった」
エドウィンが安堵の表情を浮かべた。
「ところで」
医師が微笑んだ。
「お二人は男の子と女の子、どちらがお好みですか?」
「どちらでも構いません」
セラフィーナが答えた。
「健康であれば、それが一番です」
でも心の中では、少し期待していた。女の子なら、自分と同じように強く生きられる女性に育てたい。男の子なら、エドウィンのように誠実な男性に育てたい。
診察を終えて侯爵邸に戻ると、父ロデリック侯爵が待っていた。
「どうだった?」
「順調です、父上」
「そうか...」
父は安堵の表情を浮かべた。この三ヶ月、父は過保護なほどセラフィーナを気遣っていた。
「父上、私は大丈夫ですよ」
「分かっている。だが、お前は私の大切な娘だ。心配するのは当然だろう」
セラフィーナは父の手を握った。
「ありがとう、父上」
午後、セラフィーナは薬草園を散歩していた。妊娠中も適度な運動は必要だ。老庭師トーマスが声をかけてきた。
「奥様、お身体の調子はいかがですか?」
「とても良いわ、トーマス」
「それは何よりです。この薬草園で育った奥様が、ここでお子様を授かるなんて」
トーマスの目に涙が光った。
「私も嬉しいですよ」
セラフィーナは薬草園を見渡した。この場所が、すべての始まりだった。婚約破棄の後、荒れ果てたこの園を再生することから、彼女の人生の再建が始まったのだ。
その夜、セラフィーナとエドウィンは書斎で将来について話し合った。
「子供が生まれたら、研究を続けられますか?」
エドウィンが心配そうに尋ねた。
「もちろんよ。母親になっても、研究者であることは変わらない」
「でも、子育ては大変でしょう」
「だから二人でするの。あなたも父親として、育児に参加してほしい」
エドウィンは微笑んだ。
「もちろんです。私も父親として、責任を果たします」
妊娠七ヶ月になると、お腹はかなり大きくなった。階段の昇降も慎重になり、長時間の立ち仕事は避けるようになった。
でも研究は続けていた。座ってできる作業を中心に、論文執筆や資料整理に時間を費やす。
ある日、王都の社交界から招待状が届いた。春の園遊会への招待だ。
「行きますか?」
エドウィンが尋ねた。
「行きたいわ。でも...」
セラフィーナは自分のお腹を見た。
「大丈夫でしょう。医師に確認してみましょう」
王宮医師は許可を出した。
「無理をしなければ大丈夫です。ただし、疲れたらすぐに休憩してください」
園遊会の日、セラフィーナは特別に仕立てた妊婦用のドレスを着た。お腹を優しく包む柔らかい生地のドレスは、エドウィンが依頼して作らせたものだ。
「美しいですよ」
エドウィンが言った。
「ありがとう」
セラフィーナは鏡の中の自分を見つめた。妊娠中の女性特有の輝きがあった。
園遊会の会場に到着すると、多くの貴族たちが集まっていた。セラフィーナの姿を見て、人々は驚きと祝福の表情を浮かべる。
「侯爵夫人、おめでとうございます」
「もうすぐですね」
次々と祝福の言葉がかけられた。セラフィーナは一人ひとりに感謝の言葉を返す。
会場の隅で、一人の男性がセラフィーナを見つめていた。アレクシスだ。
かつての婚約者は、明らかに老けていた。まだ二十代後半なのに、疲れ果てた表情をしている。
二人の視線が一瞬交わった。アレクシスの目には、複雑な感情が宿っている。後悔、羨望、そして諦め。
セラフィーナは穏やかに微笑み、視線を外した。もう彼には何の感情もない。過去は過去だ。
「疲れましたか?」
エドウィンが気遣ってくれた。
「少し。座りたいわ」
二人は庭園のベンチに座った。春の花々が咲き誇り、穏やかな風が吹いている。
「幸せですか?」
エドウィンが尋ねた。
「とても。これ以上ないくらい」
セラフィーナはエドウィンの手を握った。
「あなたと出会えて、本当に良かった」
「私もです」
二人は静かに花々を眺めた。お腹の中で、赤ちゃんが動いた。
妊娠八ヶ月になると、セラフィーナは本格的に出産準備を始めた。赤ちゃんの部屋を整え、必要な物品を揃える。
侍女たちも協力してくれた。マルタは経験豊富な母親でもあり、多くのアドバイスをくれた。
「奥様、産後は思った以上に大変ですよ」
「覚悟しているわ」
セラフィーナは前世で多くの出産に立ち会ってきた。産後の大変さも、母親たちの喜びも知っている。
エドウィンも熱心に育児の勉強をしていた。医学書を読み、助産師に話を聞き、父親としての準備を進める。
「オムツの替え方、練習しました」
エドウィンが真剣な顔で言った。
「人形で練習したんです」
セラフィーナは微笑んだ。真面目なエドウィンらしい。
「本番はもっと大変よ」
「覚悟しています」
妊娠九ヶ月、いよいよ出産が近づいてきた。セラフィーナは毎日散歩を続け、体力を維持していた。
「もうすぐ会えるわね」
お腹に手を当てながら、セラフィーナは呟いた。この小さな命が、どんな顔をしているのか。誰に似ているのか。
楽しみで、少し不安で、でも何より嬉しかった。
ある夜、セラフィーナは軽い陣痛を感じた。
「エドウィン」
「どうしましたか?」
「陣痛が...でもまだ弱いわ」
エドウィンは慌てて助産師を呼びに行った。王宮から派遣された経験豊富な助産師が、すぐに駆けつけた。
「まだ時間がかかりそうです。落ち着いて待ちましょう」
助産師の言葉に、セラフィーナは頷いた。前世の知識があるから、出産の過程は理解している。でも、実際に自分が産む側になると、やはり緊張する。
陣痛は徐々に強くなっていった。エドウィンが手を握ってくれている。
「大丈夫です、セラフィーナ。あなたなら必ず乗り越えられます」
「ええ、分かっているわ」
セラフィーナは深呼吸をした。新しい命の誕生まで、もうすぐだ。
朝、鏡の前で自分の姿を見つめる。少し丸みを帯びた顔、穏やかな表情、そしてお腹の膨らみ。母親になる実感が、日々強くなっていた。
「おはようございます」
エドウィンが後ろから抱きしめてきた。お腹を優しく撫でる。
「赤ちゃんは元気ですか?」
「ええ、よく動くわ」
実際、最近は胎動を感じるようになっていた。小さな命が確かにそこにいる。
「今日は王宮医師の定期検診ですね」
「ええ、一緒に来てくれる?」
「もちろんです」
王宮医師の診察室で、セラフィーナは横になった。医師が丁寧にお腹を触診する。
「順調です、奥様。胎児の成長も理想的です」
「良かった」
エドウィンが安堵の表情を浮かべた。
「ところで」
医師が微笑んだ。
「お二人は男の子と女の子、どちらがお好みですか?」
「どちらでも構いません」
セラフィーナが答えた。
「健康であれば、それが一番です」
でも心の中では、少し期待していた。女の子なら、自分と同じように強く生きられる女性に育てたい。男の子なら、エドウィンのように誠実な男性に育てたい。
診察を終えて侯爵邸に戻ると、父ロデリック侯爵が待っていた。
「どうだった?」
「順調です、父上」
「そうか...」
父は安堵の表情を浮かべた。この三ヶ月、父は過保護なほどセラフィーナを気遣っていた。
「父上、私は大丈夫ですよ」
「分かっている。だが、お前は私の大切な娘だ。心配するのは当然だろう」
セラフィーナは父の手を握った。
「ありがとう、父上」
午後、セラフィーナは薬草園を散歩していた。妊娠中も適度な運動は必要だ。老庭師トーマスが声をかけてきた。
「奥様、お身体の調子はいかがですか?」
「とても良いわ、トーマス」
「それは何よりです。この薬草園で育った奥様が、ここでお子様を授かるなんて」
トーマスの目に涙が光った。
「私も嬉しいですよ」
セラフィーナは薬草園を見渡した。この場所が、すべての始まりだった。婚約破棄の後、荒れ果てたこの園を再生することから、彼女の人生の再建が始まったのだ。
その夜、セラフィーナとエドウィンは書斎で将来について話し合った。
「子供が生まれたら、研究を続けられますか?」
エドウィンが心配そうに尋ねた。
「もちろんよ。母親になっても、研究者であることは変わらない」
「でも、子育ては大変でしょう」
「だから二人でするの。あなたも父親として、育児に参加してほしい」
エドウィンは微笑んだ。
「もちろんです。私も父親として、責任を果たします」
妊娠七ヶ月になると、お腹はかなり大きくなった。階段の昇降も慎重になり、長時間の立ち仕事は避けるようになった。
でも研究は続けていた。座ってできる作業を中心に、論文執筆や資料整理に時間を費やす。
ある日、王都の社交界から招待状が届いた。春の園遊会への招待だ。
「行きますか?」
エドウィンが尋ねた。
「行きたいわ。でも...」
セラフィーナは自分のお腹を見た。
「大丈夫でしょう。医師に確認してみましょう」
王宮医師は許可を出した。
「無理をしなければ大丈夫です。ただし、疲れたらすぐに休憩してください」
園遊会の日、セラフィーナは特別に仕立てた妊婦用のドレスを着た。お腹を優しく包む柔らかい生地のドレスは、エドウィンが依頼して作らせたものだ。
「美しいですよ」
エドウィンが言った。
「ありがとう」
セラフィーナは鏡の中の自分を見つめた。妊娠中の女性特有の輝きがあった。
園遊会の会場に到着すると、多くの貴族たちが集まっていた。セラフィーナの姿を見て、人々は驚きと祝福の表情を浮かべる。
「侯爵夫人、おめでとうございます」
「もうすぐですね」
次々と祝福の言葉がかけられた。セラフィーナは一人ひとりに感謝の言葉を返す。
会場の隅で、一人の男性がセラフィーナを見つめていた。アレクシスだ。
かつての婚約者は、明らかに老けていた。まだ二十代後半なのに、疲れ果てた表情をしている。
二人の視線が一瞬交わった。アレクシスの目には、複雑な感情が宿っている。後悔、羨望、そして諦め。
セラフィーナは穏やかに微笑み、視線を外した。もう彼には何の感情もない。過去は過去だ。
「疲れましたか?」
エドウィンが気遣ってくれた。
「少し。座りたいわ」
二人は庭園のベンチに座った。春の花々が咲き誇り、穏やかな風が吹いている。
「幸せですか?」
エドウィンが尋ねた。
「とても。これ以上ないくらい」
セラフィーナはエドウィンの手を握った。
「あなたと出会えて、本当に良かった」
「私もです」
二人は静かに花々を眺めた。お腹の中で、赤ちゃんが動いた。
妊娠八ヶ月になると、セラフィーナは本格的に出産準備を始めた。赤ちゃんの部屋を整え、必要な物品を揃える。
侍女たちも協力してくれた。マルタは経験豊富な母親でもあり、多くのアドバイスをくれた。
「奥様、産後は思った以上に大変ですよ」
「覚悟しているわ」
セラフィーナは前世で多くの出産に立ち会ってきた。産後の大変さも、母親たちの喜びも知っている。
エドウィンも熱心に育児の勉強をしていた。医学書を読み、助産師に話を聞き、父親としての準備を進める。
「オムツの替え方、練習しました」
エドウィンが真剣な顔で言った。
「人形で練習したんです」
セラフィーナは微笑んだ。真面目なエドウィンらしい。
「本番はもっと大変よ」
「覚悟しています」
妊娠九ヶ月、いよいよ出産が近づいてきた。セラフィーナは毎日散歩を続け、体力を維持していた。
「もうすぐ会えるわね」
お腹に手を当てながら、セラフィーナは呟いた。この小さな命が、どんな顔をしているのか。誰に似ているのか。
楽しみで、少し不安で、でも何より嬉しかった。
ある夜、セラフィーナは軽い陣痛を感じた。
「エドウィン」
「どうしましたか?」
「陣痛が...でもまだ弱いわ」
エドウィンは慌てて助産師を呼びに行った。王宮から派遣された経験豊富な助産師が、すぐに駆けつけた。
「まだ時間がかかりそうです。落ち着いて待ちましょう」
助産師の言葉に、セラフィーナは頷いた。前世の知識があるから、出産の過程は理解している。でも、実際に自分が産む側になると、やはり緊張する。
陣痛は徐々に強くなっていった。エドウィンが手を握ってくれている。
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